契約の基礎知識

信書とは?定義や該当するもの・しないもの、正しい郵送方法をわかりやすく解説

信書とは?定義や該当するもの・しないもの、正しい郵送方法をわかりやすく解説

信書とは、特定の相手に対して意思や事実を伝える文書のことです。もし誤った方法で送ってしまうと郵便法違反となり、懲役や罰金が科せられるリスクがあります。

本記事では、信書の基本的な定義から、信書に該当するもの・しないものの具体的なリスト、そして正しい郵送方法について詳しく解説します。

目次

信書とは

信書とは、特定の相手に対して意思や事実を伝える文書のことです。契約書や請求書、住民票の写しなどの証明書が該当します。

郵便法および総務省のガイドラインでは、以下のように定義されています。

郵便法第四条第二項

特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書


出典:e-Gov法令検索「郵便法第四条第二項」

簡単に言うと、「誰か(特定の人)に向けた手紙や連絡文書」は原則として信書になります。一方で、不特定多数に配るチラシや、文字の書かれていない物品は信書にはなりません。

文書が信書にあたるかどうかは、以下の3つの要素で判断されます。

  • 特定の受取人に充てているか(誰に送るかが決まっているか)
  • 意思の表示や事実の通知が含まれているか(何かを伝えているか)
  • 文書であるか(文字や記号で表現されているか)

なお、顧客や取引先の意思・事実が会社に到達すれば信書の送達は完了となります。

たとえば、最初に受け取った支店などで受付処理を済ませていれば、その時点で信書の送達は完了とみなされます。よって、契約書やその写しを社内の他拠点に送付する場合は、信書の送達には該当しません。

ただし、受け付けた契約書について「本社で承認してほしい」「支払い処理をしてほしい」といった受取側の意思が表示されたものを社内拠点間で移送する場合は、信書の送達に該当します。

信書に該当するもの・しないもの

信書に該当する文書には、以下のものが挙げられます。


分類具体的な文書例
書状類手紙、ハガキ
請求書の類納品書、請求書、見積書、領収書、願書、申込書、契約書
会議招集通知の類結婚式の招待状、会議の開催通知、業務を報告する文書
許可書の類免許証、認定書、表彰状、印鑑証明書、戸籍謄本、住民票の写し
証明書の類健康保険証、履歴書、給与明細書、確定申告書
ダイレクトメール文書自体に受取人が記載されているもの、特定の受取人に差し出す趣旨が明らかなもの

これに対して、信書に該当しない文書は以下のとおりです。


分類具体的な文書例
書籍・新聞・雑誌新聞、雑誌、カレンダー、ポスター、手帳
カタログ・チラシ商品カタログ、店頭配布のチラシ、パンフレット(不特定多数向けのもの)
貨物など小切手、プリペイドカード、クレジットカード、キャッシュカード、会員カード
その他電子記録媒体(CD/DVD/USBメモリ等)
※ただしデータの内容による
配送伝票類貨物に添付する送り状(インボイス)、納入伝票

信書を送る正しい郵送方法

信書は法律により、日本郵便(郵便局)および国が許可した「信書便事業者」しか送達することができません。

日本郵便で信書を送れるサービス

日常的にもっとも利用しやすいのは日本郵便の以下のサービスです。

  • 定形郵便・定形外郵便(いわゆる普通郵便)
  • ハガキ
  • レターパック(プラス/ライト)
  • スマートレター
  • ミニレター(郵便書簡)
  • EMS(国際スピード郵便)

上記のサービスに収まらない厚みのある信書や特殊な形状のものを郵送したい場合は、特定信書便事業者を利用します。

特定信書便事業者一覧は総務省のホームページより確認できます。

なお、信書を郵送する際には、封筒などに「親展」という文字を記載すべきか迷うケースもあるかもしれません。親展とは、一般的に宛名となっている本人に封を切って読んでほしい意味で記載するものです。信書に該当するかは文書の内容次第なので、必ず親展と書く必要はありません。

信書を送ってはいけないサービス

これに対して、以下のサービスは「荷物(貨物)」を送るためのサービスであり、信書を送ることは法律で禁止されています。

  • ゆうパック
  • ゆうパケット
  • クリックポスト
  • ゆうメール
  • クロネコヤマトの宅急便・宅急便コンパクト
  • 佐川急便の飛脚宅配便
  • 各社のメール便

たとえサイズが小さくても、上記のサービスを利用して信書を送達してはいけません。

違反した場合の罰則

信書便法(民間事業者による信書の送達に関する法律)および郵便法により、許可されていない事業者が信書を送ること、また利用者がそれに依頼することは禁止されています。

違反した場合、「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」が科される可能性があります。送り主だけでなく配送業者にも迷惑がかかるため、必ずルールを守りましょう。

信書(契約書)の郵送コストと手間をなくす方法

契約書や請求書は「信書」として扱わなければならず、郵送方法には厳しい制限があります。「レターパックを買う手間」「ポストに投函する手間」「到着を待つ時間」は、ビジネスにおいて小さくないコストです。

そこでおすすめなのが、そもそも郵送をしない「電子化」です。電子化には、電子メールとクラウド型電子契約システムの2つの方法があります。

電子メールで送る

契約書や請求書をPDF化し、電子メールで送付する方法です。メール送信であれば信書便法の適用外となるため、法的な問題はありません。

ただし、誤送信や盗聴、改ざんなどのセキュリティ面でのリスクがあります。このようなリスクへの対策としては、電子署名付きメールの利用やパスワード設定などが推奨されます。

クラウド型電子契約システムを利用する

もっとも安全かつ効率的なのが、クラウド上で契約締結を完結させる方法です。

電子契約システムを利用するメリットは、以下のとおりです。

  • 紙を使わないため、切手代も収入印紙も不要になる
  • 電子署名法などにより、紙の契約書と同等の証拠力が認められている
  • 最短数分で契約締結が完了するため、業務スピードが向上する
  • いつ誰が合意したか、ログが確実に残るためコンプライアンスを強化できる

まとめ

契約書は信書に該当するため、その取り扱いには十分な注意が必要です。誤って宅配便やメール便で送ってしまうと郵便法違反となり、懲役や罰金の対象となるリスクがあります。

信書を送る際は、必ず日本郵便の定形郵便やレターパックなど、法令で認められた方法を利用しましょう。

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電子契約で完結することで、郵送する切手代や紙代、インク代なども不要となり、コストカットにつながります。

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よくある質問

一度受領した契約書を社内の支店へ送る場合も「信書の送達」になる?

送る目的によって異なります。単に契約書を社内拠点で移動・保管させるだけであれば、信書の送達には該当しません。ただし、「本社で承認してほしい」「支払い処理をしてほしい」といった意思表示を伴って送る場合は、社内間のやり取りであっても信書の送達とみなされます。

詳しくは、記事内の「信書とは」で解説しています。

ゆうパックや宅急便で契約書を送っても良い?

ゆうパックやゆうパケット、クロネコヤマトの宅急便、佐川急便の飛脚宅配便などは「荷物(貨物)」を送るためのサービスであり、信書を送ることは法律で禁止されています。

信書を送る際は、定形郵便やレターパックなど日本郵便の定められたサービスを利用してください。

詳しくは、記事内の「信書を送ってはいけないサービス」をご覧ください。

信書を間違った方法で送ると罰則はある?

許可されていない事業者が信書を送ること、また利用者がそれに依頼することは郵便法および信書便法で禁止されています。違反した場合、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科される可能性があります。

詳しくは、記事内の「違反した場合の罰則」をご覧ください。

参考文献

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