オークションの税金はいくらから?課税されるケース・所得区分・確定申告の流れを解説
目次
オークションの収入は、不用品の売却であれば原則として税金がかかりませんが、高額品の売却や営利目的の転売では課税の対象になります。
課税されるかどうかは、何を・どのような目的で・いくらで売ったかという3つの要素で所得の区分が変わり、判定が分かれる仕組みです。申告すべき所得を放置すれば、税務署に取引を把握されたうえで加算税などのペナルティを受けることになりかねません。
本記事では、課税されるケースの見分け方、所得区分ごとの税金の計算方法、立場別に確定申告が必要になる基準と手続き、そして無申告のリスクまでを解説します。
オークションの収入に税金はかかる?
オークションの収入に税金がかかるかどうかは、売ったものが日常的に使う生活用品か、それとも高額品や営利目的の商品かで左右される仕組みです。同じオークションでの売却でも、不用品の処分と転売とでは扱いが大きく異なります。
原則として生活用品の売却は非課税
家具・じゅう器・通勤用の自動車・衣服など、生活に通常必要な動産を売って得た所得は譲渡所得の対象から外れ、課税されません。着なくなった服や使わなくなった家電をオークションで手放す行為がこれにあたります。
非課税の根拠は、生活用動産の譲渡が譲渡所得の課税対象から除かれている点にあります。日常生活で使っていた物を処分する行為は、利益を得るための取引ではないと位置づけられているためです。
注意したいのは自動車の扱いです。通勤や通学に使う自動車は生活に通常必要な動産として非課税となりますが、レジャー専用の車や事業に使う車は生活用動産には含まれず、扱いが変わります。
出典:国税庁「No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法」
高額品の売却と営利目的の転売は課税対象
非課税はあくまで原則であり、例外として課税されるのが高額品の売却と営利目的の転売です。生活用品を処分する範囲を超えると、その所得は課税の対象になります。
オークションで税金がかかるケース
- 1個または1組の価額が30万円を超える貴金属・宝石・美術品などの売却
- 安く仕入れて高く売る営利目的で継続的に行う転売
高額品の売却は、生活用品であっても非課税の例外として譲渡所得の対象です。また、仕入れた商品を反復して売る転売は生活用品の処分にあたらず、その規模に応じて雑所得または事業所得として課税されます。
オークション収入の所得区分
課税される場合、その利益は売ったものの内容や売り方に応じて譲渡所得・雑所得・事業所得のいずれかに区分されます。どの区分に当てはまるかで計算方法と税負担が変わるため、区分の判定が出発点になります。
30万円を超える貴金属・宝石・美術品などは譲渡所得
1個または1組の価額が30万円を超える貴金属・宝石・書画・骨とう等の売却益は、生活用動産の非課税から除かれ、譲渡所得として総合課税の対象になります。生活で使っていた品であっても、この金額を超える高額品はこの区分に入ります。
判定の単位が1個または1組である点に注意が必要です。たとえば一組の食器セットや対の置物は、合計額で30万円を超えるかどうかを見ます。総合課税のため、給与など他の所得と合算した金額に税率がかかります。
営利目的の継続的な転売は雑所得または事業所得
安く仕入れて高く売る目的で継続的に出品する転売は、生活用品の処分ではなく、雑所得または事業所得として課税されます。ネットオークションを利用した個人取引による所得は、一般的には雑所得に該当する扱いです。
雑所得か事業所得かは、取引の規模・継続性・営利性などから判断します。片手間の小規模な転売は雑所得、独立した事業として反復継続するものは事業所得に区分される傾向があります。なお、中古品を仕入れて繰り返し転売する場合は、古物営業法上の古物商の許可が必要になることもある点に留意が必要です。
出典:国税庁「No.1906 給与所得者がネットオークション等により副収入を得た場合」
オークションの税金の計算方法
課税される場合の税額は、所得区分ごとに計算方法が異なります。30万円を超える高額品の売却による譲渡所得と、転売による雑所得・事業所得とでは、控除の仕組みが違うため分けて確認する必要があります。
譲渡所得の計算方法
総合課税の譲渡所得は「譲渡価額 −(取得費+譲渡費用)− 特別控除50万円」で計算します。特別控除の50万円は、その年の短期と長期の譲渡益の合計額に対する限度で、譲渡益が50万円以下のときはその金額までしか控除できません。
所有期間が5年を超える長期譲渡所得は、特別控除後の金額の2分の1が総合課税の対象です。
30万円を超える品を売却した場合の譲渡所得の計算例
- 譲渡価額(売却額)80万円
- 取得費(購入額)20万円
- 特別控除50万円
このケースでは、80万円 − 20万円 − 50万円 = 10万円が譲渡所得になります。所有期間が5年を超える長期であれば、さらにその2分の1の5万円が総合課税の対象です。
出典:国税庁「No.3152 譲渡所得の計算のしかた(総合課税)」
雑所得・事業所得の計算方法
転売による雑所得・事業所得は「総収入金額 − 必要経費」で計算します。売上から仕入代金や送料・手数料などを差し引いた利益が課税対象となり、総合課税として他の所得と合算したうえで税率を掛けて所得税を求めます。
年間100万円を売り上げた転売の所得と税額の試算
- 売上100万円
- 仕入・送料・手数料などの必要経費40万円
- 差引いた所得60万円
この場合、課税の対象となる所得は60万円です。実際の所得税額は、ここから基礎控除などの所得控除を差し引いた課税所得に税率を掛けて求めるため、他の所得や控除額によって変わります。
所得税は課税所得が大きいほど税率が上がる累進課税であり、上の60万円という数字はあくまで税額計算の出発点です。
経費にできるもの
転売で必要経費にできるのは、収入を得るために直接かかった支出です。商品の仕入代金や梱包・発送の費用、オークションの利用手数料などが該当します。
オークションの転売で経費にできるものの例
- 商品の仕入代金
- 梱包材・発送にかかる送料
- オークションサイトの利用手数料・出品手数料
- 取引に使う通信費
仕入代金には注意点があります。売れ残った在庫の仕入代金はその年の経費にはできず、棚卸資産として翌年以降に繰り越し、売れた年の経費とする点です。
自宅の電気代や通信費を私用と兼ねて使っている場合は、家事按分により事業で使った割合分だけが経費の対象です。
オークションの確定申告が必要になる基準
課税対象の所得があっても、一定額までは確定申告が不要になる場合があります。その基準は立場によって異なり、会社員と給与のない人とで判断のしかたが変わります。なお、非課税となる生活用動産の売却額は、ここでいう所得の計算には含めない点に注意が必要です。
会社員は給与以外の所得が20万円を超えたら申告
1ヶ所から給与を受けて年末調整を受けている会社員は、オークションの所得を含む給与以外の所得の合計が20万円を超える場合に確定申告が必要となる場合があります。。20万円以下であれば、所得税の確定申告は不要となります。
この20万円は売上ではなく、必要経費を差し引いた後の所得です。たとえば転売の売上が30万円でも、仕入や手数料を差し引いた所得が20万円以下なら、所得税の確定申告は不要になります。
メルカリなど他のサービスでの売却を含めた申告基準について詳しくは「メルカリの売上金はいくらから確定申告が必要?具体的なケースや注意点を解説」を参照してください。
給与のない人は所得が基礎控除額を超えたら申告
給与所得がない専業の出品者などは、所得の合計が基礎控除額を超えると確定申告と納税が必要となる場合があります。給与のない人の申告ラインは、誰にでも適用される基礎控除の額に連動するためです。
基礎控除額は税制改正で引き上げられており、令和7年分以後は合計所得金額が132万円以下の場合に95万円となります。改正前の48万円から引き上げられているため、申告が必要かどうかは古い金額ではなく、最新の基礎控除額で判断します。
主婦・学生も所得が基礎控除額を超えたら申告
パートやアルバイトの給与がない主婦や学生も、給与のない人と同じく、所得が基礎控除額を超えれば確定申告が必要となる場合があります。判定の考え方は専業の出品者と変わりません。
配偶者や親の扶養に入っている場合は、別の注意点があります。所得が増えると配偶者控除や扶養控除の対象から外れ、世帯全体の税負担が増えることがある点です。自分の納税義務だけでなく、扶養している側の控除への影響もあわせて確認しておくとよいでしょう。
所得税の申告が不要でも住民税の申告は必要
給与以外の所得が20万円以下で所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税は別の扱いになります。20万円以下なら申告不要という基準は所得税のものであり、住民税にはこの基準がないためです。
そのため、所得税の確定申告をしない人でも、課税対象の所得があれば原則として市区町村への住民税の申告が必要になります。具体的な手続きは自治体によって異なるため、お住まいの市区町村への確認が必要です。
出典:国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」
オークションの確定申告の流れ
課税対象の所得があり申告が必要な場合は、年間の取引を集計してから申告書を作成し、期限内に提出して納税します。慌てずに準備するため、全体の流れを順に押さえておくとよいでしょう。
オークションの確定申告の流れ
- 1年分の売上と経費を集計する
- 所得区分を確定し、所得金額を計算する
- 確定申告書を作成する
- 申告期限内に提出し、納税する
最初に1年間の取引履歴をもとに売上と経費を集計します。次に、その所得が譲渡所得か雑所得・事業所得かを確定して所得金額を計算し、確定申告書に記入します。提出期限は原則として翌年の3月15日で、この期限までに申告書を提出して納税まで済ませる流れです。
確定申告の具体的な手順について詳しくは「確定申告のやり方をわかりやすく解説! 個人事業主や会社員が自分でやるには?」を参照してください。
オークションの収入を申告しないとどうなるか
課税対象の所得を申告しないと、税務署に取引を把握されたうえでペナルティの対象になります。オークションだから把握されないということはなく、無申告が判明すれば本来の税額に加えて加算税などが課される点に注意が必要です。
税務署は電子商取引を専門に調べる体制をもち、オークションサイトの運営事業者への調査や各種の資料情報をもとに、個人の取引を把握しています。無申告のまま売買を続けても、後から把握されれば過去にさかのぼって追徴される点に注意が必要です。
申告しなかった場合に課される税
- 無申告加算税
- 延滞税
- 仮装隠蔽があった場合の重加算税
無申告加算税は、税務調査の通知を受ける前に自主的に期限後申告をすれば5パーセントに軽減されますが、調査で指摘された後は納める税額に応じて15パーセントから30パーセントが課されます。
さらに、納付が遅れた期間に応じた延滞税も加算される点に注意が必要です。申告漏れに気づいた場合は、調査を受ける前に自主的に申告するほうが負担を抑えられます。
まとめ
オークションの収入は、生活用品の売却なら原則非課税ですが、1個または1組が30万円を超える高額品の売却や営利目的の転売は課税対象になります。課税される場合は譲渡所得・雑所得・事業所得のいずれかに区分され、区分ごとに計算方法が異なります。
申告が必要かどうかの目安は立場によって異なる点に注意が必要です。会社員は給与以外の所得が20万円を超えたら、給与のない人や主婦・学生は所得が基礎控除額を超えたら申告が必要となる場合があるため、非課税となる生活用動産の売却額を所得に含めない点も押さえておくとよいでしょう。
無申告は税務署に把握され、加算税や延滞税の対象になります。年間の取引を集計し、所得区分を正しく判断して期限内に申告することが基本です。判断に迷う場合は税理士などの専門家に相談すると安心です。「freee会計」のようなクラウド会計ソフトを使えば、取引の集計から所得金額の計算、確定申告書の作成までを一貫して進められます。
よくある質問
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オークションで不用品を売った利益に税金はかかりますか?
家具や衣服など生活に通常必要な動産の売却は、原則として非課税です。ただし、1個または1組の価額が30万円を超える貴金属・宝石・美術品などの売却は、生活用品であっても課税対象になります。
詳しくは「原則として生活用品の売却は非課税」で解説しています。
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オークションの収入はいくらから確定申告が必要ですか?
会社員は給与以外の所得の合計が20万円を超えたら確定申告が必要となる場合があります。給与のない人や主婦・学生は、所得が基礎控除額を超えたら申告が必要になります。いずれも売上ではなく、経費を差し引いた後の所得で判断する点は共通です。
詳しくは「オークションの確定申告はいくらから必要か」で解説しています。
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オークションの収入を申告しないと税務署にバレますか?
税務署は運営事業者への調査や資料情報をもとに個人の取引を把握しており、無申告が判明すれば過去にさかのぼって課税されます。申告漏れには無申告加算税や延滞税が課される点に注意が必要です。
詳しくは「オークションの収入を申告しないとどうなるか」で解説しています。
監修

好川 寛
元国税調査官。国税局では税務相談室・不服審判所等で審理事務を中心に担当。その後、大手YouTuber事務所のトップクリエイターの税務支援、IT企業で税務ソフトウェアの開発に携わる異色の税理士です。