プロジェクトの目標達成に向けて業務を円滑に進めていくためには、PM(プロジェクトマネージャー)の役割やプロジェクトマネジメントの基本を押さえておく必要があります。
本記事ではPM初心者の方に向けて、PMの仕事内容やPLとの違いから、必要なスキル、最初に取り組むべき学習ステップ、役立つ資格までを体系的に解説します。
▶︎工数管理をとことん楽にしたいならfreee工数管理!
目次
PM(プロジェクトマネージャー)とは
PM(プロジェクトマネージャー)とは、プロジェクトの目標達成に向けて、進捗管理や資源の配分、メンバーの調整などを統括する責任者を指します。
プロジェクトは明確な目的と達成期限が設けられた業務であり、期限を設けずに同じ業務を繰り返すルーチンワークとは異なるものです。プロジェクトにおいては参加メンバー間での認識の共有が不可欠であり、PMにはプロジェクトの目的を初めの段階で明確にしチームに浸透させることが求められます。また期限内にプロジェクトの目的を達成するために、人員・予算・スケジュールのコントロールを行うことも役割として重要です。
プロジェクトを成功させる過程では、品質・コスト・納期(QCD)の管理はもちろん、リスクの管理やステークホルダー(利害関係者)との調整など、さまざまな知識や技能が求められます。プロジェクトマネジメントの手法には数多くの種類がありますが、関連する知見を体系的にまとめたガイド「PMBOK(ピンボック)」に沿って進めるのが基本となります。
PMの役割と責任範囲
PMの責任は、プロジェクトを「期限内」「予算内」「期待される品質」で完了させることにあります。具体的には、次の3つが中核となる責任範囲です。
PMの主な責任範囲
- QCD管理:品質(Quality)・コスト(Cost)・納期(Delivery)のバランスを維持しながらプロジェクトを推進する
- リスク管理:起こり得るトラブルを事前に想定し、影響を最小化する対策を講じる
- ステークホルダー調整:顧客・経営層・チームメンバー・外部パートナーなど、関係者の利害を調整し合意形成を図る
PM初心者のうちは、自分で作業をこなすよりも「全体を俯瞰し、適切に判断・指示する立場」へと意識を切り替えることが第一歩になります。
PM・PL・PMOの違い
PMと混同されやすい役割にPL(プロジェクトリーダー)とPMO(プロジェクトマネジメントオフィス)があります。PM初心者は、それぞれの違いを押さえておきましょう。
| 役割 | 主な責任 | 関わる範囲 |
|---|---|---|
| PM | プロジェクト全体の責任者。 意思決定・予算・最終成果に責任を持つ | プロジェクト全体 |
| PL | 現場のリーダー。 タスク実行・チームメンバーの直接的な指揮を担う | 開発・実行フェーズの現場 |
| PMO | PMを支援する組織・部門。 プロセス標準化や進捗の見える化を担う | 複数プロジェクト横断 |
PMが「プロジェクトの戦略と全体最適」を担うのに対し、PLは「現場の実行」、PMOは「組織横断的なサポート」を担うのが一般的です。企業によっては役割が重複したり、PMがPLを兼務するケースもあります。
PMが必要とされる理由
PMが求められるようになった背景には、「プロジェクト」に関する社会的な認識の変化があります。かつての日本においては、プロジェクトと言えば大規模な業務を想定するケースが多かったのに対し、現在では規模の大小に関係なくプロジェクトという言葉が使われる流れができています。
経済のグローバル化などで市場競争が激化するなか、企業や組織はこれまで通りの業務を続けるばかりではなく、大小さまざまなプロジェクトを通して新しい成長を模索しています。ただし、プロジェクトは明確な期限と目的を持つ業務であるため、しっかりと管理を行わなければ計画通りに進めることが難しい面もあります。
立派な目的を持つプロジェクトであったとしても、期限通りに達成されなければ本来の目的を失ってしまうでしょう。そのため、プロジェクトを成功へと導く役割を担うPMが必要とされているのです。
PM初心者が押さえておきたい仕事内容
PMの仕事は、プロジェクトの開始から終結までのフェーズごとに役割が変わります。PM初心者はまず、各フェーズでどんな業務が発生するかを把握しておきましょう。
プロジェクト立ち上げ(計画策定)
プロジェクトの目的・ゴール・成果物を定義し、スコープ(作業範囲)・スケジュール・予算・体制を設計するフェーズです。ここでクライアントや経営層からの要望をヒアリングし、プロジェクト計画書としてまとめます。
PMにとって最も重要な「土台づくり」の工程であり、ここでの精度が後のフェーズの成否を大きく左右します。
プロジェクト実行・進捗管理
計画に沿ってチームが作業を進めるフェーズです。PMはタスクの進捗確認・課題の早期発見と対処・メンバーへの指示・ステークホルダーへの状況報告などを行います。
計画通りに進まないことを前提に、スケジュールやコストの予実を継続的にモニタリングし、必要に応じて計画を調整する柔軟さが求められます。
プロジェクト終結・振り返り
成果物を納品し、ステークホルダーの承認を得てプロジェクトを完了させるフェーズです。完了後には「何がうまくいき、何が課題だったか」を振り返り、ナレッジとして次のプロジェクトに活かす作業まで行うのがPMの役目です。
PM初心者に求められる5つのスキル
PMには幅広いスキルが求められますが、初心者のうちはまず次の5つを軸に磨いていくと効率的です。
PM初心者に求められる5つのスキル
- マネジメントスキル(QCD管理):
PMの中核となる能力。品質・コスト・納期を統合的に管理し、進捗とリソースのバランスを取りながらプロジェクトを推進することが求められる - コミュニケーション能力:
顧客・経営層・チームメンバー・協力会社など、立場の異なる関係者と円滑にやり取りする能力。相手の意図を正確に理解し、自分の考えを論理的に伝えることが求められる - 課題解決力:
プロジェクトで発生したトラブルについて問題の本質を見抜き、優先順位をつけて迅速に対処する力 - リーダーシップ:
メンバーのモチベーションを引き出し、目標達成に向けてチームを牽引する力。指示するだけでなく、メンバーが力を発揮できる環境を整える姿勢も求められる - 業務・技術知識:
適切な意思決定の前提となる、担当領域(IT・建設・製造など)の業務知識や技術的な知識。専門家のような深さは不要であるものの、メンバーや顧客と対話できる程度の理解は求められる
PM初心者が最初にやるべき3ステップ
ここでは、PM初心者がまず取り組むべき3つのステップを紹介します。
1.PMBOKの基礎を理解する
PMBOKは、事実上の国際標準として広く参照されるプロジェクトマネジメントの知識体系です。プロジェクト推進を担う人・組織が判断のよりどころにすべき原理・原則や、成果を生み出すための仕組みが定義されています。
すべてを一度に深く学ぶ必要はありませんが、「PMが扱うべき領域の全体像」をつかむための地図として、最初に概要を押さえておくと以降の学習効率が高まることが期待できます。
PMBOKの内容や最新動向については、別記事「PMBOKとは?プロジェクトマネジメントの知識体系|第6版・第7版の違いと資格まで解説」で詳しく解説しています。
2.小さなプロジェクトで実践する
知識は実践を通してこそ身につきます。初心者のうちは、規模の小さなプロジェクトや既存PMの補佐ポジションから始め、計画策定〜実行〜振り返りまでの一連のサイクルを経験することが大切です。
3.振り返りと継続学習
プロジェクトが終わったら必ず振り返りを行い、うまくいった点・課題を整理しましょう。あわせて、書籍やセミナー、資格取得などを通じて知識を更新し続けることがPMとしての成長につながり得ます。
PMに役立つ資格
プロジェクトマネジメントを体系的に学ぶには、資格の取得を目指してみるのも有効な方法です。日本における代表的な資格3つについて、それぞれの資格の特徴を紹介します。
プロジェクトマネージャ試験(PM)
プロジェクトマネージャ試験は、独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が実施する試験です。システム開発プロジェクトの目的達成のために必要なIT技術に関する広い知識と、プロジェクト責任者としてのマネジメントスキルが問われる内容となっています。
試験は四肢択一式と記述式、さらには論述式で解答する必要があるため、普段から文章を書く練習を重ねておくことも大切です。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構「プロジェクトマネージャ試験」
PMP(プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル)
PMP(Project Management Professional)は、アメリカの非営利団体PMIが認定する国際資格です。PMBOKをベースに作成されており、この資格の取得がプロジェクトマネジメントにまつわる一定水準の知識・教育・経験を有することの証明になります。
受験には、「学歴に応じたプロジェクトマネジメントの実務経験」と「35時間以上の正式な研修の受講」が求められます。学歴に応じた実務経験の要件としては、たとえば「4年制大学卒業」と「3年(36ヶ月)以上のプロジェクトマネジメントの実務経験」などが挙げられます。
試験はコンピュータによる受験(CBT方式)で実施されます。
出典:PMI「Project Management Professional (PMP)®」
出典:PMI「プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル(PMP)®試験内容の概要」
出典:PMI日本支部「PMP®資格について」
P2M試験
P2M(Project & Program Management)試験は、日本プロジェクトマネジメント協会が実施する資格試験です。
日本におけるプロジェクトマネジメントの知識体系「P2M標準ガイドブック」にもとづく体系的知識を問うPMC・PMSと、実践力を問うPMQ・PMR・PMA(未実施)が設けられており、段階的にステップアップしながら受検できる構成となっています。
出典:日本プロジェクトマネジメント協会「P2M資格制度について」
出典:日本プロジェクトマネジメント協会「P2M資格試験について」
PM業務はツールで効率化できる
PM業務を効率化するには、エクセルを活用する方法と、プロジェクト管理ツールを利用する方法があります。
エクセルは導入コストがほとんどかからず、マクロを使えば一定の自動化もできるため、ハードルが低いのがメリットです。ただし、エクセルでは複数のプロジェクトでの情報共有が難しい面があるため、プロジェクト管理ツールの利用も検討してみましょう。
プロジェクト管理ツールは導入コストがかかるものの、進捗管理・工数管理・情報共有といったPMに必要な機能をすぐに使えるため、プロジェクトのスピードと精度を高められます。メンバーがいつでもアクセスできる環境が整うことで、PM初心者にとってもプロジェクト全体の把握がしやすくなるでしょう。
まとめ
PMは、プロジェクトの目標達成に欠かせない中心的な役割です。PM初心者の方は、まずPMの仕事の全体像と必要なスキルを押さえたうえで、小さなプロジェクトでの実践と継続的な学習を通じてステップアップしていきましょう。
体系的に学ぶための資格取得や、業務を効率化するプロジェクト管理ツールの活用も、PMとしての成長を後押ししてくれる期待があります。できることから少しずつ取り入れてみてください。
よくある質問
PMに求められるスキルの一覧は?
PMに求められるスキルは多岐にわたりますが、まずは以下の5つを身につけることが望ましいと言えます。
PMに求められる基本的なスキル一覧
- マネジメントスキル(QCD管理)
- コミュニケーション能力
- 課題解決力
- リーダーシップ
- 業務・技術知識
詳しくは、記事内「PM初心者に求められる5つのスキル」で解説しています。
PMとPMOはどちらが上ですか?
PMはプロジェクト全体の責任者を、PMOはPMの支援・補佐を担います。
詳しくは、記事内「PM・PL・PMOの違い」をご参照ください。
