東京プロマーケット(TOKYO PRO Market)は、東京証券取引所が運営する、プロ投資家のみが取引できる株式市場です。プライム・スタンダードなどの一般株式市場と異なり、上場基準や上場維持基準が企業の実態に合わせて柔軟に設定されており、上場ハードルが低いのが特徴です。
本記事では、東京プロマーケットの基礎知識、上場するメリット・デメリット、上場方法を解説します。
目次
- 東京プロマーケットとは
- 東京プロマーケットと一般株式市場との違い
- 東京プロマーケットで上場するメリット
- 企業としての信用が上がる
- 社内の管理体制やガバナンスが整備される
- 一般株式市場へ上場する足掛かりになる
- 東京プロマーケットで上場するデメリット
- 上場に手間とコストがかかる
- 一般株式市場と比べて資金調達が難しい
- 東京プロマーケットで上場するための基準
- 1. 東京証券取引所に相応しい企業であること
- 2. 事業を適正かつ誠実に実施している
- 3. ガバナンスおよび内部管理体制が適切に整備運用されている
- 4. 適切な情報開示義務を果たせる体制が整っている
- 5. その他公益や投資者保護の観点から東証が必要と定める項目
- 東京プロマーケットで上場するまでの流れ
- 1. J-Adviserと契約を行う
- 2. 上場のための準備を行う
- 3. 上場のための審査を受ける
- 4. 上場申請を行う
- freeeで内部統制の整備をスムーズに
- よくある質問
東京プロマーケットとは
東京プロマーケット(TOKYO PRO Market)は、東京証券取引所が運営する株式市場のひとつで、プロ投資家のみが株式取引を行える市場です。プライム市場やスタンダード市場が一般投資家向けであるのに対し、上場基準や上場維持基準が企業の実態に合わせて柔軟に設定されています。
プロ投資家とは、金融商品取引法で定められる特定投資家のことで、十分な知識・経験・資産・危機管理能力があると認められる投資家を指します。
東京プロマーケットは、上場コストの課題に対応するため、2009年にロンドン証券取引所のAIM市場を参考に「TOKYO AIM取引所」として開設されました。2012年3月にロンドン証券取引所との共同出資が解消され、同年7月に名称が東京プロマーケットへ変更されました。
東京プロマーケットと一般株式市場との違い
東京プロマーケットは、上場や上場維持に株主数や流通株式量の数値基準が設けられておらず、一般市場と比較して上場ハードルが低い市場です。
<東京プロマーケットと一般株式市場の比較>
| 項目 | 東京プロマーケット(TPM) | 東証他市場 |
|---|---|---|
| 開示言語 | 英語又は日本語 | 日本語 |
| 上場基準 | 形式基準:なし/実質基準:あり | 形式基準:あり(株主数、流通株式等)/実質基準:あり |
| 審査主体 | J-Adviser | 主幹事証券会社、東証 |
| 上場申請から承認までの期間 | 10営業日 | 2〜3ヶ月程度 |
| 上場前の監査期間 | 最近1年間 | 最近2年間 |
| 内部統制報告書 | 任意 | 必須 |
| 四半期開示 | 任意 | 必須 |
| 主な投資家 | 特定投資家(プロ投資家)等 | 一般投資家 |
東京プロマーケットには、上場の数値基準がない・上場準備期間や審査期間が短い・上場費用が少ない・プロ投資家のみが参加可能、という特徴があります。
上場費用は約2,000万〜4,000万円程度で、一般市場の約2億円と比べて大幅に少なく、維持費も年間約1,500万〜2,500万円程度(一般市場は年間約5,000万円)で済みます。最短1年での上場が可能で、審査期間も10営業日と短くなっています。
一般市場の数値基準(形式基準)の比較は以下のとおりです。
| プライム市場 | スタンダード市場 | グロース市場 | |
|---|---|---|---|
| 株主数 | 800人以上 | 400人以上 | 150人以上 |
| 流通株式数 | 2万単位以上 | 2,000単位以上 | 1,000単位以上 |
| 流通株式時価総額 | 100億円以上 | 10億円以上 | 5億円以上 |
| 流通株式比率 | 35% | 25% | 25% |
東京プロマーケットで上場するメリット
東京プロマーケット上場のメリットは、信用力向上・ガバナンス整備・一般市場へのステップアップの3点です。
企業としての信用が上がる
上場基準は緩和されていますが「東証上場企業」であることに変わりなく、社会的信用の獲得につながります。取引先や顧客からの信頼向上、人材確保、従業員の士気向上などが期待できます。
社内の管理体制やガバナンスが整備される
上場準備の過程で社内管理体制やガバナンスの整備・強化が求められるため、組織力・生産性の向上、業務効率化が同時に進められます。
一般株式市場へ上場する足掛かりになる
企業地盤が強固になることで、上場要件が厳しい一般株式市場への上場の足掛かりとなります。東京証券取引所の上場推進部は、市場変更を検討する企業に対して直接の支援活動を行っています。
東京プロマーケットで上場するデメリット
デメリットは、上場のコストと資金調達の難しさの2点です。
上場に手間とコストがかかる
東京プロマーケットでも、半期と事業年度末に発行者情報(企業概況・事業の状況・設備の状況・発行者の状況・経理の状況)の開示義務があり、一定のコストが発生します。
<東京プロマーケットへの上場にかかる主な費用>
| 費用 | 金額 |
|---|---|
| 新規上場料 | 300万円(税抜) |
| 新規テクニカル上場料 | (新規上場日時価総額-上場廃止前時価総額)×2/10,000(上限1,000万円) |
| 新株発行等に伴う料金 | 新株発行価格×発行株式数×万分の9+既存株式売出価格×売出株式数×万分の1 |
一般株式市場と比べて資金調達が難しい
参加できる投資家はプロ投資家に限られ、株式の売買数が少なく流動性が低いため、短期間での大規模な資金調達は難しい場合があります。
東京プロマーケットで上場するための基準
東京プロマーケットの上場審査には形式基準がなく、5つの実質基準への適合状況をJ-Adviserが調査・確認します。J-Adviserとは、上場適格性や上場維持要件の調査、上場後の適時開示の助言・指導を行う、東京証券取引所公認の企業です。
1. 東京証券取引所に相応しい企業であること
法律・会計体系・税制等の適切な理解、期間ごとの予算統制の整備、上場予定日から12ヶ月間の運転資金などが確認されます。
2. 事業を適正かつ誠実に実施している
関連当事者取引や経営者関与取引の把握・調査・牽制体制、代表取締役社長・役員としての資質が確認されます。
3. ガバナンスおよび内部管理体制が適切に整備運用されている
社内規程の整備・運用、内部管理に必要な人員配置、法令遵守のための社内体制が確認されます。企業の規模や成熟度に応じた整備が求められます。
4. 適切な情報開示義務を果たせる体制が整っている
上場後の情報開示体制、開示規則・義務の認識、インサイダー取引の抑止・防止体制が確認されます。
5. その他公益や投資者保護の観点から東証が必要と定める項目
反社会的勢力との無関係、反社排除に関する規則・体制の整備、株主の異動状況や権利の把握などが確認されます。
東京プロマーケットで上場するまでの流れ
上場には、J-Adviserとの契約・上場準備・上場審査・上場申請の4ステップが必要です。
1. J-Adviserと契約を行う
東京プロマーケットへの上場には、J-Adviserとの契約が必須です。同時に監査法人との契約も進め、ショートレビューで監査体制を確認します。
2. 上場のための準備を行う
上場の計画書に沿って、業務フロー・内部監査体制・ガバナンス・コンプライアンス体制を整備します。1年間の外部監査契約も必要で、日本公認会計士協会の「上場会社等監査人登録制度」に登録された監査法人が望ましいとされています。
上場直前期の決算確定後、J-Adviserが重点審査検討会で次のステップへの移行可否を検討します。
3. 上場のための審査を受ける
組織体制の確認・審査、流動性プロバイダー(自社株式の取り扱いを委託する1社以上の証券会社)の選定、上場適格性検討会の3ステップで、最短3ヶ月程度です。
J-QS(東京証券取引所が認定したJ-Adviser機関の担当者)が上場適格性と上場意向表明のタイミングを最終協議します。
4. 上場申請を行う
J-Adviserが東証に上場意向表明書を提出し、東証・J-Adviserでの面談、J-Adviser有価証券新規上場申請書の提出・受理を経て手続きが完了します。
詳細は別記事「上場とは?株式上場するメリット・デメリットや非上場との違いについて解説」をご確認ください。
freeeで内部統制の整備をスムーズに
IPOは、スモールビジネスが『世界の主役』になっていくためのスタート地点だと考えています。
IPOに向けた準備を進めていくにあたり、必要になってくる内部統制。自社において以下のうち1つでも該当する場合は改善が必要です。
- バックオフィス系の全てのシステムにアクセス権限設定を実施していない
- 承認なく営業が単独で受注・請求処理を行うことができる
- 仕入計上の根拠となる書類が明確になっていない
freee会計のエンタープライズプランは内部統制に対応した機能が揃っており、効率的に内部統制の整備が進められます。
内部統制対応機能
- 不正防止(アクセスコントロール)のための、特定IPアドレスのみのアクセス制限
- 整合性担保(インプットコントロール)のための、稟議、見積・請求書発行、支払依頼などのワークフローを用意
- 発見的措置(モニタリング)のための、仕訳変更・承認履歴、ユーザー情報更新・権限変更履歴などアクセス記録
- 国際保証業務基準3402(ISAE3402)に準拠した「SOC1 Type2 報告書」を受領
詳しい情報は、内部統制機能のページをご確認ください。
導入実績と専門性の高い支援
2020年上半期、freeeを利用したマザーズ上場企業は32.1%。freeeは多くの上場企業・IPO準備企業・成長企業に導入されています。
また、freeeではIPOを支援すべく、内部統制に関する各種ツールやIPO支援機関との連携を進めています。
内部統制を支援するツール・連携機能
IPOに向けた準備をお考えの際は、freeeの活用をご検討ください。
よくある質問
東京プロマーケット(TOKYO PRO Market)とは何ですか?
東京証券取引所が運営する、プロ投資家(特定投資家)向けの株式市場です。プライム・スタンダード・グロース市場と異なり、株主数や流通株式数などの数値的な形式基準がありません。上場審査はJ-Adviserと呼ばれる東証公認の専門企業が担い、一般市場よりも上場ハードルが低い点が特徴です。
詳しくは「東京プロマーケットとは」をご覧ください。
東京プロマーケットの上場難易度は?
一般市場と比較して低く設定されています。形式基準がなくJ-Adviserによる5つの実質基準で審査され、上場前の監査期間も1年間で済み、最短約1年で上場可能です。ただしガバナンス体制や情報開示体制の構築は必須で、準備そのものを省略できるわけではありません。
詳しくは「東京プロマーケットで上場するための基準」をご覧ください。
東京プロマーケットに上場しても意味ない?
目的によって評価は分かれます。信用力向上・人材確保・社内管理体制の強化が目的なら有効で、一般市場へのステップアップ実績もあります。短期間での大規模な資金調達が目的なら、流動性の低さから一般市場の方が適しています。
詳しくは「東京プロマーケットで上場するメリット」をご覧ください。
東京プロマーケットの株は個人でも売買できますか?
取引できるのは金融商品取引法で定められたプロ投資家(特定投資家)のみで、一般の個人投資家は直接売買できません。
詳しくは「東京プロマーケットとは」をご覧ください。
