医療費控除のやり方は?確定申告の必要書類・書き方といくら戻るかを解説

更新日:2026/10/27

監修:好川 寛
監修:大柴 良史

目次

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医療費控除を受けるためには、会社員やアルバイト・パートなど勤務先で年末調整を受けている人も、確定申告が必要です。

具体的には、1年間に支払った医療費を医療費控除の明細書にまとめ、算出した控除額を確定申告書に転記して提出します。

本記事では、医療費控除を受けるために必要な書類の書き方や確定申告の手順を解説するとともに、医療費控除でいくら戻るのかについて、例題を用いた計算例や申告時の主な注意点も紹介します。

【医療費控除や確定申告の仕組みや概要を知りたい方向け】

医療費控除は年末調整でできる?

医療費控除は、年末調整では適用を受けられません。医療費控除の額は、その年の1月1日〜12月31日に支払った医療費をもとに算出します。

年末調整で申告できる所得控除は、扶養控除や生命保険料控除など一部に限られます。そのため、会社員やアルバイト・パートなど勤務先で年末調整を受けている人も、医療費控除を受けるためには確定申告が必要です。

医療費控除はいくらから対象?

医療費控除は、1年間に支払った医療費から保険金などで補てんされる金額を差し引き、残った金額が10万円を超える場合に受けられる所得控除です。総所得金額等が200万円未満の場合は、10万円ではなく総所得金額等の5%を基準に計算します。

なお、医療費控除の対象となる医療費は、以下の要件を満たしているものに限ります。

医療費控除の対象となる医療費(以下要件を満たすもの)

  • 納税者本人または納税者と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費であること
  • その年の1月1日〜12月31日までの間に支払った医療費であること(未払いの医療費は支払った年の医療費控除の対象)

医療費控除は納税者本人だけでなく、納税者と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費も対象です。「生計を一にする」は必ずしも同居を意味せず、同居していない親族でも、常に生活費・学資金・療養費などの送金が行われている場合などは該当します。

医療費控除の対象となる費用

医療費控除の対象となるのは、医師・歯科医師による診療や治療の対価、治療・療養に必要な医薬品の購入費などです。保険適用外の費用でも、要件を満たすものは対象となります。

医療費控除の対象となる費用の例を一覧でまとめました。

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カテゴリ 医療費控除の対象となる費用例
通院・入院 ・病院での診療費/治療費/入院費
・入院時の部屋代/食事代(自己都合による差額ベッド代や外食・出前などは除く)
・通院にかかった交通費
・治療のためのリハビリ/マッサージ費用
・医師等の送迎費用
・介護保険等の一定の施設・居宅サービスの自己負担額
医薬品・医療器具 ・医師の処方箋をもとに購入した医薬品の費用
・治療に直接必要な医療器具の購入費用(松葉杖・コルセット・補聴器など)
歯科治療 ・歯の治療費(保険適用外の費用を含む)
・治療を目的とした歯列矯正費用
眼科治療 ・レーシック治療(視力回復レーザー手術)費用
・オルソケラトロジー治療(角膜矯正療法)費用
・医師による治療に直接必要な眼鏡の購入費用
妊娠・出産 ・妊娠と診断されてからの定期検診や検査、通院にかかる費用
・病院に支払う入院中の食事代
・不妊治療費用

出典:国税庁「No.1122 医療費控除の対象となる医療費」

通院にかかった交通費も医療費控除の対象ですが、基本的に電車やバスなどの公共交通機関を利用した場合の費用を指します。

急を要する場合や、電車やバスなどの公共交通機関を利用できない場合を除き、タクシー代は対象外です。また、自家用車のガソリン代や駐車場代も含まれません。

医療費控除の対象とならない費用

医療費控除の対象となるのは治療を目的とした通院・入院にかかる費用であるため、美容目的や健康増進目的の費用は医療費控除の対象とはなりません。

また、健康診断や人間ドックも治療を行うものではないため、原則として医療費控除の対象外です。

ただし、健康診断や人間ドックによって重大な疾病が発見され、引き続きその疾病の治療を行った場合は、治療に先立って行われる診察と同様に考えられるため、これらにかかった費用も医療費控除の対象となります。

医療費控除でいくら戻ってくる?計算手順を解説

医療費控除額は以下の順番で算出します。なお、医療費控除の上限は200万円です。

医療費控除の計算方法

  • ①1月1日〜12月31日に支払った医療費の合計額を算出する
  • ②①から保険金などで補てんされる金額を差し引く
  • ③②から10万円(総所得金額等が200万円未満の場合は総所得金額等 × 5%)を差し引く

②の保険金などで補てんされる金額とは、生命保険で支給される入院費給付金や、健康保険で支給される高額療養費・家族療養費・出産育児一時金などを指します。保険金などで補てんされる金額は、その給付の対象となった医療費を限度として差し引きます。

ただし、算出した医療費控除額がそのまま戻ってくるわけではありません。実際に還付される所得税の目安は「医療費控除額 × 所得税率」で求められます。たとえば、医療費控除額が5万円で所得税率10%の人の場合、戻ってくる金額は約5,000円です。

医療費控除額の計算例【例題あり】

医療費控除は、総所得金額等が200万円以上か200万円未満かによって、控除額を計算する際に差し引く金額が異なります。

以下では、それぞれの場合の医療費控除額について、例題を用いて計算します。

総所得金額等が200万円以上の医療費控除の計算例

【概要】
・総所得金額等:300万円
・1年間に支払った医療費:25万円
・補てんされた金額:10万円(入院費給付金)
【計算式】
1年間に支払った医療費の合計 - 保険金などで補てんされる金額 - 10万円 = 医療費控除額
▶︎ 250,000 - 100,000 - 100,000 = 50,000(円)

総所得金額等が200万円未満の医療費控除の計算例

【概要】
・総所得金額等:150万円
・1年間に支払った医療費:25万円
・補てんされた金額:10万円(入院費給付金)

【計算式】
1年間に支払った医療費の合計 - 保険金などで補てんされる金額 - (総所得金額等 × 5%)= 医療費控除額
▶︎ 250,000 - 100,000 -(1,500,000 × 5%)= 75,000(円)

医療費控除で住民税も安くなる

医療費控除を適用すると、所得税だけでなく翌年度の住民税も安くなります。住民税は前年の1月1日〜12月31日の所得をもとに計算され、翌年度に納める住民税に反映されます。

住民税(所得割)の税率は原則10%のため「医療費控除額 × 10%」が軽減額の目安です。たとえば医療費控除額が5万円の場合、翌年度の住民税は約5,000円安くなります。

なお、所得税の確定申告を行った場合は、その内容が地方公共団体へ送信されるため、住民税の申告を別途行う必要はありません。

出典:総務省「個人住民税」

医療費控除を受けるための確定申告のやり方

医療費控除を受けるための確定申告から還付金を受け取るまでの流れは、以下のとおりです。

医療費控除の申請手順

  • ①1月1日〜12月31日の1年間に支払った医療費の総額を確認する
  • ②医療費控除額を計算する
  • ③確定申告書と医療費控除の明細書を作成する
  • ④必要書類をそろえて税務署に提出する
  • ⑤還付金の振り込みを確認する

①1月1日〜12月31日の1年間に支払った医療費の総額を確認する

まずは1年間(1月1日〜12月31日)に支払った医療費のうち、医療費控除の対象となる費用の総額を確認しましょう。

保険診療で支払った医療費は、原則として医療保険者が発行する「医療費通知」に記載されるものです。ただし、通知の発行時期などによって、一部の医療費が記載されていない場合があります。

また、通知に記載された金額と実際の支払額が異なることもあるため、必要に応じて領収書などによる確認が必要です。自由診療の費用や交通費、市販薬の購入費など、医療費通知に記載されていない医療費については、領収書などをもとに金額を確認します。

医療費控除の明細書の記載に使用した領収書は、確定申告時に添付する必要はありません。ただし、原則として確定申告期限から5年間保存する必要があります。

②医療費控除額を計算する

医療費控除額は、以下の手順で計算します。

  • ①1月1日〜12月31日に支払った医療費の合計額を算出する
  • ②①から保険金などで補てんされる金額を差し引く(出産育児一時金や高額療養費など)
  • ③②から10万円(総所得金額等が200万円未満の場合は総所得金額等 × 5%)を差し引く

③確定申告書と医療費控除の明細書を作成する

確定申告には、確定申告書と医療費控除の明細書が必要です。これらはどちらも国税庁のホームページから無料でダウンロードできます。

それぞれの書類の書き方は、後述の「医療費控除の明細書の書き方」「確定申告書の書き方」で解説しています。

④必要書類をそろえて税務署に提出する

2026年分の確定申告期間は、2027年2月16日から3月15日までです。確定申告の義務がない人の医療費控除などによる還付申告は、この期間にかかわらず、その年の翌年1月1日から5年間提出できます。

確定申告書は、e-Tax・郵送・税務署への持参などの方法で提出可能です。

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⑤還付金の振り込みを確認する

還付金の振込手続きは、確定申告書の「還付される税金の受取場所」に記載した方法で受け取ります。

振込目安としては、確定申告書を書面で提出した場合は1ヶ月~1ヶ月半程度、e-Tax(電子申告)で提出した場合は3週間程度です。

なお、還付金の金額や振込予定日などの処理状況は、e-Taxのマイページから確認できます。

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医療費控除を受けるために必要な書類と書き方

確定申告で医療費控除を受ける際に、準備する主な書類は以下のとおりです。

医療費控除を受ける際に、準備する主な書類

  • 医療費控除の明細書
  • 確定申告書
  • 医療費控除の対象となる費用が記載されている医療費通知や領収書
  • 本人確認書類(書面で提出する場合)

医療費控除の明細書の書き方

医療費控除の明細書は、以下の3項目に分けて記載します。

医療費控除の明細書の書き方

出典:国税庁「医療費控除の明細書」

①医療費通知に関する事項

医療費通知に関する事項

それぞれの記載内容は以下のとおりです。

  • ①自身が負担した医療費の合計額を記入(通知が複数ある場合は、全ての通知に記載された金額を合計して記入)
  • ②①のうち、その年に実際に支払った医療費の合計額を記入
  • ③生命保険契約や損害保険契約、健康保険契約などの規定に基づき受け取った保険金や給付金(入院費給付金・出産育児一時金・高額療養費など)がある場合にその合計額を記入

②医療費(1以外)の明細

医療費(1以外)の明細

その年に納税者本人や、納税者と生計を一にする配偶者その他の親族のために支払った医療費について、領収書をもとに必要事項を記入する項目です。

領収書ごとではなく、「医療を受けた人」「病院等」ごとにまとめて記入できます。​

③控除額の計算

控除額の計算

上記で算出した合計額をもとに控除額を計算します。

複数の医療機関を受診しているなど、集計が複雑な場合は、国税庁の医療費集計フォームも利用できます。

マイナポータル連携や医療費通知を使えば明細書の記入を簡略化できる

健康保険組合などの医療保険者が発行する「医療費通知」を確定申告書に添付すると、通知に記載された医療費については明細書の記入を簡略化できます。確定申告では通知の合計額などを転記するだけで済み、1件ずつ記入する手間を減らせます。この場合は、該当する領収書の保存も不要です。

ただし、利用できるのは、被保険者の氏名や支払った医療費の額など所定の6項目が記載された医療費通知に限られます。市販薬の購入費や自由診療分など、通知に記載されていない医療費については、領収書をもとに明細書へ記入し、5年間の保管が必要です。

e-Taxで申告する場合は、マイナポータル連携で取得した医療費通知情報を確定申告書に自動入力できます。

出典:国税庁「No.1119 医療費控除に関する手続について」

確定申告書の書き方

確定申告書には第一表と第二表があり、医療費控除に関しては第一表に記入します。

確定申告書の書き方

㉘欄に「医療費控除の明細書」で計算した金額を転記し、通常の医療費控除を選択する場合は「区分」の□に記入しません。

確定申告書の書き方を詳しく知りたい方は、別記事「確定申告書の書き方・見方をわかりやすく解説【項目別の見本あり】」をあわせてご確認ください。

出典:国税庁「手順3 所得から差し引かれる金額(所得控除)を計算する」

確定申告で医療費控除を受けるときの注意点

確定申告で医療費控除を受ける際は、セルフメディケーション税制との併用可否や、生命保険料控除・ふるさと納税のワンストップ特例の扱いを確認する必要があります。

医療費控除とセルフメディケーション税制は併用できない

セルフメディケーション税制とは、健康の保持増進や疾病予防のために一定の取り組みを行っている人が、対象医薬品を購入した金額が年間1万2,000円を超えた場合に受けられる医療費控除の特例です。

通常の医療費控除とは選択適用のため、両方を同時に適用することはできません。

セルフメディケーション税制の適用を受ける場合に必要な書類

セルフメディケーション税制の適用を受ける場合は、以下の書類を提出・保管します。

  • セルフメディケーション税制の明細書
  • 対象医薬品の領収書
  • 一定の取り組みを行ったことを明らかにする書類

出典:厚生労働省「セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)について」

一定の取り組みには、健康診断・がん検診・予防接種などがあります。

生命保険料などは別の控除として申告する

一定の生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料は、医療費控除ではなく生命保険料控除の対象です。

年末調整で生命保険料控除を受けていない場合は、確定申告であわせて申告できます。その際は、生命保険会社などが発行する控除証明書等が必要です。

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医療費控除の対象となる領収書は原則5年間保管する

領収書を確定申告書に添付・提示する必要はありません。ただし、確定申告期限等から5年間、自宅などで保管します。

税務署から明細書の内容を確認するために、領収書の提示または提出を求められる場合があります。なお、所定の要件を満たす医療費通知を確定申告書に添付した場合、その通知にかかる領収書の保存は不要です。

ふるさと納税のワンストップ特例を利用している場合は寄附金控除も申告する

ワンストップ特例は、一定の条件を満たすことで、確定申告をせずにふるさと納税の寄附金控除を受けられる制度です。ワンストップ特例を申請している人が医療費控除の確定申告を行うと、その年分のワンストップ特例は適用されません。

そのため、確定申告書には医療費控除だけでなく、ワンストップ特例を申請した分も含め、その年に行ったふるさと納税について寄附金控除を申告する必要があります。

医療費控除のみを申告した場合、ふるさと納税分の控除が受けられなくなってしまうため、寄附金受領証明書などを確認し、ふるさと納税分も忘れずに確定申告へ記載しましょう。

出典:国税庁「No.1155 ふるさと納税(寄附金控除)」

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まとめ

医療費控除を受けるためには、年末調整をしている会社員やアルバイト・パートなども、確定申告が必要です。

2026年分の確定申告期間は、2027年2月16日(火)から3月15日(月)までです。確定申告の義務がない人が医療費控除によって所得税の還付を受ける場合は、還付申告としてその年の翌年1月1日から5年間申告できます。

医療費控除額は、1年間に支払った医療費から保険金などで補てんされる金額を差し引き、さらに10万円(総所得金額等が200万円未満の場合は総所得金額等の5%)を差し引いて計算します。医療費控除の対象となる場合は、必要書類を準備して確定申告を行いましょう。

参考文献

▶︎国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」

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よくある質問

  • 医療費控除で10万円払うといくら戻ってくる?

    総所得金額等が200万円以上の場合、支払った医療費が10万円ちょうどであれば、医療費控除額は0円です。総所得金額等が200万円未満の場合は、総所得金額等の5%を基準に計算します。

    詳しくは、記事内「医療費控除でいくら戻ってくる?計算手順を解説」で解説しています。

  • 医療費控除はいくら以上でやったほうがいい?

    医療費控除は、支払った医療費から保険金などで補てんされる金額を差し引いた額が10万円(総所得金額等が200万円未満の場合は総所得金額等の5%)を超える場合に対象です。

    詳しくは、記事内「医療費控除はいくらから対象?」で解説しています。

  • 医療費控除はスマホからでも確定申告できる?

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    スマホで医療費控除の確定申告をする方法は、別記事「医療費控除をスマホで確定申告するには?事前準備・やり方をわかりやすく解説」で解説しています。

監修

好川 寛

好川 寛

元国税調査官。国税局では税務相談室・不服審判所等で審理事務を中心に担当。その後、大手YouTuber事務所のトップクリエイターの税務支援、IT企業で税務ソフトウェアの開発に携わる異色の税理士です。

プロゴ税理士事務所
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大柴 良史

大柴 良史

1980年生まれ、東京都出身。IT大手・ベンチャー人事部での経験を活かし、2021年独立。年間1000件余りの労務コンサルティングを中心に、給与計算、就業規則作成、助成金申請等の通常業務からセミナー、記事監修まで幅広く対応。ITを活用した無駄がない先回りのコミュニケーションと、人事目線でのコーチングが得意。趣味はドライブと温泉。

アベリア人事労務コンサルティング
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