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【次世代バックオフィス構築セミナー】API活用によって何が変わるのか freee導入企業が語る全体最適化の在り方

次世代バックオフィス構築セミナーの会場風景

近年普及が進むクラウドサービスですが、一方でクラウドサービス間の役割分担やサービス連携が上手くいかず、目に見える効果が上がっていない、という声も聞かれます。今回「次世代バックオフィス構築セミナー」と題して開催されたイベントでは、その課題に対してAPIを活用することで大きな成果を上げた各社の経理担当たちが話をしてくれました。その様子を2回に分けてご報告します。
前回の第1回に続き、今回は第2回として、各社の経理担当たちによるトークセッションの様子をレポートします。

トークセッション
freee導入企業によるAPI活用事例

武内俊介 氏(リベロ・コンサルティング合同会社 代表社員)
宇佐美和樹 氏(株式会社LiB 経営管理グループ長)
藤本了甫 氏(スタディプラス株式会社 管理部経理担当)

小人数で管理するためにAPIを活用

藤本:スタディプラスで管理部経理を担当している藤本と申します。弊社は「Studyplus」というアプリの運営や学習管理ツールの提供を行っている会社です。私が経理担当に就いたのは2018年7月でした。現在会社の規模は50人くらいなのですが、経理を担当していたのが私一人なので、どうにかして一人で回せる仕組みを作らなければなりませんでした。そこでfreeeを利用してクラウド連携、APIを活用しようと考えたのです。
当時弊社のフロント部門はGoogleスプレッドシートを使っていました。Googleスプレッドシートでは、書き込まれた発注予測や受注データ・見込みデータ、税抜き・税抜き額などの数字が常に最新のものに更新されてしまい、バージョンの管理をすることができなかったのです。結果、請求金額と合計金額が違うなどの問題が発生した場合、どこに原因があったのかが解らなくなってしまう、ということが懸案となっていました。現在はSalesforceを使用してもらっています。

次世代バックオフィス構築セミナーの会場風景

宇佐美:私は株式会社LiBという会社で、経営管理グループ長をやっている宇佐美と申します。弊社は主に人材サービス、具体的にはダイレクトリクルーティングサービスや人材紹介サービスを提供しています。

経営管理グループとありますが、基本的には社内の労務・総務そして法務など一切を少数精鋭のメンバーで取り仕切っています。私たちも今、freeeを活用していますが、やはりフロントでは以前はGoogleスプレッドシートを活用していました。その後、Salesforceやkintoneの導入によりフロントでの情報管理やオペレーション設計は改善されたものの、依然として経営管理部門とのコミュニケーションは弱いままでした。
具体的には、事業部から経理に送られてくるデータが遅れたり、情報の伝達漏れがあったのです。そこで、Salesforceやkintoneに経理メンバーのアカウントを加えるとともに、API経由でシームレスに情報の保管・加工及び連絡を行える体制を整え、部門間の情報共有をスムーズに行えるようにしました。

次世代バックオフィス構築セミナーの会場風景

「現場は変えたがらない」

武内:現在、お二人の会社はfreeeの導入とAPI連携で成果を上げていますが、導入にあたって一番苦労したのはどういうことだったのでしょう?

藤本:とにかく使ってもらえるように教育するのが大変でした。じつは前任者が既にSalesforceを導入していたのですが「よく分からないから」と活用していなかったのです(笑)。しかし、これを使いこなせれば見込み客の洗い出しから提案・受注さらには情報分析から企画提案までもできるようになります。
それで改めて2018年11月に導入しなおしたのですが、実際に効果が出るようになったのはそれから5ヶ月程も経った2019年3月からです。
ここで遅れた理由がフロント教育でした。「Googleスプレッドシートがあるのだからそれでいいじゃないか」と現場サイドがやり方を変えようとしてくれませんでした。しかしGoogleスプレッドシートを使っている限りエラーが生まれるし、そのエラーがどこに起因していたのかを特定することが難しい。だから一人一人説得して回りました。Salesforceはイレギュラーなことが起こったらそれを記入しておけるので、ミスの原因を突きとめることがしやすい。そのメリットを丁寧に伝えていきました。

宇佐美:私はkintoneとfreeeの導入について、経理のメンバーと週に1回ミーティングを開いて説明するとともに、事業部と定期的にコミュニケーションを行い、認識齟齬やオペレーションの非効率化を防ぐ取り組みを行いました。特にfreeeは結果のデータを蓄積することや取引の経緯についてのリンクも添付できるので、監査対応などにも便利なことをアピールしました。実際に導入した結果、経営管理資料の作成が非常に容易になりました。
また、月次の部門別実績損益はAPI経由で自動的に取得できるようなしくみを実装しました。上場を目指している企業ならばどこもそうだと思いますが、月次決算を終えて投資家向けの資料を作成するのは、部門が多いほど時間がかかるものです。
現在では、2時間おきにデータを更新、部門別PLも自動でアップデートしているので、CFOに報告するタイミングで既に資料が完成している、という状態にすることができました。こういったメリットについても各部門のトップに説明し、理解してもらいました。

藤本:結局キーマンを巻き込まないと成功しませんね。営業部長や営業課長を巻き込んで「今後も数字を間違え続ければ、あなたにとっても会社にとっても利益にならない。Googleスプレッドシートは管理している気になるが、実際にはなっていない」とまで話しました。そうやって全体を巻き込んで動かすことで「全体最適化」にも繋がると思います。

武内:私も以前マニュアルを作って、Salesforceのメリットを説明する研修をしたことがありますが受講者たちは「Salesforceというものがあるのが解った」という程度の理解でした(笑)。1度の説明だけでは絶対にその効果を理解してもらうことはできません。すぐにまたGoogleスプレッドシートに戻ろうとしてしまうのです。

リベロコンサルティング合同会社 代表社員 税理士・業務設計士 武内俊介氏

あらゆる課題にAPI連携で対応できる

武内:逆に導入後に気づいた課題感などはあるのでしょうか?

藤本:今後、タグなどを付けてデータを追いかけていくことができるようになれば、内部統制をしっかりできるので上場の準備にもなります。将来的には原価情報なども全て自動で出せるようにできるといいですね。仮にGoogleスプレッドシートを使い続けても、元のデータをSalesforceで管理するようにしてもらえれば、そこに戻ってチェックをすることができます。

宇佐美:freee for SFAはサブスクリプションで売上を計上するようなパターンには弱いところがあります。先に入金されてから請求書を発行するようなものには、まだGoogleスプレッドシートを使っています。他にも、社内で使用するソフトウェア原価の集計についてはまだ問題があります。監査が入るとかなりの確率でソフトウェアを資産計上しなさい、と言われてしまうのです。この課題に関しては一手で解決する方法がないのですが、人事労務freeeや工数管理のためのサービスを上手く連携すればいずれできるようになると思います。

藤本:あとは給与の計算について、ひとまとめにできるように今取り組んでいます。営業が使用するモバイルSuicaや出張費・レンタカー代などは、それを精算してから後払いするのが一般的ですが、これらの購入データを連携して自動で取り込めるようにすれば、出張費を出発する月に振込まれるようにできます。これらが完成すれば、給与の計算はほぼ自動化できると思います。出張、特に海外への出張が多い会社では大きな費用対効果が見込まれるはずです。

株式会社LiB 経営管理グループ長 宇佐美和樹氏、スタディプラス株式会社 管理部経理担当 藤本了甫氏

武内:APIで繋ぐにあたって核になるものは何なのか、と考えた時に、それは各社それぞれでいいと思います。少なくとも会計ソフトでないことは確かですが(笑)。SAPやワークスアプリケーションズを使っている会社はそれをベースとしてクラウドと繋げていく。

kintoneでもできなくはありません。kintoneはカスタマイズすることができ、各会社に適した形にすることができます。予算に余裕があるならSalesforceもいいと思います。元々Salesforceは受注管理・営業支援ソフトであったはずなのに今は機能が増えてなんでもできるようになっていますので(笑)。SalesforceはAPIも充実していて、しかもアップデートも早い。

各社が抱えている業務上の課題をfreeeやAPIを活用することで解決していく。そしてそれが企業全体の最適化になり、目指す方向へ歩みだしていく手助けになっていくと思います。

リベロコンサルティング合同会社 代表社員 税理士・業務設計士 武内俊介氏
システム企画部門、会計事務所、ベンチャーのバックオフィスを渡り歩き、独立。現在の業務やシステムの使用方法を徹底的にヒアリングしながら、最適な業務フローとシステムの構築を設計し、業務からシステムまでの再構築を一気通貫して提供している。得意領域は顧客管理DBの構築と会計システムへの連携。

株式会社LiB 経営管理グループ長 宇佐美和樹氏
2003年に公認会計士試験合格後、大手監査法人で金融機関等の法定監査を担当。退社後、財務コンサルティング会社・外資系金融機関にてM&A支援業務を経験。2015年独立。M&A支援業務を中心として活動。2016年、APPLIYA Inc取締役。2018年より現職。

スタディプラス株式会社 管理部経理担当 藤本了甫氏
東洋アルミニウム株式会社に未経験で経理部主計課所属後、ブリヂストンプラントエンジニアリング株式会社、ル・クルーゼ・ジャポン株式会社等で経理部の業務改善・標準化に従事する。中小企業診断士登録後はベンチャー企業に興味を持ち、サイトビジット株式会社でマネージャーを経験する。2018年7月にスタディプラス株式会社入社。