上場とは、企業が自社の株式を証券取引所(株式市場)で一般投資家が自由に売買できるようにすることです。上場は、企業にとって社会的な信用獲得、大規模な資金調達、優秀な人材確保など、成長を加速させるための大きな転換点となります。
一方で、上場を達成するためには、数年間にわたる厳しい準備期間と、収益性・ガバナンス・内部管理体制を問う厳格な実質基準をクリアしなければなりません。また、上場後も、会社経営の責任が高まるなどのリスクが伴います。
本記事では、上場企業と株式会社、上場企業と非上場企業の違いから、東証の市場区分や上場承認に必要な基準、上場のための準備フローまで解説します。
目次
- 上場とは
- 株式上場とは
- 上場企業と株式会社の違い
- 上場企業と非上場企業の違い
- 証券取引所と株式市場の種類
- プライム市場
- スタンダード市場
- グロース市場
- 地方証券取引所(名証・福証・札証)
- 上場承認されるための実質基準
- 継続性及び収益性があるか
- 企業経営の健全性があるか
- コーポレートガバナンスや内部管理体制が整っているか
- 企業内容やリスク情報の開示を適切に行えるか
- その他公益または投資者保護の観点から取引所が必要な事項
- 上場するメリット
- 社会的信用が高まり、知名度が向上する
- 資金調達が容易になる
- 社内体制を強化できる
- 人材の確保が有利になる
- キャピタルゲインを得るきっかけとなる
- 上場するデメリット
- 上場のためのコストがかかる
- 経営責任と開示義務が増大する
- 株式を買収される可能性がある
- 株式会社が上場するまでの流れ
- 1. 準備開始:申請3年以上前
- 2. 監査期間:申請2年前~直前期
- 3. 上場申請・審査:直前期~申請期
- 4. 上場承認・上場
- まとめ
- よくある質問
上場とは
上場とは、企業が発行する株式などの証券を証券取引所が運営する株式市場で売買可能にすることを指します。
すべての株式会社は、株式を発行することで会社そのものを商品として提供しています。
株式会社は、上場すれば企業の株式を株式市場に公開でき、ほかの企業や投資家などからの資金調達が可能です。各株式市場にはそれぞれ上場条件があり、条件を満たせなければ会社は上場できません。
株式上場とは
株式上場とは、証券取引所が定める一定の基準をクリアした企業が、自社の株式を証券取引所で一般の投資家が自由に売買できるようにすることです。上場は「IPO(Initial Public Offering:新規株式公開)」とも呼ばれ、新たに株式を公開することを指します。
上場によって、企業の株式は市場という公の場で流通し、誰もがその企業のオーナー(株主)になる機会を得ます。企業にとっては、上場は社会的な信用を高め、資金調達の幅を広げるための重要な経営戦略のひとつです。
株式を公開している企業は「上場企業」、公開していない企業は「非上場企業」といいます。非上場企業の株式(未公開株)は、原則として一般投資家が取引することはできません。
上場企業と株式会社の違い
すべての上場企業は株式会社ですが、すべての株式会社が上場企業というわけではありません。
株式会社とは、会社法に基づいて設立された法人形態のひとつであり、事業資金を株式の発行によって調達し、株主が出資額の範囲内で責任を負う組織です。
一方、上場企業とは、数ある株式会社のうち、証券取引所が定める厳しい基準(事業規模、収益性、ガバナンス体制など)をクリアし、その株式を一般投資家が市場で売買できるように公開している会社を指します。
つまり、株式会社は企業の「法律的な設立形態」を表すのに対し、上場企業は株式会社の形態をとる企業のうち、「株式を市場に公開しているかどうか」という状態を表す言葉です。
上場企業と非上場企業の違い
上場企業と非上場企業を分ける最も大きな違いは、「自社の株式を一般に公開しているかどうか」です。
株式市場を経由することで、誰でも自由に株式の売買ができるようになります。一方、非上場企業の株式は市場には公開されておらず、原則、一般投資家は売買ができません。ただし、上場企業も非上場企業も、いずれも株式会社であるという点は共通しています。
日本の99%の企業は非上場企業で、その数は300万社を超えるといわれています。
上場企業の主な特徴は、以下のとおりです。
上場企業の特徴
- 主な株式所有者は投資家
- 株主総会を通じて、株主の意見が経営に取り入れられる
- 株式市場を通じて広く株式を売り出せるため、資金を集めやすい
- 法律に基づき厳格な情報開示(ディスクロージャー)が義務付けられており、社会的な説明責任が重い
非上場企業の特徴は、以下のとおりです。
非上場企業の特徴
- 主な株式所有者は経営者や関連会社など
- 広く一般からの資金調達は難しく、金融機関からの借入や経営者自身の出資が主な資金源
- 株式の公開はされていないので買収リスクを回避できる
- 特定の株主(経営者や創業家)の意向が強く反映され、上場企業に比べ迅速かつ柔軟な意思決定が可能
証券取引所と株式市場の種類
日本には現在、東京証券取引所(東証)、名古屋証券取引所(名証)、福岡証券取引所(福証)、札幌証券取引所(札証)の4つの証券取引所があり、それぞれに異なる市場区分が設けられています。
| 既存市場(メイン) | 新興企業向け市場 | プロ向け市場 | |
|---|---|---|---|
| 東京証券取引所(東証) | ・プライム市場 ・スタンダード市場 | グロース市場 | TOKYO PRO Market |
| 名古屋証券取引所(名証) | ・プレミア市場 ・メイン市場 | ネクスト市場 | ー |
| 福岡証券取引所(福証) | 本則市場 | Q-Board | Fukuoka PRO Market |
| 札幌証券取引所(札証) | 本則市場 | アンビシャス | ー |
名証、福証、札証の3つの地方証券取引所は、東証に比べると小規模であり、地域経済の中核企業の上場が中心です。
東証は、取引が最も集中する日本最大の市場であり、2022年4月に大規模な市場区分再編を実施。これまでの市場区分「東証一部」「東証二部」「JASDAQ」「マザーズ」が、「プライム」「スタンダード」「グロース」の3市場に再編されました。
東証再編についてさらに詳しく知りたい方は、別記事「東証再編はいつから?市場区分見直しの目的や影響について分かりやすく解説」をあわせてご確認ください。
日本の株式市場の中心である「プライム」「スタンダード」「グロース」の3つの市場は、上場審査基準や上場維持基準、そして市場が対象とする企業の目的や特徴も異なります。
プライム市場
東証の市場区分再編前の東証一部に相当するプライム市場は、新市場区分のうち最上位の市場で、その分他の市場よりも上場基準が高く設定されています。
プライム市場に上場する企業は、流動性およびガバナンス水準が高いのが特徴です。また、投資家とのコミュニケーションに重点を置いて、持続的な企業成長を約束しています。
プライム市場への上場審査基準・上場維持基準は、以下のとおりです。
| 項目 | 上場審査基準(一部抜粋) | 上場維持基準 |
|---|---|---|
| 時価総額 | 250億円以上 | ー |
| 株主数 | 800人以上 | 800人以上 |
| 流通株式数 | 20,000単位以上 | 20,000単位以上 |
| 流通株式時価総額 | 100億円以上 | 100億円以上 |
| 売買代金 | ー | 平均0.2億円以上 |
| 流通株式比率 | 35%以上 | 35%以上 |
| 収益基盤 | AまたはBに適合すること A:最近2年間の利益合計が25億円以上 B:最近1年間の売上高が100億円以上かつ時価総額1,000億円以上の見込み | ー |
| 財政状態 | 連結純資産額50億円以上 |
プライム市場の詳細について詳しく知りたい方は、別記事「プライム市場とは?東証一部との違いやメリット・デメリットについてわかりやすく解説」をあわせてご確認ください。
スタンダード市場
市場区分再編前の「東証二部」と「JASDAQ(スタンダード)」に相当するのがスタンダード市場です。
スタンダード市場に上場する企業は、市場に公開されている株式として一定の流動性があり、上場企業としての基本のガバナンス水準を備え、持続的な企業成長を約束しています。
スタンダード市場への上場審査基準・上場維持基準は以下のとおりです。
| 項目 | 上場審査基準(一部抜粋) | 上場維持基準 |
|---|---|---|
| 株主数 | 400人以上 | 400人以上 |
| 流通株式数 | 2,000単位以上 | 2,000単位以上 |
| 流通株式時価総額 | 10億円以上 | 10億円以上 |
| 売買高 | ー | 月平均10単位以上 |
| 流通株式比率 | 25%以上 | 25%以上 |
| 収益基盤 | 最近1年間の利益が1億円以上 | ー |
| 財政状態 | 連結純資産が正であること |
グロース市場
市場区分再編前の「マザーズ」と「JASDAQ(グロース)」の基準が統一されたグロース市場は、高い成長性が期待される企業のための市場です。主にベンチャー企業や、創業から期間が経っていない新興企業を対象にしています。
事業基盤が安定していない企業が多いため、上場後は事業計画などの進捗状況を適時・適切に開示することで、リスク許容度の高い投資家がより投資しやすくなります。
グロース市場への上場審査基準・上場維持基準は、以下のとおりです。グロース市場は将来の成長性を重視するため、収益性に関する基準は設定されていません。
| 項目 | 上場審査基準(一部抜粋) | 上場維持基準 |
|---|---|---|
| 時価総額 | ー | 上場10年経過後40億円以上 |
| 株主数 | 150人以上 | 150人以上 |
| 流通株式数 | 1,000単位以上 | 1,000単位以上 |
| 流通株式時価総額 | 5億円以上 | 5億円以上 |
| 売買高 | ー | 月平均10単位以上 |
| 流通株式比率 | 25%以上 | 25%以上 |
| 財政状態 | ー | 純資産額が正であること |
地方証券取引所(名証・福証・札証)
東証以外の地方証券取引所(名古屋証券取引所、福岡証券取引所、札幌証券取引所)は、地域経済の中核を担う企業の上場が中心です。上場基準は東証の各市場に比べると緩やかな傾向があり、地域に根差した企業や、東証へのステップアップを目指す企業が利用するケースが多いといえます。
| 証券取引所名 | 主な対象企業と特徴 |
|---|---|
| 名古屋証券取引所(名証) | 名古屋を中心とした東海地域の有力企業や、知名度向上を目指す成長企業が対象。東証と似た構成の市場区分を持つ |
| 福岡証券取引所(福証) | 九州・沖縄地域を地盤とする中堅企業や、地域密着型の成長企業が対象 |
| 札幌証券取引所(札証) | 北海道地域に根差した企業や、高い成長性を有するベンチャー企業が対象 |
地方証券取引所への上場には、以下のようなメリットとデメリットがあります。
地方証券取引所上場のメリット
- ブランド力向上:地域内での知名度や信用力が大幅に向上し、地域での採用活動などに有利になる。
- 基準の柔軟性:東証に比べると上場基準や維持基準が緩和されている傾向があるため、上場しやすい。
- 地域特化の資金調達:地域経済に理解のある投資家からの資金調達が可能になる。
地方証券取引所上場のデメリット
- 流動性の低さ:東証に比べて取引参加者が少ないため、株式の売買が成立しにくい傾向がある。
- 情報開示のコスト:上場企業として情報開示や内部管理体制の維持コストが発生する。
地方市場は、将来的な東証への市場変更を見据えつつ、まず自社の地域内でのブランド力を高めたい企業にとって、有効な選択肢のひとつといえます。
上場承認されるための実質基準
企業が各証券取引所の市場へ上場するためには、株主数や時価総額などの形式基準に加え、企業の質を問う実質基準のすべてを満たし、取引所の審査を通過しなければなりません。
東京証券取引所(東証)の上場実質基準は、以下の5つの柱から成り立っています。
上場にあたっての実質基準
- 企業の継続性および収益性
- 企業経営の健全性
- 企業のコーポレートガバナンスおよび内部管理体制の有効性
- 企業内容などの開示の適正性
- その他公益または投資者保護の観点から取引所が必要と認める事項
それぞれ5つの実質基準について解説します。
継続性及び収益性があるか
長期間にわたり事業を継続できるか(継続性)と、安定的に利益を生み出す収益力があるか(収益性)を審査します。
直近で利益が出ているかだけでなく、その利益が一時的なものではなく、今後も継続的に生み出し続けられるかという将来性も重視されます。具体的には、売上から原価や税金などを差し引いた利益構造が審査対象です。
企業経営の健全性があるか
企業活動が法律や社会規範をしっかりと遵守しているか(コンプライアンス)という点から、経営の健全性を審査します。
- 法令遵守体制が整っているか
- 子会社が親会社に過度に依存していないか、または特定株主に有利な取引がないか
- 役員の構成(親族のみで構成されていないかなど)や、他社役員の兼業が業務に支障をきたさないか
これらの審査を通じて、企業が社会的な信頼を損なうリスクがないかをチェックします。
コーポレートガバナンスや内部管理体制が整っているか
企業経営が、特定の経営者や創業家のためではなく、株主全体の利益を最大化するという考え(コーポレートガバナンス)に基づいて運営されているかを審査します。上場企業としてふさわしい高い透明性と組織統制能力が求められます。
具体的には、以下のような体制を整えておく必要があります。
- コーポレートガバナンス体制:社外取締役や社外監査役などを設置し、経営陣を監視・監督する体制が機能しているか
- 内部管理体制:組織的な不正や不祥事を防ぐための体制(経理、労務管理、情報管理など)が整っているか
企業内容やリスク情報の開示を適切に行えるか
上場企業は、投資家が正しい判断をするために必要な情報を、定められた時期に不足なく開示できる体制を整える必要があります。
この項目では、情報開示前の自社情報による内部取引(インサイダー取引)を防ぐ体制が整えられているかも審査されます。
その他公益または投資者保護の観点から取引所が必要な事項
投資家を保護し、市場全体の公平性と健全性を維持することを目的とした基準です。具体的には、反社会勢力関与防止体制整備や、買収防衛策導入に関する事項などがあります。
上場するメリット
企業が上場するには、厳しい監査と審査を受けて承認される必要がありますが、その苦労に見合う非常に大きな経営上のメリットを得ることができます。
上場には、主に以下の5つのメリットがあります。
企業が上場する5つのメリット
- 社会的信用が高まり、知名度が向上する
- 資金調達が容易になる
- 社内体制を強化できる
- 人材の確保が有利になる
- キャピタルゲインを得るきっかけとなる
社会的信用が高まり、知名度が向上する
上場するということは、証券取引所の厳しい審査基準をクリアした証であり、社会的な信用度が格段に向上します。
同時に、会社の知名度が大幅にアップし企業ブランドの強化につながるほか、それにより新規顧客の開拓や大企業との取引が非上場時よりも容易になると期待できます。
資金調達が容易になる
株式が一般株式市場に公開されるため、潤沢な資金を持つ投資家や投資を行う企業からの資金調達が容易になります。出資者が増えることによって上場企業への資金が増え、経営にも余裕が生まれます。
また、上場基準を通過したことにより信頼性も高まり、銀行から出資を受けるハードルも低くなります。
社内体制を強化できる
上場基準を満たす過程で、コーポレートガバナンス(企業統治)や内部管理体制を厳格に整備する必要があるため、企業体質そのものが強化されます。
組織的な不正や不祥事を防ぐための体制が構築され、コンプライアンス意識が高まるほか、業務フローや予算管理が明確になることで、組織全体の効率化にもつながります。
人材の確保が有利になる
会社の知名度や安定性、そして将来性が高まることで、新卒の学生やスキルを持った転職希望者の採用がしやすくなるでしょう。
また上場することで、既存の従業員に誇りや働きがいが生まれ、仕事へのモチベーションやロイヤルティが高まる効果も期待できます。
キャピタルゲインを得るきっかけとなる
キャピタルゲインとは、株式や不動産などの資産を購入時よりも高く売却して得られる利益を指します。創業者や既存株主は、株式を上場後に売却することでキャピタルゲインが得られます。
ただし、上場後に、会社関係者が未公表の情報を知りながら株式市場において売却を行うことは、インサイダー取引にあたる可能性があるため、厳重な管理体制と注意が必要です。
上場するデメリット
上場によって得られるメリットは多くありますが、同時に経営の自由度の低下や高いコスト負担など、デメリットも存在します。
上場による主要なデメリットとして、以下の3つが挙げられます。
企業が上場するデメリット
- 上場のためのコストがかかる
- 経営責任と開示義務が増大する
- 株式を買収される可能性がある
上場のためのコストがかかる
上場するには、さまざまなコストが発生します。上場に関わる資金だけでなく、人的コスト・時間的コスト・継続コストもかかり、そのうちひとつでも欠けてしまえば上場企業としては成り立ちません。
それぞれにかかる具体的な内容は以下のとおりです。
| 資金 | ・監査法人や主幹事証券会社などとの契約料 ・上場に伴うシステムやソフトなどの導入費用 など |
|---|---|
| 人的コスト | ・上場専門の公開準備室のための人員確保 ・上場基準を満たすための人員補充 など |
| 時間的コスト | ・上場を決めてから上場まで3年ほどの期間を要する ・監査やミーティングなど上場準備にかかる時間 ・上場維持のための情報開示や株主総会のための時間 など |
| 継続コスト | ・上場維持のためのコスト(社内体制の維持など数千万円から1億円程度) など |
経営責任と開示義務が増大する
会社を上場すると、経営者は「会社の所有者は株主である」という原則に基づき、非上場時のように経営者だけで意思決定をするのは困難です。株主の利益の最大化が常に求められ、株主総会でさまざまな要求を受ける可能性があり、経営の自由度が下がることも懸念されます。
また、経営状況を透明化するための開示義務(ディスクロージャー)が課されるほか、ガバナンスやサステナビリティ(持続可能性)といった社会的な企業責任も大幅に高まります。
株式を買収される可能性がある
上場後は不特定多数の投資家が、自由に自社の株を購入できるようになります。これにより、競合他社や買収ファンドなどによる買い占めや、敵対的買収(TOB)をされるリスクが高まります。
買収者によって株式の過半数を取得されると経営権が奪われ、経営方針や役員構成などを意図しない形で変えられてしまう可能性があります。上場企業は、この買収リスクに対応するための対策(買収防衛策の導入など)を講じなければなりません。
株式会社が上場するまでの流れ
上場するためには、最低でも3年程度の期間が必要です。証券取引所や市場によって期間が短くなるケースもありますが、数年単位の準備期間を想定しましょう。
上場の意思決定をしてから具体的な申請期間までの簡単な流れは、以下のように段階があります。
上場の意思決定から申請期間までの流れ
- 準備開始:申請3年以上前
- 監査期間:申請2年前~直前期
- 上場申請・審査:直前期~申請期
- 上場承認・上場
1. 準備開始:申請3年以上前
上場準備の第一歩は、社内の意思決定と準備体制の構築です。この段階で、上場に必要なインフラ整備をスタートさせます。
まずは、上場をサポートしてくれるパートナーを選定します。監査法人または公認会計士による監査の準備、主幹事証券会社の決定、必要に応じたコンサルティングの受け入れを行いましょう。
また、上場準備を専門的に進めるための社内チーム「公開準備室」の設置が必要です。このチームは、兼業ではなく専門業務として以下の業務を担います。
公開準備室の役割
- 事業計画(書)の作成と遂行
- 申請に伴う書類の準備
- 経営管理体制の確立
- 審査や監査への対応
これらの準備が整ったら、監査に備えて社内システムや体制の構築、整備および強化を行います。予算管理や決算処理制度も確立し、各種社内規程(就業規則、内部統制ルールなど)も整備しましょう。
2. 監査期間:申請2年前~直前期
上場申請には、過去2年間の外部監査による監査証明が必須です。そのため、上場準備開始後、すぐに外部監査を受け入れるフェーズに入ります。
この期間は、準備した体制が実際に機能するかを試す運用期間でもあります。監査機関の指摘事項に迅速に対応することが重要です。
3. 上場申請・審査:直前期~申請期
2年間の監査期間を経て、上場準備が整った段階でいよいよ上場申請を行います。申請の1年前(直前期)~申請期が該当します。このフェーズでは、取引所や証券会社による厳格な審査が実施されます。
上場申請書類や関連書類を作成し、主幹事証券会社の審査を受ける体制を整えましょう。証券取引所に正式な上場申請が行われると、形式基準(株主数や時価総額など)と実質基準(収益性、ガバナンスなど)に基づいた審査が始まります。
4. 上場承認・上場
取引所による審査の最終段階を通過すると、上場が正式に承認され、投資家に対して情報が公開されます。承認後、株式の公開価格を決定し、指定された日に証券取引所で自社株の売買がスタートします。
まとめ
株式上場とは、企業が社会的な信用と引き換えに、自社の株式を一般投資家が売買できるように市場へ公開することです。上場することで企業の知名度や信頼性が高まったり、経営資金の調達がしやすくなったりするなど、さまざまなメリットが得られます。
しかし上場には、厳しい審査基準を満たす必要があり、多くのコストが発生します。また他企業に買収されやすくなったり、株主の利益を優先するため、経営の意思決定の自由度が下がったりするリスクも存在します。
自社が目指す経営方針が、上場によって達成できるのかどうかを考えたうえで、上場のメリット・デメリット、発生するコスト、審査基準、準備内容などを理解し、自社の成長にとって最適な方法を選択しましょう。
よくある質問
上場企業とは何ですか?
上場企業とは、証券取引所が定める厳しい基準をクリアし、自社の株式を証券取引所で一般の投資家が自由に売買できるように公開している企業を指します。
詳しくは、記事内「上場企業と非上場企業の違い」をご覧ください。
上場企業と株式会社の違いは?
すべての「上場企業」は「株式会社」ですが、すべての「株式会社」が上場しているわけではありません。
株式会社は、会社法に基づいて設立された、企業の法律的な設立形態を示す言葉です。一方、上場企業は、数ある株式会社のうち、証券取引所の厳しい審査を通過し、株式を市場で公開している状態にある企業を指します。
詳しくは、記事内「上場企業と株式会社の違い」をご覧ください。
