許認可の基礎知識

軽貨物とは?運送事業の開業に必要な手続きや費用、仕事の獲得方法などを紹介

軽貨物とは?運送事業の開業に必要な手続きや費用、仕事の獲得方法などを紹介

軽貨物とは、荷主から依頼された荷物を運ぶ際に使用する車両のことです。最大積載量や荷物の積載寸法が決められており、上限を超えると罰則が科せられる可能性があります。

また、軽貨物運送ドライバーとして開業するには、運輸支局への書類提出や黒ナンバーの取得など、さまざまな手続きが必要です。

本記事では、軽貨物とはどのようなものなのかを説明したうえで、軽貨物運送事業の開業に必要な手続きや開業費用、仕事の獲得方法などを紹介します。軽貨物ドライバーへの転身や独立を検討中の方は、最後までご覧ください。

目次

軽貨物とは

軽貨物とは、荷主から依頼された荷物を目的地まで運ぶ際に使用される軽自動車のことで、軽トラックや軽ワゴンなどが含まれます。

軽貨物は車両サイズや最大積載量、荷物の積載寸法などが規定されており、これらを守らなければなりません。

車両サイズ

軽貨物を含む軽自動車のサイズは、道路運送車両法に基づく道路運送車両法施行規則で、以下のように定められています。

車両サイズに関する規定

  • 長さ:3.4m以下
  • 幅:1.48m以下
  • 高さ:2.0m以下
  • 排気量:660cc以下

出典:e-Gov 法令検索「道路運送車両法施行規則」

最大積載量

軽貨物運送に使用する軽トラックや軽ワゴンなどは道路運送車両法にもとづき、最大積載量が350kgまでと決められています。

最大積載量を定めている理由は、過積載によって荷崩れや横転を招くおそれが高まるためです。また、過積載はサスペンションやタイヤ、ブレーキなどに与えるダメージも大きく、車両の故障や早期劣化につながるリスクもあります。

最大積載量の超過が発覚した場合、道路交通法第57条の違反とみなされ、ドライバーと運転管理者に罰則が科せられます。


出典:e-Gov 法令検索「道路運送車両法」
出典:e-Gov 法令検索「道路運送車両の保安基準(昭和二十六年運輸省令第六十七号)」
出典:e-Gov 法令検索「道路交通法」

荷物の積載寸法

走行時の安全性を確保するため、軽貨物には積載可能な荷物の大きさも規定されています。

荷物の積載寸法に関する規定

  • 長さ:自動車の長さ + 2/10まで
  • 幅:自動車の幅 + 2/10まで
  • 高さ:地面から2.5m以内

車両に荷物を積載する際は荷物の長さと幅がともに、車体前後または左右から1/10を超えてはみ出してはいけません。


出典:e-Gov 法令検索「道路交通法施行令」

国土交通省の要件

国土交通省が軽貨物車両として定める要件は以下のとおりです。

国土交通省が定める軽貨物車両の要件

  • 荷物を積載するスペースを最大に利用した場合の床面積が0.6㎡以上確保されている
  • 人が乗るスペースを最大に利用した場合に、残された荷物を積載するスペースのほうが大きい
  • 荷物を積載するスペースに置ける荷物の重量が、その場合の乗車人員の重量より大きい
  • 屋根や側に覆われている軽自動車の場合、側面または後面に縦600mmかつ横800mm以上の開口部があることに加えて、鉛直面への投影面積が0.48㎡以上の大きさの積卸口を備えている
  • 乗車設備と物品積載設備との間に仕切りがある(一部例外あり)

これから車両を用意される方は、車検証の「用途」が「貨物」となっている軽トラックや軽バンなどを選べば、そのまま軽貨物車両として使用できます。


出典:国土交通省「自動車の用途等の区分について(依命通達)」

軽貨物運送の仕事の種類

軽貨物運送の仕事は以下4種類に分けられます。

軽貨物運送の仕事の種類

  • 宅配
  • 企業配
  • スポット配送
  • ルート配送

それぞれの特徴は以下のとおりです。


宅配企業配スポット配送ルート配送
主な配送先個人宅オフィスや店舗オフィスや空港オフィスや店舗
主な配送品日用品や食品消耗品や飲食料部品や輸入雑貨消耗品や飲食料
配送頻度多い少ない少ない多い
1回の配送量少ない多い少ない依頼先次第

企業配は顧客がまとめて発注する傾向が強く、配送頻度は少ないものの、1回の配送で多くの品物を納品します。一方、ルート配送の場合は配送先が決まっており、1件の配送や移動に必要な時間を計算しやすい点が特徴です。

安定した収益を確保するには企業配とルート配送、宅配とルート配送など、複数の仕事を組み合わせることが重要です。効率的に配送できれば多くの件数をこなせるため、収入アップにつなげられます。


【関連記事】
軽貨物ドライバーとして働くには?仕事内容や働くための要件について解説

軽貨物運送事業を開業する5つのステップ

軽貨物運送事業を開業するために必要な準備を5段階に分けて解説します。

1.軽貨物車両を用意する

事業を始めるには軽貨物車両が必要です。軽トラックや軽バンなどから運送する荷物の大きさや種類、量に応じて選択して用意します。

車両は購入ではなく、リース契約で用意する方法でも問題ありません。開業前から軽トラックや軽バンを所有している場合は、そのまま事業で使用できますが、その場合もこの後の手続きは必要です。

2.運輸支局に必要書類を提出する

軽貨物運送の事業を開始するには、運輸支局に必要書類を提出する必要があります。具体的には以下の書類です。

運輸支局への主な必要書類

  • 貨物軽自動車運送事業経営届出書
  • 事業用自動車等連絡書
  • 運賃料金設定届出書
  • 車検証のコピー

出典:国土交通省 関東運輸局 東京運輸支局「陸上の交通」

上記の書類を提出しないと、運輸支局から「軽貨物運送事業者」として認定されず、車両への設置が義務付けられている黒ナンバーも発行されません。

運輸支局へ提出する書類は提出用と控え用で、2部ずつ用意しておきます。とくに「事業用自動車等連絡書」は運輸支局に提出したあと、押印された書類を軽自動車検査協会にも提出します。提出後には再発行されないため、紛失しないように注意を払わなければなりません。

車検証のコピーを除き、提出書類のフォーマットは運輸支局のホームページや窓口でも入手できます。記入事項や開業手続きに不安がある方は、窓口を利用するのもひとつの方法です。

車検証のコピーは、軽貨物車両を購入した販売店から入手します。新車を購入した場合は、車体番号が記載された完成検査終了証のコピーを依頼してください。

3.軽自動車検査協会で「黒ナンバー」を取得する

運輸支局への書類提出が終わり次第、軽自動車検査協会で黒ナンバー取得に必要な手続きを進めます。軽貨物運送の事業を始めるには、事業で使用する車両に黒ナンバーを設置することが法的に義務付けられています。

軽自動車検査協会へ提出が必要なものは以下のとおりです。

軽自動車検査協会への主な必要物

  • 運輸支局が押印した事業用自動車等連絡書
  • 車検証のコピー
  • 申請依頼書
  • 使用中のナンバープレート(黄色ナンバー)

事業の届出に必要な書類のフォーマットは、運輸支局のホームページからダウンロードできます。また、手続き当日は、使用中のナンバープレートと黒ナンバーを交換する費用として、1,500円程度がかかります。


【関連記事】
黒ナンバーとは?取得方法から必要書類の書き方まで解説


出典:軽自動車検査協会「番号変更(ナンバープレートの番号の変更)」

4.貨物保険や運送保険へ加入する

軽貨物運送事業を開業する際は、貨物保険や運送保険へ加入しておきましょう。法律で義務付けられているわけではありませんが、加入していないと仕事がもらえないケースもあり、事実上は必須条件のようになっています。

貨物保険は、顧客から預かった貨物が損傷・破損した際の損害を補償する保険です。もらい事故や災害など、自身に責任がない場合や不可抗力によって貨物に損害が生じた場合も、補償の対象となります。

また、運送保険(運送業者貨物賠償責任保険)とは、業者側が原因で貨物に損害が生じ、顧客側から賠償責任を請求された際に備える保険です。積み込みや荷下ろし、保管スペースへの移動など、運送以外の作業も補償の対象に含まれます。

ちなみに、乗用車を運転する際に必要な自賠責保険や任意保険は、どちらも事故が生じた際に負傷した相手や車両への補償が対象で、荷物への補償は対象外となっています。軽貨物運送事業を開業する際は、扱う荷物や事業範囲に応じて保険に加入しておきましょう。

5.税務署に開業届を提出する

開業準備が整ったら税務署に開業届を提出します。開業届の提出期限は事業を始めてから1ヶ月以内です。

期限内に開業届の提出が間に合わなかったとしても、罰金が科せられるわけではありません。ただし、以下のデメリットが生じます。

開業届提出が遅れた場合に生じるデメリット

  • 確定申告で青色申告ができない
  • 屋号での銀行口座が開設できない
  • 創業融資が受けられない
  • 小規模企業共済に加入できない
  • 補助金や助成金の申請ができない

開業届を作成・提出するなら、「freee開業」がおすすめです。「freee開業」を導入すれば、必要事項を入力するだけで、開業届の作成が完成します。マイナンバーカードをもっていれば、開業届の作成〜提出まで、オンライン上で完結するため、書類の郵送や税務署に行く必要はありません。

より効率的に手続きを完了したいなら、「freee許認可」とセットで利用する方法も有効です。ユーザーの基本情報が共有されるため、運輸支局へ提出する書類と税務署へ提出する書類が一度に完成します。


【関連記事】
開業届はいつまでに出す?期限や提出に適切なタイミング・メリットも解説
開業届の提出に必要なものは? 必要書類の出し方や提出先、注意点について解説


出典:e-Gov法令検索「所得税法」

軽貨物運送の開業に必要なもの

軽貨物運送を始めるには以下のものが必要です。


内容
運送用の車両・最低1台以上
・リース契約でも可能
車庫(駐車場)・原則として車庫は営業所に併設
・併設しない場合は営業所から2km以内
営業所・休憩施設・自宅との兼用可能
・賃貸物件の使用可能
運行管理体制・過積載や過労運転の防止
・事業者本人との兼務が可能
損害賠償能力・事故発生時の損害賠償
・自賠責保険や任意保険への加入で証明
運送約款・荷主との間で合意した契約内容を記載した文書
・事業に必要

車庫や営業所は自宅との兼用が認められており、必ずしも新たに用意する必要はありません。

また、運送約款には距離や時間別の運賃、事業者側の責任など、荷主と締結した契約内容を記載します。荷主と契約を締結する際、フォーマットには国土交通省の「標準貨物自動車利用運送約款」を利用するのが一般的です。


出典:国土交通省「標準貨物自動車利用運送約款」

軽貨物運送の開業に必要な費用

軽貨物運送の開業に必要な費用は100万〜350万円が相場です。費用の内訳は以下のとおりです。

軽貨物運送の開業費用の主な内訳

  • 車両費
  • 黒ナンバーの取得代
  • 交通費
  • 事務所の賃貸料(必要に応じて)

新車を購入する場合、車両費は50万〜300万ほどです。中古車の購入やリース契約を締結すれば、新車購入時と比べて大幅に抑えられます。

また、開業後に発生する費用も理解しておかなければなりません。軽貨物運送の開業後に発生する車両関係の主な費用は以下のとおりです。

軽貨物運送の開業後にかかる主な費用

  • ガソリン代
  • 加入している保険料
  • 車両のメンテナンス代
  • 駐車場代
  • 自動車税
  • 車検代

開業直後に安定して収入が得られるとは限らないため、開業前に十分な資金を確保しておくことが重要です。

軽貨物運送の開業後に仕事を獲得する主な方法3選

ここからは、軽貨物運送の仕事を獲得する主な方法を3つ紹介します。

運送・配送会社とフランチャイズ契約を結ぶ

仕事を獲得する方法には、運送・配送会社とのフランチャイズ契約があります。この方法のメリットは、自身で営業活動を行わなくても、コンスタントに仕事や収入を得られることです。契約先によっては単価アップや販路拡大もしてもらえるため、早い段階で事業を軌道に乗せられるでしょう。

また、運送・配送会社とのフランチャイズ契約により、本部から手厚い開業支援を受けられる点もメリットです。黒ナンバーの取得や保険の加入、請求書の発行など、開業前後で生じる手続きや事務処理をサポートしてもらえれば、業界未経験の方も事業を進めやすくなります。

ただし、フランチャイズ契約を締結する際には加盟金が必要です。売上に関わらず、本部に支払うロイヤリティは毎月発生します。契約期間や解約条件に制限が設けられているケースも多いため、慎重な判断が求められます。

運送・配送会社から仕事を請け負う

仕事を獲得するには、運送・配送会社と業務委託契約を締結し、軽貨物運送の仕事を請け負う方法もあります。この方法では、荷物の配送が完了した段階で委託先に報酬の支払い義務が発生します。配送件数または荷物の個数に応じて報酬が加算されるケースもあります。

特定の企業と業務委託契約を締結するメリットは、ある程度の自由度を保ちながら、手間をかけずに安定して仕事を得られる点です。運送・配送会社は多くの案件を受注しているため、自身で営業活動をしなくてもコンスタントに案件を得られます。

ただし、場合によっては収入の一部から手数料が引かれるケースもあります。また、案件数や単価、契約期間は企業ごとに異なるため、しっかりと条件を比較したうえで判断しましょう。

配送マッチングサービス・アプリを利用する

配送マッチングサービス・アプリは、「荷物を運んでほしい荷主または運送・配送会社」と「仕事を探しているドライバー」を結びつけるオンラインサービスです。

マッチングサービス上で直接つながるため、多くのケースで手数料やロイヤリティが発生しません。

ドライバーは自身の状況やルート、現在地などを考慮したうえで案件を受注するかを判断でき、自身の条件に見合わない案件は、引き受けないという選択も可能です。

ただし、必ずしも自身の条件に見合う案件が掲載されているとは限りません。また、マッチングサービス・アプリによっては多くのドライバーが利用しており、競争率が高いケースも考えられます。

利用前にどのサービスが自身に合っているか情報を集めたり、実際に利用して自分に合うものを判断したりすることが重要です。

まとめ

軽貨物とは、業務目的で荷物を配送する際に使用される軽自動車のことです。車両サイズや最大積載量、荷物の寸法などに規定があるため、ルールを守らなければなりません。

また、軽貨物運送ドライバーとして独立するには、車両の確保や運輸支局への書類提出、保険への加入など、さまざまな準備が必要です。

開業準備を効率化するには、「freee開業」を導入するのがおすすめです。「freee開業」を導入すれば、必要事項を入力するだけで開業届が完成します。事業用の銀行口座開設やクレジットカードの作成など、開業後のサポートを得られる点も魅力です。

また、「freee許認可」とのセット導入で、軽貨物運送の開業に必要な書類作成を効率化できます。軽貨物運送の開業を目指している方は「freee開業」と「freee許認可」の導入をご検討ください。

よくある質問

軽貨物とはどういう意味ですか?

軽貨物とは、軽トラックや軽バンなど、貨物を運ぶための軽自動車を指します。

詳細は「軽貨物とは」をご覧ください。

軽貨物ドライバーとして働くにはどうすればいいですか?

軽貨物ドライバーとして働くには、運送・配送会社に勤める方法や個人事業主として開業する方法などがあります。

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