監修 柴田 充輝
黒ナンバーとは軽貨物運送事業の車両に取り付ける事業用ナンバープレートです。本記事では取得条件・手続きの流れ・必要書類の書き方・費用・保険料を解説します。2025年4月施行の安全管理者講習義務化にも対応。
軽貨物運送業の開業には黒ナンバー取得が欠かせません。届出制で個人でも始めやすいですが、取得要件や保険料などのコスト面は事前確認が必要です。
目次
- 黒ナンバーとは
- 軽貨物運送事業(貨物軽自動車運送事業)とは
- ナンバープレートの色の違い
- 黒ナンバーを取得するメリット・デメリット
- 黒ナンバーのメリット
- 黒ナンバーのデメリット
- 黒ナンバーを取得する要件
- 軽貨物車を1台以上保有する
- 営業所・休憩施設・車庫を保有する
- 運送約款を用意する
- 運行管理等の管理体制を整えている
- 損害賠償能力がある
- 黒ナンバーを新規取得する方法
- 運輸支局に書類を提出する
- 軽自動車検査協会に書類を提出する
- 2025年4月からの安全管理者講習・適性診断の義務化
- 黒ナンバーの取得にかかる費用・時間
- 黒ナンバーの税金・保険料
- 黒ナンバーの税金
- 黒ナンバーの保険料
- 任意保険の等級引継ぎで保険料を抑える方法
- 黒ナンバーの車検
- 黒ナンバーの普段使い(プライベート利用)
- 黒ナンバーの変更・増車・減車・廃業の手続き
- まとめ
- 軽貨物運送業の許認可申請に必要な書類を簡単に作成する方法
- よくある質問(FAQ)
黒ナンバーとは
黒ナンバーとは軽貨物運送事業(貨物軽自動車運送事業)を行う車両に取り付けるナンバープレートで、取得しなければ事業を営めません。対象車種は軽バンや軽トラックなどの軽貨物車(4ナンバー)が中心ですが、2022年10月27日からは軽乗用車(5ナンバー)もそのまま使用できるようになりました。
軽貨物運送事業(貨物軽自動車運送事業)とは
軽貨物運送事業とは、「他人の需要に応じ、有償で、自動車(三輪以上の軽自動車及び二輪の自動車に限る。)を使用して貨物を運送する事業」のことです。
中型・大型トラックや自動二輪車で運送業を営む場合は「一般貨物自動車運送事業」(緑ナンバー)に該当します。特定企業のみの運送は「特定貨物自動車運送事業」となります。特定企業のみの運送は「特定貨物自動車運送事業」となります。軽貨物運送事業は届出制で、自分1人・車1台で開業でき個人事業主が始めやすい形態です。
軽乗用車で事業を行う場合の積載重量は「(乗車定員-乗車人数)×55kg」以内とされ、定員4人の車両を運転手1人で使用する場合は3(人) × 55 = 165kg と計算できます。
ナンバープレートの色の違い
ナンバープレートの色と用途は次のとおりです。
| 通称 | 地色・文字色 | 対象車両 | 用途 |
|---|---|---|---|
| 白ナンバー | 白地・緑文字 | 普通・小型自動車 | 自家用 |
| 黄色ナンバー | 黄色地・黒文字 | 軽自動車 | 自家用 |
| 緑ナンバー | 緑地・白文字 | 普通・小型自動車 | 事業用 |
| 黒ナンバー | 黒地・黄色文字 | 軽自動車 | 事業用 |
| 青ナンバー | 青地・白文字 | 外交官車両 | 外交用途 |
軽貨物運送事業で使用する車両は、黄色(自家用)から黒(事業用)への変更手続きが求められます。緑ナンバーは普通自動車の事業用で、軽自動車では取得できません。
黒ナンバーを取得するメリット・デメリット
黒ナンバーには税負担の軽減や届出制による取得のしやすさといったメリットがある一方、任意保険料や車検頻度の面でコストがかさむデメリットもあります。
黒ナンバーのメリット
黒ナンバーの主なメリットは次の3点です。
黒ナンバーのメリット
- 軽自動車税・重量税が自家用より安い
- 届出制のため許可を待たずに取得できる
- プライベートでも利用できる
軽自動車税(種別割)は自家用5,000円に対し黒ナンバーは年額3,800円、自動車重量税も2年分で1,400円安くなります。手続きは届出制で運輸支局と軽自動車検査協会への申請が1日で完了し、許可審査を待つ必要がありません。事業車両をそのままプライベートでも使えるため2台持つ必要がない点も個人事業主の利点です。
黒ナンバーのデメリット
黒ナンバーの主なデメリットは次の3点です。
黒ナンバーのデメリット
- 事業用の任意保険料が自家用より割高
- 軽乗用車を事業用にすると初回車検が3年から2年に短縮される
- 任意保険の新規契約は6等級スタートで割引なし
任意保険料は対応保険会社が限られ運転者年齢条件等の特約も適用されないため自家用より高額になります。車検の有効期間は、軽貨物車(4ナンバー)なら自家用・事業用とも初回から2年ごとで差はありませんが、軽乗用車(5ナンバー)を事業用にすると初回車検が3年から2年に短くなります。
黒ナンバーを取得する要件
黒ナンバー取得に必要な要件は次の5点です。
黒ナンバーを取得する要件
- 軽貨物車を1台以上保有する
- 営業所・休憩施設・車庫を保有する
- 運送約款を用意する
- 運行管理等の管理体制を整えている
- 損害賠償能力がある
軽貨物車を1台以上保有する
車検証の用途が「貨物」の軽トラックや軽バンを1台以上確保します。車検証の「使用者」欄が事業者本人(法人の場合は法人名)になっている必要があり、ローン購入で所有者がディーラーやローン会社でも使用者が本人であれば届出できます。2022年10月27日以降は用途「乗用」の軽乗用車(5ナンバー)も構造変更なしで使用できます。
営業所・休憩施設・車庫を保有する
自己所有または賃貸の自宅内に営業所・休憩施設を設置できます。車庫は原則営業所に併設し、できない場合は営業所から直線距離2km以内に設置します。賃貸物件の場合は賃貸借契約書や使用承諾書で使用権原を示せるようにし、車庫は車両全体が収まり、都市計画法などに違反しない場所を選びます。
運送約款を用意する
運送人と荷主の間で運送契約の内容を定めた文書で、これがないと事業を開始できません。国土交通省の標準約款を使うのが一般的ですが自作も可能です。
運行管理等の管理体制を整えている
過積載・過労運転の防止、点呼、指導監督等を管理する人が必要となり、事業者本人の兼務も可能です。2025年4月からは営業所ごとに「貨物軽自動車安全管理者」の選任・届出も必要です。また、事業用の軽自動車を10台以上使用する営業所では、整備管理者(整備士資格または実務経験などの要件あり)の選任・届出が別途必要になります。
損害賠償能力がある
自賠責・任意保険へ加入し賠償能力を保有する必要があります。なお、ドライバー本人のけがは自動車保険だけでは十分に補償されないため、個人事業主は労災保険の特別加入(一人親方等)も検討しましょう。特別加入の保険料は確定申告で社会保険料控除の対象になります。
黒ナンバーを新規取得する方法
黒ナンバー取得の手続きは運輸支局と軽自動車検査協会の2箇所で行います。2025年4月からは安全管理者講習・適性診断の義務化にも対応が必要です。
運輸支局に書類を提出する
運輸支局に提出が必要な書類は次のとおりです。
- 貨物軽自動車運送事業経営届出書
- 事業用自動車等連絡書
- 貨物軽自動車運送事業運賃設定届出書
- 運賃料金表
- 車検証のコピー
- 貨物軽自動車安全管理者選任届出書(2025年4月以降の新規届出は事業開始前に提出。講習修了証明書の写しを添付)
各都道府県の運輸支局の場所は国土交通省のホームページから確認できます。
貨物軽自動車運送事業経営届出書の書き方
事業経営の届出書類です。2部用意し1部を運輸局に提出、1部は保管します。書式は運輸支局により異なります。記載項目は次のとおりです。
- 開始予定日
- 氏名・住所・電話
- 営業所の名称と位置(屋号と住所)
- 事業用自動車の種別ごとの数
- 車庫の位置と収容能力(不明時は15〜20㎡)
- 休憩・睡眠施設の位置(自宅でOK)
- 運送約款(標準にチェック)
事業用自動車等連絡書の書き方
軽貨物車の申請完了を証明する書類です。軽自動車検査協会への提出時に運輸局押印済みであることが求められます。2部用意し1部提出・1部保管します。連絡書の有効期限は発行日から1ヶ月のため、期限内に軽自動車検査協会での手続きを済ませてください。記載項目は次のとおりです。
- 事業種別(貨物の「軽」を○)
- 使用者の名称・住所
- 所属営業所名・使用の本拠の位置
- 使用する自動車(新車は型式、中古は車体番号)
- 事案発生理由(「新規届出」を○)
貨物軽自動車運送事業運賃料金表の書き方
設定運賃料金を示す書類で1部作成します。運賃は自由設定で、相場は各運輸支局の記入例や千葉運輸支局の標準運賃を参考にできます。
運賃料金設定届出書の書き方
設定運賃を届け出る書類で、運輸支局と運輸局に計3部必要です。記載項目は次のとおりです。
- 日付
- 宛名
- 住所
- 氏名
- 代表者名
- 電話番号
- 実施年月日
軽自動車検査協会に書類を提出する
運輸支局で押印済み連絡書を受け取った後、軽自動車検査協会に書類を提出します。
軽自動車検査協会に提出する書類は次のとおりです。
軽自動車検査協会に提出する書類
- 車検証の原本
- 申請依頼書
- 事業用自動車等連絡書(押印済み)
- ナンバープレート(軽自動車検査協会で購入)
- 住民票(個人事業主で車検証所有者が自分以外の場合)
- 履歴事項全部証明書(法人で車検証所有者が自分以外の場合)
手続きを終えたら当日から事業を開始できますが、任意保険は必ず事業用(黒ナンバー)の契約に切り替えてから事業を行ってください。自家用契約のまま業務中に事故を起こすと、告知義務違反として保険金が支払われないおそれがあります。黒ナンバーは希望ナンバー取得不可ですが字光式は可能で、「字光式車両番号指示願」を提出します。
2025年4月からの安全管理者講習・適性診断の義務化
2024年の貨物自動車運送事業法改正により、2025年4月1日から貨物軽自動車安全管理者制度が施行されました。
新たに課される義務は次の3点です。
- 貨物軽自動車安全管理者の選任・届出
- 安全管理者講習の受講
- 運転者の適性診断の受診
安全管理者は各営業所に1名以上選任することとされ、事業者本人の兼任も可能です。届出には国土交通大臣認定の講習を受講し修了証の写しを添付します。
講習は5時間程度(NASVAの場合3,700円、2026年7月時点)でeラーニングによる自宅受講も可能です。選任後も2年ごとに定期講習の受講が必要です。適性診断はNASVA等の認定機関で受診する形となります。2025年3月31日までに届出済みの既存事業者は2027年3月31日までに選任・届出をすれば足り(初任運転者等への特別な指導・適性診断は2028年3月31日まで)、2025年4月以降の新規届出には猶予がなく、事業開始までに講習を修了して選任届出を行う必要があります。
このほか、業務記録(1年保存)・事故記録(3年保存)・運転者等台帳の作成と、死傷者が出た事故など重大事故の30日以内の国土交通大臣への報告も義務化されました。1人で開業する場合も、点呼記録簿や業務記録の様式を届出前に用意しておくと安心です。
黒ナンバーの取得にかかる費用・時間
費用はナンバープレート1、500円程度です。申請は1日でまとめられますが、運輸局は各都道府県に1つで移動に時間がかかる場合があります。
行政書士・業者の代行相場は2〜4万円となります。書類記入方法を理解すれば自分で申請でき1,500円程度で済みます。freee許認可なら書類作成を無料で行えます。
黒ナンバーの税金・保険料
黒ナンバー車両は自家用と比べて税金が安くなる一方、任意保険料は割高になります。等級引継ぎを活用すれば保険料を抑えられます。
黒ナンバーの税金
自動車重量税は自家用軽自動車の6,600円に対し黒ナンバーは5,200円(2年分、初度検査から13年未満)、軽自動車税(種別割)も自家用5,000円に対し黒ナンバーは年額3,800円(初度検査年月が平成27年4月以後の軽貨物車)、軽乗用車を事業用にした場合は営業用乗用の税率(年額6,900円)が適用されます。
自家用と事業用の税金を比較すると次のとおりです。
| 項目 | 黒ナンバー | 黄色ナンバー |
|---|---|---|
| 軽自動車税(年額) | 3,800円 | 5,000円 |
| 自動車重量税(2年分) | 5,200円 | 6,600円 |
年間の税負担は事業用の方が約1,900円安く(軽自動車税で1,200円、自動車重量税で年換算700円)、事業経費として計上できる点もメリットです。
黒ナンバーの保険料
自賠責保険料は軽自動車なら自家用・事業用で区別がなく、24カ月契約で17,540円です(2026年11月1日以降に始期を迎える契約からは18,660円に改定)。
任意保険は契約できる保険会社が大手損保を中心に数社に限られ、運転者年齢条件などの割引が使えないことが多いため、割高となります。
6等級新規契約・対人対物無制限・車両保険なしで年間15万〜25万円のケースがあり、同条件の自家用と比べ2〜3倍の水準です。
保険契約前に、複数社から見積もりを取って比較してください。また、自動車保険では運んでいる荷物の破損・紛失は補償されないため、荷主から求められる場合は運送業者貨物賠償責任保険(貨物保険)への加入も検討してください。
任意保険の等級引継ぎで保険料を抑える方法
自家用軽貨物車で任意保険加入中なら黒ナンバー変更時に等級を引き継げます。引継ぎの条件は次のとおりです。
任意保険の等級引継ぎで保険料を抑える方法
- 同一の保険会社で契約を継続すること
- 同一車両で自家用から事業用に用途変更すること
- 用途変更の届出を保険会社に事前に行うこと
20等級で60%以上の割引なら事業用にも適用でき、6等級新規契約と比べ年間数万円以上の差が出る可能性があります。全保険会社が対応するわけではないため事前確認を推奨します。
黒ナンバーの車検
黒ナンバーと黄色ナンバーの車検有効期間は次のとおりです。
| 区分 | 新車の初回 | 2回目以降 |
|---|---|---|
| 黒ナンバー(事業用) | 2年 | 2年 |
| 黄色ナンバー(自家用の軽貨物車) | 2年 | 2年 |
軽貨物車(4ナンバー)の車検有効期間は自家用・事業用とも初回から2年ごとで、黒ナンバーにしても短くなることはありません。軽乗用車(5ナンバー)を事業用にした場合のみ、初回車検が3年から2年に短縮されます。法定費用のうち自賠責保険料と重量税は自家用と事業用で異なりますが、点検・整備費用に大きな差はありません。
黒ナンバーの普段使い(プライベート利用)
プライベート使用は法律上禁止されていません。プライベート利用時の注意点は次の3点です。
プライベート利用時の注意点
- 乗車定員の確認
- 経費の按分管理
- 任意保険の適用範囲
軽貨物車は車種により乗車定員2名のものがあるため、4名乗車が必要なら車検証で事前確認するとよいでしょう。燃料費・駐車場代のほか、車両の減価償却費や保険料も事業とプライベートで按分計上が必要となります。按分割合は走行距離の記録などで根拠を示せるようにしておくと確定申告時に安心です。
任意保険は契約内容により業務外事故が補償対象に含まれるかが異なるため加入前に補償範囲を確認してください。
黒ナンバーの変更・増車・減車・廃業の手続き
各手続きの届出先と主な必要書類は次のとおりです。
| 手続き | 届出先 | 主な必要書類 |
|---|---|---|
| 車両入替 | 運輸支局→軽自動車検査協会 | 届出書(変更)・連絡書・新旧車両の車検証 |
| 増車 | 運輸支局→軽自動車検査協会 | 届出書(変更)・連絡書・増車車両の車検証 |
| 減車 | 運輸支局→軽自動車検査協会 | 届出書(変更)・連絡書・減車車両の車検証 |
| 廃業 | 運輸支局 | 廃止届出書・連絡書 |
いずれも事業用自動車等連絡書の再提出が共通で求められます。車両入替は運輸支局で連絡書押印を受け、軽自動車検査協会で旧車両の黄色ナンバー戻しと新車両の黒ナンバー取得を行います。廃業届の提出に費用はかかりません。
まとめ
黒ナンバー取得には5要件を満たし運輸支局と軽自動車検査協会の2箇所で手続きが必要となります。
2025年4月からは安全管理者講習も義務化され、任意保険料や車検頻度等のランニングコスト把握も欠かせません。保険料抑制には等級引継ぎが有効です。手続きに不安があればfreee許認可で書類を無料作成できます。
軽貨物運送業の許認可申請に必要な書類を簡単に作成する方法
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よくある質問(FAQ)
黒ナンバーの取得にかかる費用はいくら?
ナンバープレート代1,500円程度で、申請書類の提出に手数料はかかりません。行政書士や代行業者に依頼する場合は2〜4万円程度です。
詳しくは「黒ナンバーの取得にかかる費用・時間」をご覧ください。
黒ナンバーの車はプライベートでも使える?
法律上禁止されていません。ただし次の3点の確認が必要となります。
- 乗車定員の確認
- 事業費とプライベート費の按分管理
- 任意保険の補償範囲の確認
詳しくは「黒ナンバーの普段使い(プライベート利用)」をご覧ください。
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監修 柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,500記事以上の執筆実績あり。
