受発注の基礎知識

フリーランスマネジメントシステム(FMS)とは?導入メリットや選び方のポイントなどを解説

フリーランスマネジメントシステム(FMS)とは?導入メリットや選び方のポイントなどを解説

フリーランスマネジメントシステム(FMS)とは、企業が外部のフリーランスや個人事業主、副業人材を一元管理するためのクラウド型システムです。

近年は働き方の多様化に伴い、外部のプロフェッショナル人材としてフリーランスを活用する企業が増えつつあります。外部人材の活用を最大化するために登場したのが、フリーランスマネジメントシステムです。

本記事では、フリーランスマネジメントシステムの基礎知識から、フリーランス新法への対応のポイント、自社に最適なツールの選び方まで、わかりやすく解説します。

目次

業務委託の発注・請求管理はfreee業務委託管理

freee業務委託管理は、業務委託先との契約を管理できるツールです!発注・請求から、契約先の管理まで、1つのツールでまとめることができます。

フリーランスマネジメントシステム(FMS)とは

フリーランスマネジメントシステム(FMS)とは、企業が外部のフリーランスや個人事業主、副業人材を一元管理するためのクラウド型システムです。

近年、多くの企業がフリーランスマネジメントシステムを導入している背景には、フリーランス新法(特定受託事業者との取引の適正化等に関する法律)をはじめ、下請法やインボイス制度といった法律への対応の厳格化が挙げられます。

労働人口の減少を受け、企業においてフリーランス人材の活用が推進されている一方で、取引のアナログ管理は手間がかかるうえに属人化が起こりやすく、法令違反のリスクも伴います。法的なコンプライアンスを確実に守りつつ、優秀な人材とスピーディに取引を進めるためのインフラとして、フリーランスマネジメントシステムが重宝されているのです。

タレントマネジメントシステムとの違い

タレントマネジメントシステムは、主に自社の正社員の評価や配置を最適化するためのツールです。

雇用契約を前提としているため、業務委託契約の法的な手続きや毎月の発注・請求管理などには対応していない点でフリーランスマネジメントシステムとは導入目的や機能性が異なります。

FMS導入を後押しするフリーランス新法への対応

2024年11月に施行されたフリーランス新法への対応ポイントと、フリーランスマネジメントシステムが法令遵守に役立つ理由を解説します。

フリーランス新法が求める「発注時の書面明示義務」

フリーランス新法において、発注事業者がもっとも注意すべきなのが「発注時の書面明示義務」です。フリーランスに業務を委託した直後、給付の内容、報酬の額、支払期日などの必要事項を、書面または電磁的方法(メールやシステムなど)で遅滞なく明示しなければなりません。口頭やチャットツールでの曖昧な発注は違法となるリスクがあります。

フリーランスマネジメントシステムを導入すれば、発注書や契約書のフォーマットを統一し、システム上で確実に明示・保管することが可能になります。

期日までの報酬支払いと遅延防止の徹底

フリーランス新法では、発注した物品や成果物を受け取った日(役務の提供を受けた日)から数えて60日以内の、できる限り短い期間内で報酬支払期日を定め、その期日までに支払うことが義務付けられています。元請けから発注を受けた場合でも、自社の入金サイクルを理由に支払いを遅らせることはできません。

フリーランスマネジメントシステムを活用すれば、検収日を起点として支払期日が自動計算され、期限が近づくとアラートが出るため、ヒューマンエラーによる支払遅延を未然に防げます。

ハラスメント防止対策や中途解約の事前予告への義務化対応

フリーランス新法は、就業環境の整備についても義務を課しています。具体的には、ハラスメント行為に関する相談体制の構築や、6ヶ月以上の継続的なプロジェクトを中途解約・更新しない場合における30日前までの事前予告などです。

フリーランスマネジメントシステムのなかには、システム内に相談窓口の案内を設置したり、契約期間の満了日が近づいた案件に対してアラートを通知したりする機能を持つものがあり、体制整備と運用の形骸化防止に役立ちます。

フリーランスマネジメントシステムを導入するメリット

フリーランスマネジメントシステムを導入することで企業が得られる、具体的なメリットを解説します。

業務委託契約書や発注書などの一元管理化

フリーランスマネジメントシステムを導入する大きなメリットの一つが、契約や発注にまつわる書類の手続きをすべてデジタル化し、一元管理できる点です。クラウド上で電子契約を結び、発注書を自動生成できるため、印刷や郵送、捺印の手間が一切なくなります。

また、過去の契約書や発注履歴がフリーランスごとに紐づいて保管されるため、社内捜索の手間もなくなり、監査時にもスムーズに対応できます。

請求書処理・毎月の支払業務の大幅な効率化

毎月末、バラバラの形式で届くフリーランスからの請求書を回収して内容を突き合わせる作業は、経理部門にとって大きな負担となり得ます。

フリーランスマネジメントシステムを導入すると、システムが発注金額や検収データから請求書を自動生成し、フリーランス側は内容を確認して承認するだけで済むようになります。フォーマットが統一され、金額の不一致も起きづらいため、経理は出力された支払データを会計ソフトや全銀システムに連携するだけで業務が完了します。

フリーランス人材のスキルや稼働状況の可視化

一つの企業で複数の部署が個別にフリーランス人材に発注していると、「誰がどこでどんな仕事をしているか」がブラックボックス化しがちです。

フリーランスマネジメントシステムに人材データベースを構築すれば、全社で稼働中のフリーランス人材のスキルや過去の成果物、社内評価、現在の稼働状況(リソースの空き具合)が一目でわかります。これにより、「他部署で高評価だったWebデザイナーに、自部署の案件も依頼する」といった社内アセットの有効活用が可能になります。

法令違反のリスク回避

法令違反による罰則や企業名の公表は、企業の社会的信用を大きく失墜させます。フリーランスマネジメントシステムは、前述したフリーランス新法への対応はもちろん、インボイス登録番号の有効性チェックやリーガルチェックの機能なども備えています。

意図しない買い叩きや支払遅延、書面の不交付をシステムが自動的にブロックするため、現場の担当者が専門的な法律知識に精通していなくても、安全にフリーランスとの取引を継続することができます。

フリーランスマネジメントシステムの主な機能

フリーランスマネジメントシステムに備わっている、代表的な機能を解説します。

人材データベース

自社に関わるフリーランスのプロフィールを一元管理する機能です。氏名や連絡先といった基本情報だけでなく、保有スキル、過去に社内で担当したプロジェクトのポートフォリオ、案件ごとの社内担当者による評価・レビューも蓄積できます。

タグ付け機能や条件検索機能を活用すれば、新しいプロジェクトが立ち上がった際に、データベースから最適な人材をスピーディに見つけ出すことができます。

契約・発注管理

NDA(秘密保持契約)や業務委託基本契約の締結をオンライン上で完結させる電子契約機能です。さらに、案件ごとの個別契約における発注書や検収書を、あらかじめ設定したテンプレートから自動生成できます。

いつ、誰が、どの書類を発行し、相手方がいつ確認したのかというタイムスタンプ(ログ)がすべて残るため、フリーランス新法が求める書面明示義務の手続きを自動化・証跡化できます。

請求・支払い管理

フリーランスからの請求書の発行状況や回収を管理する機能です。多くの場合、システム内の発注・検収データと連動して請求書が自動起票されるため、記載ミスのない正確な請求書が期日通りに集まります。

集まった請求データは、源泉徴収税や消費税(インボイス対応)が自動計算され、全銀協フォーマットや主要な会計ソフトへと一括で出力・連携できるため、毎月の支払振込作業が劇的にスムーズになります。

コミュニケーション・タスク管理機能

システム内でフリーランスと直接メッセージのやり取りや、業務の進捗状況を管理できる機能です。メールや複数のチャットツールにコミュニケーションが分散するのを防ぎ、業務連絡の履歴を案件情報に紐づけて残すことができます。

ファイルの送受信もシステム内で行えるため、機密性の高い成果物の受け渡しを安全に行うことができ、個人チャットの利用などのシャドーITによる情報漏洩リスクを低減します。

自社に最適なフリーランスマネジメントシステムの選び方

フリーランスマネジメントシステムを導入するにあたっては、自社の業務フローや取引の規模などを勘案して検討することが大切です。ここでは、フリーランスマネジメントシステム選びで留意すべきポイントを解説します。

自社の発注規模に合っているか

フリーランスマネジメントシステムを選ぶ際は、まず自社が月に何件の発注を行い、何人のフリーランスと取引しているかを正確に把握しましょう。

ツールの料金体系には、登録人数に応じたアカウント課金型と、何人使っても一律の定額型(または発注金額に応じた従量課金)があります。小規模であればアカウント課金が安く済みますが、大量に発注する場合は定額型や大企業向けプランの方がコストパフォーマンスが高くなります。

自社の基幹システムと連携できるか

経理業務の効率化を図るうえで、既存の会計ソフトやERPとの連携は重要なチェックポイントです。検討中のフリーランスマネジメントシステムが、標準でAPI連携可能か、CSV出力での対応かなどを確認しましょう。

API連携が可能であれば、フリーランスマネジメントシステムで承認された請求データがリアルタイムで会計ソフトに同期され、手作業によるミスやタイムラグを防ぐことができます。

発注側と受注側の双方にとって使いやすいか

システム導入が成功するかどうかは、実際に現場が使ってくれるかどうかにかかっています。社内の担当者にとって操作が難しいと、結局アナログ管理に戻ってしまう可能性もあります。

また、同様に重要なのがフリーランス側の使いやすさです。フリーランス側に使いにくいシステムの利用を強制すると、仕事を引き受けてもらえなかったり、入力が遅れて支払遅延の原因になったりするリスクがあります。導入前にデモ画面や無料トライアルなどを活用し、双方にとって使いやすいかを確認しましょう。

法改正に迅速に対応しているか

インボイス制度やフリーランス新法のように、フリーランス人材を取り巻く法環境は常に変化しています。ツールを選ぶ際は、ベンダーが法改正に対してどれだけ迅速にシステムをアップデートしているかの実績を確認することをおすすめします。

法改正のたびに別料金が発生したり、対応が遅れたりするツールでは、コンプライアンス違反のリスクを排除できません。クラウド型のツールで、自動かつ無償で法改正アップデートが行われるシステムが望ましいでしょう。

フリーランスマネジメントシステムの導入・運用における注意点

フリーランスマネジメントシステムを社内や外部パートナーへスムーズに定着させ、安全に運用するための重要な注意点を解説します。

社内の発注・検収フローの事前整理と標準化

フリーランスマネジメントシステムは非常に便利なツールですが、社内の業務フローが整備されていない状態で導入すると、一元管理のメリットが薄れてしまいかねません。誰の承認を得て発注とするのか、検収の基準は何か、毎月何日までに請求書を確定させるのかといったルールを、導入前に整理して標準化しておく必要があります。

業務のボトルネックをあらかじめ解消したうえでフリーランスマネジメントシステムでの運用へ移行することが大切です。

外部パートナーへのシステム導入・協力の周知方法

フリーランスマネジメントシステムを導入すると、外部パートナー側にもシステムへの登録やシステム上での請求書承認といった一手間をお願いすることになります。

唐突にシステム利用を強制すると反発を招く恐れがあるため、「法改正(フリーランス新法等)へ適正に対応するため」「支払いをより迅速かつ確実に行うため」といった目的を丁寧に説明し、マニュアルを配布したり猶予期間を設けたりするなどの配慮を心がけましょう。

個人情報保護のセキュリティ対策

フリーランスマネジメントシステムでは、外部パートナーの氏名や住所、報酬の振込口座情報、さらには税務処理に必要なマイナンバーなど、機密性の高い個人情報を扱います。

そのため、システムのセキュリティ体制のチェックは必須です。ベンダーがISMS(ISO27001)認証やプライバシーマークを取得しているか、二要素認証やIPアドレス制限などのアクセス制御機能が備わっているかを必ず確認しましょう。

フリーランスマネジメントシステムの例

最後に、フリーランス人材の効率的で安全な活用体制をサポートするフリーランスマネジメントシステムを5つ紹介します。


ツール名会社名
freee業務委託管理(旧pasture)フリー株式会社
Lansmart by SmartHR株式会社SmartHR
FreelancebaseINSTANTROOM株式会社
PROBASE株式会社サーキュレーション
エクスチームパーソルキャリア株式会社

まとめ

フリーランスマネジメントシステム(FMS)は、単なる業務効率化のためのツールにとどまらず、フリーランス新法や下請法などの近年の厳格な法規制を遵守し、企業の社会的信用を守るためのコンプライアンス・インフラであるといえます。

優秀なフリーランス人材とクリーンな協力関係を築くことは、今後の企業の成長を左右する戦略でもあります。自社の発注規模や既存のシステム環境に最適なシステムを選定し、安全で効率的なフリーランス人材の活用体制を構築していきましょう。

よくある質問

フリーランスマネジメントシステム(FMS)とは?

フリーランスマネジメントシステム(FMS)とは、企業が業務委託契約を結ぶフリーランスや副業人材を一元管理するクラウドサービスです。社内のタレントマネジメントとは異なり、外部のフリーランス人材のスキル管理、発注・検収、請求書回収、支払処理といった一連の取引プロセスを最適化・デジタル化することに特化しています。

詳しくは、記事内「フリーランスマネジメントシステム(FMS)とは」をご覧ください。

フリーランスマネジメントシステムを導入するメリットは?

フリーランスマネジメントシステムの導入メリットは、契約や請求業務のペーパーレス化による事務負担の激減と、下請法やフリーランス新法に準拠した運用による法令違反リスクの回避です。さらに、全社で稼働するフリーランス人材のスキルや評価を可視化・共有できるため、優秀なパートナーの社内競合を防ぎ、最適なプロジェクトへスムーズに再配置できます。

詳しくは、記事内「フリーランスマネジメントシステムを導入するメリット」で解説しています。

フリーランスマネジメントシステムの主な機能は?

フリーランスマネジメントシステムの主な機能には、スキルや実績を蓄積する人材データベース、法律に対応した書面を自動生成・締結する契約・発注管理、インボイス対応の請求書を自動起票し支払データを出力する請求・支払い管理があります。また、システム内で安全に業務連絡や成果物の受け渡しができるコミュニケーション機能も備わっています。

詳しくは、記事内「フリーランスマネジメントシステムの主な機能」で解説しています。

フリーランスマネジメントシステムを導入すると、フリーランス側に利用料金は発生する?

一般的なフリーランスマネジメントシステムでは、利用料金は発注元である企業側が負担するビジネスモデルが主流です。

そのため、受注するフリーランス側がアカウントを作成したり、システムを利用したりする際の手数料や月額費用は無料であるケースがほとんどです。フリーランス側に金銭的負担がかからないことを事前に説明しておくと、導入への協力を得やすくなります。

業務委託先との契約・発注・請求・支払をまるごと管理

freee業務委託管理は、業務委託先との契約・発注・請求・支払を一元管理するクラウドのサービスです。下請法、フリーランス保護新法、インボイス制度、電子帳簿保存法など法令に対応した安全な取引を実現できます。

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