東証(東京証券取引所)は、国内株式・ETF・REITなどの現物市場を運営する日本最大の証券取引所です。
全体で3,600社以上の企業が上場しており、取引規模・上場企業数ともに国内の他の証券取引所を大きく上回ります。株式の売買から取引の決済・上場審査・市場の監視まで、投資家が安心して取引できる市場を維持するための業務全体を担っています。
2022年の市場再編により、現在はプライム市場・スタンダード市場・グロース市場の3つの市場区分で運営されています。上場を検討している企業にとっては各市場区分のコンセプトや基準の違いを、投資家にとっては市場全体の動向を把握するうえで東証の仕組みを理解することが欠かせません。
本記事では、東証の概要や歴史のほか、業務内容・市場区分・TOPIXについてわかりやすく解説します。
目次
東証(東京証券取引所)とは
東証とは「東京証券取引所」の略称で、国内株式・外国株・社債・国債などの債券・先物といった金融商品の売買市場を運営する、日本最大の証券取引所です。日本取引所グループ(JPX)の子会社として、現物市場の運営を担っています。日本取引所グループは以下の会社で構成されています。
東証の基本情報は以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 商号 | 株式会社東京証券取引所 |
| 所在地 | 東京都中央区日本橋兜町2-1 |
| 代表番号 | 03-3666-0141 |
| 営業時間 | 8時45分〜16時45分 |
| 立会時間(前場) | 9時〜11時30分 |
| 立会時間(後場) | 12時30分〜15時30分 |
| 営業日 | 月曜日〜金曜日 |
| 休日 | 土・日曜、祝日・12月31日・1月1日〜1月3日 |
日本の証券取引所は東証・名古屋証券取引所・福岡証券取引所・札幌証券取引所の4つが存在しますが、取引規模・上場企業数ともに東証が国内最大です。
東証(東京証券取引所)の歴史
東証は1949年の設立以来、時代のニーズに合わせて市場の拡充と制度改革を続けてきました。主な沿革は以下のとおりです。
| 年月 | できごと |
|---|---|
| 1949年4月 | 東京証券取引所設立、5月より売買立会を開始 |
| 1961年10月 | 東証二部を開設 |
| 1999年11月 | マザーズ市場を開設 |
| 2013年1月 | 東京証券取引所グループと大阪証券取引所が経営統合、日本取引所グループ(JPX)発足 |
| 2013年7月 | 大阪証券取引所の現物市場と統合。デリバティブ取引は大阪取引所に一本化 |
| 2022年4月 | 市場区分を再編。プライム市場・スタンダード市場・グロース市場の3区分に移行 |
2013年の経営統合により、東証は現物市場の運営に特化した体制となりました。2022年の市場再編では、それまでの各市場区分のコンセプトが曖昧という課題を解消するため、3つの市場区分に整理され、上場企業の持続的な企業価値向上を促す仕組みへの転換が図られました。
東証(東京証券取引所)の業務内容
東証の業務は株式の売買にとどまらず、取引の決済・上場審査・市場の監視と多岐にわたります。投資家が安心して取引できる市場を維持するための業務全体を担っています。
株式(有価証券)の売買
東証の株式市場では、国内株式・ETF・REITなどの有価証券を売買しています。2025年度の東証プライム市場の1日平均売買代金は6兆7,015億円にのぼり、国内の証券取引所のなかで圧倒的な規模を誇ります。
取引のほとんどはコンピューター上で行われており、東証はarrowheadという売買システムを採用しています。arrowheadは投資家からの売買注文を集め、以下のルールに基づいて売買を成立させます。
株式売買のルール
- 価格優先:最も高い値段の買い注文と最も安い値段の売り注文が優先
- 時間優先:注文の金額が同額であった場合、より早い注文が優先
また、arrowheadには不正売買の監視機能や、システム接続に異常があった際の注文取消機能など、リスク防止の仕組みも備わっています。成立した取引の情報や日々の始値・終値・安値・高値などの情報をリアルタイムで発信しているのもarrowheadです。
出典:日本取引所グループ「2025年度及び2026年3月の売買状況について」
出典:日本取引所グループ「現物取引」
出典:日本取引所グループ「内国株の売買制度」
取引の決済
売買が成立した取引について、株式と代金の受け渡しを行うことも東証の業務です。1日の取引件数は多い日で1億件を超えるため、日本取引所グループの子会社である日本証券クリアリング機構と連携しながら決済処理を行います。
出典:日本証券クリアリング機構「会社概要」
上場を希望する企業の審査
上場は希望するすべての企業ができるものではありません。上場するためには、申請前の外部監査を含めた所定の手続きを行い、東証の審査を受け、提示された要件全てを満たす必要があります。
そのため東証は、株式市場に上場を希望する企業が、法令を遵守した経営をしているかや上場要件を満たしているかなどを審査し、投資家が安心して株式の売買を行える市場を維持しています。審査は市場区分ごとに設けられた基準に基づき、企業の成長性・安定性・ガバナンスなどを確認する形で進められます。
市場・取引・証券会社の調査や分析
株式市場や株式取引、証券会社の調査・分析も東証の業務です。
証券会社からの注文に異常がないか、株価の変動に大きく関わる情報がないか、相場操縦やインサイダー取引などの不正が行われていないかを常時確認しています。これらの調査は取引時間終了後も継続されます。
なお、投資家が東証の株式市場で直接株式を売買することはできません。投資家は、東証での取引を認められた証券会社を通じて注文を行う仕組みです。そのため東証は、取引を行う証券会社の管理体制やシステムの運用状況も定期的に調査し、問題が見つかった際には指導や取引停止などの対策を講じます。
出典:日本取引所グループ「東証のしごと|なるほど!東証経済教室」
東証(東京証券取引所)の3つの市場区分
東証では、プライム市場・スタンダード市場・グロース市場の3つの市場区分を設けており、企業の規模・成長ステージ・ガバナンス水準に応じた上場の場を提供しています。
なお、東証にはこれら3つの市場とは別に、プロ投資家(特定投資家)および非居住者のみを対象としたTOKYO PRO Marketも開設されています。一般投資家が直接売買できる上記3市場とは制度の仕組みが異なるため、区別して理解することが求められます。
出典:日本取引所グループ「市場概要(内国株)|株式・ETF・REIT等」
プライム市場
プライム市場は、東証の3つの市場区分のなかで最上位に位置する市場です。多くの機関投資家の投資対象となる規模の時価総額と高い流動性を持ち、より高いガバナンス水準を備えた企業のための市場として位置付けられています。
TOPIXの構成銘柄もこの市場から選ばれています。TOPIXについての詳細は、後述の「TOPIXとは」をご覧ください。
プライム市場の概要は以下のとおりです。
プライム市場の概要
- 国際的な投資家からの投資対象となる規模と高い流動性がある
- 株主との対話に重点を置き、持続的な成長と企業価値向上を確約する
- より高いガバナンス水準を満たし、安定した経営基盤と財政状態である
スタンダード市場
スタンダード市場は、公開市場における投資対象として一定の時価総額(流動性)を持ち、上場企業としての基本的なガバナンス水準を備えた企業のための市場です。プライム市場と比べて求められる規模・流動性・ガバナンスの水準は緩やかで、国内の一般投資家を主な対象とした市場として位置づけられています。
スタンダード市場の概要は以下のとおりです。
スタンダード市場の概要
- 公開されている株式として一般投資家の投資対象となる一定の流動性がある
- 上場企業として基礎的なガバナンス水準がある
- 持続的な成長と企業価値向上を確約する
- 安定した経営基盤と財政状態である
プライム市場よりも上場基準は緩和されていますが、上場基準を下回ってしまうと上場廃止になってしまうリスクが存在します。上場を維持するには、継続した事業成長や安定した経営体制の確立などの企業努力が必要不可欠です。
グロース市場
グロース市場は高い成長可能性を持つ企業のための市場です。プライム市場・スタンダード市場と比べて上場基準は緩やかですが、上場後も事業計画の進捗の適時・適切な開示が求められます。主にベンチャー企業や新興企業によるIPOの場として活用されています。
グロース市場の概要は以下のとおりです。
グロース市場の概要
- 高い企業成長を実現するための事業計画がある
- 一般投資家の投資対象となる最低限の流動性がある
- 事業規模と企業の成長にあった適切なガバナンス水準がある
市場再編の背景や目的、それぞれの市場の上場基準など詳しく知りたい方は、別記事「東証再編はいつから?新市場区分の種類・移行ルール・上場基準をわかりやすく解説」をあわせてご確認ください。
TOPIXとは
TOPIXとは「東証株価指数(Tokyo Stock Price Index)」の略称で、東証に上場するプライム市場の全銘柄を対象とした株価指数です。1968年1月4日の時価総額を基準値(100ポイント)として、その後の時価総額の変化を指数化したもので、日本の株式市場全体の動向を示す代表的な指標として広く活用されています。
日経平均株価(日経225)が東証プライム市場上場銘柄のうち225銘柄を対象とするのに対し、TOPIXはプライム市場の全銘柄を対象とするため、より広範な市場動向を反映しています。機関投資家のパフォーマンス評価の基準(ベンチマーク)としても広く使われています。
なお、TOPIXの構成銘柄は2022年の市場再編にともない段階的に見直しが行われており、2025年1月以降はプライム市場の全上場銘柄が対象となっています。
出典:日本取引所グループ「TOPIXとは|マーケット情報」
東証と他の証券取引所の違い
日本には東証のほかに、名古屋証券取引所・福岡証券取引所・札幌証券取引所の3つの証券取引所があります。いずれも株式の売買市場を運営していますが、取引規模・上場企業数・対象エリアの点で東証と大きく異なります。
| 東京証券取引所 | 名古屋証券取引所 | 福岡証券取引所 | 札幌証券取引所 | |
|---|---|---|---|---|
| 市場区分 | プライム・スタンダード・グロース・TOKYO PRO Market | プレミア・メイン・ネクスト | 本則市場・Q-Board | 本則市場・アンビシャス |
| 特徴 | 国内最大規模。国内外の機関投資家・一般投資家が参加 | 中部・東海地方を中心とした企業が多い | 九州に本社または事業拠点を持つ企業が対象 | 北海道に本社または事業拠点を持つ企業が対象 |
名古屋・福岡・札幌の各証券取引所は、それぞれ地域に根ざした企業の資金調達の場として機能しており、東証との重複上場(二重上場)を行っている企業も多くあります。IPOを検討する企業にとっては、事業拠点や投資家層に応じて上場先を選択する判断材料のひとつです。
【関連記事】
IPOとは?上場との違いから審査基準までわかりやすく解説
まとめ
東証は日本最大の証券取引所として、株式の売買・取引の決済・上場審査・市場の監視といった業務を担っています。2022年の市場再編以降は、プライム市場・スタンダード市場・グロース市場の3つの市場区分で運営されており、企業の規模・成長ステージ・ガバナンス水準に応じた上場の場を提供しています。
上場を検討している企業にとっては、各市場区分のコンセプトや上場基準を把握したうえで、自社の状況に合った市場区分を選択することが求められます。
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よくある質問
東証とはどんな組織ですか?
東証(東京証券取引所)は、日本最大の証券取引所です。株式会社日本取引所グループ(JPX)の子会社として、国内株式・ETF・REITなどの現物市場の運営を担っています。主な業務は、有価証券の売買市場の提供・取引の決済・上場審査・市場の監視です。
詳しくは記事内「東証(東京証券取引所)とは」をご覧ください。
東証の取引時間は何時から何時ですか?
東証の立会時間は、前場が9時〜11時30分、後場が12時30分〜15時30分です。土・日曜・祝日・年末年始(12月31日・1月1日〜1月3日)は休業日です。
詳しくは記事内「東証(東京証券取引所)とは」をご覧ください。
東証の市場区分は何種類ありますか?
東証には、プライム市場・スタンダード市場・グロース市場の3つの市場区分があります。そのほか、プロ投資家および非居住者のみを対象としたTOKYO PRO Marketも開設されており、一般投資家が直接売買できる市場とは制度の仕組みが異なります。
詳しくは記事内「東証(東京証券取引所)の市場区分」をご覧ください。
東証とJPX(日本取引所グループ)の違いは何ですか?
JPX(日本取引所グループ)は、東京証券取引所・大阪取引所・東京商品取引所などを傘下に持つ持株会社です。東証はJPXの子会社として、国内の現物株式市場の運営を担っています。大阪取引所が先物・オプションなどのデリバティブ市場を担うのに対し、東証は現物市場に特化した役割を担っています。
詳しくは記事内「東証(東京証券取引所)とは」をご覧ください。
