人事管理の基礎知識

組織開発とは?目的や必要とされる背景・5つの手法と成功に導く7つのステップを解説

組織開発とは?目的や必要とされる背景・5つの手法と成功に導く7つのステップを解説

組織開発とは、組織が抱える課題を解決し、活性化を目指す取り組みです。従業員同士の関係性や組織の仕組みなどに働きかけ、組織の課題解決につなげることが可能です。

近年は人材や働き方の多様化により、コミュニケーション不足・部門間の連携不足・従業員エンゲージメント低下など、企業が抱える課題が複雑になっています。

本記事では、組織開発の目的や必要とされる背景、代表的な5つの手法、成功に導く7つのステップを解説します。

目次

人事労務のすべてをfreeeひとつでシンプルに

freee人事労務は、入社手続きで取得した従業員ごとの保険料・税金と、打刻情報とを紐づけて自動で給与計算し、給与明細も自動で発行します!

ぜひ一度ご覧ください!

組織開発とは

組織開発とは、従業員同士の関係性・コミュニケーション・組織文化・制度などに働きかけ、組織がよりよく機能する状態を目指す取り組みです。個人の能力だけに原因を求めるのではなく、組織内の関係性や仕組みを含めて課題を捉えるのが特徴です。

具体的には、組織の現状をサーベイやヒアリングなどで把握して課題を特定したうえで、対話の促進・業務プロセス・制度の見直しを行います。

組織開発の目的

組織開発の目的は、従業員が共通の目標に向かって協力し、それぞれの力を発揮できる状態をつくることです。

従業員一人ひとりが高い能力をもっていても、情報共有が滞っていたり部門間で連携できなかったりすると、組織全体として十分な力を発揮できない場合があります。そのため、人間関係・組織文化・業務の仕組みなどに目を向けることが必要です。

組織が抱える課題を継続的に見直すことで、従業員が協力しやすい環境を整え、組織としての目標達成につなげます。

人材開発との違い

組織開発と人材開発では、課題解決のために働きかける範囲が異なります。

主な違いは、以下のとおりです。

主な対象目的主な取り組み
組織開発・人間関係
・組織の仕組み
・組織風土
・組織内の関係性や仕組みに関する課題の改善・組織サーベイ
・1on1
・チームビルディング など
人材開発・従業員一人ひとり・知識・スキル・能力向上・OJT
・研修
・eラーニング など

どちらを取り入れるかは、課題の原因を踏まえて判断しましょう。たとえば、営業部門が他部門と情報共有できていない場合は、連携方法を見直す組織開発が必要です。一方、営業担当者の商品知識が不足している場合は、研修といった人材開発が適しています。

課題によっては、組織開発と人材開発を組み合わせて取り組む場合もあります。

組織開発が必要とされる背景

組織開発が必要とされる背景には、企業を取り巻く環境の変化があります。従業員の価値観や働き方が変化するなかで、これまでと同じ組織運営では対応が難しい課題が生じています。

組織開発の必要性が高まっている背景を、以下の4つの観点から整理します。

組織開発が必要とされる背景

  • 人材の多様化が進んでいる
  • 働き方の多様化が進んでいる
  • 従業員のエンゲージメントが重視されている
  • 組織変化への対応力が求められている

人材の多様化が進んでいる

企業では人材の多様化が進み、異なる背景をもつ人材が一緒に働く機会が増えています。主に以下のような違いによって、業務の進め方や情報共有に対する考え方が異なる場合があります。

  • 職歴や経験
  • 雇用形態
  • 国籍や文化的背景
  • 仕事に対する価値観

認識のズレを放置すると意思疎通が難しくなり、業務上の連携にも影響しかねません。多様な人材が協力して働くためには、お互いの考え方を共有する機会を設けることで、認識をすり合わせられる環境の整備が必要です。

そのため、人材構成の変化に合わせて関係性や仕組みを見直す組織開発が求められています。

働き方の多様化が進んでいる

テレワークの普及や勤務制度の拡充により、働く場所や時間の選択肢が広がっていることも組織開発が求められる理由のひとつです。代表的な働き方や制度は、以下のとおりです。

  • テレワーク
  • フレックスタイム制
  • 時短勤務
  • 副業・兼業

勤務場所や時間帯が異なると、対面での会話や相談の機会が減少します。たとえば、出社している従業員だけで話が進むとテレワーク中の従業員に必要な情報が届かず、業務に支障が生じるでしょう。

働き方の選択肢の増加に対応して、情報共有の方法や連絡手段のルールを整えることが必要です。組織開発には、勤務環境に左右されず業務を進められる体制づくりが求められます。

従業員のエンゲージメントが重視されている

人材の流動化や働き方の多様化が進むなか、「従業員が組織に対してどのような意識をもち、仕事に取り組んでいるのか」が重視されます。その指標のひとつが従業員エンゲージメントです。

従業員エンゲージメントとは、従業員が企業の理念や目標に共感し、自発的に貢献しようとする意欲を示す概念です。

給与や福利厚生などの待遇だけでなく、自分の仕事と企業の目標のつながりや、組織内の人間関係なども関係します。そのため、従業員と組織との関係性を見直す組織開発の重要性が高まっています。

組織変化への対応力が求められている

企業には、市場環境や顧客ニーズ、テクノロジーの変化に伴い、事業戦略や業務の進め方の見直しが求められています。

しかし新たな戦略や制度を導入するだけでは、従業員の理解が追いつかなかったり従来の仕事の進め方が残ったりし、組織全体に変化が定着しないリスクがあります。

環境の変化に継続して対応するには、従業員の意識や組織内の関係性に目を向けることが大切です。このような背景から、組織そのものの変化を促す組織開発が求められています。

自社に必要?組織開発を検討すべきケース

組織が抱える課題によって、組織開発が必要か否かは異なります。課題を解決するために組織内の関係性や仕組みを改善する必要がある場合は、組織開発の実施を検討しましょう。

具体的に、組織開発を検討すべきケースは以下のとおりです。

組織開発を検討すべきケース

  • 従業員同士の信頼関係が築けていない
  • 部門間の連携が不足している
  • 会議で率直な意見が出てこない
  • 人事施策が形骸化している
  • 従業員エンゲージメントが低下している

従業員同士の信頼関係が築けていない

従業員同士の信頼関係が築けていない場合は、組織開発を検討するタイミングのひとつです。職場で対立が起きていなくても、日々の行動に問題が表れていることがあります。

たとえば、以下のような状態が続いていないかを確認しましょう。

  • 困っていても周囲に相談しない
  • ミスや失敗を報告しにくい
  • 必要な情報が特定の従業員にとどまっている
  • 相手の意図を確認せずに判断する
  • 担当外の業務には協力しない

信頼関係が築けていない状態を放置すると、問題の発見が遅れたり、業務が属人化したりする原因になります。該当する行動が複数見られるときは、従業員同士の関係性を確認し、信頼関係を築くための取り組みを検討しましょう。

部門間の連携が不足している

部門ごとに業務が完結しており、ほかの部門との連携が不足している場合、組織開発を検討しましょう。各部門において自部門の目標や都合を優先すると、組織全体の業務に影響する可能性があります。

たとえば、以下のような状況が繰り返されていないかの確認が大切です。

  • 部門間で必要な情報が共有されていない
  • 同じ案件について部門ごとに認識が異なる
  • 部門をまたぐ業務の担当者や責任範囲が曖昧になっている
  • 部門間の確認や調整に時間がかかっている
  • 問題が発生した際に責任の所在が曖昧になる

このような状況が続いているときは、部門間の役割分担や業務プロセスに課題がないかを確認する必要があります。

会議で率直な意見が出てこない

会議で発言する人が限られていたり、賛成意見ばかりが目立ったりする場合は、組織内の関係性に問題がないか確認しましょう。

従業員が発言を控える背景には、以下のような要因が考えられます。

  • 上司や周囲から否定されることへの不安がある
  • 発言による人事評価への影響を懸念している
  • 役職や立場によって発言しにくい雰囲気がある
  • 意見を出しても反映されないと感じている

このような状況では、現場が把握している問題や改善案が経営層まで届きにくくなります。会議で率直な意見が出ない状態が続いている場合は、組織風土や人間関係に原因がないかを確認しましょう。

人事施策が形骸化している

1on1や従業員サーベイ、社内研修などを実施しても変化が見られないときは、施策が形骸化している可能性があります。制度を導入しただけでは、組織の課題は解消されません。

たとえば、以下のような状態が続いていないかを確認しましょう。

  • 1on1が業務の進捗確認だけで終わっている
  • サーベイを実施しても結果が活用されていない
  • 研修で学んだ内容を実践する機会がない
  • 施策を続けているものの、実施する目的が従業員に共有されていない

該当する項目がある場合は、運用方法に課題があるかもしれません。組織開発を通して現状を把握し、施策が機能していない原因を特定しましょう。

従業員エンゲージメントが低下している

従業員エンゲージメントの低下は、組織開発を検討するサインのひとつです。仕事への意欲が下がっている原因は、職場環境・人間関係・マネジメントなど多岐にわたります。

たとえば、以下のような変化が見られないかを確認しましょう。

  • 自発的な提案や発言が減っている
  • 社内の取り組みへの参加率が下がっている
  • 欠勤や遅刻が増えている
  • 離職者や転職を検討する従業員が増えている

複数の兆候が重なっているときは、サーベイやヒアリングなどを通して背景にある原因を特定します。その結果をもとに、優先して見直すべき課題を整理することが必要です。

自社のエンゲージメント状況を数値で可視化したい場合は、エンゲージメントサーベイの活用が有効です。導入する目的や活用方法については、以下の記事を参考にしてください。

組織開発に活用できる代表的な5つの手法

組織開発では、自社が抱える課題に応じた手法を選びましょう。たとえば、組織の現状を把握したいときと従業員同士の関係性を見直したい場合とでは、適した方法が異なります。

組織開発に活用される代表的な5つの手法は、以下のとおりです。それぞれの特徴や活用方法を解説するので、自社に合う施策を選びましょう。

組織開発に活用できる代表的な5つの手法

  • 組織サーベイ|組織の課題を可視化する
  • 1on1|従業員への理解を深める
  • チームビルディング|信頼関係を構築する
  • ワールドカフェ|対話を活性化する
  • 7S|組織の課題を整理する

1.組織サーベイ|組織の課題を可視化する

組織サーベイとは、従業員へのアンケートを通して、組織の状態や課題を把握する手法です。経営層や人事部門の認識だけで判断せず、従業員が職場をどのように捉えているかを確認できます。

調査の項目によって目的は異なりますが、主に以下のような内容が挙げられます。

  • 上司や同僚との関係性
  • 業務量や働きやすさ
  • マネジメントへの評価
  • 評価制度への納得度
  • 組織や仕事に対する意識

回答結果を部署や役職などの属性ごとに比較すると、課題が生じている範囲を特定しやすくなるでしょう。数値だけでは原因を判断できないときは、従業員へのヒアリングも組み合わせて背景を確認します。

組織サーベイの種類や実施方法、結果の活用方法については、以下の記事も参考にしてください。

また、組織の状態や従業員の意識を継続的に把握したい場合は、「freee サーベイ」も活用できます。匿名回答によって従業員の本音を収集しやすいほか、AIが離職リスクの高い従業員を自動で特定します。「freee人事労務」とも連携できるため、サーベイの回答だけでは捉えにくい変化を含めて組織の状態を確認できるでしょう。

2.1on1|従業員への理解を深める

1on1とは、上司と部下が定期的に1対1で対話するミーティングです。組織開発では、従業員が抱えている悩みや考え方を把握し、相互理解を深めるために活用します。

1on1では、以下のようなテーマについて話し合います。

  • 現在の業務で困っていること
  • 職場の人間関係やチームに対する考え
  • 上司に求める支援
  • 今後取り組みたい仕事
  • キャリアに関する希望

上司には、部下の話を聞き、従業員の考え方を引き出す姿勢が求められます。定期的に対話することで、日常業務だけでは把握しにくい変化や課題に気づきやすくなり、必要な支援を検討しやすくなります。

1on1の実施目的や進め方、具体的な質問例については、以下の記事で詳しく解説しています。

3.チームビルディング|信頼関係を構築する

チームビルディングとは、メンバー同士の相互理解を深め、協力して目標を達成できるチームをつくる取り組みです。お互いの考え方や得意分野を知ることで、それぞれの強みを活かした役割分担や連携につなげられます。

具体的な取り組みには、以下のような内容があります。

  • チームの目標や役割について話し合う
  • メンバー同士で仕事に対する価値観を共有する
  • グループワークで共同作業に取り組む
  • 各自の強みや得意分野を共有する

実施後は、「メンバー同士の相談や協力が増えたか」「役割分担が円滑になったか」など日常業務での変化を確認しましょう。

取り組みを一度きりで終わらせると、実施後に得られた気づきや課題が日常業務に反映されず、継続的に活用されないおそれがあります。確認した課題をチーム運営に反映して、必要に応じて取り組みを見直す体制が大切です。

4.ワールドカフェ|対話を活性化する

ワールドカフェとは、少人数のグループに分かれ、メンバーを入れ替えながら対話を重ねる手法です。カフェのようなリラックスした雰囲気のなかで、設定したテーマについて参加者同士が意見を交わします。

4~5人でグループをつくって一定時間対話したあと、メンバーを入れ替えて同じテーマについて話し合うのが一般的です。複数のグループを行き来することで、部署や役職などが異なる参加者の考え方に触れられます。

対話を通して得られた意見やアイデアは、最後に参加者全員で共有しましょう。組織内にあるさまざまな考え方を集め、新たな施策の検討や組織課題の解決に活かせるようになります。

5.7S|組織の課題を整理する

7Sとは、組織を7つの要素に分け、それぞれの関係性から課題を整理するフレームワークです。7つの要素は「ハードの3S」と「ソフトの4S」に分類されます。

分類要素確認する内容
ハードの3SStrategy(戦略)事業の方向性や競争戦略
Structure(組織構造)部門構成や権限、役割分担
System(システム)人事評価や業務プロセスなどの制度・仕組み
ソフトの4SShared Value(共通の価値観)組織で共有されている理念や価値観
Staff(人材)人材構成や配置
Skill(スキル)組織や従業員がもつ能力や専門性
Style(経営スタイル)経営やマネジメントの方針・特徴

7Sでは、各要素を個別に確認するほかに、お互いに整合しているかを確認します。たとえば、新たな戦略を掲げても、実行に必要な人材やスキルが不足していれば、計画どおりに進まないかもしれません。

7つの観点から現状を整理していくと、どの要素に課題があるのか、何を優先して見直すべきかを検討しやすくなります。

組織開発を進める7つのステップ

組織開発は、自社の課題を把握したうえで、目的に合った施策を選択して実施する必要があります。課題を整理せずに施策を始めると、解決すべき問題と取り組みの内容が合わず、期待した変化を得られません。

また施策の実施後は、結果を確認し必要に応じて内容を見直しましょう。組織開発を進める基本的な流れを、7つのステップに分けて解説します。

組織開発を進める7つのステップ

  1. 組織の理想像を明確にする
  2. 現状を把握する
  3. 解決すべき課題を特定する
  4. 適切な施策を選定する
  5. 小規模な範囲から実施する
  6. 施策の効果を検証する
  7. 改善しながら対象を広げる

1. 組織の理想像を明確にする

組織開発に取り組む際は、まずは自社が目指す組織の状態を明確にします。理想像を具体化しておくと、次のステップで現状との差を把握し、取り組むべき課題を判断しやすくなります。

たとえば部門間の連携を強化するといった抽象的な目標では、目指す状態を判断できません。そのため、複数の部署が関わる案件で担当者や役割を明確にし、従業員の行動・職場の状態まで具体化する必要があります。

理想像を決めるときは、必要に応じて現場の責任者も交えて認識をそろえましょう。立場による認識のズレを把握し、組織全体で目指す方向性を共有します。

2. 現状を把握する

理想とする組織の状態を明確したら、現状を把握しましょう。担当者の印象だけで判断すると、課題の原因を正しく捉えられず、適切な対策を選びにくくなります。

現状を確認する主な方法は、以下のとおりです。

  • 組織サーベイで従業員の認識や傾向を数値で確認する
  • 従業員へのヒアリングで数値だけではわからない背景を聞き取る
  • 会議や日常業務の様子から、実際の行動や連携状況を確認する
  • 他部署や取引先からのフィードバックを確認する

複数の方法を組み合わせると現状の背景が整理しやすくなります。集めた情報とともに、理想像と現状の差を具体的に洗い出しましょう。

3. 解決すべき課題を特定する

集めた情報をもとに、解決すべき課題を特定しましょう。表面に現れている問題だけに対応すると根本的な原因が残ったままになり、同じことが繰り返される可能性があります。

原因を整理する際は、主に以下の観点から確認します。

  • 従業員個人の知識やスキルに課題があるか
  • 上司や同僚との関係性に問題があるか
  • 部門間の役割分担や連携に不備があるか
  • 人事制度や業務の仕組みに見直す内容があるか

たとえば部門をまたぐ業務で対応の遅れが生じているときは、役割分担や承認フローに原因がないかを探します。複数の原因が考えられる場合は影響の大きさや緊急度を整理し、優先して取り組むべき課題を絞り込みましょう。

4. 適切な施策を選定する

解決すべき課題を特定したら、その原因に沿った施策を選定しましょう。

「他社で成果が出た」「有名企業が導入している」という理由だけを基準にすると、自社の課題に合わず、期待した変化につながらない場合があります。同じ施策でも、組織によって課題の原因や対象者、実施できる体制は異なるためです。

施策を選ぶ際は、以下の項目を整理しましょう。

  • 解決したい課題:施策によって何を改善するのか明確にする
  • 施策の対象となる従業員や部署:誰に働きかける必要があるのか特定する
  • 実施する期間や頻度:継続して運用できる計画を立てる
  • 施策によって目指す変化:実施後にどのような状態を目指すのか共有する
  • 効果を確認するための指標:施策による変化を客観的に判断できるようにする

すべてを一度に実施するのではなく、課題との関連性や実施に必要な負担を比較して、優先順位を決めます。

5. 小規模な範囲から実施する

選定した施策は、特定の部署やチームに対象を絞って試験的に実施しましょう。

最初から全社で導入すると、運用上の問題が見つかった際に影響範囲が広くなるため、修正に時間や手間がかかります。対象を限定すると、実際に施策を運用した際の課題や参加者の反応を確認しやすくなります。問題点を全社展開の前に把握できれば、実施方法や運用ルールを修正し、より自社に合った内容に整えることが可能です。

小規模に始めるときは、以下の内容をあらかじめ決めておきます。

  • 対象となる部署や従業員
  • 実施期間や頻度
  • 運営する担当者
  • 参加者への説明方法
  • 実施状況を記録する方法

実施した内容や現場で生じた問題を記録するなど、次の効果検証に活用する準備も並行して進めましょう。

6. 施策の効果を検証する

施策を実施したら、選定時に設定した指標をもとに効果を検証します。実施回数や参加人数だけでは、解決したい課題に変化があったかまでは判断できません。

検証項目は、施策の目的に合わせて設定する必要があります。たとえば部門間の連携改善を目的とした施策であれば、問い合わせへの対応時間や、部門をまたぐ業務で発生したトラブル件数を実施前後で比較できます。

数値だけでは変化を捉えにくい部分は、参加者へのヒアリングで補いましょう。設定した指標と現場の声を照らし合わせると、改善が見られた内容と引き続き対応が必要な課題を整理できます。

7. 改善しながら対象を広げる

効果検証で課題が見つかった際は、実施方法を見直したうえで対象範囲を広げましょう。特定の部署で成果が得られても、業務内容や人員構成が異なる部署で同じ結果になるとは限りません。

見直す項目として、以下の内容が挙げられます。

  • 実施する頻度や期間
  • 参加する従業員の範囲
  • 施策の進め方
  • 従業員への説明内容
  • 運営を担当する人員や体制

修正後は別のチームや部署へ段階的に展開し、新たな対象でも課題の改善につながっているかを確認する必要があります。展開先で新たな問題が見つかれば、その結果を次の見直しに反映させます。

このように実施・検証・改善を繰り返すことで、組織の状況に合わせて施策を継続的に運用できる体制を整えます。

組織開発を成功させるポイント

組織開発では、従業員の理解や協力を得ながら取り組む必要があります。進め方に問題があると、施策への参加が形式的になったり、現場の実態を十分に反映できなかったりします。

組織開発を継続するために、組織内で定着させておきたい5つのポイントを押さえておきましょう。

組織開発を成功させるポイント

  • 施策の実施を目的にしない
  • 従業員が参加する目的を共有する
  • 安心して意見を出せる環境をつくる
  • 従業員から集めた意見を放置しない
  • 経営層を巻き込んで取り組む

施策の実施を目的にしない

組織開発では、施策を計画どおりに実施できたことを成果と捉えないようにしましょう。

組織サーベイの回答率や研修の参加率が高くても、当初の課題が解決されていなければ施策の目的を達成したとはいえません。実施状況を確認する指標と、組織の変化を把握する指標は分けて考えることが大切です。

参加率や実施回数のほかに、施策を始める前に設定した目標にどの程度近づいたかを確認してください。期待した変化が見られなければ、施策を続けることにこだわらず、内容や進め方を見直す必要があります。

従業員が参加する目的を共有する

組織開発の施策を始める前に、参加する従業員へ目的を共有しましょう。十分な説明がないまま参加を求めると、人事部門から指示された業務と受け取られ、率直な回答や積極的な参加を得にくくなります。

従業員には、主に以下のような内容を伝えます。

  • 施策を実施する背景
  • 解決したい組織の課題
  • 従業員に参加してもらう理由
  • 集めた意見や回答の活用方法
  • 施策を通じて目指す組織の状態

目的や意見の活用方法まで事前に共有することで、従業員は自分が施策に参加する意味を理解でき、率直な意見の獲得や前向きな参加につながります。

安心して意見を出せる環境をつくる

従業員から率直な意見を集めるには、発言しやすい環境整備が必要です。発言した内容がどのように扱われるのかを明確にし、参加者の不安を減らしましょう。

具体的な取り組みとして、以下のような内容が挙げられます。

  • サーベイの匿名性や回答結果の取り扱いを事前に説明する
  • 意見の内容によって人事評価で不利益を受けないことを伝える
  • 対話の場では、発言を途中で遮らないルールを設ける
  • 賛成・反対にかかわらず、意見を最後まで聞く
  • 上司や役職者だけに発言が偏らない進め方を取り入れる

このようなルールは事前に参加者へ共有し、実際の運用でも厳守しましょう。従業員が発言後の不利益を心配せず安心して意見を出せる環境が整うことで、経営層が把握しきれていない現場の実態が浮き彫りになり、組織開発の精度が高まります。

従業員から集めた意見を放置しない

サーベイや対話を通じて従業員から意見を集めたら、その内容を施策や職場環境の改善に反映させましょう。

意見を集めたまま対応や説明を行わなければ、従業員が施策に参加する意義を感じにくくなり、次回以降の積極的な協力を得にくくなります。そのため集めた意見を整理したうえで、対応する課題や今後の方針を従業員へ共有しましょう。すぐに対応できない課題についても、実施が難しい理由や今後の検討方針を伝えると従業員の納得感につながります。

全社メールや社内報、チームミーティングなど、従業員へ伝わりやすいチャネルで返すことを意識しましょう。

経営層を巻き込んで取り組む

組織開発は人事部門だけで進めず、経営層も巻き込んで進めましょう。組織構造・人員配置・社内制度の見直しには経営判断が必要になることもあるため、人事部門だけでは対応できる範囲が限られてしまいます。

経営層は、主に以下の役割を担います。

  • 組織開発の方針や目指す方向を社内へ発信する
  • 部門を越えた課題について意思決定する
  • 施策に必要な人員や予算を確保する
  • 現場から集まった意見を経営判断に反映する

人事部門は、組織が抱える課題・施策の進捗・検証結果を経営層と定期的に共有する必要があります。経営層は意思決定や社内への発信を担い、人事部門や現場と連携できる体制を整えることで、組織全体で改善に取り組みやすくなります。

組織を運営するうえで欠かせないマネジメントの役割や必要なスキルについては、以下の記事も参考にしてください。

まとめ

組織開発とは、従業員同士の関係性や組織の仕組みに働きかけ、企業が抱える課題の解決を目指す取り組みです。個人の知識やスキルだけに原因を求めず、人間関係・組織風土・制度など幅広い観点から課題を捉えます。

取り組む際は、自社が目指す組織の状態と現状との差を把握し、解決すべき課題に沿った施策を選定することが大切です。施策の実施後も変化を確認し、改善を重ねながら継続しましょう。

組織開発を進めるには、従業員に関する情報を適切に管理し人事施策に活用できる環境整備が欠かせません。「freee 人事労務」では勤怠や給与、人事情報などを一元管理できます。

複数の情報をまとめて管理することで人事労務業務の負担を軽減し、従業員や組織に向き合う業務へ時間を充てやすくなります。組織づくりを支える人事労務の基盤を整えるのに最適です。

よくある質問

組織開発とは何ですか?

組織開発とは、従業員同士の関係性や組織の仕組み、組織風土に働きかけ、企業が抱える課題解決を目指す取り組みです。

従業員個人の知識やスキルの向上を中心とする人材開発とは異なり、組織開発では人間関係や業務の進め方、社内制度など組織全体に関わる要素にも目を向けます。組織の現状や課題を把握したうえで必要な施策を取り入れ、組織が目指す状態に近づけていきます。

詳しくは、記事内『組織開発とは』をご覧ください。

組織開発の目的は何ですか?

組織開発の目的は、従業員が共通の目標に向かって協力し、それぞれの力を発揮できる組織をつくることです。

企業が成果を上げるには、人間関係・役割分担・業務の仕組みが適切に機能している必要があります。組織全体の状態を捉えて課題を明らかにし、必要な改善を重ねながら組織の改善を目指しましょう。

詳しくは、記事内『組織開発の目的』をご覧ください。

組織開発の手順は?

組織開発は、目指す組織の状態を定め、現状との違いを把握したうえで施策を進めます。基本的な手順は、以下の7つです。

  • 組織の理想像を明確にする
  • 現状を把握する
  • 解決すべき課題を特定する
  • 適切な施策を選定する
  • 小規模な範囲から実施する
  • 施策の効果を検証する
  • 改善しながら対象を広げる

一度の実施で終わらせず、検証結果とともに施策を見直しながら継続的に実施しましょう。

詳しくは、記事内『組織開発を進める7つのステップ』をご覧ください。

給与計算ソフト「freee人事労務」給与計算自動化

今なら30日間無料でお試し可能
登録はメールアドレスのみ