
承認欲求とは、他人から認められたいという欲求や、自分を価値のある存在として認めたい・認められたいという欲求のことを指します。この欲求は人間が普遍的に抱く、ごく自然なものです。承認欲求を抱くのは必ずしも悪いことをもたらすわけではなく、自分や周囲によい影響を与えるケースもあります。
本記事では承認欲求の基本的な意味や自己顕示欲との違い、強くなる原因、メリット・デメリットをわかりやすく解説します。
目次
- 承認欲求とは?他者から認められたいという自然な欲求
- 承認欲求と自己顕示欲の明確な違い
- 承認欲求の2タイプ
- 他者承認欲求|他者からの評価が原動力
- 自己承認欲求|自分自身で価値を認める
- マズローの欲求5段階説から見る「承認欲求」
- なぜ承認欲求は強まるのか?考えられる主な原因
- 幼少期の家庭環境が複雑だった
- 自己肯定感が低い
- SNSが普及した
- 承認欲求が過度に強い人に見られる10の共通点
- 1. SNSでの評価を過度に気にする
- 2. 周りの意見に流されやすい
- 3. 自慢話が多くなる
- 4. 頼まれごとを断れない
- 5. 常に誰かと一緒にいないと不安になる
- 6. 服装や持ち物で自分を良く見せようとする
- 7. 他人の成功に嫉妬し、批判的になる
- 8. ささいなことでも大げさにアピールする
- 9. 頻繁に自分を卑下する
- 10. 会話の主語が常に自分になる
- 承認欲求がもたらすメリット・デメリット
- メリット
- デメリット
- 承認欲求と上手に付き合い、自己肯定感を高める方法
- 【職場編】承認欲求が強い同僚や部下への適切な接し方
- 毎日の生活に役立つ福利厚生で、従業員満足度を上げませんか?
- まとめ
- 従業員エンゲージメントを高め、組織を活性化する福利厚生とは
- よくある質問
承認欲求とは?他者から認められたいという自然な欲求
承認欲求とは、他の人から認められたいという欲求や、自分を価値のある存在として認めたい・認められたいという人間の普遍的な欲求のことです。
承認欲求という言葉は「あの人は承認欲求が強い」というように、ネガティブな意味合いで用いられることもありますが、この欲求は誰もが自然に持つものです。目標を達成するための根源になるほか、モチベーションを高く保つために重要な役割を果たすもので、一概に悪いものではありません。
また、承認欲求は人間の本質的な欲求のひとつであるため、完全になくすことは困難であり、その必要もないといえます。大切なのは、承認欲求を完全になくすことではなく、過度に振り回されず上手にコントロールすることです。
承認欲求と自己顕示欲の明確な違い
承認欲求と混同されやすい言葉に「自己顕示欲」があります。それぞれの意味を簡単にまとめると、以下のとおりです。
欲求の種類 | 概要 |
---|---|
承認欲求 | 他者からの評価を受け入れたいという「受動的」な欲求 |
自己顕示欲 | 自分をアピールし、注目を集めたいという「能動的」な欲求 |
承認欲求は他者に自分の存在や考え、成果を認めてもらいたいというものです。これに対して自己顕示欲は自分をアピールしたい、注目を浴びたいという能動的な欲求で、自己中心的な側面が強いともいわれます。
なお、自己顕示欲が承認欲求を満たすためのひとつの手段になることもあり、ひとりの人間の欲求として関連しているケースもあります。
承認欲求の2タイプ
承認欲求は「誰に認められたいか」によって、次の2つに大別されます。
- 他者承認欲求
- 自己承認欲求
それぞれについて詳しく解説します。
他者承認欲求|他者からの評価が原動力
他者承認欲求とは、他者からの称賛や評価によって満たされたいという欲求のことです。社会的地位や所属集団内での評価を求める「社会的承認」「集団内での承認」も、この一種とされています。
他者承認欲求の具体例には、以下のようなものがあります。
- SNSで注目されたい・良い評価をされたい
- 上司から称賛されたい
- 同僚から一目置かれたい
自己承認欲求|自分自身で価値を認める
自己承認欲求とは、他人の評価軸ではなく、自分自身の基準で自分を認め、肯定したいという欲求のことです。他者承認に偏らず自らの努力や成果による充足を求めるため、他者承認よりも高度な欲求とされています。
自己承認欲求は、自己肯定感とも密接な関係があります。自己承認を高めることで自分を肯定でき、精神的な安定が得られるとされているのです。
マズローの欲求5段階説から見る「承認欲求」
マズローの欲求5段階説は、人間の根本的な欲求を段階的に分類した有名な理論です。
下図のように階層で分類され、承認欲求はこのうち4段階目に位置づけられています。

この階層化された欲求は、段階が進むほどより高次な欲求であるとされています。
たとえば「生理的欲求」が満たされていなければ、生物として活動することが困難なため、それより上の階層の欲求が生まれにくいのです。反対に生理的欲求や安全欲求といった、生活するうえで必要な欲求が満たされていれば、それより高度な次元の欲求が生まれるようになります。そのため、承認欲求を満たしたいという感情も高まります。
これらの欲求は、人間が成長していく過程で自然に生じるものです。生命活動や社会活動、自己成長を実現するうえで重要な欲求といえます。
なぜ承認欲求は強まるのか?考えられる主な原因
前述のとおり承認欲求は人間が持つ普遍的な欲求であり、成長や他者への貢献といった場面で重要な役割を果たします。しかし、過度な承認欲求が生まれてしまい、本人や周囲の人に問題を与える原因となるケースも少なくありません。
ここでは、承認欲求が過度に高くなると考えられる原因や背景を紹介します。
幼少期の家庭環境が複雑だった
幼少期に親から愛情や承認を十分に受けられなかった場合、成人してから他者からの承認を強く求める傾向があるとされています。
具体的に挙げられるのは、以下のようなケースです。
- 親の言うことを聞く「聞き分けの良い子」でいるときだけ優しくされる
- 失敗したりわがままを言ったりすると、無視されたり厳しく叱られたりする
- 親に話しかけても「忙しいからあとでね」と後回しにされることが多かった
- 「○○ちゃんはもっと勉強ができるよ」と、兄弟や同級生などを引き合いに出して叱られる
- 親の理想や価値観を強く押し付けられ、自分自身の興味や意見は尊重されなかった
このような経験から「自分はありのままで価値がある」という感覚(自己肯定感)が育ちにくくなります。結果としてその不足分を外部からの評価で埋めようと、承認欲求が強まることがあります。
自己肯定感が低い
自己肯定感が低いと、自分の価値を他者の評価に依存しがちになり、承認欲求が強まるとされています。自己肯定感が低くなる原因としては、成功体験の不足、失敗した経験に対するトラウマ、コンプレックスなどが考えられます。
具体的には、以下のようなケースです。
- 親が何でも先回りするため自力でやり遂げた経験がない
- 部活動などで人一倍努力しても結果に結びつかず無力感を覚える
- 家庭環境などを他人と比較して劣等感を抱く
SNSが普及した
近年は、SNSの普及によって他者からの評価が数値で可視化されるようになり、承認欲求を満たしたいと強く考える人が増加したと指摘されています。
具体的には、以下のようなケースが挙げられます。
- 「いいね」の数に一喜一憂し、自分の価値を測ってしまう
- フォロワー数を自分の人気とみなし、他人と比較して落ち込む
- 「羨ましい」と思われたいために、「映える投稿」を優先して行動する
承認欲求が過度に強い人に見られる10の共通点
承認欲求が強い人に見られる特徴を紹介します。
1. SNSでの評価を過度に気にする
自分の投稿への反応が自分に対する評価のすべてであるかのように感じてしまい、コメントや「いいね」が少ないと不安になったり、投稿を削除したりしてしまいます。
2. 周りの意見に流されやすい
会議やグループでの会話などにおいて、反論したり違う意見を言ったりすることで「和を乱す人」「空気が読めない人」と思われることを極端に恐れます。
3. 自慢話が多くなる
自分の功績や持っている物や交友関係などを実際よりも大きく見せて話すことで、他者からの称賛や羨望を得ようとしがちです。
4. 頼まれごとを断れない
何か頼まれごとをされた場合に断ったら、「冷たい人」「役に立たない人」だと思われることを過度に恐れています。その結果、自分のキャパシティを超えても安請け合いしてしまう傾向にあります。
5. 常に誰かと一緒にいないと不安になる
学校や職場などで一人でいることが「友達がいなくて可哀想な人」「孤独な人」と思われるのが嫌で、常に誰かと連絡を取ったり無理に予定を入れたりします。
6. 服装や持ち物で自分を良く見せようとする
ブランド品や流行のアイテムを身につけることで、自分の価値を補強しようとします。他者からの評価が高いものを、自分の評価と結びつけやすい傾向傾向にあります。
7. 他人の成功に嫉妬し、批判的になる
ほかの人が褒められていると、自分の価値が相対的に下がったように感じてしまいがちです。他人の成功を素直に喜べず、相手の欠点を探したり批判したりすることがあります。
8. ささいなことでも大げさにアピールする
どんなに小さなことでも大げさにアピールする傾向にあります。たとえば少し体調が悪いだけでSNSなどで大げさに投稿したり、少し手伝っただけなのに「私が全部やった」と自分の手柄かのように話したりして、注目や同情を引こうとします。
9. 頻繁に自分を卑下する
過度に謙遜したり自分を下げたりすることで、相手から「そんなことないよ」という肯定や慰めの言葉を引き出そうとします。
10. 会話の主語が常に自分になる
相手が話しているのに、すぐに遮って自分の話にすり替えてしまいます。自分のことをもっと知ってほしい、認めてほしいという気持ちが強いことからくる特徴です。
承認欲求がもたらすメリット・デメリット
承認欲求がもたらすものには、良い面も悪い面もあります。それぞれ、具体例を交えながら解説します。
メリット
承認欲求は、目標達成意識や他者にとって良い行動をしようという動機づけになることがあります。
たとえば、以下のような働きをすることがあります。
- 目標達成への高いモチベーションになる
- スキルアップや自己成長の原動力となる
- 周囲からの信頼を得やすくなる
デメリット
承認欲求が強すぎる場合、自身の心身に悪影響を与えたり、他人とのトラブルを起こしたりすることがあります。
たとえば、以下のようなことが起こる可能性があります。
- 他人の言動に一喜一憂し、精神的に疲弊する
- 自分を見失い、主体的な判断ができなくなる
- 人間関係のトラブルに発展する
- SNS依存に陥る
承認欲求と上手に付き合い、自己肯定感を高める方法
強すぎる承認欲求で悩んでいるのであれば、欲求をコントロールし自己肯定感を高める方法を取り入れることをおすすめします。
具体的には、以下のような方法が挙げられます。
- 自分自身でできることから始め、自己承認を高める
- 今日自分が「できたこと」を毎日3~5個書き出す
- 自分の長所や好きなところをノートにまとめる
- 他人との比較ではなく、過去の自分と比較する
- SNSを見ない時間を作る
- 肯定的な言葉をかけてくれる人と過ごす時間を増やす
- 物事の捉え方を変える(リフレーミング)
- 「他人にどう思われるか」から「自分がどうしたいか」に思考の主軸を移す
【職場編】承認欲求が強い同僚や部下への適切な接し方
職場の同僚や部下の承認欲求が強く困っているという方に向けて、接し方を紹介します。
他者の承認欲求をコントロールすることは難しいですが、接し方を工夫すれば、自身・相手ともに業務を進めやすくなります。
具体的には、次のような接し方が効果的です。
- 相手の存在や意見を肯定的に受け止め、傾聴する
- 結果だけでなく、努力の過程やプロセスを具体的に褒める
- 「ありがとう」「助かるよ」といった感謝の言葉を積極的に伝える
- 重要な役割や責任を任せ、自己有用感を育む機会を作る
- 過度なアピールや要求に対しては、冷静に事実ベースで対応する
- 過度に依存されないよう境界線を意識する
お互いが疲弊しないよう、適切な距離感を意識しつつ、ポジティブなアクションにつながりそうな機会を探してみてください。
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まとめ
承認欲求は人間の基本的な欲求のひとつであり、他者からの評価を求めるのは自然なことです。しかし、過度な承認欲求は精神的な負担を引き起こすこともあります。
本記事を参考に、自身の承認欲求との向き合い方や上手な他者との関わり方を見つけてみてください。
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よくある質問
承認欲求とは?
承認欲求とは、他の人から認められたいという欲求や、自分を価値のある存在として認めたい・認められたいという人間の普遍的な欲求のことを指します。
詳しくは、記事内「承認欲求とは?他者から認められたいという自然な欲求」をご覧ください。
承認欲求を完全になくすことはできる?
承認欲求は人間の本質的な欲求のひとつであるため、完全になくすことは困難です。
詳しくは、記事内「承認欲求とは?他者から認められたいという自然な欲求」をご覧ください。
承認欲求が強い人の特徴は?
承認欲求が強い人の特徴の例には、次のようなことが挙げられます。
- SNSでの評価を過度に気にする
- 周りの意見に流されやすい
- 自慢話が多くなる
- 頼まれごとを断れない
- 常に誰かと一緒にいないと不安になる
- 服装や持ち物で自分を良く見せようとする
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- ささいなことでも大げさにアピールする
- 頻繁に自分を卑下する
- 会話の主語が常に自分になる
詳しくは、記事内「承認欲求が過度に強い人に見られる10の共通点」をご覧ください。
自己肯定感が低いと承認欲求が強くなる?
自己肯定感が低いと、自分の価値を他者の評価に依存しがちになり、承認欲求が強まるとされています。自己肯定感の低さ以外が原因で承認欲求が強くなるケースもあります。
詳しくは、記事内「自己肯定感が低い」で解説しています。