GeminiからGitHubやデータベース、社内システムなどの外部ツール・データを利用する方法のひとつがMCP(Model Context Protocol)です。
MCPは、AIアプリケーションと外部のツールやデータソースを共通の仕様で接続するためのプロトコルです。ターミナル上で直接Geminiを利用できる「Gemini CLI」はMCPサーバーとの接続に対応しており、外部情報の参照やツールの実行に活用できます。
本記事では、GeminiでMCPを利用するメリットや設定方法、活用例を解説します。企業で利用する際のポイントや注意点も確認していきましょう。
目次
- GeminiのMCPとは?
- GeminiでMCPを利用する3つのメリット
- 外部ツールやデータソースと連携できる
- 複数のツールを使った業務を効率化・自動化できる
- 自社のデータや業務環境に合わせてGeminiを拡張できる
- Gemini CLIでMCPを設定する方法
- 1. Gemini CLIをインストールして利用環境を準備する
- 2. MCPサーバーを追加する(コマンドまたは設定ファイル)
- 3. OAuthや環境変数を設定する
- 4. 「gemini mcp list」や「/mcp」で接続状態を確認する
- Geminiで使えるMCPサーバーの活用例5選
- GitHubと連携してコードやIssueを扱う
- 業務ツール・外部サービスと連携する
- ファイルの情報を検索・参照する
- Playwrightを使ってブラウザを操作する
- データベースの情報を取得・分析する
- GeminiのMCPサーバーの選び方
- 企業でGeminiのMCPを利用する際の4つのポイント
- 利用目的と業務範囲を明確にする
- 利用するMCPサーバーや権限を組織で管理する
- 設定・運用マニュアルを標準化する
- 小規模な業務から導入して効果を検証する
- GeminiでMCPを利用する際の4つの注意点
- 信頼できるMCPサーバーだけを追加する
- APIキーや認証情報を安全に管理する
- ツールの権限や実行許可を必要最小限にする
- 外部のMCPサーバーへ送信されるデータを確認する
- まとめ
- よくある質問
GeminiのMCPとは?
MCPとは、GeminiのようなAIアプリケーションと、外部のツールやデータソースを共通の仕様でつなぐ仕組みです。
MCPは以下の3つの要素で構成されます。
- MCPホスト:AIアプリケーション本体
- MCPクライアント:ホスト内でMCPサーバーとの通信を担う
- MCPサーバー:ツールやデータを提供する
たとえばGitHubのMCPサーバーに接続すれば、MCPホストの役割を担う「Gemini CLI」から、リポジトリの情報を参照したりIssueを扱ったりできます。
外部サービスと接続することで、Geminiだけでは直接アクセスできない情報や機能を利用できる点がMCPの特徴です。
Geminiについてより詳しく知りたい人は、以下の記事も参考にしてください。
GeminiでMCPを利用する3つのメリット
GeminiとMCPを組み合わせると、外部データの参照やツールの操作などができるようになり、Geminiの活用範囲を広げられます。
主なメリットは以下の3つです。
- 外部ツールやデータソースと連携できる
- 複数のツールを使った業務を効率化・自動化できる
- 自社のデータや業務環境に合わせてGeminiを拡張できる
GeminiでMCPを利用して、日々の業務の負担を減らしましょう。
外部ツールやデータソースと連携できる
MCPサーバーを介することで、Gemini CLIからデータベース・API・ファイルなどの情報を参照できます。
Gemini CLIは、MCPサーバーが公開しているツールやリソースを検出して利用します。たとえば、社内データベース向けのMCPサーバーに接続すれば、権限の範囲内で業務データを取得し、数値分析や改善に活用するといった使い方が可能です。
Geminiのモデルが保有する知識に加えて、自社や外部サービスが保有する情報を組み合わせられるため、利用できる業務の幅を広げられます。
複数のツールを使った業務を効率化・自動化できる
複数のMCPサーバーに接続すれば、それぞれのツールをGemini CLIから利用できます。
たとえば、GitHubの情報を取得して内容を整理し、別の業務ツールへ反映するといったように、複数サービスをまたぐ処理にも応用可能です。
これまでツールごとに画面を開き、検索やコピーを繰り返していた作業も、「Issueの内容をまとめて管理ツールに登録して」といったひとつの指示で、複数のツール操作をまとめて実行できます。手作業での画面の行き来や転記が不要になり、作業時間の短縮につながります。
定型的な業務であれば、同じ指示を繰り返し実行することで、報告資料の作成やデータの集計といった作業を仕組み化することも可能です。
なお、どこまでを自動で実行し、どこで人の承認をはさむかは設定によって調整できます。参照だけの処理は自動化し、書き込みを伴う処理は承認を必須にするなど、業務のリスクに応じて使い分けましょう。
自社のデータや業務環境に合わせてGeminiを拡張できる
MCPサーバーは自社システムに合わせて構築することも可能です。
たとえば、社内検索や独自のデータベース、業務用APIなどをMCPサーバーから提供すれば、Gemini CLIを自社の業務フローに組み込み、日々の作業を効率化できます。
MCPは共通の仕様であるため、一度MCPサーバーとして用意すれば、連携方法を個別に作り込む必要がありません。連携したいシステムが増えた場合も、同じ手順でMCPサーバーを追加できます。
Gemini CLIでMCPを設定する方法
Gemini CLIでMCPを利用する流れは以下のとおりです。
- Gemini CLIをインストールして利用環境を準備する
- MCPサーバーを追加する(コマンドまたは設定ファイル)
- OAuthや環境変数を設定する
- 「gemini mcp list」や「/mcp」で接続状態を確認する
利用するMCPサーバーによって、必要な実行環境や認証方法は異なります。導入する際はサーバー提供元の設定方法も確認しながら進めましょう。
1. Gemini CLIをインストールして利用環境を準備する
まず、Gemini CLIをインストールして利用できる状態にします。インストールにはNode.jsという、JavaScriptをターミナル上で動かすための環境が必要です。パッケージを管理するnpmもNode.jsに同梱されているため、あわせて確認しておきましょう。
まず、Gemini CLIをインストールして利用できる状態にします。インストールにはNode.jsという、JavaScriptをターミナル上で動かすための環境が必要です。パッケージを管理するnpmもNode.jsに同梱されているため、あわせて確認しておきましょう。
npmを利用する場合は、以下のコマンドでインストールできます。
npm install -g @google/gemini-cli
インストール後はgeminiコマンドを実行して認証を行います。
Gemini CLIの準備だけでなく、利用予定のMCPサーバー側の前提条件も確認しておきましょう。
2. MCPサーバーを追加する(コマンドまたは設定ファイル)
Gemini CLIにMCPサーバーを追加する主な方法は、以下の2つです。
- gemini mcp addコマンドを使う
- settings.jsonを編集する
コマンドを使う場合は、以下の形式でMCPサーバーを登録できます。
gemini mcp addを実行すると、指定したスコープ(ユーザー・プロジェクト)に応じてsettings.jsonにMCPサーバーの情報が追加されます。
一方、settings.jsonを直接編集して登録する方法もあります。ローカルで実行するMCPサーバーは以下のように設定します。
"mcpServers": {
"my-server": {
"command": "node",
"args": ["server.js"]
}
}
}
ユーザー共通の設定は~/.gemini/settings.json、プロジェクト単位の設定は.gemini/settings.jsonで管理できます。用途に合わせて適した設定方法を選択してください。
なお、MCPサーバーには端末上で実行するローカル型と、ネットワークを介して接続するリモート型があります。ローカル型では標準入出力(stdio)、リモート型ではHTTPなどが利用されるのが一般的です。
3. OAuthや環境変数を設定する
MCPサーバーから外部サービスへアクセスする際には、OAuthやAPIキーなどの認証が必要になる場合があります。APIキーやアクセストークンなどの認証情報は、設定ファイルへ直接書き込まず、環境変数から読み込む形で管理すると安全性を高められます。
Gemini CLIのsettings.jsonでは、$VAR_NAMEや${VAR_NAME}の形式で環境変数を参照可能です。
4. 「gemini mcp list」や「/mcp」で接続状態を確認する
設定後は、MCPサーバーが正しく登録・接続されているか確認しましょう。
ターミナルでは、以下のコマンドから設定済みのMCPサーバーを確認できます。
gemini mcp list
Gemini CLIのセッション内では、/mcpコマンドから接続状況や利用可能なツールなどを確認できます。
設定したMCPサーバーが表示されないときは、実行コマンド・URL・認証情報などを見直しましょう。
Geminiで使えるMCPサーバーの活用例5選
GeminiとMCPサーバーを組み合わせれば、さまざまな業務に活用できます。代表的な活用例は次のとおりです。
Geminiで使えるMCPサーバーの活用例5選
- GitHubと連携してコードやIssueを扱う
- 業務ツール・外部サービスと連携する
- ファイルの情報を検索・参照する
- Playwrightを使ってブラウザを操作する
- データベースの情報を取得・分析する
日々の業務で活用できそうなものから取り入れてみてください。
GitHubと連携してコードやIssueを扱う
GitHub向けのMCPサーバーを利用すれば、Geminiからリポジトリ・コード・Issue・Pull Requestなどを扱えます。
開発者は通常、GitHubの画面を都度開いて確認作業を行う必要がありますが、MCP経由であればGeminiとの対話の中で状況を把握することが可能です。
MCP経由で扱えることで複雑なコードの読み解きや修正までの流れがスムーズになり、開発効率の向上が期待できます。
業務ツール・外部サービスと連携する
業務ツールに対応したMCPサーバーがあれば、Geminiから情報の取得や操作を行えます。
たとえば顧客管理・タスク管理・ファイル管理などのサービスと接続すれば、複数の画面を行き来しながら情報を確認・転記する作業を省略可能です。
利用できる機能や操作範囲はMCPサーバーごとに異なるため、対応サービスと必要な権限を事前に確認しましょう。
ファイルの情報を検索・参照する
ファイルを扱えるMCPサーバーを利用すれば、ローカルに保存した文書やノートをGeminiから参照できます。
具体的には、メモやノートを管理するアプリケーションに蓄積した情報や業務文書を検索し、過去の情報をもとに回答を作成するといった使い方です。
業務ファイルを対象にする際は、必要なフォルダだけを許可し、アクセス範囲を広げすぎないようにしましょう。
Playwrightを使ってブラウザを操作する
ブラウザの操作を自動化するためのツールである「Playwright」に対応したMCPサーバーを利用すれば、Webページの移動・クリック・フォーム入力などのブラウザ操作をGeminiから実行できます。Webサイトの動作確認や、繰り返し行うブラウザ操作の自動化などに活用できます。
外部サイトへの入力や送信を伴う操作では、誤操作に注意が必要です。実行範囲や承認方法を確認してから利用しましょう。
データベースの情報を取得・分析する
データベース向けのMCPサーバーを利用すれば、Geminiからデータを取得して分析できます。
たとえば、売上・顧客・在庫などのデータを参照するツールを用意し、Geminiへの質問を起点に必要な情報を取得する仕組みが考えられます。
参照だけで目的を達成できるのであれば、意図しない操作やデータ漏えいを防ぐためにも、書き込み・削除権限は付与しないようにしましょう。
GeminiのMCPサーバーの選び方
MCPサーバーを選ぶ際は、機能だけでなく提供元や必要な権限、安全性も確認します。
チェックしたい項目は以下のとおりです。
GeminiのMCPサーバーの選び方
- 利用したい業務・サービスに対応しているか
- 提供元・開発元が明確か
- 更新やメンテナンスが継続されているか
- 必要以上の権限を要求していないか
- 認証情報・送信データの扱いが明示されているか
業務で利用する場合は「どの機能が使えるか」に加え、「どこまでの操作を許可するか」といった点も確かめながら選びましょう。
企業でGeminiのMCPを利用する際の4つのポイント
企業でGeminiのMCPを利用する場合は、権限の管理や運用ルールが重要です。以下のポイントを押さえておきましょう。
企業でGeminiのMCPを利用する際の4つのポイント
- 利用目的と業務範囲を明確にする
- 利用するMCPサーバーや権限を組織で管理する
- 設定・運用マニュアルを標準化する
- 小規模な業務から導入して効果を検証する
誰もが使いやすいツールになるよう、適切なルールのもとで運用し、必要に応じて見直すことが大切です。
利用目的と業務範囲を明確にする
MCPを利用する際は、目的と対象業務を明確にしましょう。
たとえば「GitHubのIssueを参照する」「社内データベースから集計値を取得する」というように、利用する目的を具体化します。
目的が定まれば、必要なMCPサーバーや機能を選びやすくなり、スムーズに導入できます。
利用するMCPサーバーや権限を組織で管理する
企業でMCPサーバーを導入する際は、従業員が任意のMCPサーバーを追加できる状態を避け、利用可能なサーバーや権限を組織で管理します。
個人アカウントと業務用のサービスアカウントを分けて権限を設定するといった対策をすれば、万が一情報が漏えいした場合も影響範囲を限定できます。
数値やデータの参照だけで足りる業務には書き込み・削除権限を与えないなど、必要最小限の権限設定を基本としましょう。
設定・運用マニュアルを標準化する
MCPの設定や認証情報の管理を特定の担当者だけに任せると、異動・退職時の引き継ぎがうまくいかなかったり、トラブル対応が難しくなったりします。
利用を認めるMCPサーバー・設定ファイルの管理方法・認証情報の保管方法・権限変更時の手続きなどを、マニュアルとして文書化しておきましょう。
担当者が変わっても同じ基準で運用できる状態を作れば、属人化を防げます。
小規模な業務から導入して効果を検証する
MCPを導入する際は、対象業務を限定して試行し、問題がないことを確認してから範囲を広げていくのが望ましいです。
小規模な運用から始めれば、作業時間をどの程度削減できるかに加え、エラーや意図しないツール実行が発生していないかも確認できます。
効果とリスクを把握したうえで、対象業務や利用者を段階的に広げるとよいでしょう。
GeminiでMCPを利用する際の4つの注意点
GeminiでMCPを利用する際は、利便性だけでなく安全性にも配慮する必要があります。とくに注意したい点は次のとおりです。
GeminiでMCPを利用する際の4つの注意点
- 信頼できるMCPサーバーだけを追加する
- APIキーや認証情報を安全に管理する
- ツールの権限や実行許可を必要最小限にする
- 外部のMCPサーバーへ送信されるデータを確認する
外部のサーバーを追加する以上、セキュリティ面の確認が欠かせません。情報漏えいなどのトラブルを招かないよう、万全の体制を整えることを意識しましょう。
信頼できるMCPサーバーだけを追加する
MCPサーバーを追加する前には、提供元・ソースコード・更新状況などを確認しましょう。
提供元が明確でも、業務上必要のない機能や大きな権限を要求している場合は、利用目的に合っているか慎重に確認する必要があります。
APIキーや認証情報を安全に管理する
APIキーやアクセストークンは、ソースコードや共有ファイルへ直接記載しないことが重要です。環境変数などを利用し、Gitなどのバージョン管理にも認証情報を含めないようにしましょう。
加えて、継続的な管理も不可欠です。認証情報が不要になった際の無効化や、権限の見直しを行う運用ルールを決めておくことも必要です。
ツールの権限や実行許可を必要最小限にする
MCPサーバーには、業務に必要な範囲だけ権限を付与しましょう。不要な権限まで与えると、データの更新・削除や外部サービスへの送信が意図せず行われてしまうリスクが考えられます。
利用するツールを限定したり、実行前の承認を残したりすることで、誤操作による影響を抑えやすくなります。
外部のMCPサーバーへ送信されるデータを確認する
外部のMCPサーバーを利用する際は、どのデータがサーバーへ送信されるのかを確認します。
機密情報・個人情報・顧客情報などを扱う場合は、送信範囲・保存方法・アクセス権限などを事前に確認し、自社のセキュリティ方針と照らし合わせて判断してください。
まとめ
Gemini CLIにMCPサーバーを接続すると、GitHub・データベース・業務ツールなど、Geminiだけでは扱えない外部の情報や機能を利用できるようになります。
MCPサーバーの設定には、gemini mcp addを使う方法とsettings.jsonを編集する方法があります。設定方法は利用環境に合わせて選択しましょう。
企業で導入する際は、利用目的を明確にしたうえで、MCPサーバー・権限・認証情報を組織で管理することが重要です。
freee AIヘルプデスクでも、本記事で紹介したような外部ツールとの連携が可能です。社内検索や問い合わせのチケット管理、従業員からのフィードバック収集など、さまざまな機能で日々の業務効率化に寄与します。AIを用いた業務効率化を考えている人は、利用を検討してみてください。
よくある質問
GeminiアプリでもMCPを使える?
現在、Gemini Sparkのカスタムアプリ連携として、MCPサーバーの利用が可能です。
ただし、GeminiアプリとGemini CLIでは、MCPの利用方法や対応範囲が異なります。Gemini CLIと同じ設定方法をそのまま利用できるとは限りません。利用したい機能がMCP経由の連携を必要とする場合は、対応している製品や環境を事前に確認しておきましょう。
出典:Geminiアプリヘルプ「Gemini Spark の新機能」Google公式のMCPサーバーはある?
Google・Google Cloudは公式のリモートMCPサーバーを提供しています。
ただし、すべてのGoogleサービスが同じ形でMCPに対応しているわけではありません。利用するサービスごとに対応状況を確認しましょう。
MCPサーバーは必須?
MCPを使って外部ツールやデータソースへ接続する場合は、機能や情報を提供するMCPサーバーが必要です。
一方、Gemini自体を通常利用するだけであれば、MCPサーバーを用意する必要はありません。
MCPとGemini APIによる連携は何が違う?
MCPは、AIと外部ツール・データソースを共通の仕様で接続するためのプロトコルです。
一方、Gemini APIはアプリケーションからGeminiモデルを利用するためのAPIです。役割が異なり、用途によっては両者を組み合わせて利用します。
Gemini APIについてより詳しく知りたい人は、以下の記事も参考にしてください。
