人事管理の基礎知識

働き方改革とは?目的や取り組み、具体的な対策などをわかりやすく解説

働き方改革とは?目的や取り組み、具体的な対策などをわかりやすく解説

働き方改革とは、少子高齢化による労働力不足、多様化するライフスタイル、そしてIT技術の進化といった背景を受け、日本の労働環境を根本から見直そうという大きな動きです。決して、単に残業を減らすことだけを指す言葉ではありません。

現代の日本において、働き方改革は企業経営の最重要課題の一つとなっています。

本記事では、働き方改革の定義や背景、法改正の内容から、企業が取り組むべき具体的な対策、活用できる助成金までを網羅的に解説します。

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働き方改革とは

働き方改革とは、働く人々が個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自ら選択できるようにするための改革のことです。

日本経済は長らく、長時間労働を前提とした働き方や、正規・非正規雇用間の格差といった構造的な課題を抱えてきました。これを打破し、投資やイノベーションを促進して生産性を向上させ、働く人の意欲を高めることが働き方改革の本質です。

働き方改革の背景

これほどまでに働き方改革が叫ばれている背景には、以下のとおり日本が直面している深刻な社会問題があります。

少子高齢化に伴う労働力人口の減少

日本の人口は減少が続き、とくに15歳から64歳の生産年齢人口は急激に減っています。このままでは多くの企業で人手不足が深刻化し、事業の継続が困難になります。そのため、女性や高齢者、外国人労働者など、これまで十分に活躍できていなかった層が働ける環境を整えることが急務となりました。

長時間労働の常態化と健康被害

日本は諸外国と比較しても労働時間が長いことで知られてきました。これが過労死やメンタルヘルス不調の原因となり、社会的な問題となっています。心身ともに健康に働ける環境を整備しなければ、人材の定着は見込めません。

労働生産性の低さ

主要先進国のなかで、日本の労働生産性は低い水準にあります。長時間働いて成果を出すという旧来のスタイルは限界を迎えており、限られた時間で高い価値を生み出す仕組みづくりが必要とされています。

働き方改革の目的

働き方改革の目的は、単なる労働時間の削減に留まりません。以下のとおり、その目的は日本が抱える構造的な社会課題を解決し、企業と労働者の双方が持続可能な成長を実現することにあります。

労働力の確保:少子高齢化への対応

日本は世界でも類を見ないスピードで少子高齢化が進んでおり、生産年齢人口の急激な減少が企業の存続を脅かしています。

働き方改革の最大の目的の一つは、育児や介護、あるいは病気の治療といった制約を持つ人々が、仕事を諦めずに済む環境を整えることです。短時間勤務やテレワークの普及により、これまで労働市場から離れざるを得なかった潜在的な労働力を掘り起こし、多様な人材が活躍できる社会をつくることで、国全体の労働力を維持・確保することを目指しています。

格差の是正:同一労働同一賃金の実現

正規雇用と非正規雇用の間にある、不合理な待遇差を解消することも、働き方改革の重要な目的です。

これまでの日本では、仕事内容が同じであっても、雇用形態の違いだけで賃金や福利厚生に大きな差が生じることが少なくありませんでした。この格差を是正する「同一労働同一賃金」の徹底により、非正規労働者のモチベーション向上や生活の安定を図ります。

誰もが自分の働きに見合った正当な評価と報酬を得られる仕組みを構築することで、労働者全体の意欲を高め、社会の活力を生み出すことを狙いとしています。

生産性の向上:効率的な働き方への転換

日本企業の多くは、主要先進国と比較して労働生産性が低いという課題を抱えています。長時間働くことを美徳とする旧来の評価指標から脱却し、限られた時間でいかに付加価値を生み出すかという、質の向上へ転換することが欠かせません。

具体的にはITツールの導入による業務効率化や、無駄な慣習の見直しを通じて、短い時間で最大の成果を上げる体質へと改善します。これにより、従業員のワークライフバランスを向上させつつ、企業の競争力を高め、経済全体の好循環を生み出すことが最終的なゴールとなります。

働き方改革の具体的な取り組み

働き方改革を法的に後押しするために施行されたのが、働き方改革関連法(正式名称:働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律)です。2019年4月から順次施行されており、労働基準法や労働安全衛生法、パートタイム・有期雇用労働法など、合計8つの法律が改正されました。

働き方改革関連法の施行により、企業には具体的な制度設計と運用が求められています。ここでは、法的に義務化された項目や新設された制度について詳しく解説します。

残業時間の上限規制

これまで残業時間の上限は、実質的に青天井になり得る仕組みでしたが、改正により法律で厳格に定められました。原則として月45時間、年360時間が上限となり、特別な事情がある場合でも年720時間、単月では休日労働を含み100時間未満といった制限を遵守しなければなりません。

これに違反した企業には罰則(懲役または罰金)が科される可能性があるため、企業はこれまで以上に徹底した時間管理と業務効率化が求められています。

勤務間インターバル制度の導入

勤務間インターバル制度とは、終業時刻から翌日の始業時刻までに、一定時間以上の休息時間(インターバル)を確保する仕組みです。たとえば11時間のインターバルを設定した場合、深夜24時まで働いた従業員は、翌朝11時まで業務を開始してはいけないことになります。

現在は努力義務とされていますが、過労死防止や従業員の健康確保に直結する重要な施策として2026年以降の義務化が検討されており、助成金の対象にもなっています。

年5日以上の有給休暇取得義務

すべての企業において、年10日以上の年次有給休暇が付与される従業員に対し、毎年最低5日は時季を指定して取得させることが義務付けられました。これは正社員だけでなく、条件を満たすパートやアルバイトも対象です。

「上司や同僚に遠慮して有給を申請しづらい」という日本特有の労働文化を打破し、確実にリフレッシュできる環境をつくることを目的としています。取得させなかった場合には、対象労働者1人につき最大30万円の罰金が科される可能性があります。

時間外労働の割増賃金率の引き上げ

これまで中小企業には猶予されていた「月60時間を超える残業代の割増賃金率」が、2023年4月から一律50%以上に引き上げられました(従来は25%)。これにより、長時間労働を発生させることは企業にとって大きなコスト増に直結するようになっています。

この改正の狙いは、コスト負担を重くすることで、企業側に「残業をさせるよりも、業務を効率化したり、新たな人員を雇用したりするほうが合理的」と思わせる点にあります。

労働時間の客観的な把握を義務化

健康管理の観点から、管理監督者や裁量労働制で働く人を含めたすべての労働者の「労働時間の客観的な把握」が義務化されました。

これまでは自己申告制でも認められるケースがありましたが、現在はタイムカードの記録、パソコンのログ、入退室記録など、客観的な記録によって時間を管理しなければなりません。長時間働いている従業員を早期に発見し、産業医による面接指導など、健康被害を未然に防ぐための措置を講じることが目的です。

フレックスタイム制の拡充

働き方の柔軟性を高めるため、フレックスタイム制の清算期間の上限が1ヶ月から3ヶ月に延長されました。これにより、たとえば「6月は繁忙期なので多めに働き、その分7月を短縮して夏休みを長く取る」といった、月をまたいだ労働時間の調整が可能になります。

子育てや介護、自己研鑽など、従業員のプライベートの予定に合わせて働く時間をよりダイナミックにコントロールできるため、ワークライフバランスの向上に大きく寄与します。

高度プロフェッショナル制度の新設

高度な専門知識を持ち、一定以上の年収(1,075万円以上)がある労働者を対象に、労働時間や休日、深夜の割増賃金に関する規定を適用除外とする制度です。

いわゆる時間ではなく成果で評価される働き方を認めるものですが、一方で健康を損なわないよう、年間104日以上の休日確保や健康管理時間の把握が厳格に義務付けられています。主にコンサルタント、研究開発、金融商品のディーラーなどの専門職が対象となります。

産業医・産業保健機能の強化

従業員の健康管理をより確実に実行するため、産業医の権限が強化されました。企業は、長時間労働者やメンタルヘルスに不安を抱える従業員の情報を産業医へ適切に提供する義務があります。

また、産業医が従業員の健康を守るために勧告を行った際、事業主はその内容を尊重しなければなりません。加えて、産業医の活動内容を従業員に周知する仕組みも求められており、職場全体で健康リスクを管理する体制を整えることが重要です。

雇用格差の解消(同一労働同一賃金)

「同一労働同一賃金」の導入により、正社員と非正規雇用(パート・有期雇用・派遣)の間で、不合理な待遇差を設けることが禁止されました。基本給だけでなく、賞与、諸手当、福利厚生に至るまで、職務内容や責任の範囲が同じであれば、同一の待遇を提供しなければなりません。

不合理な差がある場合、従業員は会社に対してその理由を説明するよう求める権利があり、企業には丁寧な説明責任を果たすことが義務付けられています。

行政ADR(裁判外紛争解決手続)の規定の整備

働き方改革関連法では、同一労働同一賃金などのルールに関してトラブルが生じた際、裁判をせずに解決を目指す行政ADRの整備も進められました。これは、都道府県労働局が間に入り、無料・非公開で調停などの紛争解決を支援する仕組みです。

労働者にとっては裁判よりも低コストでスピーディに解決できるメリットがあり、企業にとっても長期的な訴訟リスクを避ける手段となります。この制度の充実により、不当な格差の是正がより実効性を持つようになりました。

働き方改革における企業の課題と解決策

働き方改革は、単に残業を減らせばよいという単純なものではありません。制度を導入し、法を遵守しようとするなかで、多くの企業が共通して直面する壁が存在します。

以下のような課題を正しく認識し、解決策を模索することが、改革を成功させる鍵となります。

労働時間の短縮による生産能力の低下

多くの企業が抱える代表的な課題は、労働時間を減らすことで、全体の業務量(アウトプット)が落ちてしまうという懸念です。残業を禁止するだけではやり残した仕事が溜まったり、サービス品質が低下したりする恐れがあります。

これを防ぐためには、従来の「時間をかけて成果を出す」から「効率的に成果を出す」というマインドセットへの抜本的な転換が必要です。時間を制限するだけではなく、業務プロセスの断捨離やITツールの活用をセットで行わなければ、現場が疲弊するだけの結果に終わってしまうため注意しましょう。

管理職の負担増とマネジメントの難化

現場の残業を減らそうとするあまり、しわ寄せが管理職に集中するケースが散見されます。部下の仕事が終わらない分を上司が肩代わりする、いわゆる逆転現象です。

また、テレワークの導入により部下の働いている様子が直接見えなくなったことで、評価や進捗管理の難易度が高まっています。従来のように目の前で頑張っている姿を評価する手法が通用しなくなり、明確な目標設定と成果に基づく、新しいマネジメント能力が管理職に求められています。

従業員間の不公平感とコミュニケーション不足

働き方改革で多様な働き方を認めると、職種や部署によって「テレワークができる人」と「現場に出なければならない人」の差が生じ、不公平感を生むことがあります。また、時短勤務や休暇取得が進むことで、チーム内での情報共有が疎かになり、コミュニケーション不足からくるミスや孤立化を招くリスクもあります。

これらの課題を解決するには、ルールの公平性を担保するのはもちろん、ビジネスチャットやクラウド型の情報共有ツールを活用し、物理的な距離があってもチームとしての連動性を維持できる仕組みづくりが不可欠です。

人事評価制度の見直しとコスト増

「同一労働同一賃金」への対応に伴い、基本給や手当の体系をゼロから見直す必要が出てきます。これは、非正規雇用者の待遇改善による人件費の増大を意味するため、経営を圧迫する要因になりかねません。

しかし、これを「コスト」と捉えるのではなく、貢献度に見合った納得感のある評価制度へ刷新することで、優秀な人材の離職を防ぐ「投資」と捉える必要があるでしょう。財務面での負担を軽減するために助成金の活用や、生産性向上による利益率の改善を並行して進めることが、企業に課せられた役割です。

働き方改革推進支援助成金とは

働き方改革に取り組む中小企業を支援するために、国はさまざまな助成金を用意しています。その代表格が「働き方改革推進支援助成金」です。

働き方改革推進支援助成金は、生産性を高めながら労働時間の短縮や休暇取得の促進に取り組む企業に対し、その費用の一部を補填するものです。主なコースには、以下のようなものがあります。


コース名概要
労働時間短縮・年休促進支援コース生産性を向上させ、時間外労働の削減や有給休暇の取得促進を図る取り組み(設備投資や外部コンサルティングなど)を支援します
勤務間インターバル導入コース新たに勤務間インターバル制度を導入する、あるいは既存の制度を強化する企業を支援します

助成金を活用することで新しいシステムの導入やオフィス環境の整備、専門家への相談費用などの負担を大幅に軽減できるため、積極的に活用を検討するとよいでしょう。

まとめ

働き方改革は、単なる法的義務への対応ではありません。変化の激しい現代において、企業が生き残り、持続的に成長するための戦略です。

長時間労働を改善し、格差をなくし、多様な働き方を認めることで、従業員のエンゲージメントは向上します。それが生産性の向上につながり、最終的には企業の利益として還元されるでしょう。また、働きやすい会社というブランドは、深刻な人手不足の中での採用競争力においても強力な武器となります。

まずは自社の現状を正しく把握し、できることから一歩ずつ取り組んでいきましょう。

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よくある質問

働き方改革とは具体的に何を指す?

働き方改革とは、働く人々が、個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を自分で選択できるようにするための社会・経済構造の変革です。残業を減らすだけでなく、労働生産性の向上や、誰もが能力を発揮できる職場環境の構築を目指す一連の取り組みを指します。

詳しくは、記事内「働き方改革とは」をご覧ください。

働き方改革の3つの柱は?

「長時間労働の是正」「雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保」「柔軟な働き方の実現」の3つです。これらを軸に、法改正や企業の意識改革を通じて、仕事と生活の調和が取れた社会の実現を目指しています。

具体的な取り組みは、記事内「働き方改革の具体的な取り組み」で解説しています。

働き方改革によって労働時間はどう規制されている?

原則として「月45時間・年360時間」が上限となりました。特別な事情がある場合でも、年720時間、複数月平均80時間(休日労働含む)、単月100時間未満を遵守する必要があります。これに違反すると罰則が科される可能性があり、厳格な管理が義務付けられています。

詳しくは、記事内「残業時間の上限規制」で解説しています。

参考文献

freee福利厚生

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