AI活用の基礎知識

AIエージェントとは?生成AIとの違いや業務での活用例を解説

AIエージェントとは?生成AIとの違いや業務での活用例を解説

AIエージェントは、あらかじめ設定された目的に沿って、必要な情報を集め、判断し、業務を進めるシステムです。

生成AIの普及により、文章作成や要約だけでなく、複数の作業を自律的に進める仕組みとして注目されています。たとえば、問い合わせ対応や資料作成、データ確認からタスク管理まで日々の業務を支援する活用が考えられます。

一方で、AIエージェントはすべての業務を正確に処理できる万能な仕組みではありません。利用するデータの正確性やセキュリティ、担当者による確認体制を整えたうえで活用することが重要です。

本記事では、AIエージェントの特徴や類似サービスとの違い、導入時のメリット・注意点までわかりやすく解説します。

目次

AIエージェントとは

AIエージェントとは、ユーザーやシステムの代わりに、与えられた目的を達成するための作業を自律的に実行するシステムのことです。

従来のAIは人間が指示を入力するたびに応答する受け身の仕組みでしたが、AIエージェントは目標を設定すれば自ら考え、複数のステップを踏んで結果を出せます。

たとえば「来月の売上レポートを作成してメールで送付する」という目標に対し、データ収集・集計・レポート作成・送信まで一連の作業を自動で完結させられます。

つまり、AIエージェントは単に質問に答えるだけでなく、必要な手順を考え、外部ツールやデータも駆使しながら行動できるというわけです。

AIエージェントの主な特徴

AIエージェントの特徴は、単発の回答ではなく、業務の流れに沿って複数の作業を支援できる点です。

具体的には、以下の動きがひとつにまとめられていることで、担当者は一つひとつの作業を個別に指示する負担を減らしやすくなります。

AIエージェントの主な特徴

  • 情報を取得する
  • 内容を分類する
  • 必要な処理を判断する
  • 次の作業を提案する
  • 外部ツールに処理をつなげる

たとえば経理業務では、請求書や領収書の内容を確認し、未処理のデータを抽出し、対応が必要なタスクを整理するといった活用が考えられます。カスタマーサポートでは、問い合わせ内容を分類し、過去の対応履歴を参照しながら回答案を作成する使い方もあるでしょう。

このように、AIエージェントは複数の業務プロセスをまたいで支援できる点が特徴です。一方で、判断の根拠となるデータが誤っている場合、出力結果も不正確になるおそれがあります。そのため、業務で活用する際は、AIに任せる範囲と人が確認する範囲を明確にしておく必要があります。

AIエージェントと生成AI・チャットボット・RPAの違い

AIエージェントと生成AI・チャットボット・RPAは、以下のようにできることの範囲が異なります。


概要主な役割対応可能な業務
AIエージェント目的に沿って必要な作業を判断し、実行を支援するAIシステム複数の手順を含むタスクの計画・実行情報収集、データ確認、タスク整理、問い合わせ対応など
生成AIプロンプト(指示文)を入力するたびにテキストや画像を出力するAIテキスト・画像などのコンテンツ生成など文章・画像・コードの生成など
チャットボット用意されたシナリオやFAQをもとにユーザーの質問へ自動応答するツール質問への自動応答FAQ対応・問い合わせ対応など
RPA決められた手順に沿ってPC操作を自動化する技術定型業務の自動化データ入力・転記などの定型作業

生成AIやチャットボット、RPAと比較すると、AIエージェントは「回答」や「定型処理」にとどまらず、状況に応じて判断しながら業務を支援する点に違いがあります。

それぞれ対応していない機能もあるため、単純な技術の自動化にはRPA、コンテンツ生成には生成AIやチャットボット、複数ステップにまたがる複雑な業務の自動化にはAIエージェント、といった理解で使い分けると利用しやすいでしょう。

AIエージェントが注目されている背景

AIエージェントが注目されている背景には、生成AIの活用が広がり、求められる役割が変化していることがあります。

これまでの生成AIは、文章作成や要約、質問への回答など、ユーザーの指示に応じて結果を返す使い方が中心でした。一方で、実際の業務では、情報収集や内容確認にとどまらず、資料作成や問い合わせ対応、タスク管理など、複数の手順を伴う作業が多くあります。

そのため、単発の回答だけでなく、目的に沿って一連の作業を支援できるAIエージェントへの期待が高まっています。

また、クラウドサービスや業務システムとの連携が進んだことで、AIが扱えるデータや実行できる処理の範囲も広がりました。人手不足や業務の複雑化が進むなか、AIエージェントは担当者の作業負担を減らし、より重要な判断や確認に時間を使いやすくする手段として注目されています。

AIエージェントの種類と活用例

AIエージェントは、判断の仕組みや行動の決め方によっていくつかの種類に分けられます。どの種類も「目的に応じて行動する」という点は共通していますが、判断に使う情報の範囲や、状況の変化に対応できる度合いが異なります。

業務で活用する際は、それぞれの違いを理解したうえで、任せたい作業に合う仕組みを選ぶことが大切です。

以下では、代表的な分類を紹介します。

単純反応型エージェント

単純反応型エージェントは、現在の状況に対して、あらかじめ決められたルールに基づいて反応するタイプです。

たとえば、「特定のキーワードを含む問い合わせには定型文を返す」「条件に一致するデータを検知したら通知する」といった使い方が考えられます。そのため、問い合わせフォームへの自動応答やセンサーの異常値を検知してアラートを発報するシステムなどに活用できます。

仕組みが比較的シンプルなため導入しやすい一方で、過去の情報をもとに判断したり、複雑な状況に応じて対応を変えたりすることは得意ではありません。

構造がシンプルなため、処理が速く、導入コストを抑えやすい点が特徴です。

モデルベース型エージェント

モデルベース型エージェントは、現在の情報だけでなく、過去の状態や周囲の状況を踏まえて判断するタイプです。単純反応型よりも、状況を把握したうえで適切な行動を選びやすい点が特徴です。

たとえば、在庫管理で過去の入出庫状況をもとに不足を予測したり、顧客対応で過去の問い合わせ履歴を参考に回答内容を調整したりするケースで活用できます。

業務では、直近の入力情報だけでは判断が難しい場面も少なくありません。モデルベース型エージェントは、一定の文脈や履歴を参照しながら処理できるため、継続的な管理や状況変化への対応が必要な業務に向いています。

目標ベース型エージェント

目標ベース型エージェントは、設定された目標を達成するために、必要な行動を選ぶタイプです。単に決められた処理を実行するだけでなく、「何を達成したいか」をもとに手順を考える点が特徴です。

たとえば、「未処理の請求書を確認し、支払期限が近いものを整理する」「会議資料を作成するために必要な情報を集める」といった活用が考えられます。ほかにも、経路検索・配送ルートの最適化、プロジェクトのタスク管理において期日から逆算してスケジュールを自動調整するシステムなどが例に挙げられます。

業務では、目的は決まっていても、実行手順が毎回同じとは限りません。目標ベース型エージェントは、複数の選択肢のなかから目的達成に近い行動を選べるため、一定の判断を伴う業務支援に適しています。

効用ベース型エージェント

効用ベース型エージェントは、複数の選択肢がある場合に、より望ましい結果につながる行動を選ぶタイプです。目標ベース型が「目標を達成できるか否か」で判断するのに対し、効用ベース型は効率性・コスト・リスク・優先度などを考慮して「どの方法がより優れているか」を判断できます。

たとえば、配送ルートの最適化や広告配信の予算配分、問い合わせ対応の優先順位付けなどに活用可能です。

業務では、正解がひとつに決まらず、複数の条件を比較しながら判断する場面があります。効用ベース型エージェントは、一定の基準に基づいて最適に近い選択を行えるため、効率や成果を重視する業務に向いています。

学習型エージェント

学習型エージェントは、過去のデータや実行結果をもとに、判断や行動を改善していくタイプです。利用し続けることで、より適切な対応や予測ができるようになる可能性があるのが特徴です。

たとえば、顧客からの問い合わせ内容を分析して回答精度を高めたり、売上データをもとに需要予測を改善したりする活用が考えられます。

ただし、学習の精度は利用するデータの質や量に左右されるため、誤ったデータを使うと不適切な判断につながるおそれもあります。学習型エージェントを業務に取り入れる際は、データの管理や定期的な見直しを行いながら運用することが大切です。

AIエージェントを導入するメリット

AIエージェントの導入には、業務効率化だけでなく、さまざまなメリットがあります。

ここでは、企業が導入する際に特に期待できる3つのメリットを解説します。

業務の効率化が期待できる

AIエージェントは、これまで人間が手作業で行っていた業務を自律的に処理できるため、業務全体のスピードと処理量の大幅な向上が期待できます。

たとえば、毎月の経費集計や請求書の確認・仕訳入力といった作業は、データの取得から入力・確認まで複数のステップが発生します。AIエージェントはこうした一連の作業を人の手を借りずに処理できるため、担当者が同じ時間でより多くの業務をこなせるようになるでしょう。

また、24時間365日稼働できる点も大きな強みです。営業時間外や休日でも業務を止めることなく処理を継続できるため、対応スピードの向上にもつながります。

ただし、業務の内容や利用するシステムによって効果は異なるため、まずは小さな業務から試し、運用しながら改善していくことが大切です。

ヒューマンエラーを減らしやすい

AIエージェントを活用することで、入力漏れや確認漏れ、転記ミスなどのヒューマンエラーを減らしやすくなります。

人が手作業で多くの情報を扱う場合、注意していてもミスが発生してしまうことがあります。その点、AIエージェントを活用すると、あらかじめ設定されたルールや学習したデータに基づいて正確に処理を行うため、こうした単純ミスの削減につながり、作業品質の安定化が期待できるでしょう。

ただし、AIの判断が必ず正しいとは限らないため、重要なデータや金額に関わる業務では、人による最終確認を組み合わせることが必要です。

担当者が重要な業務に集中しやすくなる

AIエージェントを導入すると、担当者はより付加価値の高い業務に時間とリソースを集中させやすくなります。

日々の業務には、情報収集や入力、確認・整理など、必要ではあるものの時間を取られやすい作業が多くあるのが実情です。AIエージェントがこうした作業を支援することで、担当者は顧客対応や経営判断、業務改善など、人の判断や経験が求められる業務に時間を使いやすくなります。

特に中小企業では、限られた人員で複数の業務を担当するケースも多いため、一人ひとりの作業負担を減らせる点は大きなメリットです。担当者の業務負荷が軽減されることで、長時間労働の抑制や従業員満足度の向上といった副次的な効果も期待できます。

AIエージェントを導入する際の注意点

AIエージェントの導入には多くのメリットがある一方、事前に把握しておくべき注意点もあります。導入後に想定外のトラブルを防ぐためにも、以下の3点をあらかじめ確認しておきましょう。

データの正確性やセキュリティは確認する必要がある

AIエージェントを活用する際は、利用するデータの正確性とセキュリティの確認が重要です。AIエージェントは入力された情報や連携先のデータをもとに処理を行うため、元のデータに誤りがあると、出力結果や判断も不正確になるおそれがあります。

また、顧客情報や請求書、会計データなどを扱う場合は、情報漏えいを防ぐための対策も欠かせません。利用するサービスのデータ管理ポリシーや、外部への情報送信の有無、アクセス権限の設定などを事前に確認したうえで導入を進めましょう。

特にクラウド型のサービスを利用する場合は、どのデータがどこに保存・処理されるのかを把握しておくことが大切です。

すべての業務を完全に任せられるわけではない

AIエージェントは多くの業務を支援できますが、すべての作業を完全に任せられるわけではないと理解しておく必要があります。

AIはデータに基づいて処理や判断を行うため、前提となる情報が不足していたり、例外的なケースが発生したりすると、適切に対応できない場合があります。

たとえば、取引先との細かな調整や法令や契約内容に関わる判断、経営上の意思決定などは、人の確認や専門的な判断が必要です。

そのため、AIエージェントを導入する際は、あくまでも業務を支援するツールとして、最終的な判断や責任は人間が持つという運用体制を整えることが重要です。任せきりにするのではなく、AIエージェントの処理結果を人間が定期的に確認・監督する仕組みを設けることで、品質を担保しながら活用できます。

導入・運用にコストがかかる

AIエージェントの導入には、サービス利用料だけでなく、初期設定や既存システムとの連携、社内ルールの整備、担当者への教育などのコストがかかる場合があります。導入後も、出力結果の確認や運用ルールの見直し、データ更新などが必要です。

十分な準備をせずに導入すると、期待した効果が出なかったり、かえって確認作業が増えたりすることもあります。

そのため、導入前には、効率化したい業務や想定される効果、必要な費用や工数を整理しておくことが大切です。小さな業務から試し、費用対効果を確認しながら段階的に活用を広げるアプローチが有効でしょう。

AIエージェントを業務に活用する手順

AIエージェントを業務に活用する際は、いきなり広範囲に導入するのではなく、以下のように段階的に進めることが大切です。

AIエージェントを業務に活用する手順

  1. 自動化したい業務の洗い出し:情報収集・データ入力など時間がかかっている業務を洗い出す
  2. 導入目的とゴールを明確にする:費用対効果を適切に判断するため具体的な目標を設定する
  3. 自社環境に合ったツール・サービスの選定:既存システムとの連携可否やセキュリティ要件などを総合的に比較検討
  4. 小規模な範囲でスモールスタートする:特定の部署や業務に絞って試験的に導入する
  5. 効果を検証しながら対象業務を拡大する:得られた結果をもとに費用対効果を検証する

問題点を見直しながら活用範囲を広げることで、無理なく業務に取り入れやすくなります。

まとめ

AIエージェントは、設定された目的に沿って情報を集め、判断し、業務を支援するAIシステムです。生成AIやチャットボット、RPAと似ている部分もありますが、目的達成に向けて複数の手順を進められる点に特徴があります。

業務に活用すれば、作業時間の短縮やヒューマンエラーの削減、担当者が重要な業務に集中しやすくなるといったメリットが期待できます。

一方で、AIエージェントを導入する際は、データの正確性やセキュリティ、人による確認体制、導入・運用コストに注意が必要です。

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会計・税務業務にAIエージェントを活用したい場合は、こうしたサービスの利用も選択肢のひとつです。

よくある質問

AIエージェントとは何ですか?

AIエージェントとは、ユーザーやシステムに代わって、設定された目的に沿って作業を進めるシステムのことです。

単に質問に回答するだけでなく、必要な情報を集めたり、複数の手順を組み立てたり、外部ツールと連携して処理を進めたりできます。

詳しくは、記事内「AIエージェントとは」をご覧ください。

生成AIとAIエージェントの違いは何ですか?

生成AIは、文章・画像・要約・翻訳などのコンテンツを生成するAI技術を指すことが一般的です。一方、AIエージェントは、生成AIなどを活用しながら、目的を達成するために必要な作業を進める仕組みです。

たとえば、生成AIが「文章を作る」ことを得意とするのに対し、AIエージェントは「情報を集める」「内容を整理する」「次の作業を判断する」といった複数の工程を支援できます。

詳しくは、記事内「AIエージェントと生成AI・チャットボット・RPAの違い」をご覧ください。

中小企業でもAIエージェントを導入できますか?

中小企業でもAIエージェントを導入することは可能です。特に、問い合わせ対応やデータ入力、スケジュール管理、社内情報の検索など、定型的な作業や時間のかかる業務では活用しやすい傾向にあります。

ただし、最初から広い範囲に導入すると、運用ルールの整備や確認作業に負担がかかる場合があります。まずは効果を確認しやすい業務を選び、小さく試すことが有効です。

詳しくは「AIエージェントを導入する際の注意点」をご覧ください。

AIエージェントは経理・会計業務にも活用できますか?

AIエージェントは、経理・会計業務にも活用できる可能性があります。たとえば、以下のような業務に役立つ場合があります。

  • 請求書や領収書の確認
  • 仕訳候補の整理
  • 支払期限の通知
  • 経費精算のチェック
  • 会計データの確認

など

経理・会計業務は、正確性が求められる一方で、定型的な確認や入力作業も多いため、AIエージェントとの相性がよい領域のひとつです。

詳しくは「AIエージェントの主な特徴」をご覧ください。

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