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仕掛品とは?半製品との違いや勘定科目・仕訳・評価方法を解説

仕掛品とは?半製品との違いや勘定科目・仕訳・評価方法を解説

仕掛品(しかかりひん)とは、製品の製造プロセスにおいて加工や組み立てが開始されているものの、まだ完成していない未完成の製品のことです。

本記事では、仕掛品の定義や半製品・原材料との違い、勘定科目や仕訳の流れ、評価方法などをわかりやすく解説します。

目次

仕掛品とは

仕掛品(しかかりひん)とは、製造業などの生産ラインにおいて、原材料の加工や組み立てが始まっているものの、まだ最終製品としては完成していない状態のものを指します。

会計上の大きな特徴は、まだ製品化されていないため「その状態のままでは顧客に販売・譲渡することができない」という点です。製造作業が進行中であり、完成に向かってコスト(材料費・人件費など)が追加投入され続けている途中の状態を意味します。

各業界における仕掛品の具体例

仕掛品というと製造業のイメージが強いかもしれませんが、IT業界やサービス業など、目に見えない成果物を扱う業種でも存在します。

業界具体例
製造業(機械・食品・衣料など)・加工中の金属部品、組み立て途中の家電製品
・醸造・発酵途中の清酒や醤油、調理途中の食品
・縫製途中の衣類
IT・システム開発業クライアントから受注して開発中のシステムやWebアプリケーション(人件費や外注費が集計中の状態)
建設業施工途中の建物や土木工事
サービス業・コンサルティング業制作・納品途中のデザイン案件や調査レポート(プロジェクトごとの着手後・未納品コスト)

なお、業種によって用語の慣習は異なるため、たとえば建設業では、工事が完了していない案件にかかった原価(材料費、外注費、労務費等)を「未成工事支出金」として処理します。これは製造業でいう「仕掛品」と実質的に同じ性質を持つ勘定科目です。

また、IT業界などのプロジェクト型ビジネスでも、期末時点で進行中の案件にかかった制作コストを「仕掛品」や「開発仮勘定」として棚卸計上します。

仕掛品は棚卸資産(流動資産)

会計には、費用収益対応の原則という重要な考え方があります。これは、「収益(売上)」とそれを得るためにかかった「費用(コスト)」を同じ会計期間に正しく対応させて計上しなければならない、というルールです。

製造途中の仕掛品にかかった材料費や人件費は、完成して売上が立つ(収益が発生する)未来の期間に対応するコストです。そのため、作業中の段階で即座に当期の費用として計上することは認められません。

完成して販売されるまでは、資産の一種である棚卸資産(流動資産)として貸借対照表(B/S)に計上しておく必要があります。

仕掛品と混同しやすい勘定科目

会計業務や棚卸の現場では「仕掛品」「半製品」「原材料」「製品」といった用語が混在しており、区別に迷うことがあります。それぞれの違いを正しく理解しておきましょう。

半製品との違い

仕掛品と最も混同しやすいのが、半製品(はんせいひん)です。どちらも製造途中のものである点では共通していますが、決定的な違いは単体で販売できる状態にあるかどうかです。

仕掛品未完成であり、そのままでは市場に販売することも他社に譲渡することもできない
半製品製造プロセスとしては途中だが、一定の加工が終わっており、その状態のままでも商品として外部に販売できる(例:加工済みの金属中間パーツ、中間調味料など)

原材料・貯蔵品との違い

原材料・貯蔵品との違いは、加工が開始されているかどうかです。

原材料製品を作るために仕入れた素材・部品で、まだ一切の加工が行われていない状態のもの
仕掛品原材料に少しでも手(加工や組み立て)が加わった時点から「仕掛品」へ変化
貯蔵品事務用の消耗品や切手、工場内の補助燃料など、製造に直接使用されない未使用の備品類を指す

製品・商品との違い

製品・商品との違いは、完成しているかどうかです。

製品自社で製造プロセスがすべて完了し、販売できる状態になったもの
商品他社から仕入れてそのまま販売する完成品
仕掛品これら完成された販売物に到達する手前の段階にあるもの

仕掛品の会計処理と原価計算の流れ

仕掛品の金額(評価額)を算出するためには、適切な原価計算の手順を踏む必要があります。ここでは製造原価の集計から仕掛品への配賦までの基本的な流れを解説します。

1.原価の3要素の集計

製品を製造するために発生した費用は、以下の原価の3要素に分類されます。

  • 材料費: 物品の消費によって発生する原価(直接材料費、買入部品費など)
  • 労務費: 工場作業員などの人件費(直接賃金、手当、法定福利費など)
  • 経費: 材料費・労務費以外の費用(工場の電気代、減価償却費、外注加工費など)

これらを当期中に発生したコストとしてまず集計します。

2.製造直接費と製造間接費の配賦

原価の3要素は、さらに特定の製品に直接かかったことがわかる費用(直接費)と、複数の製品に共通してかかった費用(間接費)に分けられます。

直接費
(直接材料費・直接労務費など)
対象となる製品・仕掛品へ直接集計
間接費
(工場の光熱費・建物の減価償却費など)
機械の稼働時間や作業時間などの合理的な基準(配賦基準)を決めて、各仕掛品や製品に割り振り(配賦)を行う

3.仕掛品から完成品(製品)への振替

製造プロセスにおける費用の流れは以下のようになります。

  1. 当期製造費用(当期に投入された費用)の集計
  2. 【期首仕掛品 + 当期製造費用】の合計を算出
  3. 期末に未完成として残っている「期末仕掛品」の額を算出(棚卸)
  4. 全体から期末仕掛品を差し引いた金額が「当期製品製造原価(完成品コスト)」となる

公式で表すと次のとおりです。

当期製品製造原価 = 期首仕掛品棚卸高 + 当期製造費用 - 期末仕掛品棚卸高

【パターン別】仕掛品の仕訳例

ここからは、実際の会計実務における仕掛品の振替や決算時の仕訳例をパターン別にご紹介します。

なお、継続記録法や期末一括振替など実務上の手法は複数ありますが、ここでは代表的な流れを解説します。

材料費・労務費・経費を仕掛品へ投入したとき

工場で作業が開始され、材料の消費や人件費が発生した段階で「仕掛品」勘定へ集計します。

例:当期の製造活動にあたり、直接材料費50万円、直接労務費30万円を消費した。

借方貸方
仕掛品800,000材料500,000
賃金300,000

2. 製造が完了し製品(完成品)へ振り替えるとき

仕掛品の一部または全部が完成し、製品倉庫へ移送されたときの仕訳です。仕掛品から「製品」勘定へ振替を行います。

例:仕掛品のうち、60万円分が完成して製品となった。

借方貸方
製品600,000仕掛品600,000

3. 決算期末に期末仕掛品(棚卸資産)を計上するとき

三分法や売上原価の計算と同様に、決算期末に工場内に残っている未完成品を実地棚卸し、期末仕掛品として計上します。

例:決算にあたり、期末実地棚卸の結果、期末仕掛品が20万円存在することが確定した。

借方貸方
仕掛品(資産)200,000仕掛品棚卸高(売上原価等)200,000

売上原価の計算ロジックの一部として仕掛品振替を行います。

4. 翌期首に期首仕掛品を振り戻すとき

前期末に計上した期末仕掛品は、翌期首において「期首仕掛品」として費用の計算プロセスへ振り戻します(反対仕訳を行います)。

例:新年度の期首にあたり、前期末の仕掛品20万円を振り戻した。

借方貸方
期首仕掛品棚卸高200,000仕掛品(資産)200,000

期末における仕掛品の棚卸と評価方法

決算期末には、正しく貸借対照表に仕掛品を計上するために棚卸と金額の評価を行う必要があります。製品や商品と違い、未完成品であるため評価計算には独特の考え方が必要です。

仕掛品の棚卸(実地棚卸)とは

期末日(決算日)時点で、現場にどの工程の仕掛品が、何個残っているかをカウントします。これを実地棚卸と呼びます。

仕掛品の場合は、単純に数量を数えるだけでなく、その仕掛品がどのくらい完成に近づいているか(工程の進捗度)を現場の担当者と連携して把握することが重要です。

【関連記事】
棚卸しとは?目的や評価方法、棚卸資産と在庫との違い、使用する勘定科目、回転期間、評価方法などを解説

仕掛品の評価方法

棚卸金額(評価額)を算出する方法には、大きく「原価法」と「低価法」があります。

原価法

取得原価(実際にかかったコスト)をそのまま資産評価額とする方法。個別法、総合平均法、移動平均法、先出法などがあります。

低価法

取得原価と期末時点の「正味売却価額(時価)」を比較し、いずれか低い方の金額で評価する方法。仕掛品が陳腐化したり、市場価格が大幅に下落して販売時に損失が出ることが見込まれる場合は、低価法により評価損を計上します。

進捗度(完成度)の評価・計算方法

仕掛品の原価を計算する際によく使われるのが「完成品換算量」という概念です。たとえば、完成品1個分のコストを作るまでに材料費と加工費がかかるとします。

材料費製造の着手時に一括で投入される場合、仕掛品であっても100%投入済みとみなす
加工費(人件費や電気代捗に合わせて徐々に発生するため、「仕掛品数量 × 進捗度(%)」で完成品に換算する

進捗度50%の仕掛品が10個ある場合、加工費の評価においては「完成品5個分」として計算します。

評価損・棚卸減耗損が発生した場合の処理

実地棚卸をした結果、帳簿上の数量より少なくなっていたり、製品化しても採算が取れないほど価値が低下していたりする場合は、以下の科目で処理します。

棚卸減耗損保管中の破損や管理ミスによる数量不足(原則:売上原価または販売管理費)
仕掛品評価損(商品評価損)時価の下落や製品化の見込み低下による価値減額(原則:売上原価)

仕掛品を管理・計上する際の注意点

仕掛品の処理を誤ると、決算書の数値が歪むだけでなく、税務調査で追徴課税を受ける原因になることがあります。とくに注意すべきポイントを解説します。

仕掛品を費用(経費)として処理するリスク

税務調査において、とくに製造業やIT企業で厳しくチェックされるのが仕掛品の計上漏れ(経費の過大計上)です。

期末時点で未完成の案件・製品にかかった人件費や外注費、材料費を、期末棚卸(仕掛品)として計上せず、当期の経費のまま処理してしまうと、当期の利益が少なくなり、法人税等を不正に圧縮したとみなされます。

意図的でないミスであっても、修正申告とともに加算税や延滞税が課されるリスクがあるため注意が必要です。

また、決算期末の間際に急遽着手したプロジェクトや、製造ラインに乗ったばかりの製品は、経理側で把握が漏れやすくなります。

「まだ着手したばかりだから」と放置せず、期末日時点で1円でもコスト(人件費や外注費等)が発生しているものは、すべて仕掛品として集計するのが原則です。

仕掛品在庫が増えすぎることの経営的デメリット

仕掛品が工場や現場に滞留し増え続けることは、経営上大きなリスクになります。

材料費や人件費として現金はすでに出ているにもかかわらず、現金として回収できていない状態によってキャッシュフローの悪化を招くほか、仕掛品在庫が保管スペースを圧迫し、仕様変更や品質劣化により最悪の場合は破棄せざるを得なくなることも考えられます。

まとめ

仕掛品は、製造業だけでなくITやサービス業など幅広い業種に関わる重要な勘定科目です。適切な原価計算と期末棚卸を行い、自社の正しい財務状態を把握しましょう。

仕掛品の管理や決算処理の効率化には、プロジェクト管理や原価計算に対応したシステムの導入も検討することをおすすめします。

よくある質問

仕掛品とは?

仕掛品(しかかりひん)とは、製造や制作のプロセスに着手しているものの、まだ完成していない未完成品のことです。そのままでは販売できず、会計上は「費用」ではなく「棚卸資産(流動資産)」に計上します。

詳しくは、記事内「仕掛品とは」をご覧ください。

仕掛品と商品の違いは?

仕掛品は自社で製造中の未完成品であり、そのままでは販売できません。一方、商品は他社から仕入れた完成品であり、すぐに販売可能な状態にある点が異なります。仕掛品は完成後に製品となり商品同様、販売されます。

詳しくは、記事内「製品・商品との違い」をご覧ください。

仕掛品のデメリットは?

仕掛品が増えすぎると、材料費や人件費の支払いが先行して現金化が遅れ、キャッシュフローが悪化します。また保管スペースの圧迫や品質劣化、仕様変更による陳腐化リスクが高まり、破棄損が生じる懸念もあります。

詳しくは、記事内「仕掛品を管理・計上する際の注意点」で解説しています。

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