
SFA(営業支援)ツールとは、案件や顧客といった営業活動にまつわる情報を管理するツールのことです。従来の属人的な営業スタイルから脱却し、顧客情報や商談の進捗をデータとして一元管理することで、組織全体の営業力強化を実現します。
しかし、近年は多くのSFAツールが提供されているため、自社に最適な製品を選ぶのは簡単ではありません。
本記事では、SFAツールの基本機能やCRM・MAとの違い、導入によるメリット、比較検討のポイントを解説します。さらに、おすすめのSFAツール10選や導入ステップも紹介しているので、導入を検討中の方は参考にしてください。
目次
- SFA(営業支援)ツール・システムとは
- MA(マーケティングオートメーション)との違い
- CRM(顧客関係管理)との違い
- SFA(営業支援)ツールの主な機能
- 顧客管理機能
- 案件管理機能
- 商談管理機能
- 行動管理機能
- 予実管理機能
- SFA(営業支援)ツールの導入メリット
- 営業活動を効率化できる
- 業務標準化が期待できる
- 顧客満足度の向上につながる
- SFA(営業支援)ツールの比較ポイント
- 使い勝手が良いかどうか
- 提供形態がクラウドかどうか
- セキュリティが万全かどうか
- ほかのシステムとの連携が可能かどうか
- おすすめのSFAツール10選
- SFA(営業支援)ツールの導入ステップ
- STEP1.導入目的を明確にする
- STEP2.導入するシステムの選定
- STEP3.運用体制の構築
- STEP4.運用と定着化
- まとめ
- よくある質問
SFA(営業支援)ツール・システムとは

SFA(営業支援)ツールとは、案件や顧客といった営業活動にまつわる情報を管理するツールのことです。
「Sales Force Automation(セールス・フォース・オートメーション)」の略称で、日本語では「営業支援ツール」や「営業管理ツール」とも呼ばれています。
従来の営業活動は、担当者のスキルや経験に依存する部分が大きく、顧客情報や商談の進捗が属人化するケースが少なくありませんでした。
SFAツールはこうした課題を解決するために開発されたシステムで、営業担当者の日々の活動内容や商談の進捗、顧客情報などをデータとして蓄積・分析し、社内で共有しながら営業プロセス全体の最適化を実現できます。
MA(マーケティングオートメーション)との違い
SFAとよく比較されるツールとして、MA(マーケティングオートメーション)があります。MAは、見込み顧客(リード)の獲得や育成を目的に、マーケティング活動を自動化・効率化する営業支援ツールです。
MAの主な機能には、Webサイトのアクセス履歴追跡やメール配信などがあります。これらをもとに、見込み顧客の関心度を高め、購買意欲を高めることが狙いです。
一方、SFAはMAによって育成されたリードを引き継ぎ、実際の商談から受注に至るまでの営業プロセスを支援するという役割を担います。つまり、MAは「顧客を育てる」役割、SFAは「商談を成功に導く」役割と位置づけられ、業務領域が明確に異なります。
CRM(顧客関係管理)との違い
SFAと混同されやすいツールに、CRM(顧客関係管理)もあります。CRMは顧客情報を一元管理し、顧客との良好な関係を構築・維持することを目的とした営業支援ツールです。
CRMでは、顧客の購入履歴や問い合わせ履歴、サポート対応の記録などを管理できます。これらの情報を分析することで、顧客満足度の向上やリピート購入などの効果が期待できます。
一方、SFAは商談の進捗管理や営業プロセスの最適化を主な目的としています。CRMは「顧客関係維持」に焦点を当てるのに対し、SFAは「商談の進捗管理」に重点を置いています。ただし、SFAとCRMは重複する機能も多く、近年は両方の機能を統合したツールも増えています。
SFA(営業支援)ツールの主な機能
SFAツールには営業活動を効率化し、企業全体の営業力を向上させるためのさまざまな機能が搭載されています。ここでは、SFAツールの主な機能について解説します。
顧客管理機能
顧客管理機能は、社名や所在地、連絡先といった企業の基本情報に加え、担当者情報や過去の取引履歴、問い合わせ内容などのあらゆる情報を一元管理する機能です。
営業担当者が個別に管理していた顧客情報をシステム上に集約することで、社内で同じ情報を共有できるようになります。担当者が変わった場合でもスムーズに引き継ぎできるほか、全社で統一された顧客対応が実現します。
案件管理機能
案件管理機能は、各営業案件の詳細情報を記録・管理するものです。受注予定日や受注確度、提案中の商品・サービス、金額などを入力することで、進捗状況を可視化できます。
この機能により、営業担当者以外の従業員も案件状況を正確に把握することができ、案件の優先順位付けやリソース配分の最適化にも役立ちます。
商談管理機能
商談管理機能は、「どの顧客に対して、いつ・誰が・どのような内容の商談を行ったか」「商談の結果はどうだったか」といった履歴を記録・管理する機能です。
この機能の利点は、成功した商談のプロセスを分析し、ナレッジとしてチーム全体に共有できる点にあります。優秀な営業担当者の商談手法やアプローチ方法を共有することで、営業スキルの標準化や会社全体の成果向上につながります。
行動管理機能
行動管理機能は、営業担当者一人ひとりの訪問件数、架電件数、メール送信数などを記録・管理する機能です。
行動管理機能は、日報作成の効率化に役立つだけでなく、行動量と成果の相関関係の分析に活用できます。チーム全体の効果的な営業スタイルの確立にも寄与する、重要な機能です。
予実管理機能
予実管理機能は、各営業担当者やチームの売上目標、予算、実績をもとに達成率を可視化する機能です。数値はリアルタイムで反映されるため、迅速に状況を把握できます。
この機能では、案件ごとの受注確度や見込み額といった情報をもとに、精度の高い売上予測を導き出せます。売上予測が立つことで、目標達成に向けた戦略立案のほか、計画的かつ効果的な営業活動に役立ちます。
SFA(営業支援)ツールの導入メリット
SFAツールを導入することで、企業は営業活動の効率化や成果の最大化を実現できます。ここでは、SFAツールの導入によって得られる主なメリットを3つ解説します。
営業活動を効率化できる
SFAツールの導入により、日報や見積書の作成、スケジュール管理などの日常業務を自動化・効率化できます。営業担当者は顧客との商談や提案などのコア業務に集中でき、生産性向上にもつながります。
また、SFAツールはスマートフォンやタブレット端末でも使用可能です。外出先での隙間時間を活用した報告書作成や顧客情報の確認もスムーズに行えるため、営業活動全体のスピードアップに貢献します。
業務標準化が期待できる
SFAツールは、社内全体の商談プロセスや営業活動の記録をデータとして蓄積・共有する仕組みです。従来は担当者ごとの経験やスキルに依存しがちだった営業活動を標準化でき、組織全体の営業力を底上げできます。
さらに、優秀な営業担当者のノウハウや成功事例を社内で共有することも可能になるため、再現性の高い営業プロセスを構築でき、成約率の向上にもつながります。
顧客満足度の向上につながる
SFAツールによって顧客情報や過去の対応履歴が一元管理されるため、どの担当者でも一貫性のある高品質な対応が可能になります。担当者が変わった場合でも、過去のやり取りや顧客ニーズを正確に把握でき、サポート品質を維持することができます。
さらに、蓄積されたデータを分析することで顧客ニーズをより深く理解でき、最適な提案を行える点も大きなメリットです。SFAツールの活用は、結果として顧客満足度の向上や、良好な顧客関係の構築につながります。
SFA(営業支援)ツールの比較ポイント
SFAツールにはさまざまな製品があり、機能や価格、特徴がそれぞれ異なります。自社に最適なSFAツールを選ぶためには、複数の観点から比較検討することが大切です。
使い勝手が良いかどうか
SFAは日常的に使うツールであるため、操作時にストレスを感じないような直感的でわかりやすいインターフェースのツールを選びましょう。操作や入力が複雑だと担当者の負担が増え、活用されずに形骸化するリスクがあります。
また、サポート体制が整っているかどうかも使い勝手の良さに影響します。導入前には無料トライアルを活用するなど、担当者に実際に活用してもらい、実際の操作感やサポート品質を確認するのがおすすめです。
提供形態がクラウドかどうか
クラウド型のSFAはサーバー構築や管理が不要で、インターネット環境があればどこからでもアクセスできるメリットがあります。とくに、外出の多い営業担当者にとって操作しやすい環境は大きな利便性となり、初期費用が抑えられる点も魅力です。
一方、オンプレミス型は自社のサーバー上で運用するため、セキュリティ要件が厳しい企業や既存システムとの密な連携を重視する場合に適しています。自社のIT環境や働き方に合わせて、どちらが適しているかを見極めましょう。
セキュリティが万全かどうか
SFAツールは顧客情報を扱うため、セキュリティ対策が欠かせません。顧客情報の漏えいは企業の信頼を損ない、法的責任を問われる可能性もあるため、選定時に必ずチェックすべき項目です。
具体的には、アクセス制限やIPアドレス制限、データの暗号化、二要素認証など多層的なセキュリティ対策が導入されているかを確認してください。また、ベンダーがセキュリティ関連の認証を取得しているか、定期的なセキュリティ監査を実施しているかなども判断材料となります。
ほかのシステムとの連携が可能かどうか
営業活動はSFAツールだけで完結するものではありません。MAツールや名刺管理ツール、グループウェアなど、すでに自社内で運用しているシステムと連携できるかどうかも重要です。
ツール同士を連携させることで、データの二重入力を避けられ、より一貫性のある顧客アプローチを可能にします。選定時には、API連携の有無や連携可能なツールの種類を確認し、自社のIT環境にスムーズに組み込めるかを見極めましょう。
おすすめのSFAツール10選
ここでは、おすすめのSFA(営業支援)ツールを10種類紹介します。各サービスごとに提供形態や特徴をまとめましたので、自社の営業スタイルや課題に合うツールを検討する際の参考にしてください。
サービス名 | 提供形態 | 特徴 |
---|---|---|
freee for Salesforce | クラウド/SaaS | freee会計との連携で受注情報を元に見積書・請求書の自動発行が可能 |
esm (eセールスマネージャー) | クラウド/SaaS | データ登録や資料作成を効率化する、使いやすさ重視のツール |
Sales Force Assistant | オンプレミス/クラウド/パッケージソフト/SaaS/ASP | AI秘書が顧客・案件・商談情報を統合管理し、営業活動を支援 |
SKYPCE | オンプレミス/クラウド/SaaS | 名刺データを顧客情報に紐づけ、営業活動や案件の情報を記録・管理 |
Sansan | クラウド/SaaS | 名刺や企業情報、営業履歴を一元管理し、企業の営業活動を支援 |
Mazrica Sales | クラウド | マーケティング活動や、案件管理、顧客関係維持まで一連のプロセス全般の課題をカバー可能 |
Sales Cloud | クラウド/SaaS | BtoB、BtoCなどさまざまなビジネスモデルに対応しており、柔軟なカスタマイズも可能な営業支援システム |
kintone | クラウド | 自社の業務に合わせたアプリをノーコードで作成でき、営業支援をはじめ幅広く活用可能 |
ネクストSFA | クラウド/SaaS | 見込み顧客獲得から顧客管理までMA・SFA・CRMの機能を包括したクラウド支援ツール |
Translead CRM | クラウド/SaaS | データの閲覧・検索・入力を一画面で完結でき、直感的な操作で営業DXを支援 |
それぞれのSFAツールは機能や強みに違いがあるため、単に知名度だけでなく「自社の営業プロセスに合っているか」「現場の担当者が使いやすいか」を基準に選定することが重要です。
SFA(営業支援)ツールの導入ステップ
SFAツールを導入することで営業活動の効率化や標準化が期待できますが、単にシステムを導入するだけでは効果を発揮できません。導入を成功させるためには目的の明確化から定着化まで、計画的に進めることが重要です。
ここでは、SFA導入を成功に導くための手順を4つのステップで解説します。
STEP1.導入目的を明確にする
まずは、自社が抱える営業上の課題を洗い出します。
- 営業プロセスの可視化
- 属人化の解消
- 売上予測の精度向上
上記のような課題に対して「SFAでどのように解決するか」といった導入目的を明確にしましょう。
また、「営業報告にかかる時間を30%削減する」「商談の受注率を10%向上させる」など、SFA導入によって達成すべき具体的なKPIを定めることが大切です。
STEP2.導入するシステムの選定
導入目的を明確にしたら、目的達成に必要な機能を持つSFAを選定します。
SFA選定時のチェックポイント
- 必要な機能を満たしているか
- コスト(初期費用・月額費用)が予算内か
- 操作性やUIは直感的か
- サポート体制が充実しているか
これらを基準に複数のツールを候補に挙げましょう。可能であれば無料トライアルなどを活用し、自社の業務フローとの適合性を確認するのもおすすめです。
STEP3.運用体制の構築
選定したSFAツールの導入によって目的を達成させるため、SFA導入を推進するプロジェクトチームを発足させます。
プロジェクトチームでは、社内展開の計画や、定着に向けたルール作り、営業担当者向けの研修・マニュアル整備などを準備することで、導入後のスムーズな運用が可能になります。
STEP4.運用と定着化
システム導入後は、定期的に利用状況をモニタリングし、改善を繰り返すことが大切です。とくに、システムが社内に浸透するまでの導入初期は、利用率や入力データの質を適宜チェックしましょう。
また、現場からのフィードバックを収集して改善を繰り返すことも大切です。操作方法に関する質問への対応や業務フローの調整、システム設定の見直しなど、現場の声を聞きながら改善し、ツールの定着を目指しましょう。
まとめ
SFAツールは、営業活動の効率化と組織全体の営業力向上を実現するシステムです。顧客情報や案件管理を一元化し、営業プロセスを標準化することで、属人化を防ぎながら成果の最大化に貢献します。
ただし、導入効果を高めるためには、明確な目的を設定し、自社に適したツールを選ぶことが欠かせません。操作性やセキュリティ、既存システムとの連携などを多角的に比較検討することが重要です。最適なSFAツールを導入し、営業の生産性向上と持続的な成長につなげましょう。
よくある質問
SFAツールとは何ですか?
SFAツールとは、企業の営業活動を効率化し、生産性を向上させるためのシステムです。「Sales Force Automation(セールス・フォース・オートメーション)」の略で、日本語では「営業支援ツール」や「営業管理ツール」とも呼ばれています。
詳しくは記事内「SFA(営業支援)ツールとは」をご覧ください。
SFAツールの導入メリットは?
SFAツールを導入する主なメリットは「営業活動の効率化」「業務標準化」「顧客満足度の向上」です。
詳しくは記事内「SFA(営業支援)ツールの導入メリット」で解説しています。
おすすめのSFAツールは?
SFAツールにはさまざまな製品があり、サービス内容や操作性など重要視するポイントも多数あります。自社の業務効率や生産性向上につながるかどうかを考慮して検討することが大切です。
詳しくは記事内「おすすめのSFAツール10選」をご覧ください。