賞金にかかる税金とは?いくらから課税かや計算方法、税金がかからないケースを解説

更新日:2026/9/28

監修:好川 寛

目次

賞金とは、懸賞やコンテスト、大会などで受け取る経済的な利益で、原則として所得税と住民税の課税対象になります。

受け取った賞金の多くは一時所得に区分され、一時所得には50万円の特別控除と、超えた部分の2分の1だけを課税対象とする仕組みがあるため、受け取った全額にそのまま税金がかかるわけではありません。

本記事では、賞金に税金がかかる仕組み、いくらから課税されるか、所得区分、100万円や1,000万円を受け取った場合の計算例、源泉徴収と確定申告の要否、学生や未成年の扱いまで解説します。

賞金に税金はかかる?

賞金は経済的な利益であり、原則として所得税と住民税の課税対象になります。賞金だから非課税になるという扱いはなく、宝くじなど一部の例外を除き、受け取った人が税金を負担する点を押さえておく必要があります。

ただし、課税の重さや申告の要否は、その賞金を誰からどのような理由で受け取ったかによって変わる点に注意が必要です。所得税では所得を性質ごとに区分しており、賞金は受け取り方に応じて一時所得・給与所得・雑所得などに分かれ、区分ごとに計算方法や申告の要否が異なります。

懸賞やコンテストなどで偶発的に得た賞金の多くは、このうち一時所得に区分されます。

出典:国税庁「No.1490 一時所得」

賞金はいくらから課税される?

一時所得に該当する賞金は、その年の一時所得の合計が特別控除額50万円以下であれば課税されず、申告も不要です。必要経費がない一般的な懸賞・コンテストの賞金であれば、賞金の合計が50万円までなら税負担は生じません。

50万円を超えた場合は、超えた部分の2分の1が課税対象になります。たとえば賞金が50万円ちょうどなら課税対象は0円、60万円なら超過分10万円の半分の5万円が課税対象です。

注意したいのは、判定が賞金1件ごとではなく、その年に得た一時所得の合計で行われる点です。同じ年に生命保険の満期返戻金など他の一時所得があれば、賞金と合算したうえで50万円を超えるかどうかを判定します。1件あたりは50万円以下でも、合算すると課税が生じる場合があります。

税金がかからない賞金

賞金のなかには、法律によって非課税と定められているものがあります。代表的なものは次のとおりで、いずれも個別の根拠法令にもとづく例外です。

<課税される賞金と税金がかからない賞金>

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賞金の種類 課税・非課税 根拠
宝くじの当せん金 非課税 当せん金付証票法
toto・BIG等のスポーツくじの払戻金 非課税 スポーツ振興投票の実施等に関する法律
オリンピック・パラリンピックのメダリストへのJOC報奨金 非課税 所得税法第9条第1項第14号
ノーベル賞の賞金(経済学賞を除く) 非課税 所得税法第9条第1項第14号
懸賞・コンテスト・大会などの賞金 課税 一時所得など

宝くじの当せん金は当せん金付証票法によって非課税とされ、購入時の代金に公共事業への割当分が含まれているため、当せん時に重ねて課税されません。

toto・BIGなどのスポーツくじの払戻金もスポーツ振興投票の実施等に関する法律によって非課税ですが、宝くじとは根拠となる法律が異なります。

オリンピック・パラリンピックのメダリストへ贈られる報奨金や、ノーベル賞(経済学賞を除く)の賞金は、所得税法第9条によって非課税所得に位置づけられている状態です。

これらに当てはまらない一般的な懸賞・コンテスト・大会などの賞金は、原則として課税対象です。非課税となるのはあくまで法律で個別に定められたものに限られるため、賞金全般が非課税と考えないようにしましょう。

出典:参議院法制局「もしメダリストになったら―賞金と税金のはなし」

賞金の所得区分

賞金にかかる税金を計算する前提として、まず所得区分を確認する必要があります。賞金は受け取った経緯によって、一時所得・給与所得・雑所得(規模によっては事業所得)に分かれ、区分ごとに計算方法や課税の重さが変わるためです。

賞金の主な所得区分

  • 偶発的・臨時的に得た賞金は一時所得
  • 勤務先から労働の対価として受け取る賞金は給与所得
  • 継続的な活動の対価として得る賞金は雑所得や事業所得

それぞれどのようなケースが当てはまるかは、活動の継続性と対価性の有無で判断します。

一時所得に該当するケース

懸賞・福引・コンテスト・キャンペーン当選など、営利を目的とする継続的な行為から生じたものでない臨時・偶発的な賞金は、一時所得に該当します。労働や役務の対価としての性質をもたず、一時的に得た所得だからです。

個人が受け取る賞金の大半はこの一時所得に当てはまり、本記事の計算例も一時所得を前提としています。一時所得には50万円の特別控除と2分の1課税が適用されるため、ほかの所得区分と比べて税負担が抑えられる仕組みです。

一時所得の計算方法や対象の詳細は「一時所得とは?税金の計算方法や確定申告について解説」でも解説しています。

給与所得に該当するケース

勤務先から労働の対価や成績評価として支払われる表彰金・報奨金は、給与所得に該当します。雇用関係にもとづいて支払われ、賃金と同じく労務の対価としての性質をもつためです。

この場合は給与と合算して源泉徴収され、年末調整の対象にもなります。一時所得のような50万円の特別控除は適用されません。なお、勤続表彰の記念品など、現金ではなく社会通念上相当な範囲の記念品として支給されるものは、給与課税の対象外となる場合があります。

勤務先から受け取る給与の課税については「給与所得とは?収入との違いや計算方法、関連する申告・届出を解説」もあわせて参照してください。

出典:国税庁「No.2591 創業記念品や永年勤続表彰記念品の支給をしたとき」

雑所得・事業所得に該当するケース

プロスポーツ選手やプロゲーマーなど、賞金を得ること自体が継続的な活動の一部で、役務提供の対価としての性質がある場合は雑所得に該当します。さらに、その活動を事業として営む規模であれば事業所得になります。

同じマラソン大会の賞金でも、誰が何の対価として支払うかで区分が分かれる点が特徴です。大会主催者が支払う1位入賞賞金や記録更新賞金は、主催者への役務の対価またはそれに付随して得るものとして雑所得に該当します。

一方、大会主催者とは別の団体が記録更新者を褒賞するために支払う褒賞金は、役務の対価ではなく継続して支払われるものでもないため一時所得に該当します。賞金が必ず一時所得になるわけではなく、区分を分けるのは活動の継続性と対価性の有無です。

継続的な活動から得る所得については「雑所得とは?税率や計算方法・確定申告のやり方をわかりやすく解説」も参考になります。

出典:国税庁「No.1500 雑所得」
出典:国税庁「マラソン大会の賞金・褒賞金の課税関係」

一時所得の計算式と特別控除

ここからは、賞金の大半を占める一時所得を前提に、税金の計算方法を解説します。一時所得には50万円の特別控除があり、課税対象になるのは超過分の2分の1だけという特徴があります。

一時所得の金額は、受け取った総収入金額から、その収入を得るために直接支出した金額と特別控除額を差し引いて求めます。特別控除額は最高50万円で、必要経費がなければ賞金額から50万円を引いた額が一時所得の金額です。

<一時所得の計算式>

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項目 内容
一時所得の金額 総収入金額 − 収入を得るために支出した金額 − 特別控除額(最高50万円)
総所得金額への算入額 一時所得の金額 × 2分の1

算出した一時所得の金額のうち、実際に総所得金額へ算入されるのはその2分の1です。最終的な所得税額は、この算入額をほかの所得と合算する総合課税の方式で計算され、各人の所得に応じた累進税率で決まります。賞金額だけで税額が確定するわけではありません。

賞金額別の計算例と早見表

賞金100万円の税金

必要経費がない場合、賞金100万円を受け取ったときに総所得金額へ算入される一時所得の金額は25万円です。計算は(100万円 − 50万円)× 2分の1 = 25万円となり、賞金額の4分の1まで圧縮されます。

税額は、この25万円を給与など他の所得と合算し、各人の所得に応じた累進税率で計算した結果として決まります。給与所得者の場合、給与・退職所得以外の所得が年間20万円を超えると確定申告が必要になるため、賞金100万円のケースは申告の対象です。

賞金1,000万円の税金

賞金1,000万円を受け取った場合、総所得金額へ算入される一時所得の金額は475万円です。計算は(1,000万円 − 50万円)× 2分の1 = 475万円となります。

この475万円が給与など他の所得に上乗せされ、累進税率で課税されます。所得税は所得が大きいほど税率が上がる仕組みのため、賞金100万円のケースよりも実質的な負担割合は大きくなる点が特徴です。

広告宣伝のための賞金などで支払時に源泉徴収されている場合は、確定申告で正しい税額を計算して精算します。

賞金額別の課税対象額の早見表

賞金額ごとに総所得金額へ算入される額をまとめると、次のとおりです。いずれも必要経費が0円で、ほかに一時所得がない場合の金額です。

<賞金額別の課税対象額(必要経費0円の場合)>

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賞金額 特別控除後(50万円控除) 総所得金額への算入額
50万円 0円 0円
100万円 50万円 25万円
800万円 750万円 375万円
1,000万円 950万円 475万円
1億円 9,950万円 4,975万円

総所得金額への算入額は、特別控除後の金額を2分の1にした額にあたります。算入額が確定した後、給与など他の所得と合算したうえで累進税率が適用されるため、賞金額が大きいほど実効的な税負担の割合も高くなります。

表の金額はそのまま税額ではなく、課税対象となる所得の額である点に注意が必要です。

現物賞品で受け取った場合の扱い

現金ではなく物品やサービスで賞品を受け取った場合も課税対象で、その時価を収入金額として一時所得を計算します。時価は、その賞品を処分した場合に得られる価額(処分見込価額)で評価するのが原則です。

商品券やギフト券は券面額で評価します。その他の物品は通常の小売販売価額のおおむね6割を目安に評価されるのが一般的ですが、実際の評価は賞品の種類によって異なります。

物品で受け取った場合でも、50万円の特別控除と2分の1課税は現金の賞金と同じく適用対象です。賞品の具体的な評価額の確定は、税理士など専門家への確認が確実です。

賞金の源泉徴収

広告宣伝のための賞金など一定の賞金は、支払時に主催者があらかじめ所得税を差し引いて納付する源泉徴収の対象です。広告宣伝のための賞金等の源泉徴収税額は、賞金等の額から50万円を差し引いた残額に10.21%の税率を乗じて計算し、賞金が50万円以下であれば源泉徴収されません。

広告宣伝のための賞金等とは、事業を営む個人や法人が製品や事業内容を広告宣伝するための賞金や、素人のクイズ番組・のど自慢の賞金などを指します。

懸賞応募作品などの入選者へ支払う賞金は、ひとりに対して1回に支払う金額が5万円以下であれば源泉徴収されません。

源泉徴収はあくまで税金の前払いです。源泉徴収された後でも確定申告で正しい税額を計算して精算でき、源泉徴収された額が本来の税額より多ければ差額が還付されます。

出典:国税庁「No.2813 広告宣伝のために支払う賞金等」
出典:国税庁「No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」

賞金で確定申告が必要になるケース

賞金を受け取ったときに確定申告が必要かどうかは、その人の働き方によって基準が変わります。会社員などの給与所得者は、給与・退職所得以外の所得(賞金の一時所得を含む)の合計額が年間20万円を超えると確定申告が必要となる場合があります。

一方、給与所得がない自営業者や年金生活者などは、この20万円基準は使えません。所得の合計から所得控除を差し引いた課税所得が生じる場合、賞金を含めて確定申告が必要になります。なお、源泉徴収された賞金がある人は、20万円基準に該当しない場合でも、還付を受けるには確定申告をする必要があります。

出典:国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」

学生や未成年が賞金を受け取った場合

学生や未成年であっても賞金は課税対象で、納税義務に年齢の制限はありません。アルバイトなどの給与収入がなく賞金の一時所得だけの場合、その合計所得金額が基礎控除額を超えると所得税の申告・納税が必要になります。基礎控除額は令和7年分(2025年分)以降に改正され、合計所得金額132万円以下の人は95万円です。

注意したいのは、本人の納税義務とは別に、扶養している親などの税負担にも影響する点です。子の合計所得金額が一定額を超えると、親が受けている扶養控除の対象から外れます。

扶養控除の対象となる扶養親族の合計所得金額の要件も令和7年分(2025年分)以降に改正され、従来の48万円以下から58万円以下に引き上げられました。賞金によって子の所得がこの基準を超えると、親の税負担が増える場合があります。

出典:国税庁「No.1199 基礎控除」
出典:国税庁「No.1180 扶養控除」

確定申告をしないとどうなるか

申告すべき賞金を申告しないと、本来納めるべき税金に加えて加算税や延滞税が課される可能性があります。賞金の支払者は税務署へ支払調書を提出することがあり、申告内容との照合によって申告漏れが把握される仕組みがあるためです。

期限を過ぎてから申告する期限後申告や、申告自体をしない無申告には無申告加算税が課されます。税務署の調査を受ける前に自主的に期限後申告をすれば加算税は軽減される一方、調査後の申告では割合が高くなる点に注意が必要です。

さらに、納付が遅れた期間に応じた延滞税も発生します。賞金は適正に申告することを前提に、必要な場合は早めに手続きを済ませることが大切です。

出典:国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき」

まとめ

賞金は原則として所得税と住民税の課税対象で、懸賞やコンテストなどで偶発的に得た賞金の多くは一時所得に区分されます。一時所得には50万円の特別控除があり、課税対象になるのは超えた部分の2分の1だけです。必要経費がなければ、その年の一時所得の合計が50万円までは税金がかかりません。

賞金にかかる税金を正しく把握するには、まず所得区分を確認し、一時所得であれば特別控除と2分の1課税を踏まえて課税対象額を計算することが基本です。宝くじやtotoの払戻金、オリンピックのメダリストへの報奨金など、法律で個別に非課税と定められたものを除き、賞金全般が非課税とはなりません。

給与所得者は賞金を含む給与・退職所得以外の所得が年間20万円を超えると確定申告が必要となる場合があり、源泉徴収された賞金がある場合は精算や還付のために申告するとよいでしょう。賞品の評価額や所得区分の判断に迷う場合は、税理士などの専門家へ相談することも有効です。

よくある質問

  • 賞金はいくらから税金がかかりますか?

    一時所得に該当する賞金は、その年の一時所得の合計が特別控除額50万円を超えた部分の2分の1が課税対象になります。必要経費がなければ、賞金の合計が50万円までは課税されず申告も不要です。

    詳しくは「賞金はいくらから課税される?」で解説しています。

  • 賞金1,000万円を受け取ったら税金はいくらですか?

    必要経費がなければ、(1,000万円 − 50万円)× 2分の1 = 475万円が総所得金額へ算入され、給与など他の所得と合算した累進税率で税額が決まります。賞金額そのままが税額になるわけではありません。

    詳しくは「賞金1,000万円の税金」で解説しています。

  • 学生でも賞金に税金はかかりますか?

    年齢に関係なく賞金は課税対象です。給与収入がなく賞金だけの場合、合計所得金額が基礎控除額を超えると申告・納税が必要になり、所得が一定額を超えると親の扶養控除の対象から外れる場合があります。

    詳しくは「学生や未成年が賞金を受け取った場合」で解説しています。

監修

好川 寛

好川 寛

元国税調査官。国税局では税務相談室・不服審判所等で審理事務を中心に担当。その後、大手YouTuber事務所のトップクリエイターの税務支援、IT企業で税務ソフトウェアの開発に携わる異色の税理士です。

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