販売管理の基礎知識

工事台帳とは?書き方や作成目的、保存期間からシステム導入のメリットまで解説

工事台帳とは?書き方や作成目的、保存期間からシステム導入のメリットまで解説

工事台帳とは、工事現場ごとに取引内容を記録し、原価を集計するための台帳です。建設業においてお金の流れを透明化し、正確な利益管理を行うために欠かせません。

本記事では、工事台帳を作成する目的や具体的な書き方、法令で定められた保存方法、エクセル管理の限界、そして工事管理システム導入のメリットを分かりやすく解説します。

▶︎工数管理をとことん楽にしたいならfreee工数管理!

freee工数管理 | シンプルかつ機能が充実

目次

販売管理システムならfreee販売

freee販売は、案件ごと・プロジェクトごとの収支管理が可能!案件ごとに入出金状況が自動集計されるので、リアルタイムで正確な情報を把握できます。

工事台帳とは

工事台帳とは、工事現場ごとに取引内容を記録し、原価を集計するための台帳です。「工事管理台帳」や「工事原価台帳」、「工事原価管理帳」とも呼ばれます。

建設業は、一般的な製造業などと異なり、以下の理由から原価管理が複雑です。

  • 現場ごとに工期が異なる
  • 天候や資材高騰などの要因で原価が変動しやすい
  • 材料費、外注費、労務費など構成要素が多岐にわたる

工事台帳を活用すれば、これらの複雑な情報を整理し、プロジェクトごとの黒字・赤字をリアルタイムで把握できるようになります。また、工事台帳は労災保険の申告や税務調査時に提出する資料としても活用できます。

正しく記帳された工事台帳を運用することで、各種お金の管理をはじめ、経営的なリスクを回避することにもつながるため、建設業においてとても重要な台帳です。

工事台帳を作成する目的

建設業の工事管理において、工事台帳を作成する主な目的は以下のとおりです。

工事台帳を作成する目的

  • 各工事の収支や利益率の把握
  • 完成工事原価の算出
  • 未成工事支出金の算出
  • 経営事項審査での提出・確認

各工事の収支や利益率の把握

発生した経費や支払い情報などを詳細に台帳へ記載すると、収支のバランスを見ながら工事に必要な費用を管理しやすくなります。工事案件の受注時に適切な原価予測が可能になり、正確な見積作成につながるのです。

工事台帳で収支や利益率を把握・管理できていないと、現場への過剰な人員補充などを招く恐れがあります。その結果、原価割れ案件の受注につながるなど、利益管理に大きな差が出てしまうでしょう。

完成工事原価の算出

完成工事原価とは、完成済の工事の売上高と収益である「完成工事高」に計上した工事原価のことです。

完成工事原価は、材料費・外注費・労務費・経費の4項目で構成されています。それぞれの費用を工事ごとにまとめることで原価を予測し、純利益を正しく把握できます。

未成工事支出金の算出

未成工事支出金とは、まだ完成していない工事現場で発生する支出や費用のことです。完成工事原価と同様に、材料費・外注費・労務費・経費の4項目から構成されます。

建設業は、決算時に未成工事支出金のうち、完成した部分は工事原価に振り替えて損益計算書に計上します。しかし、工事が未完成の場合は売上として計上できません。未完成で次期へ繰り越す部分については、貸借対照表の資産の部に計上することになります。

このように決算時に必要な未成工事支出金の算出は、工事台帳に記載された費用を参照するため、工事台帳の作成や管理は必要不可欠といえます。

経営事項審査での提出・確認

公共工事を発注者から直接請け負うとする建設業は、経営事項審査を受ける必要があります。

公共工事の各発注機関は、競争入札に参加しようとする建設業者についての資格審査を行わなければなりません。そして、その発注機関は客観的事項と主観的事項の審査結果を点数化し、順位を付けることとなります。

この客観的事項の審査が経営事項審査です。経営事項審査では工事台帳を提出することになっています。数値化される評価項目は、「経営状況」「経営規模」「技術力」「その他の審査項目(社会性等)」の4項目です。

工事台帳の保存期間と保存方法

工事台帳は、建設業法上の工事に関する帳簿として作成・保存が求められるほか、税法上の帳簿書類としても重要な役割を持つ帳簿です。

主な保存期間は次のとおりで、起算日は工事の目的物を注文者に引き渡した日とされています。


法令保存期間対象・備考
建設業法5年間一般的な建設工事の工事に関する帳簿(営業所ごとに備え付けが必要)
建設業法10年間新築住宅に係る建設工事に関する帳簿
税法原則7年間(欠損金の繰越控除を適用する事業年度分は10年間)国税関係帳簿書類としての帳簿(仕訳帳・総勘定元帳等の一部として工事台帳が位置付けられる)

また、工事台帳は紙で保存することも、パソコンやクラウド上で電子データとして保存することもできます。

ただし、国税関係帳簿書類を電子データで保存する場合は、電子帳簿保存法で定められた改ざん防止措置や検索機能(日付・金額・取引先など)といった要件の充足が必要です。

工事台帳の主な記載項目と書き方

工事台帳には、主に「いつ・どこで・何に・いくら使ったか」を記録します。基本となる4要素(材料費・労務費・外注費・経費)を中心に記載します。

基本情報

工事の全体像を特定するための情報です。契約書や請求書といった帳票と照合できるよう、以下の情報を正確に記載します。

  • 工事番号・工事名
  • 発注者名
  • 工期(着工・完成予定・引き渡し日)
  • 請負金額

工事番号・工事名

社内で管理している一意の番号と、正式な工事名称を記載します。

発注者名

施主や元請業者の名称を記載します。

工期(着工・完成予定・引き渡し日)

当初の予定日だけでなく、変更があった場合は修正履歴がわかるように管理するのが理想的です。

請負金額

税抜き・税込みを統一して記載します。追加工事が発生した場合は、その増減額も反映させます。

原価項目(原価の4要素)

利益率(粗利)を算出するための核心部分です。発生主義に基づき、費用が確定したタイミングで速やかに計上します。

  • 材料費
  • 労務費
  • 外注費
  • 経費

材料費

生コンや鋼材、木材などの主要資材から、釘やボルトといった消耗品まで、工事に使用した物品の購入費用を記載します。現場への配送費や運賃もここに含まれます。

労務費

労務費の項目には、工事に参加している従業員に支払う給料や賃金を記載します。また、従業員に支払う給料や賃金だけではなく、手当や交通費もこの中に含まれます。

アルバイトやパート、正社員といった雇用形態は関係ありませんが、建設作業に従事する「自社の職員の費用のみ」が対象となっています。建設現場の事務所などで事務作業をしている事務員や雇用関係がない作業員の費用は含まれないので注意しましょう。

外注費

電気工事や内装工事など、特定の工程を外部の協力会社に委託した際の費用です。請求書に基づいて、支払予定額を記載します。

経費

上記3つに含まれない全ての費用です。重機のリース代、現場事務所の設置費、仮設トイレのレンタル料、現場までの高速道路代や宿泊費などが該当します。

入金・支払情報

キャッシュフローを管理するための項目になります。帳簿上の利益と、実際の現金の動きを一致させるために重要です。

  • 実行予算(予算額)
  • 支払済額・未払額
  • 入金状況

実行予算(予算額)

工事開始前に設定した「目標原価」です。これと実績を比較することで、赤字の兆候を早期に察知できます。

支払済額・未払額

協力会社や仕入先に対して、実際にいくら支払い、あといくら支払いが残っているかを管理します。

入金状況

発注者から請負代金が振り込まれたかを確認します。着工金、中間金、完工金など、分割で入金される場合の管理にも役立ちます。

工事台帳をエクセル(Excel)で作成・管理するときの注意点

エクセル(Excel)は、一般的なパソコンに標準装備されているツールです。関数を使用すれば自社に合ったカスタマイズもすることが可能なため、工事台帳の作成で利用されている事業者も多いでしょう。

しかし、エクセルは導入コストが低い反面、入力ミスや情報共有のタイムラグなど、注意点も多いので注意が必要です。

入力ミス・転記漏れが発生しやすい

エクセルで工事台帳を作成する場合、管理するファイルが多岐に及ぶと担当者のデータ転記ミスを招きやすくなります。

また、経理担当者が手作業で入力することが多く、入力ミスなどのヒューマンエラーが発生しやすいというデメリットがあります。

情報共有のタイムラグ

エクセルで工事台帳を作成する場合、担当者が手作業で入力するため対応に時間がかかったり、提出のタイミングがずれてしまったりする可能性があります。

工事現場と運営している事業者の間で、情報共有に時間がかかることもあるため、そのタイムラグの間に情報が更新されてしまうことも考えられます。また、更新履歴を追うことができず、ファイルもリアルタイムで確認できないため、作業効率が高いとは言えません。

属人化しやすい

エクセルに精通している社員が工事台帳を作成していると属人化を招きやすく、ほかの社員が工事台帳のファイルを編集できないリスクが考えられます。

とくに複雑な関数を利用している場合は、ひとつの関数を変更するだけで全体の計算が合わなくなってしまったり、上手く表示がされなくなってしまうおそれがあります。

工事管理システムを導入するメリット

エクセルで工事台帳を作成するデメリットを払拭するためには、工事管理システムの導入をおすすめします。

ここでは、工事管理システムを導入する3つのメリットを解説します。

人為的なミスを軽減できる

工事管理システムでは、工事で発生する各費用を簡単に入力でき、それぞれ発生した費用を自動で計算してくれます。手作業時に発生していた入力ミスなどが軽減されます。

建設業の工事費用の算出は、項目が多く複雑です。工事管理システムで工事台帳を作成すれば、大幅なコスト削減と業務の効率化ができるでしょう。

工事データを一元管理できる

工事管理システムでは、社内の工事データを一元管理できます。また、クラウドにデータを保管すれば、複数の端末からリアルタイムで工事台帳にアクセスできます。

各工事で発生している工事費や経費の情報がシステムによって可視化されるため、経費削減や赤字回避につながることもメリットです。

人件費を軽減できる

工事管理システムは、スマホやタブレット端末といった複数のデバイスを使用して、各現場の担当者が画像などをシステムに直接登録できます。

インターネット環境が整っていれば、移動中もいつでもどこでも工事台帳に関する作業ができるようになります。作業効率の向上やコスト削減など、さまざまな面で効果が期待できるでしょう。

まとめ

工事台帳は工事ごとの収支や利益率を把握しやすくなり、経営判断に役立てられます。工事台帳はエクセルでも作成・管理できますが、転記ミスやデータ共有のタイムラグが発生しやすいといった点がデメリットです。

工事管理システムを導入すれば転記ミスが減り、リアルタイムで情報共有しやすくなります。また、業務効率が向上するため、人件費の削減も期待できるでしょう。工事台帳を作成・管理する場合には、工事管理システムの利用の検討をおすすめします。

よくある質問

工事台帳とは?

工事台帳とは、工事現場ごとに取引内容を詳しく記載し、原価を集計する台帳です。労災保険の申告や税務調査時に提出する資料としても活用でき、建設業においてとても重要な台帳です。

詳しくは、記事内の「工事台帳とは」をご覧ください。

工事台帳を作成する目的とは?

工事台帳を作成する主な目的は次のとおりです。

工事台帳を作成する目的

  • 各工事の収支や利益率の把握
  • 完成工事原価の算出
  • 未成工事支出金の算出
  • 経営事項審査で提出・確認

詳しくは、記事内の「工事台帳を作成する目的」をご覧ください。

工事台帳をエクセルで作成・管理するときの注意点は?

工事台帳をエクセルで作成する場合、手作業で行うため入力ミスが発生しやすくなります。また、最新情報をリアルタイムで確認しづらいため、情報共有にタイムラグが発生するといったデメリットもあります。

詳しくは、記事内の「工事台帳をエクセル(Excel)で作成・管理するときの注意点」をご覧ください。

工事管理システムを導入するメリットは?

工事台帳の作成を効率化させるにあたって、工事管理システムを導入することが挙げられます。工事管理システムを導入するメリットとしては以下のとおりです。

  • 人為的なミスを軽減できる
  • 工事データを一元管理できる
  • 人件費を軽減できる

詳しくは、記事内の「工事管理システムを導入するメリット」をご覧ください。

参考文献

▶︎ e-Gov法令検索「建設業法第四十条の三
▶︎ e-Gov法令検索「建設業法施行規則第十八条の二
▶︎ e-Gov法令検索「法人税法第五十九条、第六十七条
▶︎ e-Gov法令検索「電子帳簿保存法第四条、第六条

案件管理から請求書発行まで「freee販売」ひとつで完結

\無形商材に特化した管理サービス/
freee販売は案件・プロジェクトごとに管理や原価計算が可能!リアルタイムで正確な情報を入力・共有が可能です。

案件管理から請求書発行まで「freee販売」ひとつで完結

freee販売で案件ごとの管理が可能に
freee工数管理で工数可視化の面倒を自動化で解決