勤怠管理の基礎知識

タイムカードの打刻し忘れが起きたらどうなる?正しい対処法や給与への影響、防止策などを解説

タイムカードの打刻し忘れが起きたらどうなる?正しい対処法や給与への影響、防止策などを解説

タイムカードの打刻忘れは、従業員本人だけでなく、企業の勤怠管理や給与計算にも影響を及ぼす可能性があります。打刻忘れが原因で給与が支払われなくなるわけではありませんが、適切な対応を行わなければ、残業代の計算ミスや労務トラブルにつながる恐れがあります。

本記事では、タイムカードの打刻忘れが起きる主な原因をはじめ、従業員・企業それぞれの正しい対処法や給与への影響、ペナルティの考え方、再発を防ぐための対策までわかりやすく解説します。

目次

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打刻し忘れが起きる主な原因とは

打刻し忘れが起きるケースや原因は企業により異なりますが、始業・終業時のほか、休憩の開始・終了時や外出・直行直帰後の勤務、残業時などさまざまな場面で発生します。

一見すると従業員の単純なミスに思われがちですが、実際には打刻ルールの運用や職場環境、勤務形態などが影響しているケースも少なくありません。打刻し忘れを防ぐためには、まず原因を把握し、自社の運用上の課題を明確にすることが重要です。

ここでは、打刻し忘れが起きる主な原因について解説します。

打刻ルールが定着していない

打刻し忘れが発生する原因のひとつが、打刻ルールが従業員に十分浸透していないことです。

たとえば、「始業前に打刻する」「休憩の開始・終了時にも打刻する」といったルールが曖昧なまま運用されていると、従業員によって認識にばらつきが生じ、打刻漏れにつながる恐れがあります。入社時の説明だけで終わっていたり、ルール変更が適切に周知されていなかったりする場合も同様です。

また、テレワークや直行直帰など複数の勤務形態が混在する職場では、状況に応じた打刻方法が整備されていないことで、打刻し忘れが発生するケースもあります。

打刻機・タイムカードの設置場所や操作性の問題がある

打刻機やタイムカードの設置場所、勤怠管理システムの操作性も、打刻し忘れを招く要因になり得ます。

とくに、打刻機が従業員の動線から外れた場所に設置されている場合、出勤や退勤時の打刻を忘れてそのまま通り過ぎてしまうことがあります。

また、ICカード認証やスマートフォンによる勤怠システムの操作方法を誤った場合、打刻が正常に完了したと勘違いすることで、適切に勤怠が記録されないケースも考えられます。

忙しさ・イレギュラー勤務によって意識が低下している

業務の忙しさや通常とは異なる勤務状況も、打刻し忘れの原因となります。

たとえば、接客や電話対応に追われている場合や、急なトラブル対応が発生した場合は、出退勤時の打刻よりも目の前の業務を優先してしまい、打刻を忘れてしまうことがあるかもしれません。

また、残業や休日出勤、早朝勤務など通常と異なる勤務では、普段とは異なる行動パターンになるため、打刻が抜けやすくなる傾向もあるでしょう。

このように、業務状況や勤務形態によっては、従業員が意識していても打刻し忘れが発生してしまうケースがあります。

【従業員向け】打刻し忘れに気づいたときの正しい対処法

打刻し忘れに気づいた場合は、そのまま放置せず、速やかに所定の手続きを行うことが重要です。適切に対応することで、実際の労働時間に基づいた勤怠記録や給与計算を行いやすくなり、労務トラブルの防止にもつながります。

ここでは、打刻し忘れに気づいた際に従業員が取るべき対応について解説します。

すぐに上司・担当部署へ報告する

打刻し忘れに気づいたら、できるだけ早く上司や人事・労務担当者などの担当部署へ報告しましょう。

報告が遅れると、記憶が曖昧になって正確な労働時間を確認しにくくなるだけでなく、給与計算の締め日や勤怠集計に影響を及ぼす可能性があります。また、勤怠データの修正には管理者の承認が必要な企業も多いため、早めに報告することでスムーズに対応できます。

打刻し忘れの日時や理由を伝える

報告する際は、「打刻を忘れた」という事実だけでなく、打刻し忘れが発生した日時や理由、実際の出退勤時刻などを具体的に伝えることが大切です。

「○月○日の退勤時に打刻を忘れた」「来客対応が長引き、そのまま退勤してしまった」など、状況をできるだけ詳しく説明することで、担当者が事実確認や勤怠データの修正を行いやすくなります。

また、企業によっては打刻修正申請書や勤怠システム上での申請が必要な場合もあります。社内ルールに従って必要な手続きを行うことで、勤怠記録の正確性を確保しやすくなるでしょう。

【企業担当者向け】従業員の打刻し忘れへの対応フロー

従業員から打刻し忘れの申告を受けた場合、人事・労務担当者は事実確認から勤怠データの修正、記録の保管まで適切な手順で対応する必要があります。対応が不十分だと、給与計算の誤りや労働時間の記録不備につながる可能性があるためです。

ここでは、打刻し忘れが発生した際の基本的な対応フローを解説します。

1.申告内容の事実確認

まずは、従業員から申告された内容が実際の勤務状況と一致しているかを確認します。

確認する際は、打刻し忘れが発生した日時や理由、実際の始業・終業時刻に加え、必要に応じて業務日報や入退館記録、PCのログイン履歴、メールの送受信履歴などの客観的な記録も参考にしましょう。

とくに残業時間や休日勤務が含まれる場合は、申告内容だけで判断せず、勤務実態を客観的な資料で確認することが重要です。事実確認を適切に行うことで、労働時間を正確に把握しやすくなります。

2.勤怠データの修正と承認

事実確認が完了したら、実際の勤務時間に基づいて勤怠データを修正します。

修正の際は、人事・労務担当者が直接変更するだけでなく、従業員による修正申請と上司の承認を経て反映するなど、自社で定めた運用ルールに従って進めましょう。複数人による確認・承認を行うことで、入力ミスや不正な修正を防ぎやすくなります。

また、修正内容や承認履歴を勤怠管理システム上に残せる場合は、後から確認できる状態にしておくことが望ましいでしょう。

3.給与計算の締め日をまたいだ場合の処理

打刻し忘れの申告が給与計算の締め日以降になった場合は、修正内容をどのように反映するか検討する必要があります。

たとえば、給与計算がまだ確定していない場合は当月給与へ反映できますが、すでに給与支給が完了している場合は、翌月給与で不足分や過払い分を調整するケースが一般的です。

対応方法は企業の給与規程や運用ルールによって異なるため、事前に処理方法を明確にしておくと、担当者や従業員の混乱を防ぎやすくなります。

4.修正記録の保管義務

勤怠データを修正した場合は、修正内容や理由、承認履歴などの記録を適切に保管しなければなりません。労働基準法では、賃金台帳や出勤簿などの労働関係書類は原則5年間の保存義務が定められており、勤怠記録についても適切に管理・保存してください。

また、労働基準監督署の調査や従業員との労務トラブルが発生した際には、修正理由や承認履歴を確認できる記録が重要な資料となります。

紙の申請書だけでなく、勤怠管理システムの変更履歴や承認履歴も含めて適切に保管し、いつでも確認できる状態を維持することが大切です。

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打刻し忘れの給与への影響

打刻し忘れがあった場合、「給料が支払われなくなるのではないか」と不安に感じる従業員も少なくありません。一方、人事・労務担当者にとっては、給与計算への影響や未払い賃金の発生を防ぐためにも、適切な対応が求められます。

ここでは、打刻し忘れが給与へ与える影響について解説します。

原則として働いた分の給与は支払われる

打刻し忘れがあっても、実際に労働した時間に対する賃金は、労働基準法に基づき支払う義務があります。

そのため、打刻が漏れていた場合でも、勤務実態を確認できれば、正しい労働時間を反映した給与計算を行わなければなりません。上司の証言や業務日報、PCのログイン履歴、入退館記録などから勤務実態を確認できる場合は、それらを根拠として勤怠データを修正し、給与へ反映します。

一方で、打刻漏れを放置すると正確な労働時間を把握できず、給与計算に誤りが生じるリスクがあります。従業員には速やかな申告を促すとともに、企業側も事実確認を行ったうえで適切に勤怠情報を修正することが重要です。

残業代が正しく計算されないリスクがある

打刻し忘れは、とくに残業代の計算へ影響を及ぼす可能性があります。

たとえば、退勤時の打刻を忘れた場合、本来の退勤時刻より早い時間で勤怠が締められてしまうと、実際に行った時間外労働が反映されず、残業代が不足する恐れがあります。反対に、修正内容を十分に確認しないまま勤怠データを変更すると、実際より長い労働時間が記録され、残業代を過大に支給してしまうケースも考えられます。

このような給与計算のミスは、未払い賃金や過払いの発生だけでなく、従業員との信頼関係や労務管理にも影響を及ぼしかねません。打刻し忘れが発生した際は、勤務実態を客観的な記録で確認し、正確な労働時間を反映したうえで給与計算を行いましょう。


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打刻し忘れにペナルティを課すことはできる?

打刻し忘れに対するペナルティは、企業の判断だけで自由に課せるものではありません。労働基準法などの法令や就業規則に基づいて適切に運用する必要があり、対応を誤ると労務トラブルや法令違反につながる可能性もあるため注意が必要です。

ここでは、打刻し忘れに対するペナルティの考え方や、企業が注意すべきポイントについて解説します。

罰金・一方的な欠勤扱いは違法

従業員の打刻忘れだけを理由に、実際には勤務していた時間を欠勤扱いとして給与を支払わない場合は、労働基準法第24条の「賃金全額払いの原則」に違反します。

賃金はタイムカードの有無ではなく、実際に労働した時間に対して支払われるものです。そのため、企業は業務日報や入退館記録、PCのログイン履歴などをもとに勤務実態を確認し、適切に勤怠データを修正したうえで給与を支払う必要があります。

また、打刻し忘れに対して「1回につき○円の罰金」といった制裁金を徴収することも、労働基準法上認められていません。従業員へ制裁を科す場合は、就業規則に定めがあることに加え、労働基準法第91条で定められた範囲内で行います。

そのため、打刻し忘れが発生した際は、罰則を優先するのではなく、まずは勤務実態を確認し、適正な勤怠記録と給与計算を行ってください。

減給・懲戒処分が認められるケースと上限額

一方で、打刻し忘れそのものではなく、就業規則に違反する行為や悪質な勤務態度が認められる場合は、懲戒処分の対象となることがあります。

たとえば、打刻し忘れを何度も繰り返しながらも改善指導に応じないケースや、実際とは異なる勤務時間を申告するなど故意による不正があった場合は、就業規則に基づき戒告や減給などの懲戒処分を検討することも可能です。

ただし、処分には合理的な理由と社会通念上の相当性が求められ、企業の判断だけで自由に行えるものではありません。

また、減給の制裁を行う場合は、労働基準法第91条の制限を遵守する必要があります。具体的には、1回の減給額は平均賃金の1日分の半額を超えてはならず、複数回の減給を行う場合でも、その総額は賃金支払期に支払われる賃金総額の10分の1を超えることはできません。

これらの懲戒処分を行うには、あらかじめ就業規則に定め、労働者へ周知していることが前提となります。

打刻し忘れへの対応は、ペナルティを前提とするのではなく、原因を把握したうえでルールの周知や勤怠管理体制の見直しを進め、再発防止につなげることが重要です。

打刻し忘れを防ぐための具体的な対策

打刻し忘れの対策は、従業員の意識や注意だけに頼る運用では完全に防ぐことが難しい場合があります。再発を防止するには、打刻しやすい環境づくりや運用ルールの見直しなど、企業全体で対策を講じることが欠かせません。

ここでは、打刻し忘れを防ぐために取り組みたい主な対策を紹介します。

タイムカード・打刻ルールの整備と周知

打刻し忘れを防ぐには、従業員全員が同じルールを理解し、実践できる環境を整えることが大切です。

たとえば、「始業・終業時は必ず打刻する」「休憩開始・終了時も打刻する」「打刻し忘れに気づいた場合は当日中に申告する」といったルールを明文化し、就業規則や社内マニュアルへ反映するとよいでしょう。

また、新入社員への研修だけでなく、定期的な周知や注意喚起を行うことで、ルールの形骸化を防ぎやすくなります。テレワークや直行直帰など複数の勤務形態がある場合は、それぞれの打刻方法もあわせて周知しておくことが重要です。

打刻機の設置場所・動線の見直し

打刻機の設置場所や職場の動線を改善することも対策のひとつに挙げられます。

たとえば、打刻機は出退勤時に必ず通る場所へ設置することで、打刻漏れの発生を抑えやすくなります。複数の出入口がある職場では、どの動線からでも打刻しやすいように設置場所を見直すことも有効です。

また、現場作業が多い職場や複数拠点で勤務する従業員がいる場合は、スマートフォンやICカードなど、勤務場所を問わず打刻できる方法を導入することで、打刻忘れのリスクを軽減できます。

勤怠管理システムの導入

打刻し忘れを根本的に減らしたい場合は、勤怠管理システムの導入・見直しを検討することも選択肢となります。

近年の勤怠管理システムには、ICカードやスマートフォン、PCなど複数の打刻方法に対応したものや、打刻漏れを自動で検知して通知する機能を備えたものが数多くあります。また、勤怠データを給与計算システムと連携できる製品であれば、打刻修正後のデータをスムーズに反映可能です。

さらに、修正履歴や承認履歴を自動で記録できるシステムであれば、監査対応や労務管理の透明性向上にも役立ちます。打刻し忘れの削減だけでなく、勤怠管理全体の効率化を図りたい企業は、自社の運用に適した勤怠管理システムの導入を検討するとよいでしょう。

リマインダー・アラート機能の活用

勤怠管理システムを導入する際は、システム内のリマインダーやアラート機能も積極的に活用しましょう。

たとえば、始業・終業予定時刻に打刻を促す通知を送信したり、一定時間が経過しても打刻されていない場合に従業員や管理者へアラートを表示したりすることで、打刻漏れに早期に気づきやすくなります。

また、管理者が未打刻者を一覧で確認できる機能があれば、給与計算の締め日前に修正対応を進めやすくなり、勤怠管理業務の負担軽減にもつながるでしょう。

まとめ

打刻し忘れは、打刻ルールの浸透不足や業務の忙しさ、打刻環境の問題など、さまざまな要因によって発生します。打刻漏れが起きた場合でも、実際に働いた時間に対する給与は原則として支払われますが、適切な事実確認や勤怠データの修正を行わなければ、給与計算の誤りや労務トラブルにつながる可能性があります。

打刻し忘れを防ぐには、従業員へのルール周知に加え、打刻しやすい環境づくりやリマインダー機能の活用、勤怠管理システムの導入など、企業全体で再発防止の仕組みを整えることが重要です。正確な勤怠管理を実現し、担当者の業務負担を軽減するためにも、自社の運用に適した勤怠管理体制を構築しましょう。

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よくある質問

従業員から打刻し忘れの申告があった場合の対処法は?

従業員から打刻し忘れの申告があった場合は、まず勤務日時や理由、実際の労働時間を確認し、必要に応じて業務日報やPCのログイン履歴などで事実確認を行います。その後、社内ルールに従って勤怠データを修正・承認を進めましょう。

詳しくは、記事内「従業員の打刻し忘れへの対応フロー」をご確認ください。

打刻し忘れが発生した場合の給料への影響は?

打刻し忘れがあっても、実際に働いた時間が確認できれば、原則としてその分の給与は支払われます。ただし、打刻漏れを放置すると残業代が正しく計算されず、未払い賃金や給与計算ミスにつながる恐れがあるため注意が必要です。

詳しくは、記事内「打刻し忘れの給与への影響」をご覧ください。

打刻し忘れを防ぐための対策は?

打刻し忘れを防ぐには、打刻ルールの整備・周知に加え、打刻機の設置場所や動線の見直し、リマインダー・アラート機能の活用が効果的です。また、勤怠管理システムを導入することで、打刻漏れの防止と勤怠管理業務の効率化を図れます。

詳しくは、記事内「打刻し忘れを防ぐための具体的な対策」で解説しています。

参考文献

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