許認可の基礎知識

過積載とは?リスクや発覚した際の罰則、防ぎ方などを解説

監修 涌井 好文 社会保険労務士

過積載とは?リスクや発覚した際の罰則、防ぎ方などを解説

過積載とは、車両に許可されている重さを超える荷物を積んで走行することです。道路交通法・道路運送車両法では車両ごとに重さのルールを定めており、過積載は法令違反に該当する行為です。

過積載の状態で車両を運転すると横転や荷崩れが起きやすくなり、大規模な事故や損害の発生につながるリスクが高まります。

本記事では、過積載の基準や発覚した際の罰則、過積載を防ぐための対策などを解説します。ドライバーの安全確保やコンプライアンスの強化に取り組んでいる人は、最後までご覧ください。

目次

過積載とは

過積載とは、車両に許可されている重さを超える荷物を積んで走行する行為です。トラックやダンプカーをはじめすべての車両に基準があり、その基準を超えると過積載になります。

とくに大型車両の過積載は大きな事故につながりやすいため、注意が必要です。道路交通法・道路運送車両法ではドライバーの安全確保や事故防止の観点から、車両ごとに重さのルールを定めています。

以下はトラックの最大積載量です。

トラックの最大積載量

  • 大型トラック:6.5トン以上
  • 中型トラック:4.5トン以上~6.5トン未満
  • 小型トラック:4.5トン未満

たとえば、中型トラックに6.5トン以上の荷物を積載して走行した場合は、過積載とみなされます。過積載が発覚した場合はドライバーと事業者だけでなく、荷主側にも罰則が科せられるおそれが生じます。

2026年4月末時点では過積載が発覚しない限り、罰則は科せられません。ただし過積載での運行が発覚しなかったとしても、最大積載量以下での走行と比べて荷崩れや横転するリスクが高くなり非常に危険です。


出典:全日本トラック協会「車種区分」

過積載の許容範囲に関して

過積載の許容範囲は定められていません。荷物の積載重量が、車両ごとに定められている最大積載量を1kgでも超過すると過積載とみなされます。

必ず車両ごとの最大積載量を守りましょう。

過積載が発覚した際の罰則

過積載が発覚すると、ドライバーと事業者に加え、荷主側にも罰則が科せられるおそれが生じます。過積載が発覚した際の罰則について解説します。

ドライバーへの罰則

ドライバーに対しては、過積載が発覚した際に普通車と大型車のどちらを運転していたかによって罰則の内容が異なります。罰則内容は以下のとおりです。

【普通車】

過積載の超過割合5割未満5割以上~10割未満10割以上
違反点数1点2点3点
罰則2万5、000円の反則金3万円の反則金3万5、000円の反則金

【大型車】

過積載の超過割合5割未満5割以上~10割未満10割以上
違反点数2点3点6点
罰則3万円の反則金4万円の反則金・免許停止
・6ヶ月以下の拘禁刑または10万円以下の罰金
出典:国土交通省「過積載は、荷主にも罰則が適用されます!!しない・させない・過積載!」
出典:警視庁「交通違反の点数一覧表」


過積載の超過割合が10割以上のケースでは行政処分ではなく、刑事事件として扱われます。


出典:警視庁「行政処分基準点数」

事業者側への罰則

運送会社が従業員に過積載を指示・容認した際、以下の期間、車両停止処分となります。


違反回数/過積載の超過割合5割未満5割以上~10割未満10割以上
初回違反車両数×10日違反車両数×20日違反車両数×30日
2回目違反車両数×30日違反車両数×50日違反車両数×80日
3回目違反車両数×80日違反車両数×130日違反車両数×200日
4回目違反車両数×200日違反車両数×330日違反車両数×500日
出典:国土交通省「過積載は、荷主にも罰則が適用されます!!しない・させない・過積載!」

過積載を繰り返すと、車両停止期間が延長されるだけでなく、事業許可の取り消しに至るおそれも生じます。また、過積載が原因で重大事故が発生した際は運行管理者資格が取り消されます。

荷主側への罰則

過積載を把握したうえで、取引先のドライバーに荷物を運送させる行為は、道路交通法第58条の5に違反します。

警察署長から「再発防止命令」が下されたにもかかわらず過積載を繰り返し命じた場合は、荷主側に6ヶ月以下の拘禁刑または10万円以下の罰金が科せられます。

また、急な納品依頼や期限直前での大量発注など、過積載せざるを得ない状況を誘発する依頼は、貨物自動車運送事業法第64条に違反する行為です。

即座に罰則は科されないものの協力要請書や警告書が発行され、それでも改善されないと荷主名および事案の概要が公表される可能性が生じます。

これまでの不適切な対応が明らかになった場合、取引先からの信用低下やイメージダウンは避けられません。

過積載によって生じる5つのリスク

過積載は法令違反となるだけでなく、自社イメージの低下や多額の損失発生など、さまざまなリスクを被ります。ここでは、過積載によって生じる5つのリスクについてお伝えします。

企業イメージが低下する

過積載が発覚すると、事業者側と荷主側双方のイメージダウンにつながります。事業者側は顧客からの信頼が低下し、取引量削減や取引停止に発展するケースも考えられます。「ドライバーに無理な運転を命じる企業」といったイメージも付き、求人への応募数にも影響しかねません。

一方、荷主側に対しても「取引先に無茶な要求をする企業」とネガティブに受け取られ、ブランドイメージの失墜や顧客離れなどを招くリスクが生じます。

多額の損失を被る

過積載が発覚すると多額の損失が生じ、最悪の場合は倒産の危機に発展します。

過積載が原因で大規模な事故に発展した場合、積載物の飛散によって後続車を巻き込むだけでなく、車両の制動距離が伸びることで被害が甚大化するおそれがあります。そうなると、事業者は多額の損害賠償金を支払わなければなりません。

また、事業者がドライバーに過積載車両の走行を指示・黙認した場合は、事業者側に車両停止処分が下されます。車両停止の間は該当車両を使った荷物の運送ができません。過積載の割合や過積載が発覚した車両数が多いほど車両停止期間も長くなるため、企業経営に多大な悪影響を及ぼします。

さらに、過積載を何度も繰り返す行為は悪質とみなされ、事業許可の取り消しまたは運行管理者資格の喪失処分を受けることになります。

事故の発生リスクが高まる

過積載の状態で走行を続けるとブレーキが思うようにきかなくなり、事故を招くリスクが高まります。車両重量が重い影響で、進行方向にかかる力が強くなり、ブレーキを踏んでも急には停止できないためです。

とくに下り坂が多い場所は、フットブレーキを踏み続けるとブレーキの利きも悪くなり、走行ルートや交通状況によっては追突事故につながりかねません。

また、過積載の車両は車体の重心が高く、左右のバランスが不安定な状態です。カーブが多い道を走行していた場合は、対向車線へのはみ出しや横転を招き、大規模な事故に発展するリスクも抱えています。

車両の劣化が早まる

過積載が原因で車両の劣化が早まるとメンテナンスの回数が増加し、一般的なケースよりも早く買い替えが必要になります。

過積載は車両設計時の想定を超える荷物を積んでいる状態であり、ボディやフレーム、サスペンションなど、車体を構成する部品に対して必要以上の負荷がかかります。走行中にブレーキがきかない、タイヤがパンクするといった事態を招きかねません。

道路や橋に与えるダメージが大きくなる

過積載車両の走行で道路や橋に想定以上の負荷がかかり、ひび割れの発生や早期劣化の原因になります。道路や橋は、最大積載量の荷物を積載した車両が走行した際に生じる負荷を基準に設計されています。

過積載車両の台数や走行頻度が増えるほど、道路や橋にかかるダメージが大きくなり、走行中に陥没することも想定されるでしょう。

過積載が起きる3つの理由

過積載の発生は社内の業務体制だけでなく、荷主との関係が原因になるケースもあります。ここでは、過積載が起きる原因を3つ紹介します。

慢性的にドライバーが不足しているため

過積載が起きるひとつめの理由はドライバー不足です。運送業では長時間労働や低賃金、交通事故のリスクなどが原因で、ドライバー不足が慢性化しています。実際、2026年2月時点での有効求人倍率は2.82倍で、全職種平均の2倍以上の数値です。

条件に見合う新規ドライバーを採用できない状況が続いた場合、既存ドライバーに1個でも多く荷物の運送を依頼しなければなりません。顧客から依頼された仕事を限られたドライバーでこなそうとした結果、過積載の発生につながるといった悪循環です。

また、働き方改革にともない、運送業でも時間外労働の上限が罰則付きで設けられています。人件費や残業時間削減に向け、経営者が1回の走行で多くの荷物を運送しようとする意識が強すぎると、過積載が発生しやすくなります。


出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年2月分)について」

アナログ管理が原因で無理な配車計画となっているため

紙の配車表やExcelによる管理では、リアルタイムの運行状況を把握するのが困難です。「どの車両が・どの顧客に・どの荷物を運送しているか」を素早く把握できないと、走行中のドライバーに対して安全運行の指導を行うことができません。

また、従来のアナログな管理では、日々の積載データを記録するだけでも多大な労力を要します。情報は常に変動するため、正確性を保つには一刻一刻と変わる状況をその都度手作業で更新し続けなければなりません。

とくに、限られた人員で膨大な数の案件を並行して進めている現場にとって、全車両の積載状況を毎日欠かさず記録し続けることは、高いハードルとなっているのが実情です。

荷主が配送量と納品時間を細かく管理しているため

在庫過多が原因での廃棄コスト増大を防ぐため、荷主は必要なタイミングで必要な量を配送するよう依頼する傾向が強くなっています。納品時間も業者ごとに細かく指定されており、何度も往復して荷物を配送するのは難しい状況です。

また、仕事を発注する荷主側の立場が強く、荷主からの要求に応えようとして過積載を引き起こすケースも考えられます。

過積載を防ぐ6つの対策

過積載の発生を防ぐ対策として、以下の6つを紹介します。

過積載を防ぐ6つの対策

  • 最大積載量の計算方法を把握しておく
  • 自重計で積載量を計算する
  • トラックスケールを利用する
  • 監視者を配置する
  • 過積載モニタリングシステムを導入する
  • 配車管理システムを導入する

自社に合った方法を導入し、過積載の発生リスク削減とドライバーの安全確保を実現しましょう。

最大積載量の計算方法を把握しておく

過積載を防ぐため、最大積載量の計算方法を正確に理解しておく必要があります。最大積載量を算出する際は、以下の計算式を使用します。

最大積載量の計算方法

最大積載量 = 車両総重量 −(車両重量 + 乗車定員数 × 55kg)

車両総重量は車両・荷物・乗車定員を含めた重さで、車両の大きさによって上限が異なります。以下はトラックの車両総重量です。

トラックの車両総重量

  • 大型トラック:最大25トン
  • 中型トラック:最大8トン
  • 小型トラック:最大4〜5トン

車両重量と乗車定員が決まれば最大積載量が求められます。


出典:全日本トラック協会「車両総重量と積載量」

自重計で積載量を計算する

自重計とはトラックやダンプカーなど、大型車の荷台下部に設置されている計測装置です。自重計で積載量を測る手順は以下のとおりです。

自重計で積載量を測る手順

  1. テールゲートの手動開閉レバーを「閉」にする
  2. 荷台前端を5cmほど上げる
  3. 自重計のコックを開く
  4. 目盛りの数値を読み取る
  5. 荷台を下げてコックを閉じる

自重計は車両に搭載されているケースが多いため、費用を投じずに積載量を測定できる点がメリットです。計測結果を日付や車両番号と一緒に記録しておくと、過積載が発覚した際も自社が法令遵守をしていた証拠として提示できます。

トラックスケールを利用する

トラックスケールとはトラックの荷台に荷物や貨物を積載したまま、積載量やトラックの総重量を計測できる装置です。コンクリートや鉄鋼、ガスなど、重量物を多数積載した状態でも、正確な計測が可能です。

商品によっては、車両のバランスや重心を測定する機能も搭載しており、走行時の横転や荷崩れの発生を未然に防げます。取引の証拠や最終確認として正確さが欲しいなら、トラックスケールの利用がおすすめです。

監視者を配置する

監視者を配置して過積載になっていないか、ドライバーとダブルチェックを行う方法です。

ドライバーは出発前に配送先や運行ルートの確認、荷物の積み込みなど、さまざまな準備をしなければなりません。積載量の確認まで手が回らない可能性もあるため、監視者の配置によってドライバーの負担を減らしつつ、過積載の発生を抑えます。

ドライバー経験のある安全指導員や事務員などに監視者を任せると、限られた人員を有効活用できるでしょう。

過積載モニタリングシステムを導入する

過積載モニタリングシステムを導入するメリットは、リアルタイムの積載量を可視化できる点です。荷物を積みこんでいくたび、ディスプレイに表示される数値が上昇する仕組みになっており、現在の積載量を把握できます。

出発から到着までずっと適正重量だったかをデジタルデータとして残せるため、手書きの記録よりも改ざんが難しく、透明性が高いのも特徴のひとつです。

システムによっては、最大積載量を超過した際にアラートを発してドライバーに注意を促すものもあります。日々の業務で過積載を発生させない仕組みを作りたいなら、過積載モニタリングシステムの導入が有効です。

配車管理システムを導入する

配車管理システムを導入すると、リアルタイムの運行状況を可視化できるようになります。どの車両が・どの顧客に向かっているか、車両ごとの運行状況を正確に把握し、配車計画に反映できます。システムから車両の予約状況や受注状況も確認できるため、無理のない運送スケジュールを作成できるでしょう。

適切な運送スケジュールの策定は、過積載を未然に防ぐための重要な土台となります。時間的な余裕を確保することで無理な一括運搬を回避し、法令遵守と安全運行を両立できる環境が整います。

まとめ

許可されている重さを超えた荷物を運ぶ過積載は、法令違反に該当する行為です。横転や荷崩れが起きやすく、大規模な事故を招くリスクを抱えています。

過積載を防ぐには、トラックスケールや過積載モニタリングシステムなどを導入し、過積載の発生とドライバーの業務負担を軽減しましょう。

よくある質問

過積載の許容範囲はありますか?

過積載に許容範囲はありません。車両ごとに定められている最大積載量を1kgでも超えていれば、過積載とみなされます。

詳細は、記事内「過積載の基準と許容範囲の有無」をご覧ください。

過積載が10割オーバーだとどうなりますか?

過積載の超過割合が10割オーバーというのは、最大積載量の2倍を超える荷物を積んでいる状態です。発覚した際はドライバー・事業者・荷主側それぞれに、厳重な罰則が科せられます。初回違反の場合、事業者に対しては違反車両数 × 30日の車両停止処分が下されます。

罰則の詳細は、記事内「過積載が発覚した際の罰則」をご覧ください。

参考文献

監修 涌井好文(わくい よしふみ) 社会保険労務士

平成26年より神奈川県で社会保険労務士として開業登録を行い、以後地域における企業の人事労務や給与計算のアドバイザーとして活動を行う。退職時におけるトラブル相談や、転職時のアドバイスなど、労働者側からの相談にも対応し、労使双方が円滑に働ける環境作りに努めている。また、近時は活動の場をWeb上にも広げ、記事執筆や監修などを通し、精力的に情報発信を行っている。

監修者 涌井好文

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