在庫管理の基礎知識

過剰在庫とは?余剰在庫・滞留在庫との違いや主な発生原因、削減・防止するための対策を徹底解説

過剰在庫とは?余剰在庫・滞留在庫との違いや主な発生原因、削減・防止するための対策を徹底解説

過剰在庫とは、自社の販売計画や需要予測に対し、保有している商品(在庫)の数量が適正の水準を超えてしまっている状態を指す言葉です。過剰在庫の抱え込みはキャッシュフローを圧迫するため、企業経営に深刻な影響を与える大きなリスクとなります。

本記事では、過剰在庫の定義から「余剰在庫」との言葉の違い、発生する主な原因、放置するリスクなどをわかりやすく解説します。今すぐにできる具体的な解消策や過剰在庫を防ぐための方法なども、あわせて確認しておきましょう。

目次

EC・店舗・卸の在庫情報を一元管理ならfreee在庫管理

freee在庫管理は、EC・店舗・卸など複数の販売チャネルを展開する方におすすめ。複数の拠点・店舗や委託倉庫の在庫も全て管理できます。

過剰在庫とは

過剰在庫とは、自社の販売計画や需要予測に対して、保有している商品すなわち在庫の数量が適正の水準を超えてしまっている状態を指します。

ここで重要なのは、単に「倉庫に置いてある商品の数が多いこと」自体が過剰在庫なのではない点です。将来的に需要が見込まれ、計画的にストックされている商品は「適正在庫」と見なします。しかし、「売れる見込みがない」「想定よりも売れ行きが鈍い」といった状態にもかかわらず在庫を抱え続けている場合は、すべて「過剰在庫」となります。

「余剰在庫」「滞留在庫」「デッドストック」との違い

過剰在庫と似た言葉に「余剰在庫」「滞留在庫」「デッドストック」があります。社内報告や提案書などで正しく使い分けられるよう、以下の違いを押さえておきましょう。


用語状態・ニュアンス販売の見込み
過剰在庫需要に対して在庫の数量が適正水準を超えている状態条件変更や値引きなどによって販売できる可能性あり
余剰在庫今後の販売・使用予定がなく、完全に在庫が余っている状態販売の見込みが低く、処分や廃棄を検討すべき段階
滞留在庫商品の入荷から長期間が経過し、倉庫に留まったまま動いていない状態売れ行きが鈍化しており、放置するとデッドストック化する恐れあり
デッドストック品質劣化、型落ち、トレンド終了などにより、商品としての価値が実質ゼロになった在庫通常販売は不可能なため、廃棄処分の対象

過剰在庫が発生する4つの主な原因

過剰在庫を根本から解決するためには、「なぜ余計な在庫が発生してしまうのか」という構造的な原因を把握することが不可欠です。

1. 需要予測の精度不足・見誤り

最大の原因は、将来の需要予測が外れてしまうことです。「過去に売れたから今回も売れるはずだ」という担当者の勘や経験だけに頼った発注をしたり、あるいは季節変動やトレンドの急変などを見落とした甘い販売計画を立ててしまったりすると、実際の売上と仕入数の間に大きな乖離が生じます。

2. 発注・製造の仕組み

仕入先・製造元との契約条件や発注ルールも、過剰在庫を引き起こす一因となります。

過剰在庫を招きやすい発注・製造の仕組み

  • 最小発注数量(MOQ):単価を下げるために「まとめ買い(スケールメリット)」を優先し、本来必要な数以上のロットで購入してしまう
  • 調達リードタイム:海外生産など発注から納品までが長い場合、欠品を恐れて多めに発注してした結果、到着した頃にはブームが終わっている

3. 社内部門間の連携不足

社内各部門の目標の違いやコミュニケーション不足なども影響します。例えば、営業部門は「機会損失(売切れによる失注)を絶対に避けたい」ため多めの在庫を要求します。その一方で、購買・物流部門は「保管コストを抑えたい」と考えます。リアルタイムな販売データの共有や部門間の調整が行われていないと、営業の要望に合わせて過剰に仕入れてしまいがちです。

4. 「リアルタイムな在庫状況」の不透明化

紙の伝票やExcel(エクセル)での手入力など、アナログな方法で在庫を管理している企業に多いのが、「現在の正確な在庫数がわからない」という問題です。実在庫と帳簿上の数値に乖離があると、倉庫にある商品を追加発注してしまったり「どこに何が何個あるのか」を把握できずに放置されたりして、過剰在庫と化してしまいます。

過剰在庫を放置する経営上のリスク

「売れ残っていても、いつか売れれば問題ない」と放置するのは危険な考え方です。過剰在庫は、企業の経営体質をじわじわと圧迫します。過剰在庫がもたらすリスクを理解しておきましょう。

キャッシュフローの悪化

会計上、在庫は資産(棚卸資産)として扱われますが、実態は「商品に形を変えた現金」です。

仕入代金として一度支払った現金は、商品が売れるまで手元に戻りません。売れ残り(過剰在庫)が増えるということは、現金が倉庫に固定化され、新たな仕入れや設備投資、人件費の支払いに使える運転資金(キャッシュ)が減ることを意味します。キャッシュフローの悪化は、いわゆる「黒字倒産」の引き金になりかねません。


【関連記事】
黒字倒産とは?起こる理由や回避するためのポイントを解説

管理コスト・保管費用の増大

在庫を保持し続けるだけで、日々コストが発生します。代表的な管理コスト・保管費用には以下のようなものがあります。

管理コスト・保管費用の一例

  • 倉庫の賃料やラックの占有費用
  • 在庫の移動や整理、棚卸しにかかる人件費
  • 商品の管理に必要な光熱費(温度・湿度管理など)
  • 火災保険などの各種保険料

過剰在庫があるせいで、「過剰在庫がなければ発生しなかったはずの無駄な維持管理費」が毎月固定費として削られていくのです。

商品価値の低下

時間が経つほど、商品の価値は低下するもの。アパレルや食品、日用品などは、時間の経過とともに品質が劣化したり、流行が過ぎ去ってしまったりします。また、電子機器などの型落ちも同様です。

さらに会計処理上、商品の時価が取得原価よりも下落した場合は「棚卸資産評価損」を計上する必要があります。これにより特別損失や営業利益の減少として決算書へもダイレクトに悪影響を与えます。

今すぐ過剰在庫を解消する4つの方法

抱えてしまった過剰在庫を早期に現価化し、倉庫スペースを空けるための即効性のあるアプローチを紹介します。

1. セール・値引き販売

最も手軽で迅速な方法は、割引販売です。以下のような選択肢があります。

  • クリアランスセール・アウトレット販売:自社ECサイトやECモール、店舗などで期間限定セールを実施します。
  • セット販売・バンドル販売:売れ筋商品と過剰在庫商品を組み合わせて割引価格で販売することで、客単価を高めつつ在庫を消化できます。

2. 専門の在庫買取業者・BtoBプラットフォームの活用

自社のメインチャネルで大幅な値下げを行うことには、「ブランドイメージが損なわれる」「定価で買ってくれなくなる」といった懸念があります。そういった懸念がある場合、法人専門の在庫買取業者やBtoBの在庫処分プラットフォームを利用するのが効果的です。クローズドな市場で一括売却できるため、ブランド価値を保ったまま現金を回収できます。

3. 販路の開拓・変更

国内の既存顧客には響かなくなった商品でも、別の市場では需要が存在するというケースがあります。例えば、海外向けEC(クロスボーダーEC)での販売、これまで出店していなかった別ターゲット層向けECモールへの出品、催事場・フリーマーケットへの出品など、販売ルートを変えてみるのも有効です。

4. 廃棄処分

どうしても売却や引き取りの手立てがない場合は、最終手段として廃棄処理を行います。廃棄すると損失にはなりますが、税務上は「商品廃棄損」として損金(費用)に計上できます。これにより課税所得を圧縮し、結果として法人税などを削減する節税効果が得られます。

ただし、税務調査対策として「廃棄した事実を証明する写真」や「廃棄業者のマニフェスト(証明書)」を保管しておく必要があります。

過剰在庫を防ぐための適正管理と予防策

在庫処分によって一時的に過剰在庫問題が解消しても、運用フローが変わらなければ再びどこかで過剰在庫が発生する可能性は高いでしょう。そうならないように、再発を防ぐための仕組み作りを進める必要があります。

以下で、過剰在庫を防ぐための管理方法と予防策について解説します。

適正在庫の計算と基準の策定

感覚や過去の成功例に頼った発注をやめ、数値に基づいた適正在庫の基準を設けましょう。過去の販売実績、リードタイム、需要の振れ幅から「安全在庫(欠品を起こさない最低限の在庫数)」と「発注点(発注をかけるタイミングとなる在庫数)」を算出し、ルール化を徹底することで過剰在庫のリスクは低減できます。

需給予測の精度向上とサプライチェーン管理の最適化

需要予測には、単なる前年比だけでなく、季節要因、市場トレンド、プロモーション計画などの複合データを反映させましょう。また、仕入先や製造元との間で情報共有を密にし、小ロット発注やリードタイム短縮の交渉を行うなど、サプライチェーン全体の柔軟性を高めることが重要です。

リアルタイムでの在庫可視化

倉庫の「今の状態」を誰でも正確に把握できる環境・仕組みを整えることも重要です。バーコードやQRコード、RFIDなどを活用した「在庫管理システム」や「クラウド型ハンディターミナル」を導入すれば、入出庫データをリアルタイムに自動反映できます。それにより手入力によるミスを防ぎ、実在庫とデータのズレをゼロに近づけることが可能です。

定期的な棚卸しとABC分析の実施

在庫の健康状態を保つために、定期的な分析と棚卸しを行いましょう。売上高や出荷頻度に応じて商品をランク分けする「ABC分析」が有効です。

ABC分析とは、すべての在庫を「売上高(もしくは利益)」の大きい順に並べ、累積の構成比に応じてA・B・Cという3つのグループに分類する手法です。売れ筋の「Aグループ」は重点管理、動きの鈍い「Cグループ」は過剰発注を防ぎつつ管理工数を減らす、といったように管理方法にメリハリをつけることで、限られたリソースでも不良在庫のリスクを効果的に抑えられるようになります。

まとめ

過剰在庫は単なる「倉庫のスペース問題」にとどまらず、キャッシュフローを停滞させ、企業の財務体質を直撃する重大な経営課題です。

過剰在庫が発生した場合は、セールや買取業者を活用して「早期の現金化」を図ると同時に、なぜ発生したのか原因を究明して改善を図りましょう。そして、適正在庫の設定や在庫管理システムの活用によって「二度と過剰在庫を作らない仕組み」を構築していくことが、持続可能な店舗・事業運営への近道となります。

よくある質問

過剰在庫と余剰在庫の違いは?

過剰在庫は「需要に対して保有量が適正水準を超えている状態」を指します。価格見直しや販売チャネルの変更などにより、まだ販売できる見込みがある在庫です。一方、余剰在庫は「今後の販売や使用予定がなく完全に余っている状態」を指し、よりデッドストック(売れ残り・廃棄)に近いニュアンスを含みます。

詳しくは記事内の「「余剰在庫」「滞留在庫」「デッドストック」との違い」をご覧ください。

過剰在庫を放置するとどのような影響がある?

過剰在庫を放置すると仕入費用が棚卸資産として計上され続けるため、現金が減っているにもかかわらず見かけ上の利益が多く算出される状態に陥ります。また、商品価値が低下した場合は「棚卸資産評価損」を計上する必要が生じ、結果として営業利益や純利益を圧迫するため注意が必要です。

詳しくは記事内の「過剰在庫を放置する経営上のリスク」をご覧ください。

過剰在庫を防ぐための方法はある?

  • 適正在庫の計算と基準の策定
  • 需給予測の精度向上とサプライチェーン管理の最適化
  • リアルタイムでの在庫可視化
  • 定期的な棚卸しとABC分析の実施

などによって、過剰在庫のリスクは低減することができます。

詳しくは記事内の「過剰在庫を防ぐための適正管理と予防策」をご覧ください。

freee在庫管理の詳細を見てみる

今なら30日間無料でお試し可能
登録はメールアドレスのみ