企業が社内のリソースだけで業務をまかなえなかったり、社外のアイデアを取り入れたかったりするときにはクラウドソーシングを利用する方法があります。
うまく活用するためには、その特性をよく理解しておくことが重要です。また、外部とのやりとりが頻繁に行われるため、業務委託管理の仕組みを整えておく必要があります。
本記事では、発注者の視点から見たときのクラウドソーシングが備えるメリット・デメリット、注意点などを解説します。
目次
クラウドソーシングとは
「クラウドソーシング」とは、不特定多数の人たち(クラウド)に業務の全部または一部を業務委託(ソーシング)する方法です。インターネットを通じて応募者を集めるところに特徴があります。
もともとはソフトウェア開発の業界などでクラウドソーシングは行われてきましたが、今では多くの業界で多方面にわたって活用されています。発注者にとっては必要に応じて人材やスキルを確保できるので、無駄なコストを削減できる面があるのです。
クラウドソーシングの種類と発注の流れ
クラウドソーシングは業務の依頼形式として、コンペ・タスク・プロジェクトの3つがあります。それぞれの特徴をまとめました。
依頼形式 | 特徴 | 具体例 |
コンペ | ・多くの応募者が提案してきた中から条件に合ったものを採用できる ・短期間でさまざまなアイデアを集められる | ・ロゴの作成 ・ネーミングの考案 |
タスク | ・不特定多数の中から人材を見つけられる ・作業フォーマット上で業務を完結、契約が不要 | ・アンケート |
プロジェクト | ・特定の受注者に依頼できる ・受注者と金額や納品日等を擦り合わせて契約可能 ・時間単価もしくは固定報酬での支払い | ・Webサイトの製作 ・アプリ開発 |
依頼形式の違いを押さえたうえで、任せたい業務をどの依頼形式で頼むのが良いかを判断しましょう。
クラウドソーシングのメリット
クラウドソーシングにおけるメリットは、コスト削減・専門スキルの外注・柔軟な組織体制の構築があげられます。それぞれのメリットについて見ていきましょう。
コスト削減
社内で必要とする業務をすべて自社の社員でまかなおうとすれば、業務負担が増加する懸念もあります。新たに人を雇えば、毎月の給与のほかにも社会保険料などのコストもかかります。
クラウドソーシングであれば、必要な業務が発生したときに必要な人材を確保できるので、人材に伴うコストをうまく削減できるはずです。業務を遂行するための教育コストも圧縮できます。
専門スキルの外注
専門性が求められる業務に携われる人材が、社内では不足しているケースもあります。また、そもそも社内に特定のスキルを持った人材がいない場合もあるでしょう。
難易度の高いスキルであるほど、必要な人材を確保するのは難しいものです。クラウドソーシングを活用することによって、自社にとって必要なスキルを持った人材を探しやすく、業務遂行にかける時間を短縮できます。
柔軟な組織体制の構築
事業規模が大きくなるほど、必要な人材数は増えていくものです。また、取り扱うプロジェクトが多くなれば、配置転換や指揮命令が煩雑になり、業務効率が落ちてしまう恐れもあります。
クラウドソーシングを活用すれば、不足しているリソースをうまく補えるので、組織の肥大化や煩雑化を防げます。多岐にわたる事業を行っていても、スリムな経営ができるといったメリットがあるのです。
クラウドソーシングのデメリット・注意点
クラウドソーシングには多くのメリットがある一方で、気をつけておくべきポイントもあります。どのような点に注意すべきかを紹介します。
人材の選定が難しい場合も
社外の人材を活用できるクラウドソーシングですが、どの人材に業務を任せるかを決めるのに苦労をしてしまうケースもあります。「スキルが備わっているか」「納期を守る人物か」「コミュニケーションに問題はないか」など、実際に業務に充てて見なければ分からない面もあるものです。
依頼をしたい業務経験がある人材だとスムーズですが、一方で自社の技術やノウハウが外部に流出してしまう不安もあります。人材の選定にかける時間やコストなどが負担になってしまう点を押さえておきましょう。
進捗管理に工数がかかる場合も
業務を任せられる人材が見つかったとしても、受発注管理や進捗管理に手間がかかってしまう場合もあります。社内の人間であれば修正作業などをすぐに行えたとしても、外部の人材を起用するときには社内の管理と同じようにはいかないものです。
業務指示や進捗管理、納品物のチェックなど委託する業務によっては、工数が増えてしまう恐れもあるので注意が必要だといえます。社員が本来の業務に充てる時間を削られてしまい、人材育成を妨げてしまうのもリスクです。
クラウドソーシングで発生する業務
クラウドソーシングを効果的に活用するためには、業務の全体的な流れとプロセスを把握しておくことが大切です。業務委託管理のポイントや業務委託管理システムを導入するときの基準について解説します。
業務委託管理プロセス
クラウドソーシングでは、発注側と受注側のやりとりが多くなるので、全体の流れを理解しておく必要があります。それぞれの立場で必要となるプロセスは、次の通りです。
発注側のプロセス | 受注側のプロセス |
・見積依頼 ・発注書の作成 ・納品チェック ・請求依頼 ・代金の支払い | ・見積書の作成 ・発注書のチェック ・納品 ・請求書の作成 |
スムーズな進捗を実現するためには、業務委託管理が円滑に行われることが重要です。しかし、実務においては「請求書が送られてこない」「修正対応が遅い」「数字に間違いがある」といった問題が発生しがちです。
すべてのプロセスを人の手で管理しようとすれば確認事項も多く、おのずとミスやエラーも増えてきます。業務委託管理に多くの工数を割かなければならない状態だと、本来の業務にも支障が出てしまう恐れもあり、改善が必要なケースもめずらしくありません。
受発注システム
Web上で完結するタイプの受発注システムであれば、受発注業務についての負担を大幅に削減できます。データベースを利用することで、複数人で作業を行ってもミスが起こりづらいといえます。
また、発注書なども最低限の工数で作成でき、時間や手間を減らせるでしょう。受注側から送られてくる見積書や請求書なども同じシステムを使うことで、転記が不要となります。
クラウド型のシステムであれば、情報を一元管理できるので複数の人間がやりとりを行っても、進捗状況を把握しやすいのです。システム内にチャット機能が備わっていれば、受注側とのコミュニケーションも円滑にとれるので、修正依頼などもすぐに指示が行えます。
業務に必要な機能を洗い出したうえで、自社に合った受発注システムを選んでみましょう。
まとめ
クラウドソーシングを活用すれば、自社にないスキルでも外部の人材によって補うことができ、社員を増やす必要がないのでコスト削減にもつながります。必要なときに必要な人材を確保する仕組みであるため、柔軟な組織体制をとることが可能です。一方で、人材選定の難しさや受発注管理の手間などもあるため、外部の人材に業務を任せるときには事前に仕組みを整えておく必要があります。受発注システムの導入などを含めて、クラウドソーシングをうまく活用する仕組みを整えてみましょう。
フリーランス・業務委託先への発注を効率化する方法
フリーランスや業務委託先との取引が多い企業にとって、手間がかかるのが発注業務です。
一口に発注業務といっても、契約や発注、請求など対応すべき作業は多岐にわたり、管理が行き届かないケースがあります。たとえば、法令にもとづく適切な発注ができていなかったり、請求書の提出期日が守られなかったり、請求書の不備で差し戻しが発生したりなどの課題が挙げられるでしょう。
このような課題を抱えている発注担当者におすすめしたいのが、業務委託管理システム「freee業務委託管理」です。
freee業務委託管理を活用すると、フリーランスや業務委託先への発注に関する手続きや取引情報のすべてを一元管理できるようになります。契約締結から発注、業務期間のやり取り、納品、検収、請求、支払いまで、一連の対応をクラウド上で完結できるため、管理コスト削減や業務効率化、取引に関するトラブルのリスク低減などのメリットをもたらします。
また、フリーランスや業務委託先との過去の取引履歴や現在の取引状況の管理も可能です。発注実績や評価を社内共有しやすく、業務委託の活用による従業員のパフォーマンス向上が期待できます。
freee業務委託管理の主な活用メリットは以下のとおりです。
発注に関わる手続きや取引情報を一元管理
クラウド上で契約完了
初めて取引を行うフリーランスや業務委託先と契約を締結する際、freee業務委託管理を使えば、クラウド上でのスムーズなやり取りが可能です。
契約書はそのままクラウド上に保管されるため、契約情報をもとに発注内容を確認したり、契約更新時のアラート通知を受け取ったりすることもできます。
発注対応や業務進捗を可視化
発注書の作成・送付は、フォーマットに業務内容や報酬、納期などを入力するだけで完了します。
また、発注業務をメールや口頭でのやり取りで行っていると、管理上の手間がかかるのはもちろん、発注内容や業務進捗などを把握しづらいこともあるでしょう。freee業務委託管理は発注内容が可視化され、プロジェクトの業務進捗や残予算をリアルタイムに把握するうえでも役立ちます。
正確な請求管理を実現
発注業務でもっとも忘れてはならないのが、請求管理です。報酬の支払い漏れや遅延は企業の信用に関わるため、情報の一元管理によって正しく効率的に行う必要があります。freee業務委託管理ならフリーランスや業務委託先が請求書を発行する際も、ワンクリックで発注書に連動した請求書を作成可能。請求書の回収状況が一覧で確認できるほか、請求処理に関する上長や経理担当者の承認作業もクラウド上で行えます。
支払明細書の発行も可能
確定申告の際に必要な支払明細書(支払調書)も、フリーランスや業務委託先ごとに発行できます。発行した支払明細書(支払調書)はPDFでダウンロードしたり、メールで送付したりすることも可能です。
法令への対策が万全
近年、発注側の企業がフリーランスや業務委託先に対して優越的地位を濫用するリスクを防ぐため、下請法やフリーランス保護新法(2024年11月1日施行予定)にもとづく適切な発注対応が求められています。また、インボイス制度や電子帳簿保存法の要件を満たす書類の発行・保存も不可欠です。
こうした法令に反する対応を意図せず行ってしまった場合も、発注側の企業に罰則が科される可能性があるため、取引の安全性を確保する必要があります。freee業務委託管理なら既存の法令はもちろん、法改正や新たな法令の施行にも自動で対応しているため、安心して取引を行うことができます。
カスタマイズ開発やツール連携で運用しやすく
業務委託管理システムを導入する際は、発注業務の担当者が使いやすい環境を整えることも欠かせません。freee業務委託管理は、ご希望に応じて、オンプレミスとの連携や新たな機能の開発などのカスタマイズも可能です。また、LINE・Slack・Chatwork・freee・CloudSign・Salesforceなど、各種ツールとの連携もできます。
より詳しくサービスについて知りたい方は、無料ダウンロード資料「1分で分かるfreee業務委託管理」をぜひご覧ください。