出退勤とは、従業員が業務を開始する出勤と、業務を終了する退勤の2つを合わせた概念です。
本記事では、出退勤の正しい意味や類語との違いをはじめ、具体的な管理方法、関連する法律の知識、そして自社に合ったシステム選びのポイントまでを網羅的に解説します。
目次
- 出退勤とは
- 出退勤と出社・退社・勤怠の違い
- 出退勤の管理で把握すべき項目一覧
- 出退勤管理の義務化の内容
- 労働時間の客観的な把握
- 時間外労働における上限規制
- 「始業10分前出勤」や「着替え時間」は労働時間になる?
- 出退勤における遅刻・欠勤・打刻忘れが起きたときの対処法
- 従業員がすべきこと
- 管理者がすべきこと
- 出退勤の主な4つの管理方法
- 1. 紙による手書きの出勤簿
- 2. ExcelやスプレッドシートによるPC管理
- 3. タイムカード
- 4. 勤怠管理システム(クラウド型)
- 自社に合った出退勤管理システムを選ぶポイント
- 1. 企業規模・雇用形態への対応
- 2. クラウド型とオンプレミス型の選択
- 3. 給与計算や他の労務システムとの連携
- 4. 打刻方法の多様性と自社への適合性
- 5. 導入後のサポート体制と長期的な運用コスト
- まとめ
- 勤怠管理をカンタンに行う方法
- よくある質問
出退勤とは
出退勤とは、従業員が業務を開始する出勤と、業務を終了する退勤の2つを合わせた概念です。「しゅったいきん」と読みます。この言葉は、業務を開始する出勤と、業務を終了する退勤の2つの言葉を組み合わせた用語です。ビジネスの現場では、労働者が職場に来てから業務を終えて帰るまでの一連の行動を指す言葉として広く定着しています。
よく使われる文脈としては、従業員が働き始めと終りの時刻を記録する「出退勤時間」や、企業がそれらの労働時間を把握し適切に処理する「出退勤管理」などが挙げられます。
出退勤と出社・退社・勤怠の違い
出退勤(出勤・退勤)と似た場面で使われる言葉に、「出社」「退社」「勤怠」があります。下表で、それぞれの言葉が持つ正確な意味を整理しました。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 出勤 | 業務を開始すること |
| 退勤 | 業務を終了すること |
| 出社 | 会社に到着すること |
| 退社 | 会社から離れること、または会社を辞めること |
| 勤怠 | 出勤と欠勤を合わせた概念、勤務状況全般 |
出社と退社は「会社の建物に出入りすること」を指すのに対し、出勤と退勤は「業務の開始と終了」を指すという明確な違いがあります。とくに退社という言葉は、その日の業務を終えて帰宅する意味に加えて、会社そのものを辞める(退職する)という意味も持ち合わせている点に注意が必要です。
また、勤怠は出勤と欠勤を組み合わせた言葉です。出勤と退勤のセットである出退勤とは根本的に異なる概念であり、労働時間や休日、休暇なども含めた労働状況全体を指す言葉として使い分けられます。
出退勤の管理で把握すべき項目一覧
出退勤の管理と聞くと、単に何時に来て何時に帰ったかという時刻だけを記録すればよいと考えられがちですが、実際には多岐にわたる項目を把握する必要があります。具体的には以下の項目を管理します。
- 労働時間・時間外労働(深夜労働や休日労働を含む)
- 出勤日数・欠勤日数
- 休憩時間
- 遅刻・早退の回数と時間
- 有給休暇の取得状況・残日数
- 雇用形態(正社員、パート、アルバイトなど)
これらの項目は毎月の正確な給与計算に直結するだけでなく、社会保険料の算定や扶養控除の管理など、企業が適正な労務管理を行うための重要な基礎データとなります。
出退勤管理の義務化の内容
企業には、従業員の労働時間を適正に把握する法的な義務が課せられています。万が一この義務に違反した場合は、労働基準監督署からの是正勧告や罰則の対象となる恐れがあるため、法律の内容を正しく理解しておかなければなりません。
労働時間の客観的な把握
2019年4月に施行された働き方改革関連法に伴い、労働安全衛生法が改正されました。これにより、長時間労働による健康被害を防ぐ目的で、すべての企業に対して労働時間の客観的な把握が義務付けられました。
労働安全衛生法第66条の8の3では、事業者は面接指導を実施するため、労働者の労働時間の状況を把握しなければならないと定められています。ここで重要なのは、タイムカードやパソコンのログイン記録などの客観的な方法で記録を残す必要があるという点です。
時間外労働における上限規制
労働基準法で規定されている法定労働時間は、「1日8時間、週40時間」が原則です。これを原則としつつ、36協定を締結した場合でも時間外労働には「月45時間、年360時間」などの上限規制が設けられています。
この上限を超えて従業員を働かせた場合、企業には罰則が科される可能性があります。法令違反を防ぐためには、日々の出退勤を正確に記録し、労働時間が上限に近づいていないかをリアルタイムで管理しなければなりません。
「始業10分前出勤」や「着替え時間」は労働時間になる?
なお、出退勤の管理においてよく疑問に上がるのが、始業前の準備時間です。結論からいうと、使用者の指示による早出や、業務に必要な着替え、朝礼の時間は、原則として労働時間に含まれます。
会社のルールとして参加や実施を義務付けている場合、それは「使用者の指揮命令下に置かれている時間」とみなされ、賃金の支払い義務が生じます。自主的な早出であれば労働時間にはなりませんが、業務上の必要性や強制力があるかどうかが判断の分かれ目となるのです。
出退勤における遅刻・欠勤・打刻忘れが起きたときの対処法
日々の出退勤において、遅刻や欠勤、打刻忘れといったイレギュラーは必ず発生します。これらのトラブルは放置すると大きな問題に発展しやすいため、従業員と管理者の双方が正しい対処法を理解しておくことが重要です。
従業員がすべきこと
従業員に求められるのは、予期せぬトラブルが起きた際の迅速かつ正確な報告です。連絡や申告が遅れると、業務の進行や周囲のメンバーに迷惑をかけるだけでなく、給与計算において自身が不利益を被るリスクも生じます。
ここでは、遅刻や欠勤をしてしまった場合と、打刻を忘れてしまった場合のそれぞれについて、従業員自身が取るべき基本的な行動を解説します。
遅刻・欠勤が発生した場合の対応
体調不良や交通機関の遅延などやむを得ない事情であっても、始業時間よりも前に速やかに上長や担当者へ連絡することが鉄則です。電話、メール、チャットなど、自社で定められた連絡手段と連絡先をあらかじめ把握しておきます。
無断欠勤や無断遅刻は、当日のシフト調整や業務分担に大きな乱れを生じさせ、周囲のメンバーに多大な迷惑をかけます。また、これらの規律違反を繰り返すと、就業規則にもとづく懲戒処分や減給のリスクにつながるため注意が必要です。
打刻を忘れてしまった場合の対応
タイムカードやシステムでの打刻を忘れてしまった場合は、気づいた時点で直ちに上長または人事担当者へ申告しましょう。
打刻忘れを放置すると労働時間が正確に記録されず、結果として自分自身の賃金未払いや過少支給といった不利益に直結します。「月末にまとめて申告すればいい」という自己判断は、証跡が残らず記憶も曖昧になるため、記録の信頼性を著しく下げる危険な行為です。
管理者がすべきこと
管理者には、イレギュラーが発生した際に適切に処理するためのルール整備と、従業員への段階的な対応が求められます。その場しのぎの属人的な判断を避け、客観的かつ公平な基準で労務管理を行うことがトラブルの深刻化を防ぐ鍵です。
ここでは、打刻データを修正する際の正しい運用ルールと、無断欠勤などが続く従業員に対する具体的な対応指針について解説します。
打刻修正・申告ベース運用のルール整備
管理者側は、従業員から打刻忘れや修正の申告を受けた際のフローをあらかじめ標準化しておく必要があります。修正を行う際は申告書やチャットの履歴、メールの記録など、なぜ修正したのかという証跡を必ず残す運用を設計します。
不正な労働時間の操作を防ぐため、口頭のみでの修正申告は認めないことや、承認者を複数設けるといった仕組みづくりが有効です。これらの修正ルールは就業規則や社内マニュアルに明文化し、従業員へ周知徹底することが推奨されます。
無断欠勤・連絡不備が続く場合の対応
たまたま起きた1回の連絡不備と、常習的な無断欠勤とでは、企業として取るべき対応レベルが異なります。
初回であれば口頭での注意と事実確認にとどめますが、繰り返される場合は書面による指導を行い、その記録を保存することが重要です。改善が見られず懲戒処分を検討する段階に入った際は、必ず就業規則の規定に則って慎重に手続きを進めます。また、一見すると勤務態度の不良に見えても、背後にメンタルヘルス不調などの問題を抱えている可能性もあるため、状況に応じた配慮あるヒアリングも欠かせません。
出退勤の主な4つの管理方法
出退勤の管理方法にはいくつか種類があり、それぞれに特徴やメリット、デメリットが存在します。
ここでは、代表的な4つの管理方法を紹介します。
1. 紙による手書きの出勤簿
従業員自身が紙の出勤簿に手書きで記入する、もっともシンプルな手法です。しかし、あくまで自己申告にもとづく記録であるため客観性が著しく低く、厚生労働省のガイドラインにおいても客観的な記録手段としては推奨されていません。
2. ExcelやスプレッドシートによるPC管理
中小企業などでよく用いられるのが、Excelやスプレッドシートの表計算ソフトを使った手法です。自社に合わせてフォーマットを自由にカスタマイズできる柔軟性はありますが、手作業による入力ミスやデータ改ざんのリスクがあり、月末の集計工数も膨大になります。こちらもガイドライン上は非推奨の扱いに近くなっています。
3. タイムカード
専用の機器に紙のカードを差し込んで時刻を印字する手法です。物理的な打刻による客観性の高さがメリットとなります。一方で、月末に印字された時刻をシステムへ手入力で転記する必要があり、集計作業や給与計算システムへの連携に多大な手間がかかります。
4. 勤怠管理システム(クラウド型)
現在もっとも推奨される手法が、クラウド型の勤怠管理システムの導入です。ICカードやスマートフォン、生体認証など、多様な打刻手段を選択できます。労働時間をリアルタイムで可視化でき、残業時間の超過を知らせるアラート機能で法令違反を未然に防ぎます。給与計算システムと自動連携できるため、業務効率を劇的に向上するのです。
自社に合った出退勤管理システムを選ぶポイント
出退勤管理システムの導入やリプレイスを検討している担当者に向けて、最適なシステムを選ぶためのチェックポイントを解説します。
1. 企業規模・雇用形態への対応
フレックスタイム制やシフト制など、自社で採用している多様な雇用形態に対応できるかの確認は不可欠です。企業によっては、雇用形態ごとに締め日や支払い日、休憩時間のルールが異なるケースも珍しくありません。
自社の複雑な就業規則を正しくシステムに反映できるかどうかに加え、将来的な人員増加や拠点拡大を見据えたシステムの拡張性が備わっているかも重要なチェックポイントです。
2. クラウド型とオンプレミス型の選択
インターネット経由で利用するクラウド型は、自社でサーバーを構築する必要がないため初期コストが低く抑えられます。また、頻繁に行われる法改正に伴うシステムのアップデートも提供元が自動で行うという大きなメリットがあります。導入までのスピードも早く、テレワークとの親和性も高いことから現在の主流となっています。
一方、オンプレミス型は自社サーバーで運用するため、独自の複雑な社内ルールに合わせた高度なカスタマイズが可能です。ただし、初期費用や保守運用コスト、自社でのセキュリティ対策の負担が大きくなる点を考慮して選択する必要があります。
3. 給与計算や他の労務システムとの連携
すでに社内で稼働している人事情報システムや給与計算ソフトと、スムーズにデータ連携ができるかを確認することは非常に重要です。システム間の連携が取れていない場合、勤怠データを一度CSVファイルなどで書き出し、手作業で加工して別のシステムに入力し直すという二度手間の作業が発生してしまいます。
手作業による人為的な入力ミスを防ぐことは、毎月の労務担当者の締め作業にかかる業務負担の大幅な削減につながります。そのため、APIによる自動連携や柔軟なデータ出力に対応しているシステムを選びましょう。
4. 打刻方法の多様性と自社への適合性
テレワークを中心とする働き方や、直行直帰が多い営業職、さらにはスマートフォンやパソコンを持ち込めない工場・店舗勤務など、従業員の勤務環境は多岐にわたります。そのため、それぞれの実際の働き方に合った適切な打刻手段が提供されているかをチェックすることが重要です。
たとえば、外回りが多い部署には不正打刻を防げるGPS連動のスマートフォン打刻、複数人が出入りする店舗にはICカードを使ったタッチ打刻、高い機密性が求められるエリアには顔認証や指紋認証といった方法が挙げられます。このように、複数の打刻方法を組み合わせて運用できるシステムであれば、従業員の負担なく正確な出退勤記録が実現します。
5. 導入後のサポート体制と長期的な運用コスト
勤怠管理システムは導入して終わりではなく、毎日の確実な運用が求められます。そのため、トラブルや不明点が発生した際の問い合わせ対応窓口が充実しているか、初期設定を支援してくれる導入サポートがあるかを確認します。
また、管理者や従業員向けのマニュアルがわかりやすく整備されているかも円滑な定着に欠かせません。費用面については初期費用だけでなく、利用人数に応じた月額のID課金など、従業員の増減を含めて長期的に利用した場合の運用コストを検討しましょう。
まとめ
出退勤という言葉は出勤と退勤を合わせたものであり、出社や退社、勤怠といった類語との違いを正確に把握することが適切な管理の第一歩です。現在、労働安全衛生法や労働基準法によって、すべての企業に対し客観的な方法による労働時間の把握が法的に義務付けられています。
管理の手法としては、出勤簿やExcel・スプレッドシートからタイムカード、そしてクラウド型の勤怠管理システムへと移行するにつれて、記録の精度と業務効率が飛躍的に高まります。
出退勤管理システムの導入にあたっては、自社の企業規模や雇用形態、既存システムとのデータ連携のしやすさを軸に検討を進めるのが効果的です。法令を遵守し、給与計算を正確に行うための適切な出退勤管理は、企業のリスクを軽減するだけでなく、従業員が安心して働ける環境づくりに直結します。
勤怠管理をカンタンに行う方法
従業員の打刻情報の収集、勤怠情報の確認、休暇管理に毎日膨大な時間を割いていませんか?
こうした手続きは勤怠管理システム「freee勤怠管理」を使うことで、効率良く行えます。
freee勤怠管理は打刻、勤怠収集、勤怠・休暇管理を一つのサービスで管理可能
勤怠打刻はタイムカードやエクセルを利用し従業員に打刻作業を実施してもらったのちにエクセルなどに勤怠情報をまとめ勤怠・休暇管理を行なっていませんか?
勤怠管理システム「freee勤怠管理」では、従業員に行なってもらった勤怠打刻情報を全て自動で収集し勤怠情報の一覧をリアルタイムで作成します。
そこから勤怠情報の確認・修正が行える他に休暇管理も同時に実施することができます。
さらにそこからワンクリックで給与計算・給与明細発行を実施することができるので、労務管理にかける時間を劇的に削減することが可能です。
気になった方は是非勤怠管理システム「勤怠管理」をお試しください。
よくある質問
出退勤と勤怠の違いは?
出退勤は、業務を開始する出勤と終了する退勤のみを指す言葉です。一方で勤怠は、出勤と欠勤を合わせた言葉であり、出退勤の時間だけでなく、休日や休暇を含めた勤務状況全般を指す広い概念です。
詳しくは、記事内の「出退勤と出社・退社・勤怠の違い」をご覧ください。
出退勤管理を法律で義務付けられているのはどんな会社?
業種や企業規模を問わず、従業員を雇用しているすべての企業が対象です。2019年に施行された働き方改革関連法による、労働安全衛生法の改正に伴い、従業員の労働時間を客観的な方法で把握することが例外なく事業者に義務付けられています。
詳しくは、記事内の「労働時間の客観的な把握」で解説しています。
出退勤管理にExcelを使うのは問題がある?
法律で明確に禁止されているわけではありませんが、厚生労働省のガイドラインが求める客観的な記録方法としては推奨されていません。自己申告による手入力となるため、時間の改ざんリスクや意図しない集計ミスが発生しやすくなります。企業のリスク管理の観点からは、より精度の高いシステムへの移行が望ましいといえます。
詳しくは、記事内の「2. ExcelやスプレッドシートによるPC管理」をご覧ください。
参考文献
▶︎ e-Gov法令検索「労働安全衛生法第六十六条の八の三」
▶︎ 厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」


