発送代行とは、EC事業者や通販事業者に代わって、商品の入荷から在庫管理、ピッキング、梱包、出荷までの物流業務を専門業者が担うサービスです。近年はEC市場の拡大や物流業界の人手不足を背景に、多くの企業で活用が進んでいます。
本記事では、発送代行の概要や種類、利用するメリット・注意点、費用相場、失敗しない業者の選び方までわかりやすく解説します。
目次
- 発送代行とは
- 発送代行の需要が拡大している背景
- EC市場の拡大
- 物流の2024年問題の影響
- 人手不足の深刻化
- 発送代行と関連サービス
- 3PLとは
- フルフィルメントとは
- 発送代行を利用するメリット
- コア業務に集中できる
- 発送品質の向上が期待できる
- 物流コストを最適化できる
- 在庫保管スペースの確保が不要になる
- 急な注文増にも柔軟に対応できる
- 発送代行を利用する際の注意点
- 自社に物流ノウハウが蓄積しにくい
- 個人情報漏えいのリスクがある
- 梱包や個別対応など事前の要件整理が必要
- 発送代行の費用相場と料金体系
- 発送代行の費用構成
- 発送代行の相場目安
- 失敗しない発送代行業者の選定ポイント
- 倉庫のスペック・出荷可能数
- 自社システムとの連携性
- コミュニケーションのしやすさ
- 取扱商材との適合性
- まとめ
- よくある質問
発送代行とは
発送代行とは、EC事業者や通販事業者に代わって、商品の入荷から在庫管理、ピッキング、梱包、出荷までの物流業務を専門業者が担うサービスです。発送業務を外部へ委託することで、自社で倉庫や人員を確保する負担を軽減でき、商品の保管から発送までを効率的に運用できます。
発送代行業者が対応する業務範囲はサービスによって異なりますが、一般的には以下の5つの工程を代行します。
発送代行業者が担う5つの工程
- 入荷:納品された商品の受け入れ・検品
- 在庫管理:在庫数・入出庫状況の管理
- ピッキング:受注内容に応じた商品の取り出し
- 梱包:配送できる状態への梱包
- 出荷:配送会社への引渡し・発送
発送代行業者のなかには、これらの基本業務に加え、返品対応やギフトラッピング、カスタマーサポート、ECシステムとの連携などに対応している場合もあります。自社が委託したい業務範囲を明確にしたうえで、対応可能な発送代行業者を選定することが重要です。
発送代行の需要が拡大している背景
発送代行の需要は、EC市場の成長や物流業界を取り巻く環境の変化を背景に拡大しています。とくに近年は、EC利用の定着によって多品種・小ロットの出荷が増え、物流業務の効率化や配送品質の維持がこれまで以上に重視される傾向にあります。
主に発送代行の需要が拡大している要因は、以下の3点です。
EC市場の拡大
近年はインターネット通販の利用が一般化し、BtoC・BtoBを問わずEC市場は拡大を続けています。それに伴い、企業が取り扱う受注件数や出荷件数も増加しており、物流業務の負担は年々大きくなっているのが現状です。
とくに、セールやキャンペーンなどで注文が急増すると、自社だけでは出荷対応が追いつかないケースも少なくありません。発送代行を活用することで、注文量の増加にも柔軟に対応しやすくなり、安定した物流体制の構築につながります。
物流の2024年問題の影響
物流の2024年問題により、トラックドライバーの時間外労働に上限規制が適用され、輸送力の低下や物流コストの上昇などが懸念されています。それに伴い、配送リードタイムの長期化や配送能力の不足など、荷主企業の物流体制にもさまざまな影響が及んでいます。
こうした状況を受け、物流業務の効率化や安定した出荷体制の構築に向けて、発送代行サービスを活用する企業も増えています。発送代行業者は複数の配送会社とのネットワークや物流ノウハウを持つため、配送効率の改善や繁忙期を含めた安定した物流体制の構築につながるでしょう。
人手不足の深刻化
近年の日本では、少子高齢化や労働人口の減少などを背景に物流業界に限らず人手不足が深刻化しています。EC事業においては、倉庫内での入出荷作業や在庫管理を担う人材の確保が難しくなり、物流体制を維持する負担が増加しているといえるでしょう。
また、EC事業の成長に伴って出荷量が増える一方、人員を柔軟に増やすことが難しいケースもあります。発送代行を利用すれば、物流業務を専門業者へ委託できるため、人材確保や教育にかかる負担を軽減しながら、事業規模に応じた物流体制を整えやすくなります。
発送代行と関連サービス
発送代行とあわせて比較されるサービスとして、3PLやフルフィルメントがあります。いずれも物流業務を外部へ委託するサービスですが、対応する業務範囲や目的が異なります。
自社が委託したい業務や物流課題に応じて適切なサービスを選ぶことで、業務効率化や物流品質の向上が期待できます。
3PLとは
3PL(Third Party Logistics)とは、企業の物流業務全体を第三者の専門事業者が包括的に請け負うサービスです。入出荷や在庫管理に加え、物流戦略の立案や配送ネットワークの構築、物流コストの最適化など、物流全体の運営を支援します。
発送代行が主に商品の保管・梱包・出荷などの物流実務を代行するのに対し、3PLは物流全体の改善や効率化まで支援する点が特徴です。物流体制を見直したい企業や、事業拡大に合わせて物流戦略を最適化したい企業に適しています。
フルフィルメントとは
フルフィルメントとは、EC事業における受注後の業務を一括で代行するサービスです。一般的には、受注管理、在庫管理、ピッキング、梱包、出荷、返品対応、カスタマーサポートなどが含まれます。
発送代行が物流業務を中心とするサービスであるのに対し、フルフィルメントは受注処理や返品対応なども含めたEC運営全体を支援する点が特徴です。EC事業全体の運営業務を効率化したい場合は、フルフィルメントサービスの活用も選択肢のひとつとなるでしょう。
発送代行を利用するメリット
発送代行を活用すると、物流業務の負担を軽減できるだけでなく、事業運営全体にもさまざまな効果が期待できます。自社で物流体制を構築・維持する場合と比べて、業務効率やコスト面でメリットを得られるケースも少なくありません。
ここでは、発送代行を利用する主なメリットを紹介します。
コア業務に集中できる
商品の入荷や在庫管理、梱包、出荷といった物流業務を発送代行業者へ委託することで、自社のリソースを商品開発やマーケティング、販促活動、顧客対応などのコア業務へ振り向けられます。
とくに少人数でEC事業を運営している企業では、発送業務に多くの時間を割かれてしまうこともあります。物流業務を外部へ任せることで、事業成長につながる業務へより多くの時間を充てられるでしょう。
発送品質の向上が期待できる
発送代行業者は物流業務を専門としているため、作業手順や品質管理の仕組みが整備されています。バーコード管理や検品体制を導入している業者も多く、誤出荷や発送ミスの防止にもつながります。
また、適切な梱包方法や迅速な出荷体制を構築している業者を選ぶことで、配送品質の向上や顧客満足度の向上も期待できます。
物流コストを最適化できる
発送代行を利用すると、倉庫の賃料や設備投資、人件費など、自社で物流業務を運営するための固定費を抑えやすくなります。出荷量に応じた料金体系を採用している業者も多く、物流コストを変動費化できる点もメリットです。
また、発送代行業者は複数の荷主の物流をまとめて運営しているため、配送会社との契約条件や倉庫運営の効率化によって、自社で運営するよりコストを抑えられる場合があります。
在庫保管スペースの確保が不要になる
発送代行業者の倉庫を利用することで、自社で商品の保管スペースを確保する必要がなくなります。オフィスや店舗に在庫を置く必要がなくなるため、限られたスペースを本来の業務に活用できます。
また、事業の成長に伴って取扱商品や在庫量が増えても、自社で新たな倉庫を契約したり設備を増設したりする負担を軽減できる点もメリットでしょう。
急な注文増にも柔軟に対応できる
セールやキャンペーン、季節イベントなどで注文が急増すると、自社だけで発送業務を対応することが難しくなる場合があります。
発送代行業者は一定の人員や設備を備えているため、繁忙期の出荷量増加にも対応可能な体制を整えているのが特徴です。出荷量が突然増加しても、出荷遅延や発送ミスのリスクを抑えながら、安定した物流体制を維持しやすくなります。
発送代行を利用する際の注意点
発送代行は物流業務の効率化に役立つ一方で、委託先に業務を任せるからこそ考慮すべき点もあります。導入後のトラブルを防ぐためには、メリットだけでなく注意点も理解したうえで、自社に適した発送代行業者を選定することが大切です。
ここでは、発送代行サービスを利用する際の注意点について解説します。
自社に物流ノウハウが蓄積しにくい
発送業務を外部へ委託すると、自社で物流業務に携わる機会が減るため、物流に関するノウハウや改善の知見が社内に蓄積しにくくなる可能性があります。また、物流工程の課題や改善点を把握しづらくなる点も注意したいポイントです。
将来的な内製化や自社のノウハウ蓄積を検討している場合は、物流状況を可視化できるレポートの提供や、定期的な改善提案を行っている発送代行業者を選ぶと、委託後も物流の状況を把握しやすく、自社の物流戦略にも役立てやすくなります。
個人情報漏えいのリスクがある
発送代行では、配送先の氏名や住所、電話番号などの個人情報を委託先と共有します。そのため、情報管理体制が不十分な業者を選ぶと、情報漏えいにつながるリスクがあります。
委託先を選定する際は、情報セキュリティに関する認証の取得状況や、個人情報の管理体制、従業員への教育体制なども確認しておくと安心です。
梱包や個別対応など事前の要件整理が必要
発送代行業者によって対応できるサービス内容は異なります。オリジナル資材での梱包やギフトラッピング、販促物の同梱、返品対応など、自社が求める運用に対応できるか事前に確認しておく必要があります。
また、出荷ルールや納期、繁忙期の対応方法などを事前にすり合わせておくことで、運用開始後の認識違いやトラブルを防ぎやすくなります。
発送代行の費用相場と料金体系
発送代行の費用は、依頼する業務範囲や出荷件数、取扱商材、料金体系などによって異なります。また、業者ごとに費用項目や料金の設定方法が異なるため、見積もりを比較する際は、総額や料金に含まれる内容を確認することが重要です。
ここでは、発送代行にかかる主な費用の構成と、一般的な費用相場を紹介します。自社で発送業務を行う場合のコストと比較する際の参考にしてください。
発送代行の費用構成
発送代行の費用は、一般的に「固定費」、「変動費」、「オプション費用」の3つで構成されています。
| 費用 | 支払い | 内容 |
|---|---|---|
| 固定費 | 月額 | 基本料金、システム利用料など、出荷件数に関わらず毎月発生する費用 |
| 変動費 | 都度 | 入庫費・保管費・ピッキング費・梱包費・配送費など、出荷件数や在庫量に応じて変動する費用 |
| オプション (追加費用) | 都度 | ギフトラッピング、流通加工、繁忙期割増、返品処理費など、必要に応じて発生する費用 |
発送代行業者を比較する際は、基本料金や各作業の単価だけでなく、月間の総額で比較することが大切です。基本料金が低く設定されていても、オプション費用や追加料金によって総コストが高くなる場合があります。
見積もりを依頼する際は、月間の出荷件数やSKU数、商品サイズなどの条件をそろえたうえで比較すると、各社の違いを把握しやすくなります。
発送代行の相場目安
発送代行の費用相場は、業者や取扱商材、契約内容によって異なりますが、一般的な目安は以下のとおりです。
| 費用項目 | 相場目安 |
|---|---|
| 基本料金 | 月額 30,000円 〜 50,000円程度 |
| 入庫費用 | ・単品:1個あたり10円〜30円 ・箱/ケース:1箱あたり30円〜150円 |
| 検品費用 | 1個あたり10円〜30円 |
| 保管費用 | 1坪あたり4,500円〜7,000円程度 |
| ピッキング費用 | 1個あたり10円〜30円 |
| 梱包費用 | 1件あたり150円〜400円程度 |
| 配送費用 | ・60サイズ:400円〜800円程度 ・80サイズ以上:600円〜1,000円程度 |
なお、料金体系は、費用項目ごとに単価が設定されるタイプと、配送料や作業料、梱包資材費などをまとめた定額タイプに分かれます。
料金に含まれるサービス内容は業者によって異なるため、見積もりを比較する際は、どこまでが基本料金に含まれ、追加費用が発生する条件は何かを確認しておくとよいでしょう。
失敗しない発送代行業者の選定ポイント
発送代行業者は、それぞれ対応できる商材やサービス内容、運用体制が異なります。自社の事業規模や物流要件に合わない業者を選ぶと、出荷品質の低下や運用負荷の増加を招くリスクがあります。
ここでは、発送代行業者を選ぶ際に確認しておきたいポイントを紹介します。
倉庫のスペック・出荷可能数
まず確認したいのが、倉庫の設備や保管能力、対応可能な出荷数です。取扱商品や出荷量に対して十分な保管スペースがあるか、繁忙期でも安定して出荷できる体制が整っているかを確認しましょう。
また、冷蔵・冷凍保管や危険物保管など特殊な設備が必要な商材を扱う場合は、自社の要件に対応できる倉庫かどうかも重要な確認項目です。
自社システムとの連携性
発送代行業者が利用しているシステムと、自社のECカートや受注管理システム、在庫管理システムなどを連携できるかも確認しておきましょう。
システム連携が可能であれば、受注データや在庫情報を自動で反映できるため、手入力によるミスを防ぎながら業務効率を向上できます。対応しているECモールや各種システム、API連携の可否などもあわせて確認しておくと安心です。
コミュニケーションのしやすさ
発送代行は継続的に連携しながら運用するため、担当者とのコミュニケーションが取りやすいかどうかも重要な判断材料です。
問い合わせへの対応スピードや連絡手段、トラブル発生時のサポート体制などを事前に確認しておくことで、運用開始後もスムーズに連携しやすくなります。また、定期的な報告や改善提案を行ってくれる業者であれば、物流品質の維持・向上にもつながるでしょう。
取扱商材との適合性
発送代行業者には、それぞれ得意とする商材や業界があります。アパレルや化粧品、食品、医療機器など、商材によって必要な保管方法や梱包方法、品質管理の基準は異なります。
自社の商品を適切に取り扱える実績があるか、同業種での支援経験があるかを確認しておくことで、運用開始後のトラブルを防ぎやすくなります。あわせて、ギフト包装やセット組みなど、自社独自の物流要件に対応できるかも確認しておくとよいでしょう。
まとめ
発送代行とは、商品の入荷から在庫管理、ピッキング、梱包、出荷までの物流業務を専門業者へ委託できるサービスです。物流業務の負担を軽減できるだけでなく、コア業務へのリソース集中や発送品質の向上、物流コストの最適化など、さまざまなメリットが期待できます。
一方で、業者によって対応範囲や料金体系、得意とする商材は異なります。発送代行を導入する際は、自社の物流課題や委託したい業務を整理したうえで、システム連携やサポート体制なども含めて比較・検討することが、自社に適した発送代行業者を選ぶポイントとなるでしょう。
よくある質問
発送代行とは?
発送代行とは、商品の入荷・在庫管理・ピッキング・梱包・発送などの物流業務を専門業者へ委託できるサービスです。EC事業者を中心に導入が進んでおり、業務効率化やコスト削減、コア業務への集中につながります。
詳しくは、記事内「発送代行とは」をご覧ください。
発送代行と3PL・フルフィルメントの違いは?
発送代行は出荷業務を代行するサービスである一方、3PLは物流全体の最適化を担い、フルフィルメントは受注から配送、返品対応までを含めた一連の業務を代行します。それぞれ対応範囲や役割が異なる点が特徴です。
詳しくは、記事内「発送代行と関連サービス」をご確認ください。
発送代行の費用相場は?
発送代行の費用は、初期費用や保管料、入出庫料、ピッキング料、梱包料、配送料などを組み合わせた料金体系が一般的です。相場は商材や出荷量、依頼内容によって大きく異なるため、複数社で見積もりを比較することが重要です。
詳しくは、記事内「発送代行の費用相場と料金体系」をご確認ください。
