販売管理の基礎知識

原価管理とは?目的やメリット、原価管理の流れについて解説

原価管理とは?目的やメリット、原価管理の流れについて解説

原価管理とは、商品の製造やサービスの提供に必要な「原価」を管理することで、利益の改善につなげる手法です。原価管理はコストマネジメントとも呼ばれ、原価を分析・管理することで利益の最大化を目指します。

コストを把握し利益を確保するうえで原価管理は非常に重要ですが、正確に原価を把握するのは難しく、計算方法も複雑になりがちです。

本記事では、原価管理の基礎知識や効率的な原価管理の方法について解説します。

目次

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原価管理とは

原価管理とは、特定の製品製造やプロジェクトが完了するまでにかかるコストを管理することです。

おおまかな流れは、最初に目標となる原価を見積もり(標準原価の設定)、次に実際の原価も把握します。最後に、標準原価と実際の原価の差異を確認し、原価率の改善を行います。

業種ごとの違い

管理する原価の項目は業種ごとに異なります。原価管理を行う際には業種ごとの違いについても理解しておきましょう。

ここでは、製造業、IT業界、広告業界の3つの業界に関する原価項目の例について説明します。

製造業

製造業では、一つの製品を製造する際に発生する原価を管理します。

製造原価に含まれるものは、主に以下の材料費・労務費・経費の3項目に分けられます。

それぞれ直接費と間接費に分けられるので、あわせて6つの項目で管理することになります。

製造業の原価項目
 直接費間接費
材料費製造に必要な原材料などを購入した費用塗料など複数の製造で使用する材料で、特定の製品にどれくらい使用したのかが曖昧なもの
労務費製造作業に関わった人件費など生産管理や総務など、直接、製品の製造に関わっていない従業員の人件費など
経費外注加工費など製品を製造する際に使う電力など、特定製品への使用を明確にするのが難しい経費

IT業界

プロジェクト形式で業務を遂行することが多いため、原価管理もプロジェクトごとに行うことが一般的です。

原則として材料費が発生しないため、他業種と比較して労務費の割合が高くなる傾向があります。

IT業界の原価項目
業務委託費動作テストなどの一部の作業を外部業者に委託する際の費用
 直接費間接費
労務費エンジニアの開発工数などの人件費総務などプロジェクトに直接関わっていない従業員の人件費
経費システム利用料、IT資材の購入費など、プロジェクトに直接関わる経費家賃や光熱費など、間接的に発生する経費

広告業界

IT業界と同様にプロジェクト形式で業務を遂行することが多いため、原価管理もプロジェクトごとに行います。

広告業界は1つのプロジェクトに関わる人が多く、原価の種類が多いことが特徴です。

広告業界の原価項目
媒体費用広告枠の購入費用、広告運用費用など
業務委託費制作外注費、カメラマンやタレント出演料など
 直接費間接費
労務費広告制作ディレクションなどの人件費総務などプロジェクトに直接関わっていない従業員の人件費
経費撮影スタジオ代、機材費用、交通費、交際費など光熱費、事務所賃貸料など、プロジェクトに間接的に発生した経費

原価計算、予算管理、利益管理との違い

原価管理と似た言葉に、原価計算や予算管理、利益管理があります。それぞれの用語と原価管理との違いについて理解しましょう。

原価計算との違い

原価管理と原価計算の違い

原価計算とは、特定の製品製造やプロジェクトが完了するまでにかかるコストを算出する作業を指します。

一方、原価管理は原価計算で算出した結果から含め、企業の収益を確保するために最適な原価設定を検討したり、目標と実際の原価との差分を分析し改善を図ったりする全体の管理を指します。

原価管理には原価計算が必須の作業となることから、原価計算は原価管理に内包される業務のひとつと言えます。

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予算管理との違い

原価管理と予算管理の違い

予算管理は経営管理のひとつであり、売上高や利益などの企業の数値目標を管理することを指します。

原価管理は、あくまでも特定の製品やプロジェクトにかかるコストや利益率を管理するものなので、全体的な経営予算管理と比べると階層が階層がひとつ下の概念になります。

原価管理は、予算管理を構成する1要素と言えるでしょう。

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利益管理との違い

原価管理と利益管理の違い

利益管理とは、利益を上げることを念頭に目標を立て、計画的に収支を管理することです。

売上アップやコスト削減の取り組みを行うため、利益管理は原価(コスト)管理とセットの概念と言えるでしょう。

原価管理の目的とメリット

原価管理の目的とメリットは、下記の2点に集約されます。

原価を正確に把握・管理することで利益率向上につながる

原価管理を行うことで、自社の利益を正しく管理・把握し、収益向上に結び付けることができます。

適切な原価を把握できていなければ、売上は出ているのに利益は出ない、といった状況にもなりかねません。

自社製品の原価を把握することで、適切な製品価格の設定や無駄なコストの削減ができ、利益確保に向けた事業の最適化が可能になります。

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原価変動による影響を抑えるなどのリスク管理ができる

円相場や原油価格の高騰など、経済環境や社会情勢によって原価は大きく変動します。

原価管理はこのような外部環境の変化による経営への影響を最小限にするうえでも役立ちます。

適切に原価管理を行っていれば原材料費が上がった場合でも、想定しうる損失や別のルートから仕入れた場合のコストをすぐに算出し、迅速な対策ができます。

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原価管理の流れ

原価管理の工程は大きく分けて以下の4つです。この工程は業種や製品、システムにかかわらず共通しています。

1. 標準原価の設定

まずは、標準原価を設定します。標準原価は製造時に目標とする原価額です。

製造業の場合は、製造に必要な労働力や材料の消費量を過去実績や市場調査して統計的に算定します。

なお、実際にかかった費用やコストを「実際原価」といいます。

標準原価は事前調査による原価の目標値であるため、実際原価が標準原価内に収まるわけではありません。

2. 原価計算

次に、実際原価を求めるために原価計算を行います。製造業の原価計算では、製品を作るうえでかかった費用を材料費・加工費・減価償却費・労務費などの費目に分けて計算します。

費目を分けることで、何にどれだけコストがかかったのかを把握できます。

また、固定費と変動費は分けて計上するようにしましょう。 固定費は、地代家賃など生産量にかかわらず必ずかかる費用のことです。一方、変動費は、材料費のように生産量によって増減する費用のことです。

固定費は削減効果が大きく、変動費は製造個数や売上高によって増減するので、それらを分けておくとコスト削減や売上変動に対する原価の増減が計算しやすくなります。

さらに、特定の製品を作る際に直接かかった費用(直接費)と、複数の種類の製品にまたがってかかる費用(間接費)も分けて原価を計算します。

間接費は、地代家賃や光熱費、宣伝広告費、一般管理費などが当てはまり、一定の基準を設けて各製品に費用を配賦(はいふ)することで原価に計上できます。

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3. 差異分析

次に、標準原価と実際原価の差異を分析します。費目別に標準原価と実際原価の差分を見て、どれほど乖離があるのかを確認します。

標準原価よりも実際原価が低いならば、想定よりもコストを抑えられていることを意味しています。

原価計算で細分化した費目によって、どの費目でコストがかかっているのかを可視化しているので、標準原価と差異が生じた原因の解明や改善策の構築に役立ちます。

4. 改善

最後に、差異分析で得られた結果に対して、改善策を検討し実行します。

たとえば、労務費が高い場合は、設備投資して作業を機械化する、一部の作業を外部委託するといった改善策で労務費を抑えることができます。

変動費よりも固定費の方がコスト削減効果が大きいため、固定費を優先的に見直すことがコスト改善につながります。

原価管理における課題

経理担当者の負担が大きい

原価管理を行うためには、人件費や材料費、固定費などを理解したうえで正確な原価を算出する必要があり、同時に会計における経験や知識も必要です。

さらに作業が複雑なうえ、会社の収益や経営に直結する業務であるため、担当者の負担が大きくなります。

また、業界の慣習や企業ごとの決め事などをもって原価計上することも多く、作業が属人化しやすく引き継ぎも難しくなりがちです。

Excel管理はヒューマンエラーや属人化を招く

原価管理はExcelで行われることが多いですが、計算ミスや入力ミスといったヒューマンエラーが発生しやすいデメリットがあります。

また、効率化を図って複雑な関数や計算式を入れると別担当者が操作しづらく、属人化してしまうリスクも高まります。

ミスが起こらないようにフォーマットを揃えたり、無料で配布されているテンプレートを使ったりすることも有効ですが、最終的に手入力になる点は変わらないため、根本的な解決は難しいでしょう。

原価管理の課題解決にはシステムを導入を検討する

原価管理における課題を解決するためには、原価管理システムの導入がおすすめです。

原価管理システムとは、原価管理を自動化できるソフトウェアで、負担の大きい原価管理業務を効率的に行えます。

原価管理システムでは、必要最低限の項目を入力すれば簡単に原価データを作成できるほか、差異分析や損益計算、間接費の配賦(はいふ)もシステムが自動で行ってくれます。

また、ほかの基幹ツールや会計システムと連携することで、正確で漏れのない原価管理が実現できます。

まとめ

原価管理を適切かつ正確に行うことができれば、安定した収益を担保できます。

複雑になりがちな原価計算は、原価管理システムを導入し、自動化や効率化を図るのがおすすめです。

自社の商材・生産方式にあった原価管理システムを選ぶことで、さらなる利益向上につながるでしょう。

面倒な原価計算を楽にするならfreee販売

サービスに関わる原価管理・利益管理・販売価格の決定・予算編成などには原価計算が必要となります。 原価を把握することは、適切なサービス価格の設定や利益を確保するために重要な要素です。

案件・プロジェクトごとに正しい原価情報や売上を把握したい方にはfreee販売とfreee工数管理を組み合わせたfreee原価管理セットがおすすめです。

freee原価管理セットはIT・システム開発、コンサル、クリエイティブ・制作業など、無形商材に特化したサービスです。

ここからは、freee原価管理セットの特徴について紹介します。

案件・プロジェクト別に原価管理ができる

管理すべき原価の例として、役務提供に関わるスタッフの給与などの直接労務費や、外部に業務委託した場合の外注費 、事務用品などの経費があります。

人件費や経費は、見込みから大きく変動することがあるため、可視化しながらの進捗管理が重要です。ほかにも、案件・プロジェクトごとに個別で経費を管理することは、粗利の正確な把握につながります。

freee原価管理セットを活用すれば、案件・プロジェクトごとの粗利進捗の管理や個別の原価計算を自動で行うことができます。

正確な原価管理によって、赤字プロジェクトの発見やコストの削減が可能となり、利益向上につながるでしょう。

外出先でも自宅でも帳票発行や情報確認ができる

案件やプロジェクトを受注し取引を開始するにあたり、見積もり時から納品されるまで多くの書類を発行しなければなりません。金額や納品日など重要な項目を扱うため、記載漏れや誤った内容の記入は会社の信用にも関わります。

freee原価管理セットでは、入力された内容をもとに自動で各帳票の作成が可能です。自動連携されるので、ヒューマンエラーが削減され、正確な書類を発行できます。

また、クラウドシステムなので場所を選ばずに入力・確認ができ、サービスの情報をリアルタイムで共有が可能です。

freee会計との連携も可能!帳簿づけや入金管理も自動に

原価管理は企業の利益を正しく把握し、決算書の作成や事業計画の策定を行うための重要な要素となります。また、決算書を作成するには、日々の記帳から決算整理仕訳、総勘定元帳への転記まで手間と一定の知識が必要です。

freee原価管理セットとfreee会計を連携することで、日々の仕訳・記帳も自動で行うことができます。同時に入金ステータスの確認など、入金管理もfreeeで一括管理が可能です。

なお、freee会計を利用されていない場合でも、仕訳データをお使いの会計システムに戻すことができます。

ほかにも、freee原価管理セットには販売管理に必要なさまざまな機能が組み込まれています。

freee原価管理セットの機能一覧

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詳しい内容を知りたい方は、無料相談も受け付けておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

よくある質問

原価管理とは?

原価管理とは、商品の製造やサービスの提供に必要な「原価」を管理することで、利益の改善につなげる手法です。

原価管理はコストマネジメントとも呼ばれ、原価を分析・管理することにより利益の最大化を目指します。

詳しくはこちらをご覧ください。

原価計算との違いは?

原価計算とは、特定の製品製造やプロジェクトが完了するまでにかかるコストを算出する作業を指します。

一方、原価管理は原価計算で算出した結果から、企業の収益を確保するために最適な原価設定をしたり、目標と実際の原価との差分を分析し改善を図ったりする全体の管理を指します。

詳しくはこちらをご覧ください。

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