白色申告の基礎知識

基礎控除とは?計算方法や確定申告・年末調整での適用方法もわかりやすく紹介

監修 好川寛 プロゴ税理士事務所

基礎控除とは?計算方法や確定申告・年末調整での適用方法もわかりやすく紹介

基礎控除は、所得税額の計算で所得金額から差し引くことができる所得控除の一種です。所得税を納める人にとって、税負担を軽減する控除として適用されます。

基礎控除に関わる「控除」や「所得」は、税務の分野で一般的に用いられる言葉です。しかし、それぞれ専門的な用語であるため、正確な意味を理解することは容易ではなく、あいまいに捉えられることもあります。

本記事では、基礎控除の概要や計算方法、確定申告の際に理解しておきたい「所得」や「控除」の意味を、初心者にもわかりやすく解説していきます。

目次

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基礎控除とは所得控除の一種

基礎控除は、所得税額の計算で所得金額から差し引かれる所得控除の一種です。原則として合計所得金額が2,500万円以下の全ての人に基礎控除が適用されます。

基礎控除の金額は以下のとおりです。

納税者本人の合計所得金額控除額
2024年分以前2025年分・2026年分2027年分以降
132万円以下48万円95万円95万円
132万円超336万円以下88万円58万円
336万円超489万円以下68万円
489万円超655万円以下63万円
655万円超2,350万円以下58万円
2,350万円超2,400万円以下48万円48万円
2,400万円超2,450万円以下32万円32万円32万円
2,450万円超2,500万円以下16万円16万円16万円
出典:国税庁「No.1199 基礎控除」

2024年分以前は合計所得金額が2,400万円以下の人に一律48万円の基礎控除が適用されていました。2025年の税制改正により、2025年分以降の確定申告では基礎控除の金額が見直されています。

基礎控除額の計算方法

基礎控除は、合計所得金額に応じた金額が定められています。

各所得金額の計算方法は所得区分によって異なり、たとえば事業所得の金額は、収入から必要経費を差し引いた金額として計算されます。

事業所得の金額


給与所得の場合は、経費に相当するものとして給与所得控除が収入から差し引かれます。

給与所得


合計所得金額を計算し、その金額に応じた基礎控除額を確認しましょう。

基礎控除を受けるための手続き

基礎控除を適用するためには、原則として会社員は年末調整での手続きが必要です。一方、個人事業主の場合は、確定申告で基礎控除を申告することで適用されます。

年末調整で基礎控除を受ける手続き



会社員は年末調整で「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」を提出して基礎控除を適用します。

この書類は基礎控除、配偶者控除(配偶者特別控除)、特定親族特別控除、所得金額調整控除に関する内容を含んでいます。基礎控除に関しては「給与所得者の基礎控除申告書」の欄の記入が必要です。収入や所得金額をもとに該当する基礎控除額を記入します。

記入方法の詳細は、以下の記事をご覧ください。

【関連記事】
給与所得者の基礎控除申告書の書き方まとめ!基礎控除の概要や注意点を解説【2025年(令和7年)版】

確定申告で基礎控除を受ける手続き



個人事業主は、確定申告で基礎控除の申告が必要です。確定申告書第一表の「所得から差し引かれる金額」の項目内に基礎控除の記入欄があります。

まずは決算書などをもとに「収入金額等」「所得金額等」の項目を記入します。所得金額をもとに基礎控除の金額を決定し、㉕の「基礎控除」の欄を記入しましょう。

確定申告書の記入方法の詳細は、以下の記事をご覧ください。

【関連記事】
確定申告書の書き方・見方をわかりやすく解説【項目別に見本つき】

そもそも「所得」と「控除」の定義とは?

納税額を計算するには「課税所得」を算出する必要があり、「所得」「控除」「所得控除」という用語の理解も欠かせません。「所得」「控除」「所得控除」「課税所得」の各用語の定義を順に解説します。

「所得」とは

所得とは、日常用語で言い換えると「儲け」を意味します。「儲け」は 「 売上」とは異なります。

たとえば、1万円の商品を販売した場合、販売価格だけでは「儲け」の金額はわかりません。その商品の仕入額(原価)がわからないためです。「3,000円で仕入れた商品」という情報がわかることで、儲けの金額が7,000円であることが明らかになります。

なお、会計用語では「所得」は「利益」と呼ばれます。 「儲け = 利益 = 所得」と理解しておきましょう。

1万円の商品を販売した場合の例では、商品の仕入額だけで考えましたが、実際に売却するには人件費や旅費交通費、店舗の家賃などさまざまな経費を考慮しなければなりません。

そのため、正確には「売上 - 仕入や各種経費の金額 = 利益(所得)」という計算式で表現できます。

【関連記事】
所得とは?収入・手取りとの違いや所得税額の計算方法を簡単に解説

「控除」とは

控除とは、「一定の金額を差し引くこと」を意味します。

税務において控除にはいくつかの種類があり、たとえば白色申告制度では、「専従者控除」という仕組みがあります。「専従者控除」は、専ら仕事を手伝ってくれる親族がいる場合、所得計算の際に一定額を経費相当として加算することが可能です。

経費が上乗せされるということは、課税対象となる所得が減ることを意味します。つまり、所得が減ることで、最終的に支払う税額も少なくなります。

(2) 白色申告者の場合

事業に専ら従事する家族従業員の数、配偶者かその他の親族かの別、所得金額に応じて計算される金額を必要経費とみなす事業専従者控除の特例

出典:国税庁「No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除」

また、「住宅ローン控除」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。「住宅ローン控除」は、ローンを利用して住宅を購入した場合に、所得税を減額する制度です。

住宅借入金等特別控除とは、個人が住宅ローン等を利用して、マイホームの新築、取得または増改築等(以下「取得等」といいます。)をし、令和3年12月31日までに自己の居住の用に供した場合で一定の要件を満たすときにおいて、その取得等に係る住宅ローン等の年末残高の合計額等を基として計算した金額を、居住の用に供した年分以後の各年分の所得税額から控除するものです。

出典:国税庁「No.1213 住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)」

さらに、平成21年1月1日から令和3年12月31日までの間に居住し、前年分の所得税で控除しきれない住宅ローン控除があった場合は、翌年の個人住民税において住宅ローン控除が適用されます。

所得税において、住宅ローン控除の適用を受けた方について、所得税から控除しきれなかった住宅ローン控除がある方は、翌年度分の住民税の所得割額から控除することができます。

出典:港区ホームページ「住宅借入金等特別税額控除(住宅ローン控除)について」

そのほかにも、「医療費控除」もよく耳にする言葉かもしれません。

医療費控除とは、その年に支払った医療費を所得税の課税対象となる所得から差し引くことができる制度です。

また、平成29年1月1日から「セルフメディケーション税制」の施行に伴い、定期的に健康診断や予防接種を受けている人で、家族が購入したものも含めて年間12,000円を超える市販薬を購入した人は、確定申告をすることで所得税の控除を受けることができます。

セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)は、医療費控除の特例として、健康の維持増進および疾病の予防への取組として一定の取組を行う個人が、平成29年1月1日以降に、スイッチOTC医薬品(要指導医薬品及び一般用医薬品のうち、医療用から転用された医薬品)を購入した際に、その購入費用について所得控除を受けることができるものです。

出典:厚生労働省「セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)について」

そのほかの控除も詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

【関連記事】
控除とは?制度の目的や所得控除と税額控除の違いや手続きについて解説

「所得控除」とは

所得控除とは、所得税を算出するときに所定の金額を所得から差し引くことができる制度のことです。

前提として、白色申告をする場合における所得税の計算の概略は以下のとおりです。

  1. 売上 - 仕入や経費の額 = 事業所得
  2. 事業所得 - 所得控除 = 課税所得
  3. 課税所得 ✕ 一定の算式 = 納税額

「事業所得」から「所得控除」の金額を差し引いた際に残るものが「課税所得」です。その「課税所得」に対して一定の算式を適用することにより、納税額が計算されます。

所得を控除するとは、すなわち「納税額計算の基礎となる事業所得を減らす働きをすること」です。

「所得控除」には、2つのグループがあります。

・人的控除
配偶者控除や扶養控除、障害者控除など個人的な事情を加味する控除

・物的控除
社会保険料控除や生命保険料控除、医療費控除など家事上の支出や損失を加味する控除

どちらも、納税者の私生活に関する事情を考慮するために設けられた制度です。所得控除では、事業(商売)に関する事情だけではなく、私生活に関する事情も考慮して設計されています。

所得税法では所得控除の制度を設けています。

これは、所得税額を計算するときに各納税者の個人的事情を加味しようとするためです。

出典:国税庁「No.1100 所得控除のあらまし」

また、算出された納税額から直接差し引くことができる控除を「税額控除」といいます。

税額控除は、二重課税の防止や特定の政策の推進を目的としたものです。本来納めなければならない税金から控除されるため、基本的に所得控除よりも節税効果が高くなります。

税額控除とは、課税所得金額に税率を乗じて算出した所得税額から、一定の金額を控除するものです。

出典:国税庁「No.1200 税額控除」

税額控除には、上記で説明した「住宅ローン控除」の他、「配当控除」、「外国税額控除」、「寄附金特別控除」などがあります。

なお、税額控除は、控除の性質上確定申告が必要なものが多い一方で、例えば住宅ローン控除のように、一定の要件を満たす場合は年末調整で適用できるものもあります。

「課税所得」とは

「所得」から「所得控除」を引くと、その人の「課税所得」が計算されます。課税所得とは、税金の基となる所得を指します。この課税所得に対して、所定の算式を用いて計算されるのがその人の「納税額」です。

税額を計算する手順

  1. 所得区分ごとの「所得金額」を計算し、合算して合計所得金額を求める
  2. 納税者の事情を考慮する「所得控除」を計算する
  3. 「合計所得金額」から「所得控除」を差し引いて「課税所得」を計算する
  4. 「課税所得」に一定の算式を用いて「納税額」を計算する

【関連記事】
課税所得とは?課税所得の計算の仕方から税率の求め方まで解説

まとめ

基礎控除は、所得税の計算において、原則として合計所得金額が2,500万円以下の人に適用される所得控除です。所得金額から一定額を差し引くことで課税所得を減らし、税負担を軽減する役割を果たしています。

基礎控除を含む所得控除を理解することは、適正な納税や節税の第一歩となります。所得金額や適用される控除額を正確に把握し、正しく年末調整や確定申告を進めていきましょう。

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よくある質問

基礎控除は43万円と48万円のどっち?

所得税の基礎控除は、2024年分以前は合計所得金額2,400万円以下で一律48万円でしたが、2025年以降は税制改正により金額が見直されています。

住民税の基礎控除は合計所得金額2,400万円以下に対して一律43万円であり、2025年分以降も変更はありません。

詳しくは、記事内「基礎控除とは所得控除の一種」をご覧ください。

出典:財務省「所得控除に関する資料」

令和9年以降の基礎控除はいくら?

令和9年分(2027年分)以降の基礎控除は、合計所得金額が132万円以下の場合は95万円、合計所得金額132万円超2,350万円以下の場合は一律58万円です。

令和7~8年分(2025~2026年分)の経過措置が終了した後は、段階的だった基礎控除額が廃止され、広範囲の所得層に対して一律の基礎控除が適用されます。

詳しくは、記事内「基礎控除とは所得控除の一種」をご覧ください。

監修 好川寛(よしかわひろし)

元国税調査官。国税局では税務相談室・不服審判所等で審理事務を中心に担当。その後、大手YouTuber事務所のトップクリエイターの税務支援、IT企業で税務ソフトウェアの開発に携わる異色の税理士です。

監修者 好川寛

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