DeepSeekとは、中国のAI企業が開発・提供する生成AIです。Web版とアプリ版は無料で利用できます。また自社システムに組み込めるAPIや、利用者が自分の環境で動かせる学習済みモデルも提供されています。
高い性能をもつとして注目されていますが、入力データは中国国内のサーバーに保存されるため、安全性や学習利用の条件を確認したうえで利用する必要があります。
本記事では、DeepSeekの特長や料金、使い方に加え、安全性が懸念される理由やChatGPT・Geminiとの違いを解説します。
目次
- DeepSeekとは中国発のAI
- DeepSeekが注目されている理由
- DeepSeekの特長
- 低コストで高性能なAIモデルを利用できる
- 推論・コーディングなどの性能が高い
- ローカル利用やカスタマイズができる
- DeepSeekとChatGPT・Geminiの違い
- DeepSeekの料金
- Web版とアプリ版は無料で使える
- APIは使ったトークン量に応じて課金される
- APIの単価は時間帯によって変わる
- DeepSeekの安全性が懸念される理由
- 入力したデータが中国国内のサーバーに保存される
- 保存されたデータには中国の法令が適用される
- 入力内容がモデルの改善に使われることがある
- DeepSeekの使い方
- Web版・アプリ版はアカウントを登録して利用する
- APIはAPIキーを取得して自社システムに組み込む
- ローカル実行は公開モデルを自分の環境で動かす
- DeepSeekは利用方法によって情報管理上のリスクが異なる
- Web版とアプリ版は入力内容が提供元のサーバーで管理される
- API版も入力内容が提供元へ送信されるため取扱条件を確認する
- ローカル実行では提供元への送信を避けられる
- まとめ
- よくある質問
DeepSeekとは中国発のAI
DeepSeekとは、中国のAI企業が提供する生成AIです。文章作成や要約、翻訳、コード作成などをチャット形式で依頼できます。
開発・提供元は杭州深度求索人工智能基础技术研究有限公司です。利用規約では、北京の関連会社などもサービス提供者として定められています。
主な利用方法は次の4つです。
主な利用方法
- ブラウザから使うWeb版
- スマートフォン向けのアプリ版(iOS・Android)
- 自社システムへ組み込むAPI
- 公開されたモデルを自分の環境で動かすローカル実行
同じDeepSeekでも、利用方法によって料金や入力データの扱いは異なります。
2026年9月時点の主なモデルは、DeepSeek-V4-ProとDeepSeek-V4-Flashです。旧API名のdeepseek-chatとdeepseek-reasonerは2026年7月24日に提供を終了しました。
DeepSeekが注目されている理由
DeepSeekが注目されている理由は、API料金を抑えやすいことと学習済みモデルが公開されていることです。
APIの料金は、他の主要な生成AIと比べて安く利用できる場合があります。ただし料金は利用するモデルや時間帯などによって変わります。
またDeepSeekは学習済みモデルを公開しているのも特長です。公開されたモデルを自社の環境に導入できるため、DeepSeekのAPIを使わず自社環境で運用する方法も選べます。
DeepSeekの特長
DeepSeekには、計算量を抑えるモデル設計や推論・コーディング性能、公開モデルを自分の環境で扱えることなどの特長があります。
主な特長は次の3つです。
DeepSeekの特長
- 低コストで高性能なAIモデルを利用できる
- 推論・コーディングなどの性能が高い
- ローカル利用やカスタマイズができる
低コストで高性能なAIモデルを利用できる
DeepSeekは、高性能なAIモデルを比較的低コストで利用できる点が特長です。
DeepSeekのモデルはすべての部分を毎回動かすのではなく、処理に必要な部分だけを動かす仕組みを採用しています。複数の専門家のなかから、質問の内容にあった専門家だけに対応してもらうようなイメージです。
DeepSeekは、必要な部分に処理を絞ることで大規模なAIモデルでも1回の処理に使う計算量を抑えられるよう設計されています。
推論・コーディングなどの性能が高い
DeepSeekは、複雑な処理を必要とする高度なタスクに強みをもつAIです。推論やソフトウェア開発に関する性能評価でも高い結果が示されています。
たとえば、次のような用途に活用できます。
- 複数の条件を整理しながら回答を組み立てる
- 指示に沿ってコードを作成する
- 既存のコードから不具合を見つけて修正する
一方ですべての評価で他社のAIを上回っているわけではありません。実際に利用する際は、自分の業務で使う質問やコードを入力し、求める水準の回答が得られるか確認することが大切です。
ローカル利用やカスタマイズができる
DeepSeekは、利用環境を自社で選べる自由度の高さが特長です。学習済みモデルが公開されているため、DeepSeekのAPIだけでなく、自社のサーバーなどに導入して利用する方法も選べます。
たとえば、次のような使い方が可能です。
- 自社のシステムに組み込む
- 特定の業務に合わせてモデルを調整する
- 外部へデータを送信しない構成で運用する
自社の目的や情報管理の方針に合わせて利用方法を設計しやすい点が、DeepSeekのメリットです。
DeepSeekとChatGPT・Geminiの違い
DeepSeek・ChatGPT・Geminiはいずれも幅広い用途に利用できますが、それぞれ強みが異なります。DeepSeekは推論やコーディング、ChatGPTは幅広い機能を活用したさまざまな作業、GeminiはGoogleのサービスと連携した作業に強みがあります。
主な違いは以下のとおりです。
| DeepSeek | ChatGPT | Gemini | |
|---|---|---|---|
| 主な強み | 推論・コーディング・コスト効率 | 汎用性が高く、利用できる機能が幅広い | Googleサービスとの連携 |
| 特徴的な使い方 | 公開モデルを自社環境に導入できる | 文章作成・画像生成・データ分析など幅広い作業に対応 | Google検索やGoogle Workspaceと組み合わせて利用できる |
| 学習済みモデル | 公開 | 非公開 | 非公開 |
どのAIを選ぶかは、重視するポイントによって異なります。推論やコーディング、コスト効率を重視するならDeepSeek、幅広い用途で使いたいならChatGPT、Googleサービスとの連携を重視するならGeminiがおすすめです。
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DeepSeekの料金
DeepSeekの料金は、利用方法によって無料と従量課金に分かれます。ここでは、DeepSeekの料金について以下の観点から解説します。
DeepSeekの料金にまつわるポイント
- Web版とアプリ版は無料で使える
- APIは使ったトークン量に応じて課金される
- APIの単価は時間帯によって変わる
Web版とアプリ版は無料で使える
DeepSeekのWeb版とアプリ版は無料で利用できます。
Web版は公式サイトから利用でき、アプリ版もApp Storeにアプリ内課金の記載はありません。DeepSeekを試してみたい場合は、費用をかけずに使用感を確認できます。
無料で使える生成AIを比較したい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。
APIは使ったトークン量に応じて課金される
APIでは、入力と出力で消費したトークンの量に応じて課金されます。トークンとはAIが文章を処理するときの単位です。
入力料金は、過去に処理した内容を再利用するキャッシュが適用されたかどうかによっても変わります。同じ前置きや指示を繰り返し送る場合は、キャッシュが適用されることで料金を抑えられる場合があります。
2026年9月時点の料金は次のとおりです。いずれも100万トークンあたりの料金です。
| モデル | 入力 (キャッシュ利用あり) | 入力(通常) | 出力 |
|---|---|---|---|
| deepseek-v4-flash (オフピーク) | 0.007ドル | 0.22ドル | 0.66ドル |
| deepseek-v4-flash (ピーク) | 0.014ドル | 0.44ドル | 1.32ドル |
| deepseek-v4-pro (オフピーク) | 0.022ドル | 0.66ドル | 1.98ドル |
| deepseek-v4-pro (ピーク) | 0.044ドル | 1.32ドル | 3.96ドル |
実際の費用は、利用するモデルや入力・出力量、キャッシュの利用状況によって変わります。
APIの単価は時間帯によって変わる
DeepSeekのAPI料金は、ピークとオフピークで異なります。オフピークはピーク時の半額です。
ピークにあたるのは、月曜から金曜のUTC 1時から4時とUTC 6時から10時です。日本時間では、平日の10時から13時と15時から19時にあたります。そのほかの平日の時間帯と土日はオフピークです。
実行する時間を自由に選べる処理であればオフピークに寄せることでAPI料金を抑えられます。
料金は改定される場合があるため、導入時には公式の料金ページで最新の単価を確認してください。
DeepSeekの安全性が懸念される理由
DeepSeekの安全性を考えるうえでは、入力データの保存先や適用される法令、モデル改善への利用条件を確認する必要があります。
主な論点は次の3つです。
DeepSeekの安全性が懸念される理由
- 入力したデータが中国国内のサーバーに保存される
- 保存されたデータには中国の法令が適用される
- 入力内容がモデルの改善に使われることがある
入力したデータが中国国内のサーバーに保存される
DeepSeekのプライバシーポリシーでは、収集した情報を中華人民共和国にあるサーバーへ保存すると明記されています。
保存される対象は以下のとおりです。
- 入力した文章やプロンプト
- アップロードしたファイル
- アカウント情報や端末情報
日本の個人情報保護委員会も2025年2月3日、DeepSeekが取得した個人情報を含むデータが中華人民共和国のサーバーへ保存されることについて情報提供を行っています。
業務で利用する場合は、入力内容が国外のサーバーへ送られることを前提に、扱ってよい情報を決める必要があります。
出典:個人情報保護委員会「DeepSeekに関する情報提供」保存されたデータには中国の法令が適用される
DeepSeekに保存されたデータの取り扱いには、中華人民共和国の法令が適用されます。利用規約でも、規約の成立や解釈、紛争解決には中華人民共和国大陸の法令を適用すると定められています。
これは中国政府が保存データを自由に閲覧できるという意味ではありません。ただし、日本国内のサービスと同じ法制度だけを前提にすることはできない点に注意が必要です。
日本の政府機関からも、DeepSeekなどの生成AIを業務で使う際には、こうしたリスクを認識したうえで利用を判断するよう注意喚起が出されています。
出典:デジタル庁「DeepSeek等の生成AIの業務利用に関する注意喚起」入力内容がモデルの改善に使われることがある
DeepSeekのプライバシーポリシーでは、収集した情報の利用目的として、サービスの改善や機械学習モデル・アルゴリズムの訓練が挙げられています。
一方利用者には、モデルの訓練や技術の最適化を目的とした個人データの利用を拒否する権利があります。拒否する場合はDeepSeekの問い合わせ窓口への連絡が必要です。
API向けの開放プラットフォーム利用規約には、入力内容を学習に利用しないという明確な記載は確認できません。学習利用の有無が導入条件になる場合は契約前に提供元へ確認しましょう。
DeepSeekにおけるデータの扱いを踏まえ、業務で利用する際は個人情報や社外秘などの機密情報を入力しないことが重要です。
DeepSeekの使い方
DeepSeekは使う目的にあわせて利用方法を選べます。気軽に試す場合と、自社システムに組み込む場合、自社の環境内で運用する場合では、適した使い方が異なります。
主な利用方法は次の3つです。
DeepSeekの使い方
- Web版・アプリ版はアカウントを登録して利用する
- APIはAPIキーを取得して自社システムに組み込む
- ローカル実行は公開モデルを自分の環境で動かす
Web版・アプリ版はアカウントを登録して利用する
Web版・アプリ版は、アカウントを登録すればすぐに利用できます。Web版の利用方法はDeepSeekの公式サイトからチャット画面へ進み、日本語で質問や指示を入力するだけです。
アプリ版は、App StoreやGoogle Playから入手できます。似た名前の非公式アプリもあるため、インストールする際は配信元が「杭州深度求索人工智能基础技术研究有限公司」と表示されていることを確認しておきましょう。
業務で利用する場合は、入力内容が提供元のサーバーで管理されることを踏まえ、個人情報や社外秘などの機密情報を入力しないことが重要です。
APIはAPIキーを取得して自社システムに組み込む
APIを利用する場合は、DeepSeekの開放プラットフォームでAPIキーを発行し、自社のプログラムに設定します。接続先はapi.deepseek.comです。
DeepSeekのAPIは、OpenAIやAnthropicのAPIと互換性のある形式を採用しています。そのためすでに他社のAPIを使っている場合は、接続先やモデル名を変更するだけで利用できる場合があります。
APIキーは、サービスへ接続するための重要な認証情報です。ソースコードに直接書き込まず、環境変数などを使って外部から見えないように管理しましょう。
APIを利用する場合も、入力内容はDeepSeekへ送信されます。業務で利用する際は個人情報や社外秘などの機密情報を送信しないようにしましょう。
出典:DeepSeek「Your First API Call」ローカル実行は公開モデルを自分の環境で動かす
ローカル実行は、Hugging Faceで公開されている学習済みモデルを自分のサーバーやパソコンに導入して使う方法です。外部と通信しない構成にすれば、入力内容をDeepSeekのサーバーに送信せず処理できます。
ただし現行の主力モデルは規模が大きく、一般的なパソコンで動かすのは現実的ではありません。手元の端末で試す場合は、DeepSeek-R1-Distill-Qwenなどの小型モデルが候補になります。
小型モデルは主力モデルとは構成や性能が異なるため、同じ出力品質を期待できるわけではありません。またローカル実行では、サーバーやアクセス権限、操作ログなどの管理も自社で行います。外部へのデータ送信を避けられる一方で、運用やセキュリティ管理まで含めた体制を整えることが重要です。
出典:DeepSeek「deepseek-ai on Hugging Face」まとめ
DeepSeekは、中国のAI企業が提供する生成AIです。Web版とアプリ版は無料で利用でき、APIは従量課金です。また公開モデルを自社環境で動かすこともできます。
業務で使う際は、入力データの扱いに注意が必要です。Web版・アプリ版とAPIでは入力内容がDeepSeekへ送信され、中国国内のサーバーで管理されます。また入力内容がモデルの改善に使われる場合があります。一方ローカル実行では外部への送信を避けられますが、サーバーやアクセス権限などは自社での管理が必要です。
DeepSeekを利用する際は料金や性能だけでなく、扱う情報と利用方法をあわせて検討することが大切です。
よくある質問
DeepSeekは無料で使えますか?
DeepSeekのWeb版とアプリ版は無料で利用できます。App Storeに掲載されているアプリにも、アプリ内課金の記載はありません。
一方、APIは使ったトークン量に応じて料金が発生します。単価はモデルや時間帯によって異なり、DeepSeek-V4-Flashの出力料金はオフピーク時で100万トークンあたり0.66ドルです。
詳しくは、記事内『DeepSeekの料金』をご覧ください。
DeepSeekは危険ですか?
DeepSeekを利用したからといって、かならず情報が漏れるわけではありません。ただし、入力したデータは中国国内のサーバーに保存され、中国の法令が適用されます。
業務で利用する際はDeepSeek側のデータの扱い方を踏まえ、個人情報や社外秘などの機密情報を入力せず、社外へ出しても問題のない情報に用途を限定しましょう。
日本の政府機関でも、DeepSeekなどの生成AIを業務で使う際はリスクを認識したうえで判断するよう注意喚起が出されています。
詳しくは、記事内『DeepSeekの安全性が懸念される理由』をご覧ください。
参考文献
- DeepSeek「DeepSeek利用規約」
- DeepSeek「Change Log」
- DeepSeek「Models & Pricing」
- DeepSeek「DeepSeek-V4-Flash-DSpark」
- DeepSeek「DeepSeek-V4-Pro-0813」
- DeepSeek「DeepSeek-V4-Flash-Vision-Exp」
- DeepSeek「DeepSeek-R1-Distill-Qwen-7B」
- DeepSeek「Context Caching」
- DeepSeek「Token & Token Usage」
- DeepSeek「DeepSeekプライバシーポリシー」
- DeepSeek「DeepSeek Open Platform Terms of Service」
- OpenAI「Pricing」
- Google「Gemini Developer API Pricing」
- Google「Google 利用規約」
- Apple「DeepSeek - AI アシスタント」
