経営管理の基礎知識

経費予算管理で利益率を向上|目的・メリット・手法とは

監修 安田 亮

経費予算は、企業運営のコストを算出する際に重要です。経費予算が明確であるほど、適切な目標設定や進捗の把握が可能になり、自社の成長に繋がります。

しかし、経費予算を立てるにしても、手順を知っていなければ立てようがありません。

本記事では、経費予算を立てる目的メリットを解説します。また記事後半では、経費予算を立てるときのポイントも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

目次

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経費予算とは

「経費予算」とは、企業を運営するために必要な経費の予算を指し、販売費や人件費など、売上とは直接関わらない費用の見積もりです。

企業運営の経費にはオフィスのレンタル料・光熱費・出張旅費・リサーチにかかった費用なども含まれています。

事前に「どのくらいの金額を経費として使えるのか?」という点が計算できていなければ、目標を立てることはできません。

あらかじめ経費として使える金額が見えているからこそ、アクションを起こしやすくなります。

したがって経費予算は、間接的に売上をアップさせていく上で欠かせない費用の見積もりになるでしょう。

そもそも予算とは

「予算」とは、「目標を数値化したもの」であり、企業が成長する上で欠かすことのできない指標です。

長期・中期・短期で予算をあらかじめ設定することで、売上目標や利益目標などを算出することができます。

予算を決めることで、「できること」と「できないこと」を明確にできます。

また、売上・費用・投資など各分野で予算の数値や根拠を明確にすれば、目標達成に向けたイメージもしやすくなるでしょう。

企業の第一目標は「売上をアップさせ、利益を出す」ことです。そのため予算は経営者にとって最も重要な数値であり、一社員の立場から見ても、モチベーション維持に繋がる目標になります。

経費と予算の違い

経費は消耗品費や交際費、通信費など実際の運営にかかる必要な費用を指します。

一方、予算は、売上予算や原価予算など将来の特定期間における収入や支出のように、予測された目標や支出の計画のことです。

経費予算を立てる目的

経費予算を立てる目的には「適切な目標設定」や「目標に向けた進捗状況の把握」があります。

企業には必ず目標が必要です。しかし、やみくもに行動し売上目標を達成できても、かかった費用でほとんど利益が出ていないという事態に陥る可能性があります。

明確に経費予算を設定することで、全体の予算と経費のバランスをたもつことが可能です。また、競合企業が予算を公開しているなら、「予算面で他社とどのように差をつけるのか?」などの議論もしやすくなるでしょう。

さらに、経費予算を把握することで、目標に対して問題なく進めているのかを判断する材料になります。「改善策を考えるべきなのか?」を考える際に、現実的な指針をとることができるので、ブレが少ない経営をすることができます。

経費予算を立てるメリット

経費予算を立てるメリットは、経営や事業の健全性に加えて、成長にも直接的な影響を与えられる点です。

経費予算を立てた場合の具体的なメリットは以下のとおりです。

経費予算を立てるメリット

  • コスト管理の向上
  • リソース配分の最適化
  • 意思決定の補助

各内容を解説するので参考にしてください。

コスト管理の向上

経費予算は経営者や管理者が支出を計画し、管理する手段を提供します。

無駄な支出を削減することができるため、最終的により大きな利益を生み出す可能性があるでしょう。

リソース配分の最適化

経費予算は意思決定における重要な情報源でもあります。

予算を設定することで、その枠内で最善の結果を得るために、具体的な検討ができます。予算内での実現可能性や、手段について現実的に考えることが重要です。

また、実際の支出との比較により、経営戦略や方針を検討する際の判断材料として役立ちます。

経費予算の立て方

適切な資金配分や効果的なコスト管理を実現するためには、手順にしたがって経費予算を立てることが重要です。

予算の立て方を解説するので参考にしてください。

企業運営に関わる経費を洗い出す

経費予算を立てるには、まず、経費のリストアップと過去数年間の経費データを分析します。傾向や変動の把握、特定の項目や期間の経費に関してのパターンを理解しなければなりません。

分析した経費データを基に、各部門やプロジェクトごとに適切な目標の設定が可能になります。

予算の割り当て

設定した目標に基づいて、各部門やプロジェクトに予算を割り当てます。予算の割り当ては、各部門の業務目標と密接に結び付けましょう。

したがって、予算の割り当てをする際は、各部門や関係者との共有・協議をしっかり行うことが重要です。

予算の妥当性や実現可能性について意見を交換し、必要に応じて調整するようにしましょう。

実施と監視

予算が承認されたら、実際の経費と比較しながら予算を管理します。定期的な報告を通じて進捗状況を確認し、必要があれば調整を行ってください。

変更と修正

経済状況や業界の変化、予期せぬ出来事に対応するため、予算を柔軟に変更・修正することが重要です。

無謀な予算の継続は、社員のモチベーションの低下や反感を招きかねないので、必要に応じて予算の見直しや改訂を行いましょう。

経費予算を管理するポイント

経費予算の管理にはいくつかのポイントがあります。

経費予算を管理することで、効果的な資金配分やコスト管理が可能になるので、しっかり把握しておきましょう。

実績と比較し、定期的な見直しを行う

予算は、実現可能な数値を設定しますが、市場動向の変化などで、実際の支出と予算が乖離するケースも考えられます。

月次や四半期ごとのように、定期的に実際の支出と予算を比較します。見直しや分析を行うことで、事業への影響を最小限に抑えた適切な予算管理が可能です。

予算を順守する

予算は目標達成の指標になるため、基本的には順守することが重要です。予算を立てる際は、根拠を持った数値を設定するようにしてください。

また、無駄な支出を避けるため、部門ごとに予算の使用状況を確認し、適切に管理するようにしましょう。

効果的なツールを活用する

予算管理は、エクセル・経費管理ツール・専用のシステムなどを活用して、予算の追跡やレポート作成を効率化させるのがおすすめです。

アナログな手法での管理は手間や時間がかかるため、余計なコストが発生する可能性があります。

また、管理に適したツールを活用すれば、データの可視化も容易にできるため、問題を早期に発見し対処できる可能性が高いです。

経費予算をエクセルで管理する方法

経費予算をエクセルで管理する手順は以下の通りです。

エクセルで管理する手順

  1. 予算の全体像を理解し、必要な支出項目や部門をリストアップ
  2. エクセルを開いて、支出カテゴリーや部門ごとにシートを作成する
  3. 各支出カテゴリーや部門ごとに、予算額を入力
  4. エクセルの数式を使って、予算と実際の支出の差異を自動計算するよう設定

エクセルの準備が整ったら、日々の支出が予算とどれほど一致しているかを追跡するために、実際の支出を逐一記録します。

データを確認する際は、視覚的に示すため、エクセルのグラフやチャート機能を利用するとよいでしょう。

また、支出の更新と分析は定期的に行う必要があります。月次・四半期毎・年次など、予算の更新や調整を行うための定期的な時点を設定しておきましょう。

予算データは、企業の重要な機密情報です。そのため、しっかり保護できるように、セキュリティ対策を実施し、定期的なバックアップを行うようにしてください。

まとめ

経費予算は、販売費・人件費・営業費のように、売上とは直接関わらない費用の見積もりです。

経費予算を立てる目的には、「適切な目標設定」や「目標に向けた進捗状況の把握」があります。明確な予算を設定すれば、経費とのバランスをたもつことができるでしょう。

また、経費予算を立てれば、コスト管理の向上、リソース配分の最適化、意思決定の補助などのメリットを得ることもできます。

適切な資金配分や効果的なコスト管理の実現には、しっかりと手順に沿って経費予算を立てることが大切です。今回紹介した内容を参考にして、自社の成長に役立ててください。

監修 安田 亮(やすだ りょう)

1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。

監修者 安田亮

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