人事管理の基礎知識

離職防止に有効な8つの施策!従業員が辞める7つの原因を解説

離職防止に有効な8つの施策!従業員が辞める7つの原因を解説

従業員の離職が続くと、既存従業員の業務負担や採用・育成コストの増加など企業にさまざまな悪影響を及ぼします。離職を防ぐには、待遇の改善や面談をはじめとする施策の実施など、自社で離職が起きている原因を把握したうえで対策を考えることが必要です。

本記事では、企業が離職防止に取り組むべき理由や従業員が離職する主な原因、原因を特定する方法を解説します。

目次

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離職防止とは

離職防止とは、従業員の離職につながる原因を把握し、必要な対策を講じる取り組みです。

一口に離職といってもその原因はさまざまで、主に以下のような理由が考えられます。

  • 給与や労働時間などの労働条件
  • 職場の人間関係
  • 人事評価
  • 仕事内容
  • キャリア形成 など

そのため、離職率の数値だけを確認するのではなく、従業員へのヒアリング・サーベイ・勤怠状況などから自社の課題を把握する必要があります。

原因に応じて、労働環境や評価制度の見直し・管理職のマネジメント改善・キャリア形成の支援など適切な対策を実施することが離職防止につながります。

企業が離職防止に取り組むべき理由

離職への対応が遅れると人員不足を補うための採用を繰り返すことになり、組織運営に悪影響を及ぼします。安定した組織運営を続けるには、従業員が離職する原因を把握し、定着につながる環境づくりを行うことが大切です。

企業が離職防止に取り組むべき主な理由は、以下のとおりです。

優秀な人材の流出を抑えられる

離職防止に取り組むことで、豊富な経験や専門的なスキルをもつ優秀な人材の流出を抑えられます。

業務の中心を担う従業員や将来の管理職・幹部候補が離職すると、その人材が積み上げてきたノウハウや顧客との関係性も失われます。後任の採用・育成にかかるコストや時間を考えると、優秀な人材1人の離職が組織に与える影響は表面上の人員減以上に大きいものです。

とくに競争が激しい業界や専門職では、即戦力となる人材の確保がますます難しくなっています。既存の優秀な人材に長く活躍してもらうことは、採用コストの削減という観点からも重要な経営課題です。

既存従業員の業務負担を軽減できる

離職防止は、既存従業員の業務負担を抑えるうえでも必要です。

従業員が離職すると、担当していた業務の引き継ぎや人員不足を補うため、周囲の従業員に負担がかかります。業務量が増えれば残業時間の増加や休暇の取得が難しくなるだけでなく、確認不足によるミスや業務品質の低下を招きかねません。

さらに、負担の増加によって既存従業員の不満が高まり離職が続けば、残された従業員の負担がさらに増えるという悪循環に陥ります。

採用・人材育成にかかるコストを減らせる

従業員が離職して欠員が生じると、人員を補充するために、主に以下のような費用や工数が発生します。

  • 求人媒体への掲載費
  • 人材紹介会社への手数料(採用者の年収の35%程度が相場)
  • 応募者との連絡や書類選考・面接にかかる工数
  • 入社後の研修や教育にかかる費用・工数

採用活動には人事担当者だけでなく、面接や入社後の教育を担当する現場の従業員の時間も必要です。新入社員が戦力として自立するまでには数ヶ月〜1年程度かかるため、その間は教育担当者の工数も継続的に発生します。

離職防止によって採用・育成のサイクルを減らすことで、人員や予算を他の業務に充てやすくなります。

従業員の成長を支える人材育成の手法や取り組み方については、以下の記事もあわせてご覧ください。

【関連記事】
人材育成とは?重要性や効果的な手法、成功のポイントを解説

ノウハウの流出・断絶を防止できる

経験を積んだ従業員が離職すると、本人が業務を通して身につけた知識やノウハウも社外へ流出するリスクがあります。

たとえば、次のような情報は、マニュアルだけでは十分な引き継ぎが難しいでしょう。

  • 業務を効率よく進める手順や判断基準
  • 顧客ごとの特徴や対応時の注意点
  • 過去のトラブルとその対応方法
  • 社内外の関係者との連携方法

ノウハウが共有されないまま従業員が離職すると、後任者が一から業務を覚える必要があり、業務停滞や品質低下につながります。離職防止は、社内に蓄積された知識やノウハウを次の人材へ引き継ぐためにも不可欠です。

採用面での企業イメージ低下を防げる

離職が相次ぐ企業は、求職者から職場環境や働きやすさに懸念をもたれるリスクがあります。転職口コミサイトや採用サイトが普及した現在、社員の声や離職の実態は求職者に伝わりやすくなっています。

離職が続く企業は「職場環境に問題があるのではないか」と見られやすく、応募数の減少・採用コストの増加につながるかもしれません。一方、定着率が高い企業は「働きやすい環境が整っている」という評価を得やすく、採用競争力の強化にもつながります。

離職防止への取り組みは、社内の環境改善だけでなく、採用ブランドを守るための施策にもなります。

従業員の離職につながる主な7つの理由

従業員が離職を考える背景は、ひとつとは限りません。

厚生労働省の調査によると、転職入職者が前職を辞めた理由のうち、女性では「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」が12.9%で最も多く、次いで「職場の人間関係が好ましくなかった」が11.5%となっています。男性は「定年・契約期間の満了」が16.1%、「給料等収入が少なかった」が9.9%でした。

離職防止策を検討する際は、どのような要素が従業員の離職につながっているのかを把握し、自社の課題に応じた対応を進めましょう。

従業員の離職につながる主な理由として、以下の7つが挙げられます。

1.職場の人間関係に問題がある

上司や同僚との人間関係に問題があると、従業員が職場でストレスを抱え、離職を考えるきっかけになります。職場で生じる人間関係の問題には、以下のような内容があります。

  • 上司によるハラスメントや一方的な叱責
  • 上司と部下のコミュニケーション不足
  • 従業員同士の対立や孤立
  • 困ったときに相談できる相手がいない

業務内容や待遇に不満がなくても、人間関係の問題によって働き続けることが難しくなるケースがあります。とくに深刻なのは、本人が問題を抱えていても上司や会社に相談できないケースです。不満が蓄積されたまま表面化しないと、突然の退職につながる可能性があります。

2.労働環境に問題がある

長時間労働や休暇の取りにくさなど働きづらい状態が続くと、従業員の心身の負担が蓄積し、離職につながりやすくなります。

労働環境に関する問題として、以下が挙げられます。

  • 長時間労働が常態化している
  • 有給休暇や希望する日に休暇を取得しづらい
  • 業務量に対して人員が不足している
  • 柔軟な働き方を選択できない

このような状況では仕事と私生活を両立しづらくなり、現在の職場で働き続けることに不安・不満を感じやすくなります。

3.待遇に不満を感じている

給与や福利厚生などの待遇が、仕事内容や業務量に見合っていないと感じることは離職につながる要因です。待遇に関する不満の代表例は、以下のとおりです。

  • 給与水準が仕事内容や業務量に見合っていない
  • 昇給の機会が少ない
  • 手当や福利厚生が十分に整備されていない
  • 同業他社と比べて待遇面に差がある

ただし待遇への不満があっても、従業員が企業へ直接伝えるとは限りません。不満を抱えたまま転職先を探し始めるケースも多いため、面談や従業員サーベイなどを通じて待遇に対する意見を把握しましょう。給与水準や福利厚生を業界水準と比較し、乖離があれば処遇改善を検討する必要があります。

従業員が働き続けやすい環境を整えるため、自社に合った福利厚生制度を検討したい場合は、低コストで「実質的な手取りアップ」を目指せる「freee 福利厚生」をご活用ください。

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4.人事評価に納得できていない

人事評価の基準や結果に納得できていないことは、離職につながる可能性があります。従業員が評価に不満を感じるケースとして、次のような内容が挙げられます。

  • 評価基準や評価項目が明確になっていない
  • 評価者によって判断基準にばらつきがある
  • 成果や取り組みが評価に反映されていない
  • 評価結果の理由について十分な説明がない

評価制度は給与や昇進に直結するため、不満が放置されると「頑張っても正当に報われない」という感覚につながります。

評価の根拠がわからない状態では、従業員が今後どのような成果や行動を求められているのかを把握しづらくなり、モチベーションの低下や企業への不信感が高まります。人事評価への不満が続けば、より公平な評価が期待できる職場への転職を検討するきっかけになるかもしれません。

5.仕事内容にミスマッチがある

従業員が希望する働き方や業務内容と、実際に任されている仕事に差があると離職につながる場合があります。仕事内容のミスマッチには、主に以下のようなケースが考えられます。

  • 入社前に説明された仕事内容と実際の業務が異なる
  • 本人の経験やスキルを活かせない業務を担当している
  • 希望するキャリアと現在の仕事内容が合っていない
  • 配属や異動によって希望していない業務をしている

ミスマッチを防ぐには、採用段階と入社後の両面での対応が必要です。

6.キャリアの見通しをもてない

自社でどのような経験を積み、役割を目指せるのかがわからないことも、離職につながる理由のひとつです。キャリアの見通しをもちづらいケースは、以下のとおりです。

  • 昇進・昇格の基準が明確になっていない
  • 希望する職種や部署へ異動する機会がない
  • 新たな知識やスキルを習得する機会が少ない
  • 管理職以外のキャリアパスが用意されていない

昇進や異動の基準、身につけられるスキルなどが不明確な場合、従業員は自社で働き続けても成長できないと感じる可能性があります。その結果、成長できる環境や希望するキャリアを求めて、転職を検討するかもしれません。

7.企業の将来性に不安を感じている

企業の将来性が不透明だと、従業員は自身の将来に不安を抱きやすく離職を考える要因となります。企業の将来性に不安を感じる理由として、次のような内容が挙げられます。

  • 業績の低迷が続いている
  • 事業や組織の方針が頻繁に変更される
  • 経営方針や今後の事業計画が共有されていない
  • 市場や顧客ニーズの変化に対応できていない

企業の経営状況に問題がなくても、今後の方針が十分に共有されていなければ従業員は将来を見通しづらくなり不安を抱きやすくなります。経営状況や事業方針を適切に共有し、従業員が自社の強みや成長戦略を理解できるようにしましょう。

なぜ離職する?原因を特定する方法

離職防止策を検討するには、一般的な離職理由だけでなく「自社ではどのような従業員が、何を理由に離職しているのか」を把握しましょう。原因を十分に確認しないまま施策を実施しても、実際の課題と対策が噛み合わず、期待する改善につながらない可能性があります。

自社の離職原因を特定する方法として、以下の3つが挙げられます。

属性別に離職状況を分析する

離職原因を特定する際は、全社の離職率だけでなく、年代・雇用形態など属性別の離職状況も把握しましょう。全社では目立った変化がなくても、特定の部署や勤続年数などに離職が集中している可能性があります。


属性確認する離職状況
部署・職種特定の部署や職種に離職が集中していないか
年代特定の年代で離職が多くなっていないか
勤続年数入社後のどの時期に離職が発生しているか
雇用形態正社員・契約社員などで離職状況に違いがないか
役職一般社員・管理職などで離職状況に違いがないか
採用区分新卒・中途で離職状況に違いがないか

前年や過去数年間のデータと比較すると、一時的な増減なのか、継続して発生している問題なのかを判断しやすくなります。特定の属性で離職が多い場合は、業務量・人間関係・仕事内容などを確認して原因を絞り込みます。

従業員の本音を把握する

離職の兆候や職場への不満は、従業員から自発的に伝えられるとは限りません。在籍中の従業員が何を感じているのか、企業側から能動的に情報を収集しましょう。

主に、次のような方法があります。

  • 従業員サーベイ:職場環境・人間関係・待遇・人事評価などに対する意見を確認。匿名形式にすることで、本音を引き出しやすくなる
  • 1on1:業務上の悩み・仕事への希望・キャリアに関する考えを聞く
  • 相談窓口:ハラスメントや人間関係など、上司には伝えづらい問題を把握する
  • 勤怠データの分析:残業時間の増加・有給取得率の低下・欠勤や遅刻の増加は、不満や体調不良のサインになりやすい。変化があった従業員には早めに声をかける

ひとつの方法だけでは限界があります。たとえば、サーベイでは個別の事情まで確認しづらく、1on1では上司との関係性によって意見を伝えづらいケースが考えられます。

複数の方法から得た情報を照らし合わせ、共通する課題や個別に対応が必要な問題を確認しましょう。

退職理由を検証する

個人の事情と組織側の構造的な課題を切り分け、再発防止につなげることを目的に退職理由を検証しましょう。

退職者へのヒアリングや退職面談で得た情報だけでは、真の離職原因を見逃すかもしれません。退職理由には複数の要因が関係していたり、本人がすべての事情・本音を伝えていなかったりする可能性があります。そのため退職面談での聴取内容を単体で判断するのではなく、在籍中の1on1・従業員サーベイ・勤怠データなどと照らし合わせて検証しましょう。

さらに、複数の退職者に共通する理由や、特定の部署・職種に同様の傾向がないかを確認しましょう。共通点があれば組織側の課題として対処する優先度が高く、個人ごとに事情が異なる場合はフォロー体制の見直しが有効です。

離職防止につながる具体的な8つの施策

離職防止では、自社で把握した離職原因に応じて施策を選ぶことが大切です。限られた人員や予算で複数の課題へ同時に対応するのが難しい場合は、離職への影響や緊急性を踏まえて取り組む順番を決めましょう。

離職防止につながる具体的な施策として、以下の8つが挙げられます。

1. 離職への影響が大きい課題を特定する

属性別の離職状況や従業員サーベイなどから複数の課題が見つかった場合は、どの課題が離職と関係しているのか確認しましょう。

見つかった課題から対策を決めるのではなく、離職者が多い部署や職種の状況と照らし合わせることが大切です。たとえば、離職者が多い部署で上司とのコミュニケーションに対する不満が多く確認された場合、管理職のマネジメント方法や1on1の運用を見直すことで、把握した課題に対応できます。

サーベイの回答だけで判断せず、1on1・退職時のヒアリング・勤怠データなども確認し、複数の情報から離職との関係が強い課題を絞り込みましょう。

2. 離職防止施策の優先順位を決める

離職原因を把握したら、どの課題から改善するのか優先順位を決めます。すべての課題に同時に対処しようとすると、リソースが分散して対応・結果が中途半端になりやすいためです。

優先順位を検討する際は、主に以下の観点から課題を整理します。

  • 影響を受ける従業員の範囲:影響を受ける範囲が広い課題ほど、優先的に対応する
  • 離職への影響:退職理由や従業員へのヒアリングなどから、離職との関連が強い課題を優先する
  • 改善の実現可能性:必要な人員や予算、改善までにかかる期間を踏まえ、着手する順番を決める

たとえば長時間労働が特定の部署に集中している場合は、影響範囲は限定的でも離職への影響が大きく改善の着手もしやすいため、優先度を高く設定します。一方、評価制度の改定やキャリアパスの整備などは、影響範囲が広く効果も大きいものの検討や準備に時間がかかるため、中長期的な施策として計画しましょう。

このように短期・中長期に分けて施策を整理することで、取り組むべき順番が明確になり、限られたリソースを効果的に配分できます。

3. 管理職のマネジメント力を高める

上司とのコミュニケーションや業務の進め方に課題がある場合は、管理職のマネジメント力を高めましょう。管理職には、主に次のようなスキルが求められます。

  • 部下の状況や意見を把握するためのコミュニケーション
  • 従業員ごとの業務量や進捗を踏まえた業務配分
  • 評価の根拠や改善点を具体的に伝えるフィードバック
  • 部下のキャリアや成長を支援する面談

重要なのは、特定の管理職だけが優れた対応をする状態を避けることです。管理職によって部下への関わり方に差が出ると、配属先によって従業員の定着率が変わるという問題が生じます。

面談の頻度や1on1のフォーマットを組織として標準化したり、管理職同士で対応事例を共有したりすることで、対応の質を底上げしましょう。

4. 人事評価の透明性を高める

人事評価への不満が離職につながっている場合は、評価基準や評価の進め方を見直しましょう。評価基準と評価プロセスを透明にすることで、従業員が結果に納得感をもちやすくなり、モチベーションの低下を防げます。

具体的には、次のような取り組みを行います。

  • 評価基準を明文化する:どのような成果や行動を評価するのかを明確にする
  • 評価者の判断基準をそろえる:評価者によって結果に大きな差が生じないよう、評価項目の解釈や判断基準を共有する
  • 評価結果をフィードバックする:評価の根拠や今後求める行動、改善点を具体的に伝える

評価の透明性が高まると、結果への不満解消だけでなく「次にどうすれば評価が上がるか」が見えるようになります。

5. 労働環境・条件を改善する

長時間労働や休暇の取りづらさ、待遇への不満などが確認された際は、原因となっている労働環境や労働条件を見直しましょう。主な課題と改善策の例は、以下のとおりです。


課題改善策の例
長時間労働が続いている・業務量や人員配置を見直す
・業務を効率化する
休暇を取得しづらい・業務の属人化を見直す
・休暇取得時のフォロー体制を整える
働く時間や場所に制約があるテレワークやフレックスタイム制などを導入する
給与に不満がある業務内容や役割、責任の範囲を踏まえて給与水準を見直す
福利厚生がニーズにあっていない・従業員アンケートで利用実態とニーズを把握する
・利用率の低い制度は廃止・入れ替えを検討する

制度を設けている場合も、実際に従業員が利用できているか確認することが必要です。たとえば、申請手続きが複雑で利用をためらう従業員がいないか、上司や周囲の理解を得づらい雰囲気があり、利用を控えていないかを確認します。

改善後は勤怠データや従業員サーベイなどから変化を確認し、利用しづらい制度や改善が見られない項目があれば、運用方法を見直します。

6. キャリア形成を支援する

従業員が自社で希望するキャリアを実現できるよう、将来選択できる役割や職種を明確にしましょう。専門性を深めるスペシャリスト職や、他部署を経験するゼネラリスト職など、複数の選択肢を示すことで、従業員は自社での将来像を描きやすくなります。

そのうえで、必要な経験やスキルを身につける機会を設けましょう。たとえば1on1やキャリア面談を通して、従業員が希望する仕事内容や身につけたいスキルを確認します。その内容を踏まえ、研修・資格取得の支援・配置転換・業務経験の機会などを検討することが大切です。

本人の希望と企業が求める役割をすり合わせながら育成計画や配置へ反映する仕組みを整えることで、「自分の成長を会社が支援してくれている」という実感が定着意欲につながります。

7. 社内コミュニケーションを活性化する

人間関係や職場での孤立が離職につながっている場合は、従業員同士が日常的にコミュニケーションを取れる機会を設けましょう。

具体的には、以下のような取り組みが有効です。

  • 1on1や定期面談:上司と従業員が定期的に話す機会を設け、業務上の悩みや不満を早い段階で把握する
  • 進捗や課題を共有:チーム内で業務の状況を共有し、ひとりで問題を抱え込む状態を防ぐ
  • 部署を越えて情報交換:他部署の従業員と交流する機会を設け、部署間の連携や相談をしやすくする
  • メンター制度や相談窓口:直属の上司には伝えづらい悩みを相談できる環境を整える

社内イベントなどの交流機会も有効ですが、非日常的なイベントだけでは業務上の悩みや人間関係の問題を継続的に把握できません。日常業務のなかで相談や情報共有ができる仕組みを整え、従業員が抱えている問題を早い段階で把握できる環境をつくりましょう。

8. オンボーディングを強化する

オンボーディングとは、新しく入社した従業員が職場や業務に慣れ、組織の一員として働けるようになるまで支援する取り組みです。

入社後の早期離職が目立つ場合は、仕事内容や職場環境への適応を支援するため、オンボーディングを強化しましょう。入社直後は不安や疑問を抱えやすく、適切なサポートがなければ孤立感から離職を検討するかもしれません。オンボーディングを強化することで、こうした早期離職のリスクを減らせます。

入社時の説明や研修だけでなく、配属後も継続して状況を確認できる体制を整えましょう。具体的には、以下のような取り組みがあります。

  • 入社時研修:業務内容・社内ルール・仕事の進め方を共有し、入社後の戸惑いを減らす
  • 定期面談:業務上の悩みや入社前後のギャップを確認し、問題の早期発見につなげる
  • メンター制度:直属の上司以外にも相談できる相手を設け、ひとりで悩みを抱えるのを防ぐ
  • 相談機会の確保:業務や人間関係について相談できる場を用意し、問題が深刻になる前に対応する
  • 部署を越えた交流:所属部署以外との関係を築く機会を設け、社内で相談・協力できる相手を増やす

仕事内容のミスマッチや職場での悩みを把握した場合は、業務内容の調整や必要な支援につなげましょう。

離職防止施策の効果を検証する方法

離職防止施策を実施したあとは、従業員の状況に変化が見られるかを継続して確認しましょう。施策を導入しただけでは、自社が抱えていた課題の改善につながっているか判断できません。

結果を確認し、十分な変化が見られない場合は、施策の内容や運用方法を見直す必要があります。離職防止施策の効果は、主に以下のような方法で検証します。

離職率の推移を確認する

全社の離職率だけでなく、部署・職種・年代・勤続年数などの属性別に推移を確認しましょう。施策の対象となった従業員に絞って確認することで、離職状況に変化が見られるかを把握できます。

属性別に見ると課題の所在が明確になります。たとえば「入社3年以内の若手に離職が集中している」「特定の部署だけ離職率が高い」など、全社平均では見えづらいパターンを特定可能です。

また、前年の同じ時期や過去数年間の数値と比較するのも大切です。特定時期に退職者が集中する企業では、時期による変動も考慮して推移を確認しましょう。

離職率に変化が見られない場合は、施策の対象や内容が自社の離職原因に合っているかを改めて検証し、必要に応じて見直します。

従業員の満足度を確認する

従業員サーベイやアンケートを定期的に実施し、職場に対する満足度の変化を確認します。

確認する項目は、実施した離職防止施策に合わせて設定しましょう。たとえば、以下のような項目を確認します。

  • 人事評価を見直した場合:評価基準やフィードバックへの納得度
  • 労働環境を改善した場合:業務量や休暇の取りやすさ
  • 管理職のマネジメント改善に取り組んだ場合:上司とのコミュニケーションや相談のしやすさ
  • キャリア形成を支援した場合:キャリアパスのわかりやすさや成長機会への満足度

施策実施の前後で同じ項目を比較することで、改善が見られた内容と引き続き対応が必要な課題を整理します。改善していない場合は、施策の内容や運用方法を見直しましょう。

勤怠状況の変化を確認する

残業時間や有給休暇の取得状況、欠勤・遅刻などの勤怠データから、従業員の働き方に変化が見られるかを確認しましょう。たとえば、残業時間が急に増えている場合は、業務量の増加や人員不足が生じている可能性があります。


確認する勤怠データ確認する内容
残業時間業務量や人員配置の見直し後に残業時間が減少しているか
有給休暇の取得状況休暇取得促進の施策後に取得率が上昇しているか
欠勤・遅刻特定の部署や従業員で増加していないか
休日出勤業務が一部の従業員に集中していないか

部署や職種別に推移を比較すると、特定の部署や従業員に負担が偏っていないかも把握しやすくなります。変化が見られたときは本人や上司へのヒアリングを行い、背景にある原因の確認が必要です。

離職防止で避けたい取り組み

離職防止を目的とした施策でも、実施するタイミングや方法によっては従業員の不満や企業への不信感につながります。

離職防止に取り組む際は、以下の5つに注意が必要です。

退職表明後だけ待遇を改善する

従業員から退職の申し出があったあとに給与や役職などの待遇を改善するだけでは、根本的な離職防止にはつながりません。

待遇以外にも、人間関係・仕事内容・キャリアなどへの不満が離職の背景にある場合、待遇改善だけでは解決しません。一時的な引き止めに成功しても、根本的な課題が解消されていなければ短期間で再び離職意向が高まるリスクがあります。

また退職を申し出た従業員だけ待遇を変更すると、ほかの従業員との公平性が損なわれ、組織全体のモチベーション低下につながる可能性があります。

給与や評価制度などに課題がある場合は、制度や運用方法自体の見直しが必要です。

1on1で本音を強要する

1on1では、従業員に本音をムリに聞き出そうとしないことが大切です。上司との関係性や話題によっては、従業員が悩みや不満を伝えづらい場合があります。

発言を促すために質問を繰り返したり回答を求めたりすると、1on1自体が従業員の心理的な負担になりかねません。本音を引き出そうとするほど、従業員が「話さなければいけない」というプレッシャーを感じやすくなるためです。

まずは、業務上の悩みや仕事への希望など、本人が話しやすい範囲から始め、対話の積み重ねのなかで信頼関係を築くことを優先しましょう。1on1はあくまで継続的なコミュニケーションの場であり、一度で何もかも把握しようとしないことが重要です。

また匿名のサーベイや相談窓口なども活用しましょう。上司には話しづらい内容もあるため、従業員が状況に応じて相談方法を選べる環境を整えるのが有効です。

サーベイ結果を放置する

従業員サーベイは、実施して回答を集めたまま放置すると、従業員の不信感を招き離職リスクを高めます。

結果を分析し、把握した課題を施策の検討や改善に活用する必要があります。部署・職種・年代などの属性別に回答を確認したうえで、満足度が低い項目や前回から変化した項目などを整理し、対応が必要な課題を特定しましょう。

分析後は、改善する課題や今後の対応方針を従業員へ共有することも大切です。すぐに対応できない課題についても、検討状況や今後の予定を伝えるなどサーベイ結果がどのように活用されているのか実感できる状態にします。

全従業員に同じ施策を実施する

離職防止施策を一律に実施することは、効果が出づらいだけでなく、従業員の不満を高めるリスクもあります。たとえば、長時間労働が原因で離職が起きている部署に対してエンゲージメント研修を実施しても、根本的な課題である業務量の問題が解消されなければ効果は限定的です。

施策を設計する際は、属性別の離職状況やサーベイ結果などから、どの従業員にどのような課題が生じているのかを確認しましょう。部署・職種・勤続年数・年代などで絞り込み、課題に応じた施策を選ぶことで、限られたリソースで最大限の効果を発揮できます。

すべての離職を防ごうとする

すべての離職を防ぐことを目標にするのは避けましょう。従業員の退職には、転居や家庭の事情、希望するキャリアの変化など企業側の施策だけでは対応できない理由もあります。

すべての退職を引き止めようとすると、本来注力すべき「改善できる課題」への対応が後回しになるリスクがあります。

離職防止で重要なのは、退職理由を「企業側に原因があるもの」と「本人の事情によるもの」に分けて把握することです。退職者へのヒアリングや在籍者へのアンケートを活用すると、労働環境・人事評価・マネジメントなど改善できる課題を特定しやすくなります。

離職率の数値だけを下げることを目的にせず必要な改善に集中することで、従業員が働き続けやすい環境づくりに取り組みましょう。

まとめ

離職防止に取り組む際は、属性別の離職状況や従業員サーベイなどから自社で離職が起きている原因を把握することが必要です。そのうえで、管理職のマネジメント改善・人事評価の見直し・労働環境の整備など課題に合った施策を実施しましょう。

実施後は、離職率・従業員の満足度・勤怠状況などを把握し、施策の内容や運用方法を継続して見直すことも大切です。

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よくある質問

従業員が離職していく職場の特徴は?

従業員の離職が続く職場では、人間関係・労働環境・人事評価などに課題が生じている可能性があります。たとえば長時間労働が常態化している、上司に相談しづらい、評価基準が明確でないなどのケースです。

ただし、離職の原因は職場によって異なります。部署・職種・年代・勤続年数などの属性別に離職状況を確認し、サーベイや1on1などの結果と照らし合わせましょう。複数の情報から自社で離職につながっている課題を特定します。

詳しくは、記事内「従業員の離職につながる主な7つの理由」「なぜ離職する?原因を特定する方法」をご覧ください。

離職率を改善するための取り組みは?

離職率を改善するには、自社で離職が起きている原因を把握し、その原因に合った施策を実施することが大切です。主な取り組みには、以下のようなものがあります。

  • 管理職のマネジメント方法を見直す
  • 人事評価の基準や運用方法を見直す
  • 業務量や人員配置などの労働環境を改善する
  • 従業員のキャリア形成を支援する
  • 社内のコミュニケーションを活性化する
  • 入社後のオンボーディングを強化する

すべての施策を一律に実施するのではなく、離職状況の分析結果をもとに優先順位を決めましょう。実施後は離職率の推移を確認し、必要に応じて施策を見直すことも大切です。

詳しくは、記事内「離職防止につながる具体的な8つの施策」をご覧ください。

離職理由で一番多いのは?

厚生労働省によると、転職入職者が前職を辞めた理由は「その他の個人的理由」などを除いた場合、男性では「定年・契約期間の満了」が16.9%、女性では「職場の人間関係が好ましくなかった」が13.0%で最も高くなっています。

離職防止策を検討する際は一般的な傾向だけで判断せず、自社退職理由や従業員へのヒアリング結果なども確認しましょう。

詳しくは、記事内「従業員の離職につながる主な7つの理由」をご覧ください。

参考文献

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