夜勤明けスタッフの過ごし方への支援は、単なる福利厚生の問題ではなく、組織の持続的成長に欠かせない経営戦略です。
夜勤明けの過ごし方を職員個人の努力だけに任せると、離職率の悪化や重大なヒューマンエラーを引き起こすおそれがあります。
また、事業者が職員の健康配慮を怠った場合、「安全配慮義務違反」として法的責任を問われかねません。
本記事では、夜勤明けの支援が経営課題である理由や、職員に指導すべき具体的な過ごし方、負担を軽減するシフト改善まで、管理者が知るべき対策を解説します。
目次
- 夜勤明けの過ごし方への支援が必要な理由
- 職員への負担を軽減させ、離職率の低下につなげるため
- 生産性の安定、ヒューマンエラーの軽減につながるため
- 職員の健康と安全を守る「安全配慮義務」を遵守するため
- 夜勤明けスタッフの疲れをリセットできる過ごし方のポイント
- 2〜3時間の仮眠を推奨する
- ぬるめのお湯での入浴を促す
- 消化がよく睡眠を妨げない食事を指導する
- 夜勤明けスタッフの負担や事故を防ぐ勤務シフトの改善ポイント
- 十分な休息を確保できる勤務間インターバルを設ける
- 職員の負担が少ない勤務形態を検討する
- シフト管理システムを導入して公平なシフトを作成する
- 夜勤明けスタッフの健康的な過ごし方をサポートする施策のポイント
- 仮眠室や休憩室の環境を整備する
- 食事補助や健康増進制度を導入する
- 心身の不調を早期発見する相談窓口や定期面談を設ける
- 夜勤中の負担を軽減するICTツールを活用する
- 夜勤明けの職員サポートに注力するならfreee人事労務・勤怠管理Plus
- まとめ
- よくある質問
夜勤明けの過ごし方への支援が必要な理由
夜勤明けの過ごし方を職員任せにすると、離職や事故、法的リスクを招くおそれがあります。ここでは、組織的に支援が必要な主な理由を解説します。
職員への負担を軽減させ、離職率の低下につなげるため
不規則な生活リズムを強いる夜勤業務は、職員の心身に多大な負担をかけます。
この負担が解消されないまま蓄積していくと、心身の不調や「このままでは働き続けられない」という将来への不安が離職の原因となります。
公益財団法人介護労働安定センターの調査では、勤務先の事業理念や運営のあり方の中でも「介護の質向上の取り組みに対して職員の体制や処遇が追いつかなくて辞めた」介護職員は35.6%でした。
職員の健康維持をサポートして定着率を向上させることは、長期的な採用コストの削減やサービスの質の維持に欠かせません。
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生産性の安定、ヒューマンエラーの軽減につながるため
睡眠不足や体内リズムの乱れは、集中力や注意力を司る脳の前頭前野の機能を低下させます。脳が疲弊した状態のため、普段ならしないミスや重大な見落としをしかねません。
厚生労働省の「健康日本21アクション支援システム~健康づくりサポートネット~」でも、睡眠問題と健康リスクの関係を下図のように表しています。
サービスの質を守って事故を未然に防ぐためにも、職員が万全の状態で業務に臨める支援が必要です。
職員の健康と安全を守る「安全配慮義務」を遵守するため
事業者は労働契約法第5条に基づき、職員が生命や身体等の安全を確保しつつ労働できるよう配慮する義務があります。
労働契約法第5条
(労働者の安全への配慮)
使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
もし、適切な休息を確保するシフト調整や健康支援を怠り、職員に深刻な健康被害が発生した場合、義務違反と判断されます。結果的に損害賠償請求や行政指導など、法的な問題に発展しかねません。
法的リスクを回避してコンプライアンスを徹底するうえでも、夜勤明けスタッフの健康維持が大切です。
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夜勤明けスタッフの疲れをリセットできる過ごし方のポイント
夜勤明けの疲労回復には、正しい過ごし方の指導が重要です。ここでは、職員に周知すべき睡眠・入浴・食事の3つの基本ポイントを解説します。
2〜3時間の仮眠を推奨する
長時間眠ると体内リズムが大きく乱れ、夜間の眠りが浅くなってしまいます。その結果、睡眠不足のまま出勤する悪循環に陥りかねません。
目安として、帰宅後すぐに2〜3時間の仮眠をとりましょう。夜の睡眠への影響を抑えつつ、業務中に溜まった疲労を軽減しやすくなります。
あわせて以下も取り入れると、効率よく仮眠をとれます。
- アラームをセットしてすぐに起きられるようにする
- アイマスクを着用して光を遮る
- アロマオイルで心身をリラックスさせる
なお、寝付けなくても焦って眠ろうとするのは逆効果です。緊張が高まり、交感神経が優位になってしまいます。
管理者から上記の注意点も伝えたうえで、正しい仮眠のとり方を周知しましょう。
ぬるめのお湯での入浴を促す
夜勤明けの仮眠や夜の睡眠の質を高めるには、シャワーだけで済ませず、湯船に浸かることがコツです。一般的には、38〜40℃程度のぬるめのお湯に20分ほど浸かるのが推奨されています。
夜勤業務を終えた直後の身体は、交感神経が優位な興奮・緊張状態にあります。熱いお湯は交感神経をさらに刺激し、身体を覚醒させてしまうでしょう。
一方で、ぬるめのお湯は副交感神経を優位にし、心身をリラックス・休息の状態にしてくれます。また、湯船に浸かると夜勤業務でこわばった筋肉の緊張がほぐれ、疲労物質の排出も促されます。
消化がよく睡眠を妨げない食事を指導する
仮眠直前に胃腸に負担のかかる食事をすると、休息中に消化活動が活発になって疲労が抜けません。
特に、揚げ物やファストフードは消化に時間がかかるため、避けるべきメニューとして具体的に伝えましょう。
代わりにおすすめしたいのは、消化がよく温かい食事です。たとえば、以下のようなメニューを提案しましょう。
- 具沢山の野菜スープや味噌汁
- おかゆや雑炊
- うどん(天ぷらなどを除く)
- ヨーグルト
- バナナ
消化によい食事をとることで、胃腸を休ませながら身体を内側から温め、スムーズな入眠と質の高い休息ができます。
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夜勤明けスタッフの負担や事故を防ぐ勤務シフトの改善ポイント
職員の安全配慮義務を果たすには、無理のない勤務シフトが欠かせません。法的リスクを回避し、安全な職場環境を整備するためにも、シフト改善策をみていきましょう。
十分な休息を確保できる勤務間インターバルを設ける
職員の健康確保と離職防止のため、勤務間インターバル制度を導入しましょう。勤務間インターバル制度とは、勤務終了から次の勤務開始までに一定の休息時間を設ける仕組みです。
たとえば「勤務終了後、最低11時間の休息をとる」といったルールを就業規則で明確に定めれば、職員は心身をリセットする時間を確保できます。職員の健康維持だけではなく、ワークライフバランスも向上するでしょう。
結果として職員の定着率が向上し、無理な勤務による突然の欠勤も減少するため、生産性の安定にもつながります。
なお、2019年4月から、勤務間インターバル制度が努力義務となりました。具体的な導入メリットや運用方法を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
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職員の負担が少ない勤務形態を検討する
職員の身体的負担を軽減するため、勤務シフトのローテーションが体内リズムに沿っているかを見直しましょう。
人間の体内時計は、24時間より少し長い周期で動いています。
「夜勤→準夜勤→日勤」のように勤務時間を前倒しにする「逆循環シフト」は、体内リズムに逆行する働き方です。そのため、睡眠障害や慢性疲労を引き起こしやすいと言われています。
一方で「日勤→準夜勤→夜勤」のように、勤務時間を徐々に後ろにずらしていくのが「正循環シフト」です。正循環シフトは体内時計の周期に順応しやすいため、身体的負担が少ないとされています。
現在のシフトが職員に過度な負担を強いていないか、その影響を評価し、よりストレスの少ないサイクルへの見直しを検討しましょう。
シフト管理システムを導入して公平なシフトを作成する
特定の管理者が手作業でシフトを作成していると、「特定の人に夜勤が偏る」「希望休が通りにくい」といった不満が生まれやすくなります。この不公平感は、職員のモチベーション低下や離職の原因となります。
シフト管理システムを活用すれば、各職員の下記の要素を自動で考慮した、公平なシフト表を作成できるでしょう。
- 希望休
- 保有スキル
- 経験年数
- 勤務間インターバルなどの法令要件
「freee勤怠管理Plus」は、スタッフからの希望休収集から公平なシフト作成までをシステム上で完結できます。複雑な夜勤や変形労働制にも対応しており、法令(勤務間インターバルなど)を遵守したシフト管理を実現しやすいのがメリットです。
さらに、作成したシフトと日々の打刻実績を「freee人事労務」と連携すれば、給与計算まで自動化が可能です。
職員の不満を解消してエンゲージメントを高めるためにも、ぜひfreee勤怠管理Plusの詳細をご覧ください。
夜勤明けスタッフの健康的な過ごし方をサポートする施策のポイント
職員の健康的な過ごし方を支えるには、組織的な支援が必要です。仮眠室の整備や食事補助、相談窓口の設置など、管理者が取り組むべき具体的な施策を解説します。
仮眠室や休憩室の環境を整備する
夜勤中や夜勤明けにとる休息の質によって、疲労回復の度合いが大きく変わります。
雑多な物置のような部屋や廊下の騒がしい音が聞こえる部屋では、身体を休められず疲労が蓄積する一方です。
仮眠室や休憩室は、下記のようなリフレッシュしやすい環境を整えましょう。
- 外部の光を遮断できる遮光カーテンやアイマスクを取り入れる
- 話し声や物音を遮る個室ブースや耳栓を導入する
- 身体を横にできるリクライニングチェアやソファベッド、清潔な寝具を用意する
まずは自施設の休憩室・仮眠室の現状を点検し、職員が安心して休める環境か確認することから始めてみてください。
食事補助や健康増進制度を導入する
夜勤明けはコンビニ弁当やカップ麺などで済ませる職員も多く、栄養バランスが偏りがちです。栄養バランスのとれた食事の提供や、健康意識を高める制度の導入で、職員の健康を維持しましょう。
以下が、組織として導入できる食事補助の一例です。
- 社員食堂を夜間にも営業する
- 管理栄養士が監修した、健康的な弁当を提供する
- オフィスへの設置型社食サービスを導入する
下記のような支援も、職員自身の健康意識の向上につながります。
- フィットネスジムの利用料金を補助する
- 睡眠・栄養に関する健康セミナーを開催する
食事や運動といった福利厚生を充実させることで、職員の活力向上や組織全体の生産性維持につながります。
心身の不調を早期発見する相談窓口や定期面談を設ける
夜勤による生活リズムの乱れや睡眠不足は、身体だけではなく精神にも徐々に影響を及ぼします。本人も気づかないうちに症状が進行し、管理者が気づいたときには深刻な状態に陥っているケースもあるでしょう。
心身の不調を早期に発見して介入するため、次のような体制づくりがおすすめです。
- 産業医や保健師による定期的な健康面談を実施する
- 外部の従業員支援プログラムと契約し、匿名のカウンセリング窓口を設ける
職員が「辛いときにいつでも相談できる」と安心感を持てる体制を整えましょう。結果的に、深刻なメンタル不調による休職や離職を防ぎやすくなります。
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夜勤中の負担を軽減するICTツールを活用する
ICTツールを積極的に活用すると、夜勤業務そのものの負担を軽減できます。
たとえば、ベッドに設置する「見守りセンサー」や「離床センサー」を導入すれば、利用者の状態がナースステーションでリアルタイムに把握できます。不要不急の巡回業務が削減されるため、職員の身体的負担が減少するでしょう。
また、異常検知時にのみアラートが鳴るため、精神的なプレッシャーの緩和にもつながります。
ICTツールの導入費用を抑えるには、「介護テクノロジー導入支援事業」などの補助金を活用しましょう。補助には一定の要件を満たす必要がありますので、詳細は下記の記事でご確認ください。
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介護テクノロジー導入支援事業とは?補助額や要件、申請の流れをわかりやすく解説
夜勤明けの職員サポートに注力するならfreee人事労務・勤怠管理Plus
夜勤明けの職員サポートや、それを支える勤務シフトの改善は、適切な労務管理ツールの導入によって実現しやすくなります。
そこで管理者の課題解決におすすめなのが、クラウド勤怠管理システム「freee勤怠管理Plus」およびクラウド人事労務ソフト「freee人事労務」です。
「freee勤怠管理Plus」はPCやスマートフォン、生体認証など、さまざまな打刻方法に対応しています。残業時間がリアルタイムで可視化されるため、管理者はいつでも職員の勤務状況を正確に確認できます。
さらに「freee人事労務」と連携させれば、確定した勤怠データをもとに給与計算の自動化も可能です。
自己申告制などの曖昧さをなくし、正確な労働時間の記録と管理業務の効率化を両立しやすくなります。ぜひ機能の詳細をご確認ください。
まとめ
夜勤明けスタッフの健康管理を放置すると、離職率の悪化やヒューマンエラーによる事故、安全配慮義務違反といった重大な経営リスクにつながります。
しかし、管理者が健康管理を経営課題として捉えて組織的に取り組めば、このような問題を回避できるでしょう。
職員への指導やシフト調整、環境整備を実践することで、職員を守りながら組織の生産性を向上させやすくなります。
まずはできるところから着手し、職員が健康で長く働ける「選ばれる職場」を目指しましょう。
よくある質問
夜勤明けにやってはいけないことは何ですか?
以下が、夜勤明けにやってはいけないことの一例です。
- 40℃以上の熱いお風呂
- 眠りを浅くするアルコールやカフェインの摂取
- 3時間以上の長すぎる仮眠
よかれと思った行動が、かえって体調を崩す原因となります。職員には、疲労回復を妨げる行動を避けるよう周知しましょう。
詳しくは、記事内「夜勤明けスタッフの疲れをリセットできる過ごし方のポイント」をご覧ください。
夜勤明けは何時間寝るのがいいですか?
夜勤明けの睡眠時間は、2〜3時間が効果的です。それ以上長く寝てしまうと夜間の主睡眠に影響し、かえって体内リズムが乱れやすくなります。
帰宅後なるべく午前中のうちに仮眠をとることで、日中の過度な眠気を解消しつつ、夜の睡眠を確保できます。
夜勤明けにおすすめの過ごし方はありますか?
夜勤明けにおすすめの過ごし方は、下記のとおりです。
- 胃腸に負担をかけないよう、消化のよい食事をとる
- 38〜40℃程度のぬるめのお湯にゆっくり浸かる
- ヨガやストレッチで気分転換する
夜勤明けの身体は緊張状態にあるため、休息モードへ切り替える工夫が必要です。上記のような行動によって、質の高い休息をとりやすくなります。
詳しくは、記事内「夜勤明けスタッフの疲れをリセットできる過ごし方のポイント」で解説しています。
