デジタコとは、車両に装着すると走行速度・走行距離・走行時間などのデータが電子データとして自動的に記録・保存される、運行記録計のことです。
正式名称は「デジタルタコグラフ」といい、トラックやバスなどの車両に装着して使用します。収集したデータはドライバーの労務管理や安全運転指導などに活用されます。
本記事では、デジタコの種類や導入メリット、導入時の流れなどを解説します。アナタコ(アナログタコグラフ)からデジタコへの乗り換えを検討中の方や、ドライバーの労働時間削減に取り組んでいる方は、最後までご覧ください。
目次
- デジタコ(デジタルタコグラフ)とは
- デジタコの種類
- 単機能型
- 標準型
- 多機能型
- デジタコの装着は一部で義務化されている
- 義務化されている車両
- 装着や記録を怠った際の罰則
- デジタコを導入する5つのメリット
- 運行データをまとめて管理できる
- ドライバーの勤務状況を正確に把握できる
- 走行時の安全性が高まる
- コストを削減できる
- 運転日報・帳票作成を効率化できる
- デジタコを導入する3つのデメリット
- アナタコよりも費用は高い
- ドライバーにストレスがかかるおそれがある
- データ流出に細心の注意を払う必要がある
- デジタコを設置する流れ
- 1.メーカーや代理店に問い合わせを行う
- 2.条件に見合った商品を提案してもらう
- 3.契約を交わす
- 4.取り付ける
- 5.装着して仮運用を始める
- 6.本格的に運用する
- デジタコの記録管理を効率化するなら「freee人事労務」
- まとめ
- よくある質問
デジタコ(デジタルタコグラフ)とは
デジタコとは、車両に装着することで、走行速度・走行距離・走行時間などの運行データを電子データとして記録できる運行記録計です。正式名称は「デジタルタコグラフ」で、デジタコは略称となります。デジタコが主流となる前に使用されていたアナタコとは、運行データを記録する仕組みが異なります。
アナタコは円形のチャート紙に記録針が接触し、走行速度・走行距離・走行時間などが連続的に記録されていく仕組みです。数字が表示されるわけではないため、チャート紙に記された線の動きから運行データを読み取る必要がありました。
一方、デジタコは車体のトランスミッションを通過した情報を数値化し、そのデータが内部に搭載された記録媒体へ自動的に保存される仕組みです。デジタコの登場で、以前よりも車両の運行データ取得や管理が効率化されました。
デジタコの種類
デジタコは大きく3つのタイプに分けられます。
タイプごとに特徴が異なるため、事前に違いを理解しておくことが重要です。
単機能型
単機能型は走行速度・走行距離・走行時間など、運行管理に最低限必要なデータの記録に特化したタイプです。搭載機能が絞られたシンプルな構成で、操作しやすい点が特徴です。ほかのタイプと比べて導入費用も安く、低コストでデジタコを導入したい人向けの選択肢といえます。
標準型
標準型は、単機能型よりも多くのデータを取得できるタイプです。走行速度・走行距離・走行時間などに加え、以下のデータを記録できます。
標準型のデジタコで記録できる主なデータ
- 急ブレーキや急加速の回数
- 位置情報
- エンジンの稼働状況
- アイドリングの時間
標準型のデジタコの多くはGPS機能を搭載しており、位置情報から「計画通りに走行できているか」「予定通りに貨物を納品できそうか」など、走行状況をリアルタイムで把握することが可能です。労働時間の把握や日報作成などの機能を搭載しているものを利用すれば、管理業務の効率化も図れます。
機能性と費用のバランスに優れたものなら、はじめてデジタコを導入する場合でも利用しやすいでしょう。
多機能型
多機能型は、外部ツールとの連携機能が充実したタイプです。外部ツールとしては、ドライブレコーダーやアルコール検知器などがあります。
クラウド上でデータを通信できるタイプであれば、ドライバーの走行状況やアルコールチェックの測定結果を管理者側がリアルタイムで把握可能です。ほかに、車両管理システムやドライバーモニタリングシステムと連携可能なものもあります。
ただし、多機能型は搭載機能数や連携可能なツールが充実している分、ほかのタイプと比べて導入費用は高めに設定されています。
機能性を重視したい人や、現在のデジタコでは機能不足と感じている人は多機能型を検討してみてください。
デジタコの装着は一部で義務化されている
デジタコの装着は一部で義務化されています。義務化されている車両や、義務に違反した際の罰則について解説します。
義務化されている車両
貸切バスは、旅客自動車運送事業運輸規則の改正にともない、2024年4月からデジタコの装着が全面的に義務化されています。デジタコで記録した運行データは、3年間保存しなければなりません。
また、トラックについて、国土交通省は2027年を目安にデジタコ装着率85%達成を目指しています。ただし、2026年4月末時点で、トラックへのデジタコ装着を義務化する方針や法律の制定は発表されていません。
現在は以下の要件を満たす一部のトラックに対してのみ、タコグラフ(アナタコを含む)の装着が義務付けられています。
デジタコの装着が義務づけられているトラック
- 車両総重量7t以上の事業用トラック
- 最大積載量4t以上の事業用トラック
出典:国土交通省「報道発表資料: 貸切バスの安全性向上に向けた対策のための制度改正を行いました」
出典:国土交通省「デジタコ装着の意義と最新の政策動向」
出典:全日本トラック協会「 運行記録計(タコグラフ)の装着義務付け対象拡大について」
装着や記録を怠った際の罰則
デジタコまたはアナタコの装着が義務化されている車両において、未装着が発覚した場合は「運行記録計による記録違反」とみなされます。
初違反の場合は事業者に対して最大60日間、再違反の場合は最大120日間の車両停止処分が下されます。
車両停止期間中は、該当の車両を使用して荷物や乗客の輸送ができません。顧客や取引先からの信用も低下するため、多大な損失を被るリスクが生じます。
出典:国土交通省「貨物自動車運送事業者に対し行政処分等を行うべき違反行為及び日車数等について 別表」
デジタコを導入する5つのメリット
デジタコの導入には多くのメリットがあります。それらが自社にとってどのような影響があるかをイメージできれば、導入を検討するヒントになるでしょう。
ここでは以下5つのメリットについて解説します。
デジタコを導入する5つのメリット
運行データをまとめて管理できる
デジタコの導入により、走行速度・走行距離・走行時間など、運行データをまとめて取得・管理できます。一度設置すれば、運行データを自動的にデジタコに記録することが可能です。
アナタコと異なり、チャート紙に記載された線の動きからデータを読み取る必要はありません。
ドライバーの勤務状況を正確に把握できる
デジタコの導入でドライバーの労働時間や休憩時間が自動的に記録され、労働基準法の違反リスクを抑えられます。
働き方改革にともない、運送業も残業時間や拘束時間の上限が規制されています。事業者は法令遵守や安全確保を徹底するためにも、ドライバーの勤怠状況を正確に把握しなければなりません。
デジタコを導入すれば、走行時間や走行距離をリアルタイムで把握できるため、正確な勤怠管理につなげられます。ドライバーに荷積みや荷降ろし、待機時間を入力・報告してもらうことで、より正確な勤怠状況を把握できるでしょう。
走行時の安全性が高まる
デジタコの種類によっては、データや映像を見ながらドライバーに安全指導ができるものもあり、ドライバーの安全意識が高まります。
たとえば標準型のデジタコには、急ブレーキや急カーブ、速度超過などの回数を測定可能なものが多く見られます。ドライブレコーダーなどの映像から危険運転につながる瞬間を確認し、車体や貨物、周囲へ与えるリスクをドライバーに伝えることで、今後の改善が期待できるでしょう。
また多機能型のデジタコのなかには、居眠りやわき見、車線逸脱などの兆候を検知した際にドライバーに警告を発するものもあり、居眠り運転や事故の発生リスクを抑えられます。
コストを削減できる
デジタコの導入で走行ごとの燃費効率を分析できることで、燃料コストの削減につながります。走行距離や急加速の回数、アイドリング時間などのデータから、どのドライバーが燃費効率の高い運転を実行しているか、可視化できるためです。
デジタコによってはエンジンの回転数や走行距離、急ブレーキの回数などを分析し、エコドライブの点数を付ける機能も搭載しています。集計した燃費効率のデータをドライバーにも共有することで、組織全体でエコドライブやコスト削減の意識を高められるでしょう。
運転日報・帳票作成を効率化できる
運行データをもとに、運転日報や帳票の作成を自動で行える機能が搭載されたデジタコもあり、これを利用すればドライバーの入力・報告の負担を軽減できる点もメリットです。
また、記載内容のバラつきや入力漏れ、転記ミスも削減できるため、運行管理者がドライバーの仕事ぶりや運行状況を把握しやすくなります。
デジタコを導入する3つのデメリット
多くのメリットがある一方で、デジタコにはデメリットも存在します。導入後に後悔しないためにも、デメリットを正しく把握しておくことが大切です。
デジタコを導入する3つのデメリット
アナタコよりも費用は高い
デジタコは搭載機能や取得可能なデータが多い分、アナタコと比べて多くの導入費がかかります。
たとえば標準型を導入する場合、本体価格と設置費用を合わせて10万〜30万円が相場です。アナタコの導入費用が3万〜5万円前後である点を考えると、少なくとも3倍以上の費用が必要になります。
また搭載機能数や外部ツールとの連携性、配線の難しさなどによっては、30万円以上かかる可能性もあります。無駄な支払いを避けるため、複数の製品で見積を取得しておきましょう。
さらに、クラウド型のデジタコは利用し続ける限り、月額料金を支払わなければなりません。月額料金は1,000~5,000円前後に設定されているケースが多いです。車両台数が多いほど、毎月の支払い額が増える点には注意が必要です。
ドライバーにストレスがかかるおそれがある
デジタコを用いれば、現在の走行位置や走行ルート、労働時間など、さまざまなデータを取得できます。ドライバーによっては「業務中の行動が監視されている」と感じ、休憩時間も十分にリラックスできないケースも考えられます。
ドライバーが精神的に疲弊してストレスを溜めないよう、適度にコミュニケーションを取りながら、運行データの取得範囲や扱い方を決めましょう。
また、デジタコの導入目的を事前にドライバーへ説明しておくことも必要です。納得してもらえれば、導入後のスムーズな運用に加えて、会社全体で安全意識を高めるための協力体制の構築も行いやすくなります。
データ流出に細心の注意を払う必要がある
デジタコによるデータの共有方法には、カード型とクラウド型の2種類あります。SDカードを抜き差しするカード型を選んだ場合は、カードを紛失しないように細心の注意を払わなければなりません。
仮にSDカードが第三者に渡った場合、デジタコに記録されたデータから取引先やドライバーの個人情報などが流出するおそれがあります。機密情報の流出が発覚すれば、顧客からの信用低下や取引停止など、多大な損失を被るリスクが高まります。
デジタコを設置する流れ
デジタコを設置するまでの流れを6つのプロセスに分けて解説します。
デジタコを設置する流れ
1.メーカーや代理店に問い合わせを行う
まずは、購入したいデジタコを扱っているメーカーや代理店に、Webフォームやメール、電話で問い合わせを実施します。
デジタコの販売〜設置まで、対応可能なメーカー・代理店を優先的に選ぶのがおすすめです。そうすることで、デジタコの設置工事を別の企業に依頼する手間がなくなり、担当者とのやりとりや契約管理の負担を削減できます。
2.条件に見合った商品を提案してもらう
問い合わせをしたメーカーや代理店と打ち合わせを実施したあと、自社の条件に合うデジタコを提案してもらいます。打ち合わせの際はデジタコに求める機能や予算、解決したい課題などを明確に伝えることが重要です。
メーカー・代理店の担当者に自社の要望が正確に伝わっていないと、希望とは異なる商品を提示される可能性が生じます。デジタコに求める条件をメールや文書で伝えておくと、相手側も商品を提案しやすいでしょう。
3.契約を交わす
導入したいデジタコが決まったら、メーカーや代理店と契約を交わします。契約書以外に必要な書類を事前に聞いておくと、手続きをスムーズに進められます。
4.取り付ける
デジタコの取り付けに際しては、配線接続や動作確認、初期設定などに関する専門的な知識が求められるケースが多いため、基本的に自社では対応しません。デジタコを購入するメーカー・代理店に依頼するのがスムーズです。
車両の大きさや内部構造によっては、工事完了までに数時間以上かかるケースもあります。車両台数が多い場合は業務へ支障が及ぶため、取り付け工事を長期休暇に行う、何日かに分けるなどの対策が求められます。
5.装着して仮運用を始める
デジタコの装着が完了したら、走行距離や走行時間などのデータを正しく取得できるか、仮運用を始めます。購入先の担当者から事前に操作方法や仕組み、注意事項などを聞いておくと、ドライバーも迷わずに使えます。
仮運用で不具合やトラブルが発生せず、問題なく使えることを確認できてから本格的な運用に移りましょう。
6.本格的に運用する
デジタコを本格的に活用し、走行データや労働時間、運転傾向などのデータを取得します。
とはいえ、運用開始からすぐに想定通りに進むとは限りません。「デジタコは問題なく使えているか」「不具合は発生していないか」など、ドライバーとコミュニケーションを交わしながら、運用を進めましょう。
運用方法や使い方などに悩みが生じた場合は、購入先の担当者に相談するとよいでしょう。
デジタコの記録管理を効率化するなら「freee人事労務」
労務担当者は運行データの管理以外にもさまざまな業務をこなさなければなりません。労務管理の効率化に取り組んでいる企業には、「freee人事労務」の導入がおすすめです。「freee人事労務」は勤怠管理や給与計算、年末調整など、労務管理全般を効率化できるクラウドサービスです。
運送業向けの勤怠システム「勤怠ドライバー」と連携すると、各種控除や走行距離に応じた歩合計算など、工数のかかる業務も効率化できます。デジタコで集計した運行データやアルコールチェックの測定結果なども共有できるため、データ管理の負担も減らせます。
労務管理担当者の負担軽減に取り組んでいる方は、「freee人事労務」の導入をご検討ください。
【関連記事】
freee人事労務、運送業向け勤怠システム「勤怠ドライバー」との連携を開始 運送業界特有の勤怠管理と給与計算を効率化
まとめ
デジタコとは、走行速度・走行距離・走行時間などの運行データを電子データとして記録する運行記録計です。アナタコとは異なり、チャート紙に記録された線の動きから運行データを読み取る必要はありません。
デジタコは単機能型と標準型、多機能型の3種類に分けられ、タイプごとに特徴が異なります。標準型や多機能型のデジタコを導入した場合は、居眠り運転の兆候や車線逸脱の回数など、運転傾向に関する多くのデータを取得できます。
ただし、搭載機能数が多くなるほど導入費用は高騰するため、必要な機能と予算を明確化しておくことが重要です。
また、ドライバーによっては業務中にずっと監視されている印象を覚え、休憩時間もリラックスできない人もいます。ドライバーがストレスを溜めないよう、コミュニケーションを交わしながらデジタコの運用ルールや運行データの扱い方などを決める必要があります。
よくある質問
デジタコを装着するとどのようなデータが取れますか?
取得できるデータは、デジタコのタイプや商品によって異なります。たとえば、単機能型は走行速度・走行距離・走行時間など、運行管理に必要なデータのみ取得できる一方、標準型は急加速や急ブレーキの回数なども取得できます。
タイプごとの詳細に関しては、記事内「デジタコの種類」をご覧ください。
デジタコの義務化はいつから始まっていますか?
貸切バスでは2024年4月からデジタコの装着義務化が始まっています。トラックに関しては一部の車両のみ、アナタコを含むタコグラフの装着が義務化されています。
詳細に関しては、記事内「義務化されている車両」をご覧ください。
