人事管理の基礎知識

MBO(目標管理制度)とは?導入のメリットや注意点、運用の流れをわかりやすく解説

MBO(目標管理制度)とは?導入のメリットや注意点、運用の流れをわかりやすく解説

MBO(Management by Objectives)とは、組織や個人の目標を設定し、その達成度合いによって評価を行う経営管理手法のひとつです。日本語では「目標管理制度」とも呼ばれます。

本記事では、MBOの基本知識や運用方法、メリット・注意点を解説し、効果的な目標設定のポイントもご紹介します。

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MBO(目標管理制度)とは

MBO(Management by Objectives)とは、組織や個人の目標を設定し、その達成度合いによって評価を行う経営管理手法のひとつです。日本語では「目標管理制度」とも呼ばれます。

企業の経営目標や方針を社員一人ひとりの具体的な目標へと落とし込み、その達成度をもとに評価を行う点が特徴です。社員が自らの目標を通じて組織全体の方向性とつながるため、自身の成果が企業の成果に直結しているという実感を得やすくなります。

また、MBOが適切に運用されていれば、目標の達成・未達成が明確になり評価の透明性が高まります。その結果、社員のモチベーション向上や組織の生産性向上、目標達成に向けた管理体制の強化につながるでしょう。

なお、MBOでは誰が見ても理解できる具体的かつ測定可能な目標を設定することが重要です。

たとえば、目標設定の際は「営業・販売」など目標数値が入れやすいケースと、「事務職」のように数値に落とし込みにくいケースにわかれることがあります。その場合は、下表のように数値化できる目標を設定できるかどうかが、MBOの質を左右します。

目標数値が入れやすいケース
営業職や販売職など
目標数値が入れにくいケース
事務職など
・毎月の売上目標を前年比10%以上増やす
・新規顧客の獲得数を月平均で20%増やす
・既存顧客からのリピート購買率を前年比5%以上増やす
・顧客からのフィードバックを収集し、改善提案を月ごとに3つ以上提出する
・文書のデジタル化率を100%に向上させる
・ミーティングの議事録を正確に作成し、遅延や漏れをゼロにす

MBO(目標管理制度)と混同されやすい用語

MBOと混同されやすい用語には、以下のものがあります。

MBO(目標管理制度)と混同されやすい用語

  • OKR(目標と主要な成果)
  • KPI(重要業績評価指標)

それぞれの意味を正しく理解するためには、「制度として何を目指すのか」「誰の目標として運用するのか」「目標達成率をどのように設定・評価するのか」といった観点で理解しておく必要があります。

MBOとOKRの違い

MBOは、個人単位で目標を設定し、その達成度を評価に反映させる人事評価型の目標管理制度です。目標は原則として100%での達成を前提に設定されます。

OKR(目標と主要な成果)とは組織全体で高い目標を共有し、挑戦的な目標に取り組むためのフレームワークです。達成率は60〜70%程度を目安とすることが一般的で、あえてストレッチ目標を掲げます。MBOが「評価と連動する制度」であるのに対し、OKRは「組織の方向性をそろえ、挑戦を促す仕組み」といえるでしょう。

【関連記事】
OKRとは?大手企業が導入する目標管理法をわかりやすく解説

MBOとKPIの違い

KPIは「重要業績評価指標」を意味し、最終目標の達成度を測るための中間指標です。制度そのものではなく、目標達成に向けた進捗を測定するための数値指標を指します。

MBOは目標管理の仕組み全体を指すのに対し、KPIはその中で設定される具体的な測定指標であるため、MBOの目標を達成するための手段としてKPIを設定することもあります。

【関連記事】
KPIとは?KGI・OKRとの違いや設定方法をわかりやすく解説

MBO(目標管理制度)を行う目的

MBOは、1954年に経営学者のピーター・ドラッカーによって提唱された経営管理手法です。企業全体の目標を部門や個人にまで落とし込み、その達成度を評価に反映させることで、組織と個人の成果を結びつけます。

MBOを導入する目的は、大きく分けて以下の3点が挙げられます。

MBO(目標管理制度)を行う目的

  • 組織の方向性を揃えるため
  • 個人の主体性と成果を高めるため
  • 経営環境の変化に対応するため

組織の方向性を揃えるため

経営戦略や事業方針を個人目標へと具体化することで、企業全体が向く方向を揃えることができます。社員一人ひとりが目標に向けて業務に取り組むことで、戦略の実行力や全体の目標達成までのスピードも高まります。

個人の主体性と成果を高めるため

MBOでは、社員自身が目標設定に関与し、達成に向けて主体的に行動することを重視します。何をどの水準まで達成すべきかが明確になるため、個人の行動指針が定まりやすくなる点が特徴です。社内の評価基準も可視化されることで、公平性や納得感の向上にもつながります。

経営環境の変化に対応するため

近年の成果主義の浸透や働き方の多様化により、業務プロセスよりも成果そのものを適切に管理する必要性が高まっています。

MBOは、目標と進捗を明確にしながら中長期の事業計画を着実に実行するための仕組みとして機能するため、変化の激しい経営環境においても、組織と個人の取り組みを結びつける実践的な手法といえるでしょう。

MBO(目標管理制度)の3つの種類

MBOの種類は、運用目的や評価の比重によって大きく3つのタイプに分けられます。

MBOの3つの種類

  • 組織活性型
  • 人事評価型
  • 課題達成型

企業によっては自社の方針に合わせていずれかひとつを中心に運用する場合もあれば、複数のタイプを組み合わせて活用するケースもあります。それぞれの特徴を理解し、自社の目的に合った形で設計することが重要です。

組織活性型

組織活性型は、社員の主体性を引き出し、組織やチームの活性化を図ることを目的としたタイプです。社員が自ら目標を設定し、自発的に行動することを重視します。

上司は一方的に目標を与えるのではなく、対話を通じて目標をすり合わせます。社員の意向や成長意欲を尊重することで、挑戦意欲の向上やチーム全体の活性化につなげる点が特徴です。

人事評価型

人事評価型は、目標の達成度を評価に反映させることを主な目的とするタイプです。あらかじめ設定した目標に対する成果や取り組み内容をもとに、昇給・昇格などの判断を行います。

評価基準が明確になるため、公平性や納得感を高めやすい点がメリットです。組織活性型と併用されることも多く、成長支援と評価制度を両立させる形で運用されることもあります。

課題達成型

課題達成型は、企業の戦略目標や経営課題の解決を目的として運用されるタイプです。まず全社目標を設定し、それを部門、チーム、個人へと段階的に落とし込みます。

目標を細分化することで、各自の役割と責任が明確になり、組織全体として一体感を持って課題解決に取り組めます。経営戦略の実行力を高めたい場合に有効なアプローチといえるでしょう。

MBO(目標管理制度)を設定する6つのメリット

MBOには、社員と会社の双方にさまざまなメリットがあります。

MBOを設定する6つのメリット

  • 成長を感じられる
  • 仕事のモチベーションが上がる
  • セルフマネジメントスキルが上がる
  • 企業の方向性が定まる
  • 人材育成が進む
  • 人事評価が容易になる

ここでは、代表的な6つの効果を「社員のメリット」「会社のメリット」に分けて解説します。

社員のメリット1:成長を感じられる

社員が自ら設定した目標に向かって取り組めるため、自身の成長をより一層感じられるようになります。目標達成までのプロセスを通じて必要な知識やスキルを習得できるため、キャリア形成の観点でも有効です。

社員のメリット2:仕事のモチベーションが上がる

MBOで設定される具体的かつ達成可能な目標は、社員の仕事へのモチベーションを大きく向上させます。

目標が明確であることで、何を成し遂げるべきか、そしてその成果がどのように評価されるかがはっきりします。自らの努力が認められ評価されることは、仕事に対する熱意を持続させる重要な要因です。

社員のメリット3:セルフマネジメントスキルが上がる

社員が自ら決めた目標に向かって進捗を管理し行動を修正するプロセスを通じて、セルフマネジメントスキルが養われます。自己統制に基づくMBOを導入することで、自分の行動を律し、業務効率化やスキル向上を目指した自己管理スキルが高まるでしょう。

会社のメリット1:企業の方向性が定まる

企業の経営目標を個人目標へと落とし込むことで、組織全体の方向性が明確になります。全社員が共通の目標に向かって行動するため、戦略と現場の動きに一貫性が生まれます。

また、企業の方向性が定まることで、部門間やチーム間の連携が強化され、組織全体の生産性向上にもつながります。

会社のメリット2:人材育成が進む

MBOは人材育成にも大きなメリットをもたらします。社員が主体的に目標を設定し、達成に向けて取り組むことが前提となるため、その過程で課題発見力や改善力が身につきます。

社員一人ひとりが問題を率先して分析し改善できる力を身につけられれば、組織のパフォーマンスも必然的に上がるでしょう。

さらに、社員のモチベーションや活力を維持することは、MBOのような目標達成型人事制度を効果的に機能させるうえでも重要です。たとえば、充実した福利厚生により社員の満足感や働きやすさを高めることで、日々の業務への意欲や集中力の向上につながります。

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会社のメリット3:人事評価が容易になる

目標と達成基準が明確であれば、成果や取り組み内容を客観的に評価しやすくなります。評価の透明性が高まることで、社員の納得感も得られます。

フィードバックや自身の問題点・改善点が理解しやすくなるだけでなく、MBOを評価基準に組み込むことで人事評価がしやすくなる点もメリットです。

MBO(目標管理制度)の4つの注意点

MBOは有効なマネジメント手法ですが、運用を誤ると逆効果になる恐れもあります。導入・運用時には、以下のような点に注意が必要です。

MBOの4つの注意点

  • 結果だけを追い求めると社員のモチベーションが下がることがある
  • 成果を数値化しにくいケースがある
  • 極端な目標設定は逆効果になる
  • 管理職の負担が大きくなる

結果だけを追い求めると社員のモチベーションが下がることがある

MBOは目標達成度を評価の軸に置くため、結果だけを追い求めると社員のモチベーションが下がる恐れがあります。

社員のスキルや自主性はもちろん大切ですが、結果にとらわれず、社員一人ひとりの問題点や改善点を早期に見つけてフィードバックを定期的に行うことが大切です。

成果を数値化しにくいケースがある

職種によっては、明確な数値での目標設定が難しいため注意が必要です。たとえば、総務や人事事務などの職種は成果が数値化しにくい傾向があるため、曖昧な目標を設定すれば上司と社員の間で目標達成にズレが生じやすくなります。

成果を数値化しにくい職種だとしても、目標達成はより具体性のある定量的な数値で掲げるように工夫しましょう。

極端な目標設定は逆効果になる

MBOは、目標を達成するための行動や過程が人事評価に反映しやすいメリットがある一方、目標達成を意識しすぎて社員が自ら低い目標を設定してしまうデメリットもあります。

また、明らかに達成が難しい目標を設定し達成できなかった場合、評価の際に社員のモチベーションが著しく下がってしまう可能性もあるでしょう。

社員の成長を促す難易度かつ達成しやすい目標かどうか、上司やチームリーダーが見極めてアドバイスをすることもMBOにおいては非常に重要です。

管理職の負担が大きくなる

MBOでは、目標設定のすり合わせや進捗確認、評価、フィードバックなどを行う必要があるため、管理職の業務負担が増える可能性があります。多くのチームメンバーをもつ組織であるほど管理職の負担が増えるでしょう。

また、社員のやる気を損ねないように配慮する必要もあるため、評価者である管理職には精神的なプレッシャーがかかります。

管理職の負担を軽減するためにも、フィードバックの作業を分担したり、社員が自己評価を行う機会を設けて共有したりすることが大切です。

【4ステップで解説】MBO(目標管理制度)運用の流れ

MBOを効果的に機能させるには、一定の手順に沿って運用することが重要です。

MBO運用の流れ

  • STEP1:会社全体の目標を決める
  • STEP2:社員個人の目標と行動プランを決める
  • STEP3:プランを実行する
  • STEP4:振り返りと評価を実施する

各ステップについて詳しく説明します。

STEP1:企業全体の目標を決める

最初に、企業全体の目標を決めます。全体目標を決める際は、経営理念や中期経営計画、利益目標などと整合性の取れた内容にすることが大切です。

目標はできるだけ具体的かつわかりやすい表現にし、管理職研修や目標設定の場を通じて社員へ丁寧に共有します。全社員が方向性を正しく理解している状態をつくることが、MBO運用の土台となります。

STEP2:社員個人の目標と行動プランを決める

次に、全社目標をもとに部門目標、個人目標へと落とし込みます。社員が主体的に目標を設定することが重要ですが、本人任せにせず、上司やチームリーダーとすり合わせを行います。

また、目標が過度に低くなっていないか、達成基準が具体的かつ測定可能かといった観点から確認し、必要に応じて修正します。

STEP3:プランを実行する

設定した目標と行動プランに基づき、日々の業務を進めます。実行段階では、進捗状況を定期的に確認し、必要に応じて軌道修正を行うことが重要です。

上司との面談やミーティングを通じて状況を共有し、課題があれば早期に対応します。

STEP4:振り返りと評価を実施する

評価期間が終了したら、目標の達成度や行動プロセスを振り返ります。上司は客観的な視点から成果を評価し、その理由を明確に伝えます。

フィードバックでは結果だけでなく、取り組みの過程や努力にも触れることが重要です。次の目標設定につながる建設的な対話を行うことで、MBOの効果をさらに高められます。

MBO(目標管理制度)の導入を成功させる5つのポイント

MBOを形だけで終わらせず、組織の成長につなげるためには、以下の5つのポイントに注目しましょう。

MBOを導入するための5つのポイント

  • 目標設定はトップダウンで行わない
  • 達成確率が50%ほどの目標を設定する
  • 具体的な指標を定める
  • 目標達成基準を明確にする
  • プロセスも評価に組み込む

それぞれのポイントについて詳しく説明します。

目標設定はトップダウンで行わない

MBOは社員の主体性が前提となるため、経営層や上司が一方的に目標を決めるトップダウン型の目標設定を行ってはいけません。

社員が理解できない・納得できない目標を設定すると、モチベーションやパフォーマンスの低下につながるため注意が必要です。社員の自主性を尊重した上で、企業全体の目標を設定しましょう。

達成確率が50%ほどの目標を設定する

目標が容易すぎると成長につながらず、逆に高すぎると挑戦意欲を損なう可能性があります。適度な難易度の目標を設定することが大切です。

目安としては、達成確率が50%程度と感じられる水準が望ましいでしょう。挑戦的でありながら現実的な目標を掲げ、最終的に100%の達成を目指す姿勢が理想です。

具体的な指標を定める

目標はできるだけ具体的かつ測定可能な内容にします。「売上を伸ばす」といった抽象的な表現ではなく、「◯月までに売上を◯%向上させる」といったように期限や数値を明示することが重要です。

具体的な指標があることで、社員は行動計画を立てやすくなり、進捗管理もしやすくなります。

目標達成基準を明確にする

数値化しにくい職種でも、目標達成基準を明確にすることが大切です。曖昧な達成基準だと、どのラインで目標達成といえるのか、客観的な判断ができなくなってしまいます。

数値化が難しい場合には、「ミスを5個から2個に減らす」「納期を中4日から3日に短縮する」といったように設定しましょう。

プロセスも評価に組み込む

MBOは成果重視の制度ですが、結果だけを評価すると短期的な成果に偏る可能性があります。業績的には目標に届かなかったとしても、その目標達成に向けた取り組みや工夫、改善のプロセスも評価対象に含めることが重要です。

評価の際には、なぜその評価になったのかを丁寧に伝え、努力や成長を適切に認める姿勢が求められます。

まとめ

MBO(目標管理制度)は、組織や個人が目標を設定し、その達成度をもとに評価を行う経営管理手法です。経営目標を個人レベルまで落とし込み、進捗を可視化することで、成果の最大化と組織全体の方向性の統一を図ります。

適切に運用すれば、社員のモチベーション向上や成長促進、評価の透明性向上といった効果が期待できます。一方で、形式的な運用に陥ったり、評価者の負担が過度に増えたりするリスクもあるため、設計と運用体制の整備が重要です。

MBOを効果的に活用するには、制度の目的や特性を正しく理解し、自社の組織文化や評価制度に合わせて継続的に改善していく姿勢が求められます。制度を形骸化させず、対話とフィードバックを重ねながら運用することが、組織成果の最大化につながるでしょう。

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よくある質問

MBOとはどういう意味?

MBOとは「Management by Objectives」の略で、日本語では目標管理制度を指します。組織や個人が具体的な目標を設定し、その達成度合いに基づいて評価を行う経営管理手法のひとつです。経営目標を個人レベルまで落とし込み、成果とプロセスの両面からマネジメントを行います。

詳しくは、記事内「MBO(目標管理制度)とは」にて解説しています。

MBOの弱点は?

目標設定や評価が形式的になり、本来の目的が形骸化してしまう恐れがあります。目標管理そのものが目的化すると、数値の達成だけを追う運用になり、主体性や成長支援といった本質的な価値が損なわれる可能性があります。

詳しくは、記事内「MBO(目標管理制度)の4つの注意点」をご確認ください。

MBOの導入を成功させるためのポイントは?

社員の主体性を尊重しながら目標を設定し、達成基準を明確にすることが重要です。また、結果だけでなくプロセスも評価に組み込み、納得感のあるフィードバックを行うことが成功の鍵となります。

詳しくは、記事内「MBO(目標管理制度)の導入を成功させる5つのポイント」をご確認ください。

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