NPO法人の基礎知識

認定NPO法人になるには?要件・申請の流れ・必要書類をわかりやすく解説

認定NPO法人になるには?要件・申請の流れ・必要書類をわかりやすく解説

認定NPO法人とは、公益性の高さなどについて所轄庁の認定を受けたNPO法人です。認定を受けるには9つの認定基準を満たす必要があり、なかでも寄附の広がりを測るパブリック・サポート・テスト(PST)でつまずきやすい点に注意が求められます。

本記事では、認定NPO法人になるための要件、申請の流れ、必要書類、税制優遇を解説します。

目次

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認定NPO法人とは?NPO法人との違い

認定NPO法人は、所轄庁から公益性を認定されたNPO法人で、寄附者への税制優遇が適用される点で通常のNPO法人と異なります。設立後の経過年数や認定要件によって「認定NPO法人」「特例認定NPO法人」「NPO法人」の3区分です。

認定NPO法人の定義

認定NPO法人とは、特定非営利活動促進法第44条に基づき、運営組織および事業活動が適正で公益の増進に資すると所轄庁が認定したNPO法人をいいます。認定を受けることで、寄附した個人や法人が税制上の優遇措置を受けられるようになります。

NPO法人との違い

NPO法人と認定NPO法人の最大の違いは、寄附に対する税制優遇の有無です。NPO法人は所轄庁の認証を受けた段階で法人格を持ちますが、寄附者の税制優遇は適用されません。認定NPO法人は、認定基準を満たすことで寄附金控除の対象となり、社会的信頼度も一段高くなります。

認定NPO法人になるには複数の基準を満たす必要があるため、通常のNPO法人設立よりも準備が必要です。

特例認定NPO法人との違い

特例認定NPO法人は、設立から5年以内のNPO法人を対象とした制度です。パブリック・サポート・テスト(PST)の要件が免除される代わりに、有効期間が3年で更新ができず、相続財産の寄附に対する税制優遇の対象外といった違いがあります。

<NPO法人・特例認定NPO法人・認定NPO法人の比較表>

区分対象PST要件有効期間寄附の税制優遇
NPO法人認証を受けた法人不要期限なしなし
特例認定NPO法人設立5年以内免除3年(更新不可)あり(相続財産は対象外)
認定NPO法人設立1年超のNPO法人必須5年(更新可)あり(相続財産も対象)
出典:内閣府NPOホームページ「認定制度について」

認定法人数は全体の3%未満にとどまり、認定基準と審査のクリアは容易ではありません。設立5年以内であれば、PSTを免除される特例認定の活用も選択肢です。次章で9つの認定基準を整理します。

認定NPO法人になるための9つの認定基準

認定NPO法人になるには、特定非営利活動促進法第45条が定める9つの基準を全て満たす必要があります。中核となるPST(パブリック・サポート・テスト)と、運営や情報公開に関する要件の2つです。

パブリック・サポート・テスト(PST)

PSTは、市民からの幅広い支援を受けているかを測る基準で、以下のいずれかに適合する必要があります。

パブリック・サポート・テスト(PST)の3基準

  • 相対値基準:実績判定期間中の経常収入金額に占める寄附金等収入金額の割合が5分の1(20%)以上
  • 絶対値基準:3,000円以上の寄附者の数が、年平均100人以上
  • 条例個別指定:都道府県または市区町村の条例により、個人住民税の寄附金控除対象として個別指定を受けている

3つの基準は、いずれか1つを満たせば適合となります。寄附金収入が安定しない法人は絶対値基準、地域に根ざした法人は条例指定を選ぶなど、自法人の収入構造に合った基準選びが基本です。

共益的活動・運営組織・事業活動の3要件

事業の公益性と運営の適正さを担保するため、以下の3要件が課されます。

共益的活動・運営組織・事業活動の3要件

  • 共益的活動の割合が、事業活動全体の50%未満であること
  • 役員のうち親族等の関係者が3分の1以下であり、経理が適正に行われていること
  • 事業費総額のうち特定非営利活動費が80%以上を占め、受け入れ寄附金の70%以上を特定非営利活動に充当していること

特定の会員のみを対象とした活動が大半を占めるNPO法人は、共益要件で外れかねません。

情報公開・報告書提出・法令順守

透明性と継続的なモニタリングのため、以下が求められます。

情報公開・報告書提出・法令順守の要件

  • 事業報告書・役員名簿・定款・基準適合説明書等の閲覧請求への対応
  • 毎事業年度、所轄庁への事業報告書等の期限内提出
  • 法令違反、不正行為、公益に反する事実がないこと

情報公開の体制が整っていない法人は、認定取得の前段階で事務体制の見直しが必要です。

設立期間・欠格事由

最後に、法人の安定性に関する要件です。

設立期間・欠格事由の要件

  • 申請書提出日を含む事業年度の初日において、設立から1年を超える期間が経過していること
  • 役員に欠格事由(暴力団関係者等)に該当する者がいないこと

9項目のうちPSTは相対値・絶対値・条例指定の3択から選択し、残り8項目は運営の透明性・事業の公益性・法令順守を担保する要件です。設立1年超の経過も必須となります。次章では、認定で得られる税制優遇を確認します。

認定NPO法人になる税制優遇のメリット

認定NPO法人になる最大のメリットは、寄附者への税制優遇措置と、認定NPO法人自身への損金算入特例です。寄附を集めやすくなるだけでなく、法人運営にも直接的な節税効果があります。

個人寄附者への優遇

個人が認定NPO法人に寄附した場合、所得税の計算で次のいずれかを選択して適用できます。

個人寄附者の所得税優遇(選択制)

  • 所得控除:寄附金額から2,000円を引いた額を所得から控除
  • 税額控除:寄附金額から2,000円を引いた額の40%を税額から控除(所得税額の25%が上限)

加えて、条例指定を受けた認定NPO法人への寄附は、個人住民税の寄附金税額控除の対象です。

出典:国税庁「No.1263 認定NPO法人に寄附をしたとき」

法人寄附者への優遇

法人が認定NPO法人に寄附した場合、通常の損金算入限度額に加えて、特別損金算入限度額の範囲内で損金算入が認められます。一般のNPO法人や営利法人への寄附と比べ、法人税の節税効果が高い仕組みです。

認定NPO法人自身への優遇(みなし寄附金)

認定NPO法人は、収益事業から生じた所得のうち、特定非営利活動に充てた金額を寄附金とみなして損金算入できます。これを「みなし寄附金制度」と呼びます。損金算入限度額は、所得金額の50%または200万円のいずれか多い金額です。

収益事業を行いながら公益事業に資金を回す法人にとって、運営コスト面の利点となります。

相続財産の寄附

相続人が相続財産を認定NPO法人に寄附した場合、その寄附した財産は相続税の課税価格に算入されません。特例認定NPO法人はこの優遇の対象外であるため、認定NPO法人ならではのメリットといえます。

個人寄附者は所得控除と税額控除を選択でき、法人寄附者は特別損金算入限度額の適用対象です。認定NPO法人自身も、みなし寄附金制度を利用できます。次章では、認定取得までの申請プロセスを確認します。

申請書類提出から認定までの期間は6か月程度

認定の審査は、書面審査と実地調査の2段階で行われます。申請から認定を得るまでは6か月程度を要するのが一般的です。

書面審査では提出された認定申請書および添付書類が9つの認定基準を満たしているかが確認され、実地調査では帳簿類や実際の運営状況が現地で確認されます。書類の不備や追加資料の提出依頼が入ると、審査期間はさらに延びることがあります。

出典:内閣府NPOホームページ「認定制度について」

まずは事前相談へ

いきなり申請するのではなく、まずは所轄庁となる都道府県または指定都市の担当窓口へ相談に行くとよいでしょう。事前相談により、申請に必要な資料作成を効率化でき、申請後の審査の円滑化・迅速化も期待できます。

事前相談に持参すると話が進みやすい資料は次のとおりです。


事前相談に持参すると良い資料

  • 直近2事業年度の事業報告書・活動計算書・貸借対照表
  • 寄附者名簿(氏名・寄附金額・受領年月日を記録したもの)
  • 定款および役員名簿
  • PSTでクリア予定の基準(相対値・絶対値・条例指定のいずれか)の見通し
  • 事前相談から本申請までは、書類整備の状況により1〜3か月が目安です。窓口は都道府県のNPO担当課または指定都市の市民協働部門で、各自治体の公式サイトで「NPO法人 認定 相談窓口」と検索すると確認できます。

    認定等の申請はNPO法人設立1年後から

    申請書を提出した日を含む事業年度の初日において、設立の日以後1年を超える期間が経過していることが基準とされています。

    特例認定は、申請書提出日の前日において、その設立の日から5年を経過しないNPO法人であることが基準の1つとなっています。

    特例認定は、設立5年以内の法人に税制優遇を先行付与する制度です。PST要件が免除されるため、寄附金収入の実績が浅い法人でも申請できます。

    ただし、特例認定には以下の制約があります。

    特例認定の主な制約

    • 有効期間が3年で、更新ができない
    • 相続財産の寄附に対する相続税非課税の優遇は対象外
    • 一法人につき1度のみ取得可能

    要件を満たせば、特例認定から認定NPO法人へ移行することも可能です。設立5年以内であれば、まず特例認定で寄附を集めながらPSTの実績を積み、認定へ移行する段階的な戦略も選択肢になります。

    所轄庁の認定等の審査に当たって提出する書類

    認定申請では、認定申請書本体に加え、認定要件ごとのチェック表と添付資料を一括で提出します。書類は9つの認定基準それぞれの充足を証明する構成で、所轄庁ごとに様式が用意されています。

    認定特定非営利活動法人としての認定を受けるための申請書(認定申請書)

    認定NPO法人として認定を受ける法人の情報、パブリックサポートテストをどの基準でクリアするか等が記載項目です。

    認定申請時の添付書類一覧表 兼チェック表

    添付資料の一覧表書式で、提出時の見落としや間違いがないかのチェックシートも兼ねた様式です。

    認定要件チェック表(パブリックサポートテスト)

    パブリックサポートテストの基準値を満たしているかを記載し、以下を添付します。

    <PSTチェック表の添付書類>
    • 受け入れた寄附金の明細表
    • 社員から受け入れた会費の明細表

    PSTは相対値・絶対値・条例個別指定の3つから1つを選んで適合を証明します。実績判定期間は原則として直近2事業年度です。

    認定要件チェック表(共益活動の割合)

    「共益活動の割合が基準値以下であること」を記載し証明します。

    認定要件チェック表(組織運営及び経理の適正)

    組織運営及び経理の適正についてのチェック項目を記載し、以下を添付します。

    <組織運営・経理チェック表の添付書類>
    • 役員の状況
    • 帳簿組織の状況

    認定要件チェック表(事業活動の範囲)

    事業活動が一定の範囲内であるかを記載し、以下を添付するものです。

    <事業活動チェック表の添付書類>
    • 財産の運用及び事業運営の状況等

    認定要件チェック表(情報公開の適正)

    情報公開の適正について記載します。

    認定要件チェック表(その他の基準)

    事業報告書等が所轄に提出されているか、法令順守がされているか、法人設立後一定期間が経過しているかをチェック項目に記載します。

    寄附金を充当する予定の事業内容等を記載した書類

    今後、集める予定の寄附金をどのような事業に使うかの見通しが記載内容です。

    寄附者名簿

    実績判定期間中の事業年度ごとに、「寄付者の氏名又は名称」「寄付金額」「受領年月日」等を記載します。

    寄附者名簿は、PSTの絶対値基準を選択する場合に特に重要です。3,000円以上の寄附者が年平均100人以上という基準のカウント根拠となるため、記載の精度が問われます。

    認定、特例認定の更新について

    認定の有効期間は、所轄庁による認定の日から起算して5年です。

    有効期間の満了後、引き続き認定NPO法人として活動を行う場合は、有効期間の満了の日の6か月前から3か月前までの間に、所轄庁の条例で定めるところにより、有効期間の更新の申請書を提出する必要があります。

    特例認定の有効期間は認定の日から起算して3年で、経過すると失効し、更新はできません。認定NPO法人として認定を受けたい場合は、別途認定の申請が必要です。

    更新申請を失念すると認定が失効し、寄附者の税制優遇が適用されなくなります。有効期間満了の半年以上前から準備に着手するとよいでしょう。

    出典:内閣府NPOホームページ「認定制度について」

    まとめ

    認定NPO法人になるには、9つの認定基準を満たし、2段階の審査と6か月程度の期間を経る必要があります。設立1年経過後でなければ申請できず、認定後も5年ごとの更新が必要です。これらの要件は、日常の事業報告書・寄附者名簿・帳簿類の整備の積み重ねで初めて実現します。

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    よくある質問

    NPO法人と認定NPO法人の違いは?

    NPO法人と認定NPO法人の主な違いは、寄附に関する税制優遇の有無です。NPO法人は所轄庁の認証を受けた段階で法人格を取得しますが、寄附者の税制優遇は適用されません。認定NPO法人は所轄庁から公益性の認定を受けることで、個人・法人・相続財産の寄附が税制優遇の対象です。

    詳しくは「NPO法人との違い」で解説しています。

    認定NPO法人は何年まで認定を受けられる?

    認定NPO法人の認定有効期間は5年で、満了の6か月前から3か月前までの間に更新申請を行えば継続できます。更新回数の上限はありません。一方、特例認定NPO法人の有効期間は3年で更新はできず、認定NPO法人へ移行するには別途認定申請が必要です。

    詳しくは「認定、特例認定の更新について」で解説しています。

    特例認定NPO法人と認定NPO法人はどちらを目指すべき?

    設立5年以内でPSTの実績がまだ不十分な場合は、PSTが免除される特例認定を検討できます。一方、すでに認定基準を満たせる法人は、認定NPO法人の申請を検討します。どちらを選ぶかは、設立年数や寄附実績、運営体制によって異なります。

    詳しくは「特例認定NPO法人との違い」で解説しています。

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