経営管理の基礎知識

予算原価でしっかりと目標管理を|目的・メリット・計算法を解説

「予算原価」という言葉を聞いたことがありますか?会社の経営を行っていく上で予算や原価はとても重要なキーワードです。予算原価という言葉を二つに分けて定義すると、「予算」はあらかじめ設定された目標金額であり、「原価」とは材料費やそれまでにかかった労務力などの経費を意味しています。

それでは予算原価とは一体何でしょうか。今回ここでは予算原価について一つ一つ説明していきます。

目次

1.予算原価とは

予算とは

会社で働いていると必ず耳にする「予算」。会社に属する従業員達は、決められた予算を達成させるために働いているとも言えますが、予算とは一体どんなものであり、どのように決定されるのでしょうか。

予算とは、会社の経営方針に基づいて設定した目標を具体的に数字に落とし込んだもののことです。予算とは、その名の通り予め計算するという意味を持っています。会社を経営するにあたり、支出や収入を計画し、それに対する目標や予定を立てる上で、あらかじめ決めておくべき数字のことを言います。

会社においては予算を定める上で2つのやり方があり、1つは会社内の各部門や個人が目標とする予算を設定するというやり方ですが、この場合、会社全体で考えた時に、会社が目標とする利益からかけ離れた数字が目標として設定されてしまう恐れがあります。

一方、もう1つのタイプは経営側が会社の各部門の予算を定めるタイプです。この場合は、現場の意見が汲み取られない、反映されないという難点もあり、従業員にとって定められた予算はノルマになって重くのしかかってしまう場合があります。
会社としてはこのような2つのタイプを補い合うようにして予算作りをしていく必要があると言えます。

会社の経理では、予算と決算がとても重要になってきます。決算の策定は会社が1年を通して活動を行った後に実施するもので、予算策定は今後の1年の活動を始める前に策定します。

予算原価とは

企業には財務会計と管理会計という2つの種類に分けられ会計が行われます。財務会計は社外の利害関係者向けの情報提供で、管理会計は社内での企業活動を進めていく上で使用します。財務会計では、決算書をもとに過去の結果や実績の数字をもとにした計算を重要としますが、管理会計では過去のことだけではなく、今後の方針である未来についても考えていく必要があります。

「今後どうしていくか、どうなっていくか」ということも踏まえた上で、原価を計算する必要があります。未来の原価を予測し計算していくことが「予算原価」であり、予算原価とは、未来の原価を様々なパターン別にシミュレーションをし、可能な限り考えうる予算パターン予測するということです。

2.予算原価を決める目的

予算原価の目的

未来の原価を予測する予算原価が必要な理由は、今後の大まかな見通しを立てるためです。
事業計画や経営の方針を決定する上で、未来の原価が分からないままでは今後のリスクや業界の動向を見定めることが難しいという理由があげられます。

過去の実績データをもとにして原価を計算する方法に「実際原価計算」という計算があります。その名の通り実際原価計算とは既に実績があるものです。そのため、過去の実績を把握できるという点では大きなメリットがありますが、今後どうしていくかという、未来のことに対しては有効な指標にはなりません。実際原価計算に対して予算原価は、未来を予測した上で年度予算を立てたり、来期の需要を検討したりする必要があります。

実際原価計算によって現状を把握し、会社の立ち位置を知ることはもちろん重要ですが、次のステップとして「未来の計画を立てていく」上で予算原価が必要になってきます。

予算原価のメリット

予算原価の仕組みは未来を予測していくことにより、未来で起こりうるリスクを考え、可能な限りリスクを回避して計画を達成していくことです。未来の原価を予測していくということは、今後の未来の大まかな見通しを立てていくことになりますが、安定的な利益を生み出していくために予算原価を行うことは必要不可欠です。

予算原価とは別に「実際原価計算」という計算方法があり後に詳しくご紹介しますが、実際原価計算は過去の実績をもとにする計算方法です。過去の実績を把握することももちろん大切ですが「締めになってみないと数字が読めない」ということもあり、これでは今後の見通しが立ちません。そんな時に「今後どうしていくか、どうなっていくか」というこれからの未来の予測を立てる予算原価の仕組みが必要ということです。

例えば、年度予算を立てる際に未来の生産計画を立て、実現に向けて計画を通りに達成させていくことです。予算原価のメリットはこのように長期に渡る生産計画を予測した計算ができるということです。

3.予算原価の決定の手法

予算原価を決定するには、原価管理をしていくことが非常に重要になります。予算原価を計算して決定していくためには、実際原価計算、売上原価計算、標準原価計算、差異分析計算、そして予算原価計算という流れが計算を行う必要があります。先ずはこれらの流れについて一つひとつ説明していきます。

1.実際原価計算

実際原価計算とは、実績をもとに算出する方法です。製品の生産、販売、管理において、必要となった原価を月末や月初などに計算することを言います。使用した材料や部品、作業時間などの実績から実際の原価を積算する原価計算法で実績に基づいて導き出されます。実際原価は、製造実績、出庫実績、購入実績、材料費、労務費、営業費、金利、経費などの集計実績値をもとに、製造原価を算出していきます。

例えばお弁当屋さんがお弁当を作る場合には、野菜や肉などにかかった実際の材料費が500円かかったとします。それらを切ったり煮込んだり焼いたりするための加工の工程費が500円かかったとしましょう。お弁当が出来上がるまでの実際にかかった費用である材料費500円、工程費500円を順番に計算していくのが実際原価計算です。

2.売上原価計算

売上原価とは簡潔に説明すると、販売された商品の仕入金額や製造にかかった金額のことです。製品を製造している場合は、製品の販売代金が売上になり、製品の製造にかかった費用を売上原価と言います。

例えば100万円あったうちの60万円分が売れた場合、40万円の在庫が残ります。この場合、売れた60万円分の仕入代金が売上原価になり、在庫として残った40万円は在庫、棚卸資産になるという考え方です。

売上原価計算は、販売実績や販売金額、実際原価計算の結果が必要になってきます。
売上原価の計算は下記の導き出すことができます。

売上原価 = 期首商品棚卸高(前期の在庫商品の仕入れ金額)+ 当期商品仕入高 - 期末商品棚卸高(当期の売れ残った商品の仕入金額)

標準原価計算・差異分析計算

標準原価計算は、実際原価計算の対となる原価計算方法です。標準原価計算は実際の価格ではなく、実際に生産活動を始める前に目標として設定される原価で、原価標準に基づき算出する方法が標準原価計算です。実際原価計算ではなく、標準原価で計算することにより、計算する速度が高まり、実際に発生した原価との比較・分析が可能となります。

標準原価を設定する際に必要になってくる情報は、標準の作業時間や標準の単価などです。これらの情報に基づき標準原価を計算していきます。

実際原価計算の際にお弁当屋さんで実際にかかった費用を例えで計算しました。標準原価計算の場合はこの原価を事前に算定しておくということです。

標準原価計算を行う際の例えとしては、事前に野菜や肉などにかかる材料費を450円、工程費も450円で出来るだろうという目標を立てておきます。この場合、標準原価計算で目標とする費用は材料と工程費の合計で900円です。しかしながら実際原価計算をした際には、材料費は500円、工程費も500円だったので1000円というのが実際にかかった費用になります。この際に実際かかった原価と、目標に設定していた原価では100円のズレが生じてきます。このズレを比較し分析できるのが標準原価計算になります。

報告する段階では実際原価も必要になります。その際には実際原価と標準原価を比較し、そこで発生した予算差異の分析を行います。予算の差異を分析することによって、今後は差異をできる限り減らして改善に繋げていけるようにすること、そして効率を良くし、実際原価が標準原価より高くなっている場合は、改善策を検討する必要があります。

予算原価計算

予算原価計算は未来の予測を立て予算原価を決めることですが、標準原価と予定生産計画をもとに、予算原価を計算していきます。実績として残っている過去データを使用して算出する実際原価計算とは異なり、予測で決定するのが特徴的です。
計算には半期などの長期に渡る生産計画、経費の予算額、予算用の標準原価設定などの情報が必要になります。

実際に、予算原価計算は予測で決定していくことから経験や勘などに基づいて計算されることが多いと言われています。例えば、その事業に携わっている経験者の勘であったり、設定者の経験によって設定されるということです。そのような経験に基づいて計画を立て、その計画通りに進めて利益を出していくというのが予算原価計算です。

予算原価へのステップ

まとめ

予算原価についてご紹介しましたが、いかがでしょうか。

予算原価とは簡潔に言うと未来を予測した原価の計算ということです。会社を経営していくためには、経営計画、事業計画を策定することは会社の今後を左右していく重要なポイントの1つです。事業計画には過去の実績データを使用して計算するだけでなく、今後発生しうる様々な変化やリスクに対応するためのシュミレーションを立てるという意味で、予算原価計算が必要になってきます。

市場動向が常に変化する昨今において、ニーズが高まっているのが予算原価です。ぜひ予算原価の特徴を知り取り入れてみてはいかがでしょうか。

freee プロフェッショナル

「freee プロフェッショナル」は、日々の業務で蓄積された財務・経営データを分析・集約することで、経営の意思決定をサポートします。

バックオフィス基礎知識