経営管理の基礎知識

予算原価でしっかりと目標管理を|目的・メリット・計算法を解説

監修 好川 寛 プロゴ税理士事務所

予算原価でしっかりと目標管理を|目的・メリット・計算法を解説

予算原価とは、事業計画や予算に基づいて算出する原価です。

予算原価は「予算」と「原価」の2つに分けて定義できます。「予算」はあらかじめ設定された目標金額、「原価」は製造から販売までにかかった材料費や労務費などの金額です。

本記事では、予算原価の概要や標準原価・目標原価との違い、予算原価を決める目的・メリットを解説します。また予算原価の決め方もわかりやすく解説しているので、企業の経営方針や事業計画の策定に役立ててください。

目次

予算・実績の管理を効率よくする会計ソフト

AIの自動仕訳を元に作成されたレポートから、月々の資金繰り状況を手軽に把握可能。事業別の売上データもリアルタイムに可視化・比較できるので、スピーディな経営判断に役立てられます。

予算原価とは

予算原価とは、販売・調達計画をはじめとした各種事業計画や経営目標として算出した予算にもとづいて算出する原価です。

「予算を達成するために、期間内にどの程度のコストが発生すると予測されるか」を表し、目標達成に向けてコストの使いすぎを防ぐための指標としての役割を担います。

予算原価と標準原価の違い

予算原価は、予算の達成や事業計画の実行に向けて発生する予定のコストであるのに対し、標準原価は実績に照らして統計的に計算した、基準となるコストを指します。未来の企業行動を想定して算出した値か、過去の実績をもとに算出した値かという点が、予算原価と標準原価の主な違いです。

ただし、標準原価を予算原価として設定する例も多く見られます。

なお、市場の変化に応じて期中に予算原価を見直すケースは珍しくありませんが、その場合でも基準値となる標準原価は変更せず据え置かれるのが一般的です。

予算原価と目標原価の違い

目標原価は、市場ニーズなどを考慮のうえ設定した販売価格から、自社が得たい利益を差し引いた数値です。予算原価が「予算達成に向けてコストがこれだけ発生する予定」という値であるのに対し、目標原価は「目標利益を達成するためにコストはこうあるべき」という値を指す点が両者の主な違いです。

得たい利益から逆算するという性質上、予算原価よりも厳しい数値になることもあります。

目標原価は利益を得るために重要な要素ですが、設定が実情とかけ離れていると正しく活用できないため、注意しましょう。

そもそも「予算」「原価」とは?

「予算」は目標を落とし込んだ数字であり、会社経営を行うにあたってあらかじめ設定します。「原価」は製造から販売までにかかった費用です。

以下で「予算」と「原価」に分けて詳しく解説します。

予算とは?

予算とは、会社の経営方針に基づいてあらかじめ設定した目標を、具体的な数字に落とし込んだものです。予算の策定は基本的に、1年の活動が始まる前に行います。

予算設定の方法は、大きく分けると次の2つです。

予算設定の方法

  • 各部門や個人の目標をもとに予算を設定する
  • 経営側が各部門の予算を設定する

各部門や個人の目標から予算を決める場合、企業として考える目標からは離れた現実的な数字で目標が設定され、成長が鈍化する恐れがあります。一方で経営側が各部門の予算を設定する場合は、現場の意見が反映されづらく、担当者にとって負荷の大きい目標となる可能性もあるでしょう。

設定方法の違いや特徴を考え、問題点を補う予算策定が必要です。

原価とは?

原価とは、製品の製造から販売までにかかった費用を指します。原価を構成する要素は「材料費」「労務費」「経費」の3つです。

また、原価は製造原価と売上原価の大きく2つに分けられます。

原価の種類

  • 製造原価:製品を製造するために使用した原価
  • 売上原価:売れた製品のために使用した原価

売上原価は売れた製品にまつわる原価であるため、在庫として残っている製品にかかった原価を含みません。

原価管理の方法については、「原価管理とは?目的やメリット、原価管理の流れについてわかりやすく解説」をご覧ください。

予算原価を決める目的・メリットとは?

予算原価は、期首に立てた予算や計画を確実に遂行・達成するためのコスト管理を主な目的として設定します。

予算原価をコスト管理の基準値として設け、実績(実際にかかった原価)と比較することは、コスト面での無駄や予算超過といった課題を早期に見つけて改善につなげるのに役立ちます。

また予算原価(標準原価)を把握しておくことで、「必要とする利益を得るために、どの程度の販売価格やサービス料金を設定すべきか」を検討しやすくなるでしょう。


【関連記事】
予実管理とは?意味や目的・方法と役立つツールを解説

予算原価の決め方

予算原価は基本的に、次の手順で決定されます。

1.商品・サービスひとつあたりの原価を求める

まずは商品・サービスを1単位提供するのにかかる原価を計算します。以下のような項目を洗い出し、それぞれの費用を合算しましょう。

商品・サービスの提供にかかる主な費用

  • 材料費(材料・部品・消耗品といった「もの」にかかる費用)
  • 労務費(給料・手当など「人」にかかる費用)
  • 経費(旅費交通費・地代家賃・通信費など、人・もの以外にかかる費用)

水道光熱費をはじめとしたインフラ費用やオフィス家賃など、複数の商品・サービスにまたがってかかる費用については、各製品の生産数量比率や売上高比率などの基準にしたがって費用を割り当てる(配賦する)のが一般的です。

2.事業計画や予算をもとに予定数量を算出する

続いて、当期の生産計画や販売計画などをもとに、商品・サービスの予定数量を算出します。

予定数量の算出に際しては、過去のデータや現在の市場動向をふまえた需要の予測、商品の保管コストや欠品・過剰在庫のリスクをふまえた適正な在庫量、生産能力なども考慮する必要があります。また期首に設定される予算と商品・サービスの単価から、必要な販売・提供数量を見極める観点も必要です。

3.予算原価を算出する

最後に、1単位あたりの原価に予定数量をかけ合わせて予算原価を算出します。

予算原価 = 1単位あたりの原価(原価標準)× 予定数量

また過去の実績データをもとに、実際にかかった原価(実際原価)や、2で求めた原価の標準値に過去の生産数量や販売・提供数量をかけ合わせた標準原価などを算出し、上記の計算結果と比較するのも有効です。コストの過大・過少な予測を防いで妥当性を高めたり、実際原価に含まれるコストの無駄を明らかにして改善目標を立てたりするのに役立ちます。

まとめ

予算原価とは予算の達成や事業計画の実行に向けて発生する予定のコストを指し、基本的には商品・サービス1単位あたりにかかるコストに予定数量をかけ合わせて求めます。

利益の確保や企業の成長に向けては事業計画や予算の策定が重要であり、過去の実績値だけでは今後の見通しを立てられません。目標達成のためのコスト管理の指標として予算原価を設定しておくことが、予実管理によってコスト面の課題を早期発見・改善する助けになります。

設定の目的や標準原価・目標原価との違いを押さえて、予算原価を経営判断に役立てましょう。

よくある質問

原価と予算の違いは何ですか?

原価は製品の製造から販売までにかかった費用を指する実績値であり、予算はあらかじめ設定した目標を数値に落とし込んだものを指する目標値である点が主な違いです。

両者を合わせた予算原価は、目標の達成に向けて発生すると予測される費用を意味します。

原価・予算について詳しくは、記事内「そもそも「予算」「原価」とは?」で解説しています。

監修 好川 寛(よしかわひろし)

プロゴ税理士事務所。元国税調査官。国税(調査・相談2万件・審判実務)×民間(事業会社実務・PdM)の複眼的な視点が強み。クリエイター/IT・SaaS等の現代的ビジネス、海外取引・非居住者税務に明るい。

監修者 好川 寛

見たい数字をリアルタイムに出力できる会計ソフト

freee会計は短期での導入と運用開始が実現できる統合型の会計システムです。紙の管理や保管等の業務を一掃し、クラウドを活用したデジタル化をスムーズに実現できるので、経理業務にかかる作業時間もコストも削減できます。

freee会計

今なら30日間無料でお試し可能
登録はメールアドレスのみ