受発注の基礎知識

下請法に沿った発注書の書き方解説!

公開日:2021/02/12
最終更新日:2022/01/14

下請法に沿った発注書の書き方解説!

下請法に該当する取引を行う場合、発注者側は法律で決められている記載事項を盛り込んだ発注書を受注者に対して発行する必要があります。適切な取引を行うためには、下請法が対象とする取引の種類・発注者の義務を押さえたうえで、発注書に記載すべき項目が何かを理解しておくことが大切です。

本記事では、下請法における禁止行為や発注書の保存期限なども含めて解説します。

目次

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下請法とは

下請法は正式には「下請代金支払遅延等防止法」と呼ばれ、発注する事業者(親事業者)の優越的な地位の濫用を禁じた法律であり、下請けの事業者の保護を目的としています。不当に代金を減額したり、支払いを遅延したりすることを禁止しており、発注者・受注者の双方が公正な取引を行えるように公正取引委員会が監督を行っています。

対象の4つの取引

下請法の適用を受ける取引は、製造委託・修理委託・情報成果物作成委託・役務提供委託の4種類です。下請取引と見なされる範囲は、取引内容と取引当事者の資本金によって以下のように決められています。

取引の種類 親事業者 下請事業者
・物品の製造委託
・修理委託
・情報成果物委託(プログラムの作成のみ)
・役務提供委託(運送・倉庫保管・情報処理)
資本金が3億円を超える法人 資本金が3億円以下の法人もしくは個人事業主
資本金が1,000万円を超えて3億円以下の法人 資本金が1,000万円以下の法人もしくは個人事業主
・情報成果物委託(プログラム作成を除く)
・役務提供委託(運送・倉庫管理・情報処理を除く)
資本金が5,000万円を超える法人 資本金が5,000万円以下の法人もしくは個人事業主
資本金が1,000万円を超えて5,000万円以下の法人 資本金が1,000万円以下の法人もしくは個人事業主

発注者の義務

発注者側の義務は下請法によって、「書面の交付」「支払期日を決める」「書類の作成・保存」「遅延利息の支払い」の4つが定められています。発注者は受注者に対して、口頭ではなく書面で具体的な発注内容を伝える必要があります。

支払期日に関しては、物品や成果物を受領した日から数えて60日以内に設定しなければなりません。また、発注書などの取引記録は2年間の保存義務があります。

そして、発注者側が支払期日までに下請代金を支払わなかった場合には、遅延した日数に応じて年率14.6%の遅延利息を支払うことが定められています。

下請法に沿った発注書とは

公正な取引と認められるためには、下請法に沿った形で発注書を作成しなければなりません。発注書に記載すべき項目や例外的な書面の取り扱いについて解説します。

発注書に必要な記載事項

下請法によって定められた発注書に記載すべき必要事項は、次の12項目です。下請法第3条に基づくため、「3条書面」と呼ばれています。

記載が必要な項目 ポイント
発注者と受注者の名称 社名や氏名。番号や記号の記載もできる。
委託を行った日 発注日を指す。
給付内容 受注者が請け負った委託内容。
給付を受領する期日 物品や成果物を発注者が受け取る日。受注者にとっては納品日。
給付を受領する場所 物品や成果物を受け取る場所。
検査完了の期日 受領したものを検査するときは、検査が完了する日。
下請代金の金額 発注者が支払う代金。算出方法による記載でも可能。
下請代金の支払期日 発注者が受注者に代金を支払う期限。
手形の金額と満期 手形を振り出す場合は、手形の金額(支払比率でも可能)と満期日。
金融機関名・貸付けまたは支払可能額・支払期日 一括で決済を行うときに記載が必要。
電子記録債権の金額・満期日 電磁記録債権(でんさい)は手形や売掛債権が抱える問題を解消した金銭債権のこと。二重譲渡が防げる等。
原材料などを有償で支給する場合、品名・数量・対価・引渡し期日・決済期日・決済方法 発注者が有料で原材料などを提供する場合に記載が必要。

上記の12項目をきちんと盛り込んでおけば、発注書の様式に決まりはありません。発注後にただちに書面を発行しなければ、50万円以下の罰金が科されてしまう恐れもあるので注意が必要です。

共通記載事項

下請取引は継続的に行われることもめずらしくないので、支払方法など取引の基本条件が毎回同じ(共通記載事項)であれば、事前に別の書面で通知しておくことで発注書への記載が省略できます。発注書との関連付けを行うことが必要です。

例外的な書面の交付

発注書に記載する内容で、あらかじめ決められない正当な理由がある場合は、その項目を記載せずに発注書を発行することができます。たとえば、ソフトウェアの最終的な仕様が確定していなくて、正確な委託内容を記載できないケースなどです。

「内容が決められない理由」と「内容を決めることになる予定期日」を発注書に記載しておく必要があります。そして、内容が確定した後に補充書面を発行しなければなりません。

下請法に則った発注をするうえでの注意点

下請法をきちんと守ったうえで発注を行うためには、法律で定められている禁止行為や取引記録の保存期限を理解しておく必要があります。どのようなルールとなっているのかを解説します。

下請法の禁止行為

下請法には、発注者側が行ってはいけない11項目の禁止行為があります。たとえ違法性の認識がなかったり、受注者側の同意を得ていたりしても違反行為となってしまうので気をつけましょう。

【下請法の禁止行為】

■受領拒否

■下請代金の支払遅延

■下請代金の減額

■返品

■買いたたき

■購入・利用強制

■報復措置

■有償支給材料等の対価の早期決済

■割引困難な手形の交付

■不当な経済上の利益の提供要請

■不当な給付内容の変更および不当なやり直し

下請法に違反したときの罰則

下請法によって定められている義務を果たさなかったり、11項目の禁止行為に該当したりする場合には罰則が科されることもあります。民事上の損害賠償責任を負うリスクもあるので充分に注意が必要です。

発注書面の交付義務や書類の作成・保存の義務に違反したときは、罰金として50万円が科される恐れがあります。正当な理由なく立入検査を拒んだり、虚偽の報告を行ったりしたときには、50万円以下の罰金が科されます。

また、11項目の禁止行為違反については、公正取引委員会からの勧告・指導の処分を受ける場合があります。勧告を受けると企業名や違反内容が、公正取引委員会のWebサイトなどで公表されます。

なお、勧告にも従わない悪質なケースでは、独占禁止法に基づく排除措置命令もしくは課徴金納付命令が行われるケースがあるので注意が必要です。

発注書の保存期限

発注者側が発注書を保存しなければならない期間は、下請法第5条によって2年間と定められています。いわゆる5条書類と呼ばれるものであり、給付内容や下請代金の金額など取引記録を示す発注書を作成して保存することは義務です。

気をつけておきたいポイントは、税法上定められた保存期間とは異なる点です。税法では発注書や注文書の保存期限は法人の場合、原則として7年間となっています。

まとめ

事業者間の取引において、発注者・受注者のパワーバランスを適切に保つために下請法が存在しています。下請法に定められた義務や禁止行為をきちんと守り、法律に沿った形で発注書を作成して、保存することが大切です。ただ、取引量が多くなるほど受発注管理業務の負担は大きくなってしまいます。業務負担を軽減し、円滑な取引を行うために受発注サービスの利用を検討してみましょう。

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