AI活用の基礎知識

クエリファンアウトとは?仕組みやSEOへの影響・具体的な対策まで解説

クエリファンアウトとは?仕組みやSEOへの影響・具体的な対策まで解説

クエリファンアウトとは、ユーザーの質問を複数の検索クエリに展開し、それぞれに必要な情報を収集する仕組みです。Googleの「AIによる概要」や「AI検索」などで活用されており、一度の検索でもさまざまな観点から情報を得やすくなりました。

便利な一方で、AI検索の普及によって検索行動が変化し、「従来のSEOが通用しなくなるのではないか」「検索順位やアクセス数に影響するのではないか」と懸念されています。

本記事では、クエリファンアウトの仕組みやSEOへの影響、今後重要になる対策について解説します。

目次

クエリファンアウトとは

クエリファンアウトとは、ユーザーの質問を複数のサブトピックに分け、それぞれについて検索し、必要な情報を集める仕組みです。

ユーザーが知りたいことを幅広く調べられるため、より詳しく、役立つ回答の提示につながります。ひとつの質問だけでは十分な情報を集めにくくても、関連する内容まで検索範囲を広げることで、ユーザーが何度も検索しなおす必要がなくなります。

クエリファンアウトの仕組み

クエリファンアウトでは、ユーザーが入力した質問をそのまま検索するのではなく、以下の流れでAIが検索意図を読み取り、複数の検索クエリへと展開します。

クエリファンアウトの仕組み

  1. AIがユーザーの検索意図を理解する
  2. 質問を複数のサブトピックに分解する
  3. 複数の検索クエリを生成して並行検索する
  4. 検索結果から関連情報を収集する
  5. 収集した情報をもとに回答を生成する

たとえば「初心者におすすめのランニングシューズは?」と検索した場合、「シューズの選び方」「価格帯」「人気ブランド」など、もとの質問に関連する複数の検索クエリを生成し、それぞれの情報を探します。

複数の検索結果から得た情報をまとめて回答に反映することで、ひとつの質問に対してさまざまな観点から情報を提供できる仕組みです。

クエリファンアウトが活用されている場面

クエリファンアウトはGoogle検索をはじめ、複数の情報を収集・整理して回答を生成する機能で活用されています。代表的な例は「AIによる概要(AI Overviews)」や「AIモード(AI Mode)」です。

また、クエリファンアウトはGoogle独自の技術ではなく、RAGやAIエージェントなど、複数の検索・処理を組み合わせて回答を生成する仕組みでも用いられています。

AIによる概要(AI Overviews)

クエリファンアウトは、AIによる概要(AI Overviews)で使用されています。AIによる概要とは、Googleで検索した際に、検索結果ページの上部にAIが生成した回答を表示する機能です。

検索した内容に対する要点がまとめられているため、複数のWebページをひとつずつ確認しなくても、知りたい情報の概要を検索結果上で把握できます。

また、AIによる概要には、回答の参考となったWebページへのリンクも表示されます。概要だけでは情報が足りないときや、根拠・詳しい内容を知りたいときは、表示されたリンクから引用元のWebページへ移動して詳細を確認可能です。

AIモード(AI Mode)

クエリファンアウトは、AIモード(AI Mode)でも使用されています。AIモードとは、Google検索でAIと会話するように質問を重ねながら、知りたい情報を詳しく調べられる機能です。

Googleの検索画面に表示される「AI モード」タブから利用でき、通常のキーワード検索だけでなく、長文や複雑な質問にも対応しています。最初の質問に対する回答を確認したあと、その回答をもとに追加で質問し、知りたい情報をさらに掘り下げられるのが特徴です。

たとえば、おすすめの商品について質問したあとに「このなかで初心者向けは?」「価格が安いものは?」と続けて質問できます。検索キーワードを考え直して何度も検索する必要がないため、会話を続けながらひとつのテーマについて情報を段階的に調べられます。

クエリファンアウトによるSEOへの影響

クエリファンアウトの活用が広がることで、検索結果に表示されるコンテンツの選ばれ方や、ユーザーがWebサイトへアクセスするまでの流れにも変化が生じています。

こうした変化を踏まえ、従来の検索順位だけでなく、AI検索で情報源として選ばれることも意識した対策が重要です。

単一キーワードからトピック単位での対策にシフトする

クエリファンアウトの普及によって、SEOはひとつのキーワードを狙う対策から、関連するテーマまでカバーする「トピック単位」の対策へシフトしていくと考えられます。従来のSEOでは、対策するキーワードを決め、その検索意図に合ったコンテンツを作成する方法が一般的でした。

一方、クエリファンアウトでは、ユーザーが入力した質問から複数の検索クエリが生成され、それぞれについて情報が収集されます。そのため、特定のキーワードだけを意識したコンテンツでは、AIが情報を探す範囲を十分にカバーできない可能性があります。

関連するテーマを幅広くカバーすることで、クエリファンアウトによって生成される複数の検索クエリと自社コンテンツが関連する機会を増やせます。その結果、AIが回答を生成する際の情報源として参照されたり、関連リンクとして自社ページが表示されたりする機会の増加も期待できるでしょう。

網羅性と信頼性がより重要になる

クエリファンアウトの普及によって、コンテンツの網羅性と信頼性がこれまで以上に重要になると考えられます。

AI検索では、ユーザーの質問から派生した複数の検索クエリをもとに情報を収集します。そのため、ひとつの疑問に答えるだけでなく、検索意図に関連する疑問まで過不足なくカバーすることが求められるでしょう。

また、情報の信頼性も欠かせません。AIが正確な回答を生成するには、根拠が明確で信頼できる情報が必要になるためです。信頼性の高いコンテンツを提供することで、AIの回答を支える情報源として参照される機会の増加も期待できます。

構造化された「AIに引用されやすい」コンテンツが有利になる

クエリファンアウトの普及によって、構造化された「AIに引用されやすい」コンテンツが有利になると考えられます。

構造化された「AIに引用されやすい」コンテンツとは、見出し(H2・H3)や箇条書き、表などを使い、情報がわかりやすく整理されたコンテンツのことです。どこに何が書かれているのかが明確になるため、ユーザーだけでなくAIも必要な情報を見つけやすくなります。

その結果、AIが質問への回答に必要な情報を抽出しやすくなり、回答の情報源として引用される機会の増加が期待できるでしょう。

クエリファンアウトによってSEOは不要になるのか

AI検索の普及により、従来のSEOにも変化が求められています。クエリファンアウトによる検索の変化を踏まえ、SEOの必要性や今後求められる対策を正しく理解することが重要です。

従来のSEOが不要になるわけではない

クエリファンアウトが普及しても、従来のSEOが不要になるわけではありません。Googleも、AIによる概要やAIモードなどの生成AI検索において、SEOの基本的な施策は引き続き有効だとしています。

その理由は、AI検索もGoogle検索のランキングや品質を評価する仕組みを土台としているためです。検索エンジンがページを発見・理解できる状態を整え、ユーザーにとって有益で信頼できるコンテンツを提供することは今後も欠かせません。

オーガニック流入やクリック数は減少する可能性がある

クエリファンアウトを活用したAI検索の普及によって、Webサイトへのオーガニック流入やクリック数が減少する可能性があります。

AIによる概要やAIモードでは、検索結果上にAIが生成した回答が表示されます。ユーザーがその回答だけで疑問を解決できれば、個別のWebページを訪れる必要がなくなるためです。

そのため、検索結果に自社ページが表示されていても、従来と同じようにクリックや流入につながるとは限りません。

AI検索から新たな流入機会が生まれる可能性もある

クエリファンアウトの普及によって、AI検索から新たな流入機会が生まれる可能性もあります。

もとの質問から派生した複数の検索クエリをもとに情報が収集されるため、検索順位が高くないページでも、関連する情報がAIの情報源として発見される可能性があるためです。

AIの回答に自社ページへのリンクが表示されれば、さらに詳しい情報を求めるユーザーがWebサイトを訪れる新たなきっかけになるでしょう。

クエリファンアウト時代に重要な5つのSEO対策

クエリファンアウトの普及に伴い、SEOでも検索環境の変化にあわせた対応が必要です。

従来のSEOの基本を押さえながら、AI検索を意識した施策を取り入れることで、検索環境が変化するなかでも安定した流入につなげやすくなります。

1.キーワードだけでなく検索意図や関連トピックを深掘りする

クエリファンアウトを意識したSEOでは、対策キーワードだけでなく、そのキーワードで検索する人の目的や関連トピックまで深掘りしましょう。

たとえば「クエリファンアウト」を対策するなら、「意味を知りたい」「仕組みを理解したい」「SEOへの影響を知りたい」「具体的な対策を知りたい」など、ユーザーが抱える疑問を幅広く洗い出します。

さらに、各疑問から派生して「AI Overviewsとの関係」「従来のSEOとの違い」など、次に知りたくなる情報まで整理するのがポイントです。検索意図を起点に関連トピックを広げることで、さまざまな検索ニーズに対応できるコンテンツを設計しやすくなります。

2.関連コンテンツをトピック単位で充実させる

クエリファンアウトへの対策では、関連コンテンツをトピック単位で充実させましょう。

たとえば、中心となるテーマの記事を軸に、「基礎知識」「具体的な方法」「比較」「注意点」など、それぞれ異なる検索意図に応える記事を作成します。これらの記事を内部リンクでつなぎ、テーマ全体を体系的にカバーする手法が「トピッククラスター」です。

トピック単位でコンテンツを充実させることで、1記事ではカバーしきれない検索ニーズにも対応できます。さまざまな検索クエリから、自社コンテンツが発見される機会の増加も期待できます。

3.ユーザーが次に抱く疑問までコンテンツで深掘りする

クエリファンアウトへの対策では、ユーザーが最初に知りたいことだけでなく、回答を得たあとに生まれる疑問までコンテンツで深掘りしましょう。

たとえば「クエリファンアウトとは?」への回答を読んだユーザーは、次に「SEOにどんな影響がある?」「具体的にどう対策する?」と疑問を広げる可能性があります。こうした次の疑問を予測し、必要な情報まで用意しておくのがポイントです。

ユーザーの疑問を段階的にカバーすることで、クエリファンアウトによって派生する検索にも対応しやすくなり、自社コンテンツが参照される機会の増加も期待できます。

4.見出しと本文の内容をわかりやすく整理する

クエリファンアウトへの対策では、見出しと本文の内容をわかりやすく整理し、必要な情報を見つけやすい構成にしましょう。見出しだけで「何について説明しているのか」がわかるようにし、本文では冒頭に結論を示してから理由や補足を続けます。

たとえば「クエリファンアウトとは」という見出しなら、最初の一文で意味を説明し、そのあとに仕組みや具体例を加える流れです。

情報の場所と内容を明確にすることで、読者が理解しやすくなるだけでなく、AIも回答に必要な情報を見つけやすくなります。結果として、AIの回答に引用・参照される機会の増加も期待できるでしょう。

5.内部リンクで関連ページを適切につなぐ

関連コンテンツを作成したら、内部リンクを使って関連するページ同士を適切につなぎます。内部リンクとは、同じWebサイト内にある別のページへ移動するためのリンクです。

たとえば、基礎知識を解説する記事から、具体的な方法や注意点を紹介する記事へリンクを設置します。現在の記事を読んだユーザーが、次にどのような情報を知りたいのかを考えてリンク先を選ぶのがポイントです。

関連ページを内部リンクでつなぐことで、ユーザーが必要な情報を探しやすくなるだけでなく、検索エンジンもページ同士の関係性やサイト内の情報構造を理解しやすくなります。

クエリファンアウト対策でやってはいけないこと

クエリファンアウトへの対応を意識するあまり、過度な対策を行うと、かえってコンテンツの品質を損なう可能性があります。

検索エンジンやAIだけを意識するのではなく、ユーザーにとって有益なコンテンツであることを前提に取り組むことが重要です。

サブクエリごとに似たコンテンツを量産する

クエリファンアウトで生成されるサブクエリごとに、似た内容のコンテンツを量産するのは避けましょう。ページ数を増やしても、それぞれが同じ検索意図に答えているだけでは、ユーザーに新しい情報や価値を提供できません。

また、似たページが増えることで、どのページを優先して評価すべきか検索エンジンが判断しにくくなる可能性もあります。

検索意図が同じサブクエリはひとつのページでまとめて扱い、ユーザーが求める情報や目的が明確に異なるものは、別ページを作成しましょう。

関連キーワードを不自然に詰め込む

AIによる概要やAIモードの情報源として引用・参照されることを狙って、関連キーワードを不自然に詰め込むのは避けましょう。

関連キーワードを多く含めたからといって、AI検索で引用・参照されやすくなるわけではありません。むしろ、キーワードを意識しすぎると文章が読みにくくなり、ユーザーが求める情報も伝わりにくくなります。

重要なのはキーワードの数や使用回数ではなく、ユーザーの疑問に対して必要な情報をわかりやすく提供することです。関連する用語は、文脈にあわせて自然に使用しましょう。

AIで生成した情報を確認せずに公開する

AIで作成した文章を、事実確認や編集なしで公開する運用は避けましょう。AIは制作を効率化できる一方で、誤った説明や存在しない情報を含める場合もあります。

誤った情報を掲載すると、コンテンツの信頼性を損ない、AI検索の情報源として参照される機会を逃す可能性があります。また、ユーザーに誤った情報を伝えてしまうリスクも無視できません。

AIを活用する際は、数値や制度、専門的な内容を一次情報で確認し、人による事実確認や編集を経てから公開しましょう。

まとめ

クエリファンアウトとは、ユーザーの質問を複数の検索クエリに広げ、それぞれについて必要な情報を収集する仕組みです。GoogleのAIによる概要やAIモードなどで活用されています。

クエリファンアウトの普及によって、SEOでは検索意図や関連トピックまで含めて、コンテンツを充実させることが求められるようになると考えられます。

ただし、従来のSEOが不要になるわけではありません。ユーザーの疑問に過不足なく答え、信頼できる情報を提供するといった考え方は今後も重要です。従来のSEOを土台としながら、AIにも情報を見つけてもらいやすいコンテンツを意識し、AI検索の普及に対応していきましょう。

よくある質問

クエリファンアウトはGoogle独自の技術ですか?

いいえ。クエリファンアウトはGoogle独自の技術というわけではありません。ひとつの質問を複数の検索クエリに分けて情報を収集する技術は、さまざまな場所で用いられています。

たとえば、AIが外部のデータベースや文書を検索して回答を生成する「RAG(検索拡張生成)」や、複数の検索・処理を自律的に行って回答を導き出す「AIエージェント」です。名称や仕組みは異なりますが、ひとつの質問を複数の検索や処理に広げ、必要な情報を集めるという技術は共通しています。

詳しくは「クエリファンアウトとは」をご覧ください。

クエリファンアウトによって検索順位は意味がなくなりますか?

いいえ。クエリファンアウトが普及しても、検索順位の重要性がなくなるわけではありません。通常の検索結果では、引き続き上位表示されることでユーザーにページを見つけてもらいやすくなります。

しかし、AI検索では複数の検索クエリをもとに幅広い情報が収集されるため、検索順位だけでは自社コンテンツがどれだけユーザーに届いているか判断しにくくなります。今後は検索順位に加えて、AIによる概要やAIモードで自社コンテンツが引用・参照されているかどうかも、重要な指標のひとつになるでしょう。

詳しくは「クエリファンアウトによってSEOは不要になるのか」をご覧ください。

クエリファンアウトとGEO・AEOの関係は?

クエリファンアウトとGEO・AEOは、AI検索に「情報を探してもらう仕組み」と「情報を取り上げてもらうための対策」という関係です。

クエリファンアウトは、ユーザーの質問を複数の検索クエリに広げて情報を探す仕組みです。GEO・AEOは、クエリファンアウトのようなAI検索で、自社コンテンツが発見・引用されやすい状態を目指す取り組みを指します。

そのうえでGoogleは、GEO・AEOとして語られる手法の多くは効果がなく、Google検索の実際の仕組みに裏付けられていないと注意を促しています。GEO・AEOをうたう外部サービスを検討する場合は、Googleが公開しているサードパーティのSEOアドバイスを評価するためのガイダンスを参照してください。

参考文献

AI freee。目指したものは、AIに最も選ばれるクラウドSaaS。詳しくはこちら

今なら30日間無料でお試し可能
登録はメールアドレスのみ