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freeeアプリストアで加速するAPI連携 開発者と一緒にユーザーの課題を解決するために

2019年1月30日にリリースされた「freeeアプリストア」。freeeユーザーとfreeeのサービス連携先の事業者や開発者をつなげるアプリケーションプラットフォームだ。

バックオフィス業務で日々煩わしい思いをしているユーザーにとっては、freeeと自分のビジネス領域をカバーするアプリサービスが連携することで、効率アップと業務プロセスの改善が望める画期的なサービスとなる。

今回は、freeeアプリストアのプロジェクトメンバーである水野谷将吾と前村菜緒にインタビューを実施。アプリ開発の動機からリリースに至るまでのバックストーリー、API連携により解決できた課題、これからのビジョンに至るまでじっくりと話を聞いた。

「ユーザーの悩みに最大限寄り添うために」APIチームを始動

――「freeeアプリストア」の開発の経緯をお聞かせください。

水野谷 クラウドサービスが普及してきて、複数のサービスを導入するパターンが増えている中で、freeeの事業の成長として、100名規模の中堅企業や上場企業、これまでより幅広い業界での導入が急速に進んでいました。「1社ごとの問題にどこまで寄り添えるか」と試行錯誤してきましたが、我々だけで解決しきれない課題も見え始めて、PublicAPIへの取り組みとAPI連携を起点としたアライアンスに取り組みました。そこでたどり着いたのが、アプリプラットフォームの開発でした。連携が増える一方で、「何と連携しているかわからない」というユーザーからの声があったんです。

freeeの前村(左)と水野谷(右)

――連携に関するユーザーからの声には具体的にどういったニーズがありましたか。

前村 「会計以外はここのサービスを利用していて変えたくない。でも会計領域ではどうしてもfreeeが使いたいんだけど、連携できないの?」という声はちょくちょくいただいていました。

水野谷 課題としては、連携先が増えていくのはいいんだけど、それをまとめて検索する場所がないことでした。「結局freeeってどこと繋がっているの?」とか、「連携したくてもどうやって開始すればいいのかわからない」ということが想定されました。その問題を解決するために、アプリストアという形を目指すことになったんです。

部署間の非効率的なコミュニケーションを改善したい

――バックオフィスが抱えていた問題としては、どんなものがあったのでしょうか?

水野谷 一つの業務フローが完結するまでに、複数の部門やシステムをまたがなくてはならないという問題が大きかったですね。わかりやすい例で言うと、受注→売上請求→入金までのフローです。フロントにはCRMやSFAといった販売管理システムがあり、営業が受注すると、営業事務へと引き継がれます。内容を確認して請求書を作ると、今度は経理部が印刷・郵送して、入金を確認します。もし入金されていなかったらまた営業部に戻して入金督促......と、システムと部門の壁があるのが現状です。

――すでにこの時点で、作業の手間がすごいですね。

水野谷 そうなんです。もし受注管理と会計をつなげて自動化することができれば、部門間のコミュニケーションと業務を効率化できるし、経営課題としては「債権回収ができない」という問題を解決することもできる。

債権管理業務に存在する部門とシステムの壁をAPI連携で解消
債権管理業務に存在する部門とシステムの壁をAPI連携で解消(フロー)

――freeeでは、そういったエンドユーザーの声を聞く場があるのでしょうか。

前村 はい。定期的にユーザーインタビューを実施しているのと、サポートに寄せられたフィードバックを蓄積し、可視化する仕組みがあります。あとはTwitterなどのSNSも頻繁にチェックしていたり、代表の佐々木自らお客様サポートを対応したりするくらいユーザーの声は重視しています。

水野谷 入金債権の督促フローについては、ちょうど先日も、Twitter上で話題になっていました。「#freee」「#freee塾」「#freeeに願いを」など、ハッシュタグがいろいろあるんですよ。

日本最大級のアプリケーションプラットフォームを目指して

――1月30日にアプリストアをリリースされて以降、エンドユーザーからはどんな反応がありましたか?

前村 freeeサイト内でも、そこまで目立つ場所に置いたわけではないにもかかわらず、かなりのアクセスがあり、リリース後の1ヶ月でAPI利用数が3倍に増えました。あと、今回はリリースの際に記者発表の場も設けたのですが、かなりポジティブな反応をいただけました。

freeeアプリストア操作中の写真

――アプリストアの今後の展望についてお聞かせください。

水野谷 前提として、freeeというプロダクトが目指す世界観の1つにリアルタイム経営ナビゲーターという思想があります。必要な情報がリアルタイムにfreee上に集められ、いつでも経営者が意思決定できるようなプラットフォームになることを目指しています。アプリストアではAPI連携を通じてヒト・カネに関する情報がリアルタイムにfreeeに集まる世界観を加速させていきます。ここまではfreeeユーザー目線での話が中心でしたが、サービスベンダーの方や開発者に向けて、ビジネス目線で訴求していくことも重要です。結局は、今掲載しているサービスが成功して、「連携開発をしてよかった」と思ってもらえる事例をひとつでも多く生み出すことからすべて始まります。アプリが提供され、ユーザーと開発者がともにサクセスし、使われる頻度が増え、使われることによって、さらに連携サービスが増えていく。この循環をいかにして回していくか。

前村 今freeeをご利用のユーザーさんは100万事業所なのですが、現在アプリストアに掲載されているアプリ数は約30。正直まだまだ足りていません。成功事例を生むのはもちろんのことですが、もっとカジュアルに「freeeAPIでなにか新しいサービスをつくってみようかな」と思ってもらえる世界観を実現したいですね。最終的には、エンジニアではない人にも、私たちには思いもつかないような面白いアプリをつくって載せてもらえたらいいな、と。そして大きな野望としては、「日本最大級の業務アプリケーションプラットフォーム」を目指していきたいです。

後編:新しいユーザーへのリーチを広げる足がかりに freeeアプリストアに掲載して変わった現場の声

(取材・執筆:波多野 友子 編集:阿部綾奈/ノオト)