海外取引や資料翻訳が多い企業・個人事業主にとって、翻訳作業は本来業務を圧迫しやすい課題のひとつです。専任の翻訳担当を置けない中小企業では特にその負担が大きくなります。
AI翻訳サービス「DeepL」は、自然な翻訳表現とビジネス向けの機能を備え、多くの企業や個人に活用されています。
本記事では、DeepLの基本機能や無料版と有料版の違い・業務活用の具体例・注意点を解説します。
目次
- DeepLとは
- DeepLとGoogle翻訳との違い
- DeepLの主な機能・特徴
- 高精度な翻訳ができる
- ドキュメントの翻訳ができる
- 文章のトーン調整や言い換えができる
- API連携で翻訳を業務フローへ組み込める
- DeepL無料版と有料版の違い
- DeepLの活用で業務効率化できる具体例
- 海外取引先との経理・請求業務の効率化
- 商品説明資料・会社案内の翻訳の内製化
- インバウンド問い合わせ対応の迅速化
- DeepLを業務で活用する際の注意点
- 無料版では入力テキストの取り扱いに注意する
- 翻訳リスクを考慮してチェック体制を整える
- API連携時は情報セキュリティポリシーと整合させる
- 【2026年調査】AI活用は企業を見る新たな指標に
- まとめ
- よくある質問
DeepLとは
DeepLとは、AI技術を活用して文章を翻訳できるAI翻訳サービスです。ドイツの企業が提供しており、英語や日本語を含む30以上の言語(2026年4月時点)に対応しています。
テキストの翻訳だけでなく、WordやPDFなどのファイルを翻訳したり、文章のトーンを調整したりする機能も備えています。また、無料プランから法人向けの有料プランまであるため、用途に応じて選択可能です。
DeepLは入力した文章を自然な表現で翻訳できるため、取引先へのメール文の翻訳や契約書の確認、海外向け資料の作成など、ビジネスの現場で幅広く活用されています。
個人での利用はもちろん、チームや企業単位での導入事例も増えており、業務の翻訳コストや時間を削減する手段といえます。
DeepLとGoogle翻訳との違い
DeepLとGoogle翻訳はどちらも無料で使えるAI翻訳ツールですが、得意とする領域や機能の方向性が異なります。大きな違いは下表のとおりです。
| DeepL | Google翻訳 | |
|---|---|---|
| 対応言語数 ※2026年4月時点 | 約30言語 (主要言語がメイン) | 240言語以上 (マイナー言語にも対応) |
| 翻訳の特徴 | 文脈を踏まえた自然な翻訳が得意 | スピード重視で幅広い言語に対応 |
| ファイル翻訳 | Word/PowerPoint/PDFなどを翻訳可能 | PDF/Wordなど一部対応 |
出典:DeepL「Drag-and-drop translation for all document and file types」
出典:Google「Turning AI’s Opportunity into Reality for Africa」
出典:Googleヘルプ翻訳「Translate documents & websites」
Google翻訳は対応言語が多く、旅行や日常会話など幅広い場面で利用可能です。一方、DeepLは、文章の文脈を踏まえた自然な翻訳に強みがあります。ビジネスメールや資料翻訳など、文章のニュアンスが重要な場面ではDeepLが使われることもあります。
どちらも特徴が異なるため、業務効率なのか日常使いなのかといった目的に応じて使い分けが必要です。
DeepLの主な機能・特徴
DeepLには、ビジネスの現場で役立つさまざまな機能があります。主な特徴は以下のとおりです。
DeepLの主な機能・特徴
高精度な翻訳ができる
DeepLの特徴は、自然で読みやすい翻訳ができる点です。AIが文章の文脈を分析しながら翻訳を行うため、単語ごとの直訳ではなく意味を踏まえた表現に変換されます。
日本語のビジネスメールを英語に翻訳する場合でも、丁寧なトーンで相手に伝わりやすい自然な文章に整えられます。また、別の翻訳表現候補の提示もあり、より適切な言い回しを選びやすいことも特徴です。
翻訳後の修正作業が減らせ、外国語のメール作成や資料翻訳などの作業時間の短縮につながります。
ドキュメントの翻訳ができる
DeepLではテキスト入力だけでなく、Word・PowerPoint・PDFなどのドキュメントファイルを直接翻訳できます。
ファイルをアップロードすると文章が自動で翻訳され、レイアウトを保ったまま翻訳済みのファイルをダウンロードできます。文章をコピーして翻訳ツールに貼り付ける必要がないため、作業の手間も減らせて効率的です。
無料版ではアップロードできるファイルの容量や文字数、回数などに制限がありますが、有料版(DeepL Pro)では制限が緩和されます。
出典:DeepL ヘルプセンター「何かお手伝いできることはありますか?」
文章のトーン調整や言い換えができる
DeepLには、翻訳だけでなく文章表現を整える文章改善機能「DeepL Write」を備えています。文章を入力すると複数の言い換え候補が表示され、より自然な表現へ調整できます。
また、フォーマルな表現など、文章の語調も調整可能です。翻訳結果をそのまま使うだけでなく、言い換え機能を使って表現を調整することで、相手に伝わりやすい文章に仕上げられる点が特長です。
API連携で翻訳を業務フローへ組み込める
DeepLはAPIを提供しており、翻訳機能を自社のシステムやアプリに組み込めます。
たとえば、受注管理システムに届いた海外からの問い合わせを自動翻訳して担当者に通知する、といった仕組みをつくることも可能です。翻訳ツールを手動で操作する必要がなくなるため、作業時間の削減につながります。
Slackへの投稿フローにDeepLを組み込む活用例や、kintone上の資料・FAQの翻訳にDeepLを使う事例もあります。こうした仕組みを導入することで、翻訳作業にかかる手間を減らしながら、効率的な多言語対応の促進が可能です。
DeepL無料版と有料版の違い
DeepLには無料版と有料版(DeepL Pro)があり、利用できる機能や制限に違いがあります。
| 無料版 | 有料版(DeepL Pro) | |
|---|---|---|
| テキスト翻訳 | 文字数制限あり | プランによっては文字数制限なし |
| ファイル翻訳 | ファイルサイズ・文字数に制限あり | 上限が拡張され、より大きなファイルを翻訳可能(プランによってカスタマイズも可能) |
| 用語集(Glossary=単語登録機能) | 用語数上限あり | プランによって上限無制限 |
| データの扱い | サーバー上に入力テキストが保存される可能性あり | サーバー上に翻訳テキストは保存されない |
| その他 | 広告表示あり | 広告表示なし |
短い文章の翻訳や簡単な確認で利用するのであれば、無料版で十分でしょう。一方、有料版では翻訳できる文字数やファイルサイズの制限が緩和され、より多くの文章の翻訳が可能です。
また、有料版では翻訳データがDeepLのサーバー上、またはDeepLが利用する第三者のサーバー上には保存されない仕様になっており、機密情報を扱う業務では有料版が安心です。
DeepLの活用で業務効率化できる具体例
DeepLは翻訳ツールとしてだけでなく、業務の特定の場面に組み込むことで作業時間の短縮につながります。ここでは、中小企業や個人事業主の業務にも役立つ代表的な活用例を紹介します。
DeepLで効率化できる業務例
海外取引先との経理・請求業務の効率化
海外企業と取引するとき、請求書や支払条件、取引に関するメールを英語で確認する場面が増えます。そのため、内容を理解するために翻訳作業が必要になることも少なくありません。DeepLの活用によって、取引条件や請求内容の確認にかかる時間を大幅に短縮できます。
また、送付する請求書を日本語で作成しDeepLで翻訳すれば、翻訳の外注コストを削減しながら対応スピード向上が可能です。フローを定型化することで、経理担当者は本来の業務に集中しやすくなります。
商品説明資料・会社案内の翻訳の内製化
海外顧客向けに商品説明資料や会社案内を作成する際には、翻訳会社へ依頼するケースも多くあります。簡単な資料であれば、DeepLの活用によって社内で対応できます。翻訳の外注にかかる費用や納期の制約を減らせるため、資料の更新頻度が高い場合には特に効果的です。
ただし、翻訳精度は文章の書き方によって変わります。日本語原稿の段階でなるべく簡潔で明確な表現を心がけることで翻訳後の修正が少なくなります。
インバウンド問い合わせ対応の迅速化
海外からの問い合わせが増えている企業では、外国語対応が必要です。問い合わせ内容の理解・返信までに時間がかかりすぎると、トラブルにつながる可能性も否定できません。
DeepLを使えば、問い合わせ内容を日本語に翻訳してすぐに確認できます。たとえば、ECサイトや宿泊施設では、英語・中国語・韓国語などでの問い合わせに対して翻訳ツールを活用することで、専任のスタッフを置かずに対応できるケースもあります。
問い合わせ対応に外国語のハードルを感じているなら、まずは無料版で試してみるのもひとつの方法です。
DeepLを業務で活用する際の注意点
DeepLは翻訳精度が高く、業務効率の改善に役立つツールですが、使い方を誤ると情報漏えいや誤訳によるトラブルを招く恐れがあります。
導入前には、以下の3点を確認しましょう。
DeepLを業務で活用する際の注意点
無料版では入力テキストの取り扱いに注意する
DeepLの無料版は手軽に利用できますが、業務利用においては注意が必要です。無料版では入力したテキストがサービス改善の目的で利用される可能性があります。無料版を使用するのであれば、契約書の内容や顧客情報など機密性の高い情報の入力は避けましょう。
業務で継続的に利用するなら、翻訳データが保存・使用されない有料版への切替えを検討するのがおすすめです。
翻訳リスクを考慮してチェック体制を整える
DeepLの翻訳精度は高いものの、すべての文章を正確に翻訳できるわけではありません。専門用語や業界固有の表現、文脈に依存した言い回しなどは、翻訳後にニュアンスがずれることがあります。
たとえば、契約書の「解除」と「終了」を意味する英単語は複数あり、文脈によって適切な訳語が変わります。DeepLが選んだ単語がそのまま使われると、法的な解釈に影響が出る可能性があります。翻訳結果をそのまま使うのではなく、英語を扱える担当者が最終確認を行いましょう。
重要な文書ほど確認の手間をかけることで、誤訳によるトラブルを事前に防げます。また、社内でチェックリストを作成し、翻訳後に確認する項目を決めておくと、運用がスムーズです。
API連携時は情報セキュリティポリシーと整合させる
DeepLはAPIの利用によって、翻訳機能を自社システムやアプリに組み込めます。問い合わせフォームや社内ツールに翻訳機能を追加すれば、多言語対応を効率的に進められます。
ただしAPI連携では、翻訳したい文章をDeepLのサーバーに送って処理するため、社外に送信してよい情報かどうかを事前に確認しておくことが重要です。どの情報を翻訳に使用できるかをあらかじめ整理しておくことで、安心して翻訳機能を業務に取り入れられます。
【2026年調査】AI活用は企業を見る新たな指標に
フリー株式会社が新卒入社1~3年目の若手従業員を対象に実施した「AI活用とキャリア観に関する調査」の結果、「『AIを積極的に活用・推奨している企業』への転職」について、25.8%が「非常に魅力を感じる(転職の決め手になる)」と回答しました。
「やや魅力を感じる(検討材料の一つになる)」と答えた層は48.7%で、あわせて75%近くの若手従業員が「AIを積極的に活用・推奨している企業」への転職に魅力を感じていることがわかりました。
また「勤務先のAI活用状況が不十分な場合、転職を検討する理由に入れるか」という質問に対し、「決定的な理由になる」「大きな理由の一つになる」と回答した層は46%。
「少しは影響する」を含めると77.1%にのぼり、企業がAIを積極的に活用していないと、若手従業員が転職を検討する理由になり得るという結果となっています。
「業務でAIを活用しているか」という質問に対しては、「毎日欠かさず活用している」と答えた人が26.4%、「週に数回程度活用している」と答えた人が34.1%となり、6割以上が週に複数回以上AIを活用していることがわかりました。
AI活用は一般化しつつあり、ビジネスにAIをどのように取り入れていくかは企業の競争力に関わる課題でもあるといえるでしょう。
調査結果詳細:freee、若手従業員におけるAI活用とキャリア観に関する調査データを公開
freee×AIで業務効率化を効果的に行う方法
数ある業務のなかでも、バックオフィス業務は請求書処理や勤怠管理など数字や書類を扱うことが多く、煩雑になりやすい傾向があります。
2026年、会計ソフトや人事労務ツールを提供するfreeeはAIエージェントとfreeeを連携できる仕組み「freee-mcp」をOSS(オープンソースソフトウェア)として公開しました。
「freee-mcp」を活用すれば、たとえばチャット上で「請求書を作って」と依頼するだけで、取引先登録から請求書発行まで一連の操作を正確に完了できます。
Claude Desktop・Claude Code・Claude Cowork・Cursorなど主要なAIツールから利用可能なことも特徴の一つです。今後は、対応ツールの拡充や利用可能な機能の拡大など、さらなるアップデートも予定されています。
AI活用を推進し業務効率化やフローの整備を進めたい方は、ぜひfreeeの活用をご検討ください。
まとめ
DeepLは、AIを活用して自然な文章へ翻訳できる翻訳サービスです。テキスト翻訳だけでなく、ドキュメント翻訳や文章表現の調整など、実務で役立つ機能がそろっています。海外とのメール対応や資料作成など、翻訳が必要な業務の効率化に役立ちます。
ただし無料版では機密情報が社外に出る可能性があるため、利用にあたっては契約プランの内容や社内の情報管理ルールの確認が必要です。
海外取引が増えると、請求書の発行や入金管理などの経理業務も複雑になりがちです。翻訳ツールとあわせて、クラウド会計ソフト「freee会計」のようなサービスを活用することで、経理業務の効率化も進めやすくなります。
よくある質問
DeepLは無料で使えますか?
DeepLは、短い文章の翻訳や簡単な内容確認であれば、無料版でも問題なく使えます。ブラウザから公式サイトにアクセスすることで、すぐに利用可能です。
ただし、無料版には翻訳できる文字数やファイルサイズなどの制限もあります。継続的な業務利用や重要な文書の翻訳が必要な場合は、有料版も含めて使い方を検討してみてください。
ChatGPTとDeepLの違いは何ですか?
ChatGPTとDeepLはいずれもAIを活用した翻訳サービスですが、得意とする領域や用途が異なります。
DeepLは文章翻訳に特化したサービスで、入力した文章を自然な表現で翻訳するのが得意です。一方、ChatGPTは文章作成や質問への回答など、幅広い用途に対応したAIです。翻訳も可能ですが、主な用途は文章生成や情報整理です。
それぞれ特徴が異なるため、目的に合わせて適切な方を選びましょう。
