人事管理の基礎知識

早期離職とは?離職率の傾向や7つの原因・企業が取り組む9つの防止策を解説

早期離職とは、従業員が入社してから短期間で退職することです。採用した人材が早期に離職すると新たな採用が必要になるだけでなく、それまでにかけた採用費や教育費が十分に活かされません。

早期離職を防ぐには、退職理由だけを見るのではなく離職した時期・部署ごとの傾向・在籍している従業員の声などを分析し、自社で離職が起きている原因を把握することが必要です。

本記事では、早期離職の主な原因や企業への影響を整理し、防止につながる分析方法や実施時の注意点についても解説します。

目次

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早期離職とは

早期離職とは、従業員が入社してから比較的短い期間で退職することです。早期離職とみなされる具体的な期間について法律上の明確な定義はありません。

早期離職が続くと、欠員によって既存従業員の負担が増えたり、採用活動に影響したりする可能性があります。

退職者数や離職率だけを見るのではなく、退職した時期・所属部署・退職理由まで確認し離職の傾向を整理することが必要です。採用時のミスマッチや入社後のフォロー不足、職場環境など、自社が見直すべき課題を特定しやすくなります。

早期離職とみなされる期間の目安

早期離職とみなす期間に統一された基準はなく、新卒社員は公的な統計で入社3年以内の離職状況が示されている一方、中途社員には共通の期間が設けられていません。

そのため、早期離職の状況を把握する際は、雇用区分に応じて期間を捉えましょう。

新卒社員は入社3年以内が目安になる

新卒社員の早期離職を把握する際は、入社後3年以内がひとつの目安です。厚生労働省は、新規学卒就職者を対象に就職後3年以内の離職状況を継続して公表しています。

ただし、入社後3年以内はあくまで目安のひとつです。自社の状況を分析する際は3年間を一括して見るだけでなく、入社後1年以内・2年以内・3年以内と期間をわけて確認しましょう。

退職が集中する時期を把握することで、入社直後の受け入れ体制・配属後のフォロー・見直すべき施策を絞り込めます。

中途社員は明確な期間が定められていない

中途社員の早期離職については基準となる明確な期間が定められておらず、共通の目安はありません。そのため自社で早期離職を分析する際は、採用や人材育成の方針に応じて対象期間を設定しましょう。

たとえば入社後の定着状況を確認したい場合は、一定の期間ごとに離職者数や退職理由を整理します。退職した時期と理由、在籍期間をあわせて確認すると、採用時のミスマッチや入社後の受け入れ体制など離職につながっている課題を把握しやすくなります。

データから見る早期離職率の傾向

早期離職率は、雇用区分や業界、企業規模によって傾向が異なります。自社の離職率だけを見てもその数値が高いのか低いのかを判断しづらいため、比較できるデータと照らし合わせることが大切です。

複数の観点から比較することで、自社で優先して分析すべき離職傾向を把握できるでしょう。

新卒社員の早期離職率

厚生労働省が2025年に公表した「新規学卒就職者の離職状況(2022年3月卒業者)」によると、就職後3年以内の離職率は以下のとおりです。

学歴就職後3年以内の離職率(%)
中学卒54.1
高校卒37.9
短大等卒44.5
大学卒33.8

大学卒では33.8%と、およそ3人に1人が就職後3年以内に離職しています。高校卒は37.9%で、大学卒より4.1ポイント高い結果です。

ただし自社の離職率と比較する際は、集計する期間や対象者をそろえましょう。入社1年以内の離職率と就職後3年以内の離職率では、同じ指標として単純に比較できません。

中途社員の早期離職率

中途社員については、新卒社員と同じ条件で比較できる離職率は公表されていません。中途採用者は、入社前の就業経験や採用時期などが異なるため、新卒社員の離職率と比較するのは適切ではないでしょう。

自社の中途社員の早期離職率を把握する際は、入社後の一定期間(3ヶ月・半年・1年など)を定め、対象期間内の採用者数と離職者数を継続して集計します。

さらに、採用年度・部署・職種ごとにわけて確認すると、早期離職が集中している範囲を特定しやすくなり、採用方法や入社後のフォローを見直す際の判断材料につながります。

業界別に見る早期離職率

厚生労働省が2025年に公表した「新規学卒就職者の離職状況(2022年3月卒業者)」によると、大学卒の就職後3年以内離職率が高い産業は以下のとおりです。

産業就職後3年以内の離職率(%)
宿泊業・飲食サービス業55.4
生活関連サービス業・娯楽業54.7
教育・学習支援業44.2
医療・福祉40.8
小売業40.4

宿泊業・飲食サービス業と生活関連サービス業・娯楽業では、大学卒の半数以上が就職後3年以内に離職しています。

自社の離職状況を分析する場合は、大学卒全体の数値だけでなく、同じ産業のデータとも比較しましょう。自社固有の課題があるのか、産業全体にも共通する傾向なのかを判断しやすくなります。

企業規模別に見る早期離職率

大学卒の就職後3年以内離職率を事業所別に見ると、規模によって数値に差があります。厚生労働省が2025年に公表した「新規学卒就職者の離職状況(2022年3月卒業者)」によると、以下のような離職率になっています。

企業規模就職後3年以内の離職率(%)
5人未満57.5
5~29人52.0
30~99人41.9
100~499人33.9
500~999人31.5
1,000人以上27.0

5人未満の企業では57.5%であるのに対し1,000人以上では27.0%となっており、企業規模が小さいほど離職率が高い傾向にあると分かります。

ただし、このデータだけでは企業規模が離職の原因だと判断できません。自社の離職状況を分析する際は、同程度の企業規模のデータと比較したうえで、退職した時期・所属部署・退職理由などを確認します。共通する傾向を整理することで、優先して見直すべき要因を特定しやすくなります。

早期離職が起こる主な7つの原因

早期離職が起こる背景には、採用時のミスマッチ・入社後の人事制度・職場環境など複数の要因があります。早期離職を効果的に防止するには、離職の要因を整理して自社の課題に合った対策をとることが必要です。

早期離職が起こる主な原因として、以下の7つが挙げられます。

早期離職が起こる主な7つの原因

  • 仕事内容にミスマッチが生じている
  • 企業文化に馴染めていない
  • 人事評価に不満を感じている
  • 職場の人間関係に問題がある
  • 労働環境に問題がある
  • キャリアの見通しがもてない
  • 入社後のフォローが不足している

1.仕事内容にミスマッチが生じている

仕事内容への期待と現実のギャップが、入社直後の離職を招く大きな要因のひとつです。

厚生労働省の調査では、初めて勤務した企業を辞めた主な理由として「仕事が自分に合わない」と回答した割合は21.7%となっています。たとえば、希望していた業務を担当できない、想定していなかった業務の割合が多いといったケースでは、入社後にミスマッチを感じやすいでしょう。

仕事内容のミスマッチを防ぐには、求人票や面接で、担当する業務や求める役割を具体的に伝えることが必要です。入社後も早期に1on1や面談を設けることで、認識のズレを早めに把握・対処しやすくなります。

2.企業文化に馴染めていない

企業文化と従業員の価値観が合わないことは、早期離職の原因のひとつになり得ます。具体的には、仕事の進め方や意思決定の方法、社内でのコミュニケーションの取り方など「組織特有の風習や慣行」が該当します。

たとえば、個人の裁量を重視して働きたい人がチームでの意思決定を尊重する企業に入社すると、仕事の進め方に違和感を覚える場合があります。このような価値観のズレが続くと職場への適応が難しくなり、離職を考えるきっかけになりかねません。

採用時には、スキルや経験だけでなく、自社が大切にしている価値観や仕事の進め方を具体的に伝えましょう。候補者が入社前に自分の価値観と照らし合わせられるようにすると、企業文化とのミスマッチを防ぎやすくなります。

3.人事評価に不満を感じている

人事評価の基準がわかりづらかったり評価結果に納得できなかったりすることも、早期離職につながる要素です。

「成果を挙げても評価に反映されない」「評価理由について十分な説明がない」という状況では、何を基準に評価されているのか把握できません。とくに、入社して間もない従業員は不安に感じやすいでしょう。

入社時や目標設定のタイミングで、上司が評価項目や期待する成果の水準を明示することが大切です。評価後には上司から本人へ直接フィードバックする機会を設け、評価した理由や改善点を具体的に伝えます。

評価基準と結果のつながりが明確になると従業員が評価に納得しやすくなり、人事評価への不満による離職を防げるでしょう。

人事評価制度の代表的な手法や導入する目的については、以下の記事も参考にしてください。

4.職場の人間関係に問題がある

職場の人間関係に問題があることも、早期離職につながる要素です。

厚生労働省の調査では、初めて勤務した企業を辞めた理由として「人間関係がよくなかった」と回答した割合は、26.4%となっています。

職場で生じる人間関係の問題には、以下のような内容があります。

  • 上司に質問や相談をしにくい
  • 同僚から必要な情報を共有してもらえない
  • 上司から一方的な指示が多く、意見を伝えにくい
  • 特定の従業員との間でコミュニケーションが不足している
  • 困ったときに相談できる相手がいない

人間関係を理由とした早期離職を防ぐためには、直属の上司だけでなく同僚や人事担当者などにも相談できる環境整備が必要です。相談先を複数設けることで、上司には伝えにくい悩みや職場での問題を早期に把握しやすくなります。

5.労働環境に問題がある

慢性的な長時間労働や休みを取りにくい職場環境は、早期離職につながる要素のひとつです。

問題がある労働環境として、以下のような内容が挙げられます。

  • 長時間労働や残業が常態化している
  • 休日出勤が多い
  • 有給休暇を取得しにくい
  • 特定の従業員や部署に業務が集中している
  • 休憩時間を十分に確保できない
  • 人手不足によってひとりあたりの業務量が多くなっている

このような状態が続けば従業員が十分に休息を取れず、働き続けることへの負担が大きくなります。勤怠データから残業時間・休日出勤の回数・有給休暇の取得状況などを確認して、特定の部署・従業員に負担が偏っている場合は、業務量や人員配置を見直しましょう。

6.キャリアの見通しがもてない

入社後のキャリアを具体的に描けないことも、早期離職につながる要素です。たとえば以下のような情報がわからないと、現在の仕事を続けた先に築けるキャリアをイメージしづらくなります。

  • 経験を積み、今後担当できる業務や役割
  • 業務を通じて身につけられるスキル(知識・技術)
  • 昇進・昇格の基準

従業員に一律のキャリアを提示するのではなく、本人が希望する働き方や目指す方向性を確認しましょう。定期的な面談などを通じて希望を把握し、社内で経験できる業務や必要なスキルを共有すると、従業員が今後のキャリアを考えやすくなります。

7.入社後のフォローが不足している

入社後のフォローが不足していると、業務や職場に慣れないまま悩みを抱え早期離職につながりやすくなります。入社直後は、以下のような多くの情報を把握しながら仕事を進める必要があります。

  • 担当業務の進め方
  • 社内のルール
  • 使用するシステム
  • 職場内の連携方法 など

研修を実施するだけでは、実際に業務を始めてから生じる疑問や悩みを把握しきれない場合があります。入社後は、研修のほかに、上司との定期面談や人事担当者への相談など継続して状況確認できる機会を設けましょう。相談先を複数設けることで、上司には伝えづらい職場での問題も把握しやすくなります。

入社後のフォロー体制を整えるには、面談の実施状況や従業員の状況を一元管理できる仕組みが役立ちます。「freee人事労務」なら、従業員情報の管理から入社手続きまで対応できるため、オンボーディング期間中の状況把握や手続き漏れを防止可能です。

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早期離職が企業に与える影響

早期離職が生じると、育成にかけた時間・費用の損失や他の従業員への負担増、採用ブランドへのダメージなど、その影響が組織全体に波及します。さらに早期離職が繰り返されればこうした負の影響が積み重なり、じわじわと組織の体力を奪っていきます。

早期離職が、企業に与える主な5つの影響を確認しておきましょう。

早期離職が企業に与える影響

  • 採用コストが増加する
  • 人材育成コストがムダになる
  • 従業員の負担が増加する
  • 採用活動に悪影響を与える
  • 次世代の人材が育ちにくくなる

採用コストが増加する

従業員が早期離職すると、欠員を補うために新たな採用活動が必要となり採用コストが増加します。

具体的には、以下のようなコストが発生します。

  • 求人媒体への掲載料
  • 人材紹介サービスの利用料
  • 求人情報を作成する時間
  • 応募者への連絡や日程調整にかかる時間
  • 書類選考や面接にかかる時間

人材育成コストがムダになる

従業員が十分な経験を積む前に早期離職すると、それまでの人材育成にかけた費用や時間がムダになります。

人材育成には、主に以下のような費用や時間がかかります。

  • 新人研修・外部研修:研修の実施費用や受講料
  • OJT:上司や先輩社員が業務を教える時間
  • 再採用後の教育:新たに採用した従業員への研修や業務指導

早期離職が繰り返されると、新たな従業員を採用するたびに教育が必要となり、人材育成にかかる負担が増えるでしょう。育成にかけた費用や時間を活かすためには、従業員が必要な知識やスキルを身につけ、継続して働ける環境整備が重要です。

従業員の負担が増加する

従業員が早期離職すると、退職者が担当していた業務をほかの従業員が引き継ぐことになり、負担が増える可能性があります。

後任者をすぐに採用できるとは限りません。採用できた場合も、ひとりで業務を担当できるようになるまでは引き継ぎや教育が必要です。欠員が続くと、残業時間が増えたり本来の業務に使用できる時間が減ったりするでしょう。

また、新たに採用した従業員の教育を担当する際は通常の業務と並行して指導を行う必要があり、残った従業員に継続的な負担がかかります。

採用活動に悪影響を与える

早期離職が続くと、欠員を補うための採用を繰り返すことになり、今後の採用活動にも悪影響を与えます。

採用担当者が退職者の補充に追われると、事業計画に沿った人材の採用や採用方法の見直しなど、ほかの業務に時間を割きにくくなります。

また、口コミサイトやSNSなどを通して退職者の体験が共有されれば、応募を検討している人の企業選びに悪影響を及ぼすでしょう。求職者から長く働きづらい企業だと認識され、採用に苦戦する要因となるかもしれません。早期離職の継続は、今後の応募者を確保できるかどうかも左右します。

次世代の人材が育ちにくくなる

従業員が十分な経験を積む前に早期離職すると、将来のリーダーや管理職を社内で育成しにくくなります。

管理職を担う人材を育てるには、日々の業務を通して知識やスキルを身につけるほか、後輩の指導やチームをまとめる役割など段階的に経験を積むことが必要です。

早期離職によってこのような経験を積める従業員が減ると、将来の管理職候補が不足します。目の前の欠員を補うだけでなく、将来必要となる人材を見据え、継続的に育成できる環境整備が大切です。

人材育成の目的や研修方法、研修を実施する際のポイントについては、以下の記事も参考にしてください。

早期離職防止における分析方法

早期離職を防ぐには、離職者数や離職率を確認するだけでなく、いつ・どの部署で・どのような理由から退職しているかの整理が必要です。退職理由を分析することで優先すべき課題が明確になり、効果的な改善策を検討できるようになります。

早期離職の原因の分析手法は、主に以下5つの方法があります。

早期離職防止における分析方法

  • 退職した時期を把握する
  • 退職理由を確認する
  • 部署別に離職状況を検証する
  • 従業員の声を確認する
  • 改善施策の効果を分析する

退職した時期を把握する

早期離職の原因を分析する際は、退職する時期によって見直すべき内容が異なるため、従業員が入社してからどのくらいの期間で退職したのかを確認しましょう。

  • 入社直後(~3ヶ月ほど):採用時に伝えた仕事内容と実際の業務に違いがなかったか、入社後の受け入れ体制に問題がなかったか
  • 配属後(3ヶ月〜1年ほど):業務量や仕事内容、上司・同僚との関係などに問題がなかったか
  • 一定の経験を積んだあと(1年以降):人事評価やキャリア形成などに課題がなかったか

退職した時期を継続して記録し、どの時期に離職が集中しているのかを把握することで、優先して見直すべき採用方法や人事施策を絞り込みやすくなります。

退職理由を確認する

退職理由を確認する際は、退職届に記載された内容だけでなく、退職に至った背景まで把握しましょう。退職届の記載は建前にとどまることが多いため、退職面談を実施して本音を引き出すことが有効です。

主に以下について確認します。

  • 仕事内容:担当業務や業務量に問題はなかったか
  • 人間関係:上司や同僚との関係で困っていたことはなかったか
  • 労働条件:勤務時間や休日、働き方に不満はなかったか
  • 人事評価:評価基準や評価結果に納得できていたか
  • キャリア:希望する業務や今後のキャリアとのズレはなかったか

退職理由を項目ごとに整理すると、同じ理由による退職が続いていないかを確認できます。複数の退職者に共通する傾向が見つかった場合は、採用方法や人事制度、職場環境など、見直すべき内容を特定する際の判断材料になります。

部署別に離職状況を検証する

企業全体の離職率のほかに、部署別に離職状況を確認しましょう。

全社の離職率が高くなくても、特定の部署に退職者が集中している場合があります。部署ごとに在籍人数・退職者数・離職率を比較し、どの部署で早期離職が多いのかを把握しましょう。

特定の部署で早期離職が多い場合は、退職した時期や退職理由も確認します。たとえば、業務量・人員配置・上司によるマネジメント・教育体制などに共通する課題がないかを調べると、部署単位で見直すべき内容を絞り込みやすくなります。

ただし、在籍人数が少ない部署では数値の扱いに注意が必要です。数値だけで部署間を比較せず、在籍人数・退職者数・退職理由などもあわせて確認して、実態を正確に把握しましょう。

従業員の声を確認する

退職者の情報のほかに、現在働いている従業員の声も確認しましょう。在職者の意見を集めると、退職には至っていないものの、仕事内容・業務量・人間関係・人事評価などに不満を抱えている従業員がいないかを把握できます。

従業員の声を集める主な方法は以下のとおりです。

  • 定期面談・1on1:仕事内容・業務量・人間関係などについて個別に確認し、従業員が抱えている悩みや困りごとを把握する
  • 従業員アンケート:共通する質問を複数の従業員に行い、部署や項目ごとの傾向を確認する

集めた意見は内容や部署ごとにわけて整理し、同じような意見が複数の従業員からあがっていないかを確認しましょう。たとえば、特定の部署で業務量への不満が多い場合は、人員配置や業務分担に問題がないかを検討します。

従業員の声と実際の職場環境を照らし合わせることで、早期離職につながる課題を特定しやすくなります。

改善施策の効果を分析する

早期離職を防ぐ施策を実施したあとに、離職状況に変化があったかを確認します。施策の実施前後で離職率・退職時期・退職理由などを比較すると、改善した内容や新しい課題を把握できます。

たとえば入社後の面談を増やした場合は、面談回数だけで判断せず「早期離職者が減ったか」「退職理由に変化があったか」まで確認しましょう。期待した変化が見られなければ、面談の時期や内容が離職の原因に合っているかを見直す必要があります。

分析結果をもとに施策を継続するか内容を変更するかを検討し、改善を繰り返していきましょう。

早期離職を防ぐ9つの方法

早期離職を防ぐには、入社後のフォローだけでなく採用前から入社後まで継続した取り組みが必要です。採用時のミスマッチを減らし、入社後も従業員が働き続けられる環境を整備しましょう。

早期離職を防ぐ主な方法は、以下の9つです。

早期離職を防ぐ9つの方法

  1. 求める人物像を明確にする
  2. カルチャーフィットを確認する
  3. 採用時に正確な情報を伝える
  4. インターンシップを実施する
  5. オンボーディングを充実させる
  6. メンター制度を実施する
  7. 人事評価制度を見直す
  8. キャリア形成を支援する
  9. 働きやすい職場環境を整える

1. 求める人物像を明確にする

早期離職を防ぐために、自社が求める人物像を明確にしてから採用活動を進めましょう。

必要なスキルや経験のほかに、担当する業務や期待する役割、仕事の進め方まで具体化します。たとえば、自律的に判断して動くことが求められる職種と、チームで密に連携しながら進める職種では、適性が異なります。採用後に任せる業務を踏まえて具体的な人物像を定めておくと、応募者が自社の仕事に合っているかを選考段階で判断しやすいでしょう。

また、求める人物像は採用担当者だけで決めず、配属予定部署とも共有します。採用担当者と配属予定部署の選考で重視するポイントをそろえることで、採用のミスマッチを防ぎやすくなります。

2. カルチャーフィットを確認する

採用時には、企業が大切にする価値観や仕事の進め方が、候補者の考え方と合っているかを見極めることが大切です。

自社の価値観に合うかは企業側だけで一方的に判断するのではなく、仕事の進め方・意思決定の方法・社内のコミュニケーションなどを候補者に具体的に伝えましょう。候補者にも、希望する働き方や職場環境を確認し、双方が入社後の働き方をイメージできるようにします。

ただし、自社と似た考え方の人だけを採用すると、組織内の視点や発想が似通い、新しい意見やアイデアが生まれにくくなります。価値観の一致だけを求めず、候補者が自社の環境で無理なく働けるかという視点で判断しましょう。

3. 採用時に正確な情報を伝える

採用時には、仕事内容や労働条件などを正確に伝えましょう。

自社のよい面だけを強調すると、入社後に実態との違いを感じ、早期離職につながるリスクがあります。候補者には、入社後の働き方を判断できるよう以下のような情報を伝えます。

  • 担当業務・役割:入社後に担当する仕事や求められる役割
  • 労働条件:勤務時間や休日、勤務場所などの働き方
  • 配属方法:配属先が決まる時期や決め方
  • 目標・評価基準:入社後に求められる成果や評価されるポイント

仕事の魅力だけでなく業務の難しさや繁忙期の状況なども伝えておくと、候補者が実際の働き方をイメージしたうえで入社を決断できます。企業と候補者の認識のズレを減らすことが、入社後のミスマッチを防ぐうえで大切です。

4. インターンシップを実施する

インターンシップを実施して、候補者が入社前に仕事内容や職場の雰囲気を知る機会を設けましょう。実際に働いてもらうことで、求人情報や面接だけでは伝わりにくい、業務の進め方や従業員同士の関わり方を確認してもらえます。

実施する際は、実際の仕事や職場環境をイメージできる内容にすることが大切です。従業員と一緒に業務の一部を体験する、仕事の進め方について説明を受けるなど、自社で働く姿をイメージできるようにしましょう。

企業側にとっても、候補者の仕事への取り組み方や、職場の雰囲気に馴染めそうかを見極める機会になります。入社前に双方の認識をすり合わせておくことで採用後のミスマッチを防ぎ、早期離職のリスクを減らせます。

5. オンボーディングを充実させる

入社後は、業務や職場に慣れるまで継続してフォローすることが重要です。入社初日に情報を詰め込みすぎず、業務の習得状況に合わせて段階的に支援しましょう。

早期離職の原因としては「業務内容や職場環境への適応失敗」「孤立感」「期待とのギャップ」などが挙げられます。オンボーディング(入社後の受け入れ支援)を充実させることで、不安や戸惑いを早期に解消し、新入社員が安心して業務に入れる環境をつくれます。

担当業務に必要な知識のほか、社内ルール・業務で使用するシステム・困ったときの相談先なども伝えましょう。さらに、入社後の面談で業務上の疑問や悩みを確認し、必要に応じて説明やサポートを行います。

わからないことを抱えたまま業務を進めることがないよう、入社後も状況を把握できる体制づくりが必要です。

6. メンター制度を実施する

メンター制度を設けると、新入社員が直属の上司以外にも仕事や職場について相談できるようになります。上司には話しにくい悩みも相談しやすくなり、業務上の悩みや人間関係の問題などを早い段階で把握できます。

制度を導入する際は、以下のような運用方法を共有しておきましょう。

  • 面談の頻度・相談内容:いつ、どのような内容を相談する場なのかを明確にする
  • メンターの役割:相談を受けた際に対応する範囲を決める
  • 人事担当者との連携方法:メンターだけでは対応できない問題があった場合の共有先や対応方法を決める

定期的に相談できる機会を設けることで、新入社員が悩みをひとりで抱え込まずに相談できる環境づくりにつながります。

7. 人事評価制度を見直す

人事評価への不満が早期離職につながっている場合は、評価基準や運用方法を見直しましょう。

まず評価シートを活用し、評価項目や求める成果の基準を従業員へ明示します。評価期間のはじめには上司と本人が面談する機会を設け、目標や期待する成果について認識を合わせるのも大切です。

評価時は、評価理由や改善すべき内容も具体的に伝えます。次の評価に向けて取り組むべきことが明確になれば、従業員が自分の課題を踏まえて行動しやすくなり、評価への納得感が高まるでしょう。

また、上司によって判断基準やフィードバックの内容に差が出ると、従業員の不公平感や評価制度への不信感につながります。評価者向けの研修を実施するほか、部署ごとの評価結果や運用状況を確認し、評価方法にバラつきがないか定期的な見直しが必要です。

8. キャリア形成を支援する

従業員が将来のキャリアを考えられるよう、企業が継続して支援することも早期離職の防止につながります。まずは定期的な面談を通して、本人が身につけたいスキルや希望する業務、目指す役割を確認しましょう。

本人の希望を把握したうえで、必要に応じて以下のような機会を設けます。

  • 研修への参加:目指すキャリアに必要な知識やスキルを身につける
  • 新しい業務への挑戦:現在の業務とは異なる経験を積み、担当できる仕事の幅を広げる
  • 配置転換:希望する業務や役割に応じて、経験を積める部署への異動を検討する

本人が目指すキャリアと社内で経験できる業務のすり合わせが大切です。「この会社にいれば成長できる」と感じられる環境が、離職防止につながります。

9. 働きやすい職場環境を整える

早期離職を防ぐには、従業員が無理なく働き続けられる職場環境を整えるのも大切です。

職場環境を見直す際は、以下のような方法があります。

  • 長時間労働の防止:勤怠データから残業時間を確認し、残業が集中している部署や従業員の業務量を調整する
  • 業務の偏り改善:担当業務や作業時間を可視化し、特定の従業員に仕事が集中している場合は業務分担や人員配置を見直す
  • 休暇の取得奨励:有給休暇の取得状況を確認し、取得率が低い部署では業務の割り振りや休暇取得時のフォロー体制を見直す
  • 柔軟な働き方の推進:テレワークやフレックスタイム制の利用状況を確認し、申請手続きや上司の判断によって利用しにくくなっていないかを調べる
  • 管理職のマネジメント力の向上:管理職向けの研修や面談を実施し、部下の業務量や働き方を把握できる体制を整える

職場環境の改善とともに、従業員ごとのスキルや経験、希望するキャリアを把握しておくと、それぞれの状態に応じた人員配置や育成を検討できます。

従業員の情報を継続的に把握し、配置や育成を判断するには、情報を一元化できる仕組みの整備も重要です。一元管理を検討している場合は、「freee タレントマネジメント」をご活用ください。

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早期離職への対策を行うときの注意点

早期離職への対策では離職の原因を踏まえて施策を進めることが大切です。退職者だけでなく在籍している従業員の状況も確認し、実施した施策が自社の課題に合っているのかを定期的に見直しましょう。

早期離職を防ぐ際は、以下のようなことに注意が必要です。

早期離職への対策を行うときの注意点

  • 離職率低下だけを意識しない
  • 退職者だけを分析対象にしない
  • 施策を一度実施して終わりにしない

離職率低下だけを意識しない

早期離職への対策では、離職率を下げることだけを目標にしないことが大切です。

離職率が下がっていても、従業員が仕事内容・人事評価・職場環境などに不満を抱えていれば、課題が解消されたとはいえません。たとえば、転職市場の冷え込みや景気の悪化により「辞めたくても辞められない」状況になっている場合も、数値上では離職率が低下します。

重要なのは、従業員が「この会社で働き続けたい」と感じているかどうかです。離職率という結果の数値だけでなく、従業員の満足度や職場環境の実態を把握することが早期離職対策の本質です。

退職者だけを分析対象にしない

早期離職の原因を分析する際は、現在働いている従業員の状況も確認しましょう。退職理由だけを分析しても、職場に残っている課題や在職者が抱えている不満までは把握できません。

在職者への面談やアンケートを通じて、以下について確認します。

  • 仕事内容:業務の難易度や裁量の範囲に不満はないか
  • 業務量:残業や業務負荷が過剰になっていないか
  • 人間関係:上司・同僚との関係で悩みを抱えていないか
  • 人事評価:評価基準が不明確・不公平と感じていないか

特定の部署で同じ不満を抱えている従業員が複数いる場合は、個人の問題ではなく組織的な課題であるサインです。該当部署の管理職へのヒアリングや業務量の実態調査を行い、業務の偏りや職場環境に改善すべき点がないかを確認しましょう。

施策を一度実施して終わりにしない

早期離職を防ぐ施策は、一度実施して終わりではなく、定期的に見直すことが大切です。従業員の構成や仕事内容、職場の状況が変われば、これまでの施策が合わなくなる可能性があるためです。

施策を見直す際は、一定期間ごとに以下の流れで状況を確認します。

  1. データの確認:離職率・退職時期・退職理由の変化を集計する
  2. 原因の分析:想定した結果が出ていない場合、施策の内容・対象者・実施時期のどこに課題があるかを特定する
  3. 施策の修正:分析結果をもとに、内容の変更や対象者の拡大・絞り込みを行う
  4. 再検証:修正後も同じ期間で効果を確認し、改善を繰り返す

たとえば、オンボーディングや面談制度を導入しても想定した結果が得られていない場合は、実施する時期や内容、対象者などを見直しましょう。退職者へのヒアリングや在籍者へのアンケートも組み合わせると、数値だけでは見えない原因を把握しやすくなります。

従業員エンゲージメントを高め、組織を活性化する福利厚生とは


「優秀な人材の定着」「生産性の向上」といった組織課題の解決に向けて、新たな施策をお探しではありませんか


これらの課題解決の鍵として、今「福利厚生」のあり方が見直されています。

しかし、制度設計の手間やコストを考えると、すぐに行動に移すのは難しいと感じる方も少なくありません。そこで近年、選択肢として広がっているのが、アウトソーシング型の福利厚生サービスです。

月額400円から、最短即日で導入が可能

福利厚生サービス「freee福利厚生ベネフィットサービス」なら、 月額400円から、最短即日で導入が可能 です。制度設計や運用の手間もかからないため、専任の担当者がいなくてもすぐに始めることができます。


提供されるのは、全国10万店舗以上の優待や、カフェ・コンビニ・ネットショッピングなどで使えるデジタルギフト。誰もが日常的に使えるサービスなので、全従業員が公平にメリットを実感し、満足度の向上に直結します。

満足度向上と採用活動のアピールポイントに

採用活動でのアピールポイントとなり、エンゲージメント向上にも繋がる福利厚生。

気になった方は是非、 福利厚生サービス「freee福利厚生ベネフィットサービス」をお試しください。

まとめ

早期離職の防止は、ただのコスト削減ではなく、採用・育成への投資を長期的に活かすための取り組みです。継続的に取り組むことで、組織全体の安定と成長につながります。

早期離職を防ぐには、離職率・退職した時期・理由・部署ごとの傾向・在籍している従業員の声などを確認し、離職につながる原因の把握が必要です。原因が特定できれば、採用時の情報提供・オンボーディングなど、打つべき施策が絞り込めます。

また施策を実施したあとも、自社の課題に合わせて改善を続けていきましょう。

人事労務に関する情報を一元管理し、勤怠管理や給与計算、入社手続きなどの業務をまとめて効率化したい場合は、「freee人事労務」をご検討ください。

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よくある質問

早期離職の期間は?

早期離職に該当する期間について、法律上の明確な定義はありません。新卒社員については、厚生労働省が新規学卒就職者の就職後3年以内の離職状況を継続して公表しているため、入社後3年以内がひとつの目安になります。

一方、中途社員には共通の目安はありません。自社で早期離職を分析する場合は、採用や人材育成の方針に応じて対象期間を設定し、離職者数や退職理由を確認しましょう。

詳しくは、記事内「早期離職とみなされる期間の目安」をご覧ください。

若い世代が辞める理由は何ですか?

若い世代の離職理由を、世代特有の価値観だけで判断するのは適切ではありません。厚生労働省の調査では、15~34歳の若年労働者が初めて勤務した企業を辞めた主な理由として、以下の理由が多くなっています。

退職理由割合(%)
労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった28.5
人間関係がよくなかった26.4
賃金の条件がよくなかった21.8
仕事が自分に合わない21.7

仕事内容や労働条件、人間関係などに共通する課題がないかを分析し、自社で見直すべき事象を特定しましょう。

詳しくは、記事内「早期離職防止における分析方法」をご覧ください。

参考文献

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