GAAPとは「Generally Accepted Accounting Principles」の略で、一般的に公正妥当と認められた会計原則のことです。
会計ルールは国によって違いがあり、各国のGAAPはそれぞれJ-GAAP(日本の会計原則)、US-GAAP(米国の会計原則)、UK-GAAP(英国の会計原則)のように、国の略号を頭につけた呼び名で区別されています。
本記事では、GAAPの概要や国際会計基準のIFRSとの違い、会計ルールに基づかないnon-GAAPとの使い分けについて詳しく解説します。
目次
GAAPとは
GAAPとは、企業の財務会計において従わなければならないルール・ガイドラインを示したものであり「ギャープ」と発音されます。
厳密には、会社法・金融商品取引法のもとで、民間の会計基準設定主体である企業会計基準委員会(Accounting Standard Board of Japan、ASBJ)が定めた会計基準をひとまとめにしたルール群です。
新しく日本基準を設定する場合は、ASBJが開発し、金融庁が日本の会計基準であると指定することでGAAPとして成立します。
GAAPに基づいた情報は多岐にわたり、以下の財務指標があります。
GAAPに基づいた財務指標
つまり、企業がGAAPを遵守した会計処理や財務諸表など作成を行うことで、投資家や取引先からの信用が高まり、株式市場の健全な運営にもつながるのです。
なお、GAAPは国ごとの管理組織によって整備されており、明文化された基準以外でも慣習的に行われている会計処理もルールに含まれています。日本の場合は「J-GAAP」という呼び名で区別されています。。
GAAPとIFRSの違い
日本では多くの上場企業が「J-GAAP」を適用していますが、一般的な会計基準としてGAAPのほかに、国際財務報告基準である「IFRS(イファース)」も存在します。
日本でも証券市場の国際競争力を高めることを目的に、2009年には金融庁よりIFRSの強制適用を視野に入れていることが公表されました。しかし、IFRSの導入は実務負担が大きいため、国内の上場企業などが強く反発し、現在に至るまで強制適用は行われていません。
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US-GAAPとは
US-GAAPとは、米国で一般的に公正妥当と認められた会計原則のことで「Generally Accepted Accounting Principles」の略です。日本と同様、アメリカ合衆国の財務会計に使用されるルール・ガイドラインを示したものです。
前述のとおり、会計ルールは国によって違いがあるため、US-GAAPのほかにもUK-GAAP(英国の会計原則)のように、国の略号を頭につけた呼び名で区別されています。
US-GAAPは国際会計基準と並ぶ世界的な会計基準であり、IFRSとのコンバージェンス(統合)が進行しています。
J-GAAPもUS-GAAPを参考としていることもあり、類似している点が少なくありません。日本の企業でも、米国証券取引委員会(SEC)に登録している企業については、US-GAAPによって財務諸表を公表することが認められています。
かつてのJ-GAAPはUS-GAAP(米国会計基準)や国際会計基準と大きな差異がありました。しかし、現在はこれらの会計基準とのコンバージェンス(統合)が進んだことによって、差異が小さくなってきています。
ただし現時点においては、のれんの計上・償却などの会計処理の違いが存在しているため、同じように財務分析を行うことはできない点に留意する必要があるでしょう。
non-GAAPとは
non-GAAPとは、会計ルールに基づかない情報のことで、「ノンギャープ」と発音します。
一般的かつ汎用性の高い会計ルールに基づく情報では、どうしても事業の特性を的確にとらえることに限界があります。
そのため、投資家の理解をより深めるために、自社の事業実態をわかりやすく伝える方法として、決算説明会などでnon-GAAPが使用されるケースがあります。
まとめ
近年は、国際的な評価を得るためにIFRSを取り入れる日本の企業も徐々に増えてきています。2023年11月時点で、279もの企業がIFRSを適用しています。
どの会計基準を採用するのか、もしくは会計ルールに基づかない情報を開示するかは、経営上、重要な戦略であるといえるでしょう。
どうすれば投資家に正しく理解・評価してもらえるかを踏まえたうえで、適切な会計ルールを検討することが大切です。
出典:日本取引所グループ「IFRS(国際財務報告基準)への対応」
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