福利厚生の基礎知識

福利厚生代行とは?注目されている理由や企業の活用メリット、料金プラン、代表的なサービスについて解説

福利厚生代行とは?注目されている理由や企業の活用メリット、料金プラン、代表的なサービスについて解説

福利厚生代行とは、企業の福利厚生に関わる業務を外部の専門業者に委託すること、もしくはそのサービスを指す言葉です。

福利厚生(ベネフィットサービス)は、人材不足に悩む企業にとって優秀な人材を確保するための重要な手段のひとつです。しかし、「ここで働きたい」と求職者や従業員に思わせる魅力的なサービスを効率よく提供することは難しいことも多く、各社さまざまな課題を抱えています。

本記事では、福利厚生代行サービスの導入方法や費用、メリットについて解説します。企業が導入する際の主な料金体系や、注意点もまとめたので参考にしてみてください。

目次

中小企業にも大企業並みの福利厚生を!

日常の出費削減と手取りアップを実現する、2つの福利厚生サービス。



低コストで始めやすく、従業員も本当に「嬉しい」サービスです。従業員の生活を豊かにすることで、会社への満足度も向上します。

福利厚生とは

福利厚生とは、従業員やその家族に対して提供する給与以外の報酬やサービスのことです。具体的には、社会保険制度のように法的に定められている「法定福利厚生」と、企業が独自に制定あるいは導入できる「法定外福利厚生」の2種類があります。特に、法定外福利厚生は企業のイメージアップにもつながることから、就職活動中の人材が重視するポイントにもなっています。

福利厚生は社内で独自に実施・提供するものもありますが、近年ではアウトソーシングで利用できる「福利厚生代行」の選択肢も注目されています。

福利厚生代行とは

福利厚生代行とは、企業の福利厚生に関わる業務を外部の専門業者に委託して代行してもらうこと、もしくはそのサービス自体を指す言葉です。福利厚生業務をアウトソーシングすることで、担当部署の負担軽減やコストの削減、企業イメージの向上などにつながります。

企業向けの福利厚生サービスが誕生した背景

従来、福利厚生は人事部や総務部が提供を担うケースが一般的でした。しかし、1990年代初頭のバブル崩壊後、多くの企業は経営効率化とコスト削減を迫られるようになります。運用負担の大きい福利厚生制度が見直されていくなか、効率的に福利厚生を提供できる専門業者や専門サービスが登場しはじめました。

現在では、多くの企業が福利厚生業務のアウトソーシングを活用しながら採用強化や人材定着といった経営課題に対応しています。

福利厚生代行の主なサービス内容

企業向け福利厚生サービスでは、企業が自社で行っていた福利厚生業務をまとめて委託できます。

主なサービス内容

  • 制度の導入や設計サポート
  • 社内従業員への周知
  • 従業員からの問い合わせ対応

自社の従業員に適した内容を考えたり、制度として導入するための企画を立案したりする業務を任せることで、自社内のリソース確保や生産性向上も期待できます。そのため近年では、福利厚生代行を経営課題の解決策のひとつとして戦略的に活用している企業も増えています。

福利厚生代行が注目されている理由

少子高齢化により生産年齢人口の減少が進み、多くの企業で人手不足が深刻な課題となっています。また、近年ではワークライフバランスを重視する人材が増加しており、優秀な人材を確保するには「働きやすい職場環境の整備」が欠かせません。

中小企業の課題

競合他社より福利厚生が充実していれば、従業員のエンゲージメント向上や採用力強化が期待できます。しかし、ワークライフバランスを重視する人材の増加にあいまって多様な働き方が広がる一方、人的リソースや予算に限りがある中小企業が独自に魅力的なベネフィットサービスを用意・提供するのは簡単ではありません。

効率化の必要性

福利厚生制度を自社で企画・導入し、運営・管理していくには、専門知識や多くの労力が必要です。情報収集、業者選定、利用管理、従業員からの問い合わせ対応など、担当部署の負担は小さくないでしょう。また、福利厚生制度の運用においては全従業員に対する公平性なども考慮しなければなりません。

こうした課題から、福利厚生代行を活用して業務効率化を図ると同時に、公平な制度運用を実現することの必要性を感じている企業が増えています。

人気の福利厚生の導入方法・費用

福利厚生の内容は、企業によってさまざまです。特に多くの企業に導入されている人気の福利厚生には、「食堂・昼食補助」「住宅手当・家賃補助」「余暇施設・宿泊施設・レジャー施設などの割引制度」の3点があります。

以下で、人気の福利厚生制度の導入方法や費用について解説します。

食堂・昼食補助

食堂・昼食補助は、社内または企業が入っているビル内の食堂を利用できたり、食事代の一部を補助したりする制度です。安く食事ができるほか、バランスのとれた食事で従業員の健康維持の一助になります。

導入方法

導入方法として一般的なのは、社内食堂の設置や社食サービスの導入です。ほかにも、企業周辺の飲食店と提携して一律価格で食事ができるクーポンを支給したり、食費補助を給与に加算したりする方法があります。

導入費用

食堂・昼食補助の費用を福利厚生費として計上するには、「1人あたり月3,500円以下」に収める必要があります。また、従業員が価格の半分以上を負担していることも条件となるので注意しましょう。

住宅手当・家賃補助

住宅手当・家賃補助は、継続的に支払っている家賃や住宅ローンの一部を補助する制度です。家賃は生活費の中でも金額が大きいため、就職活動の際に住宅手当の有無を重要視する人も多くいます。

導入方法

給与に手当を加算する方法、もしくは住宅を企業側で契約して補助を上回る分の金額を給与から天引きする方法が一般的です。転勤の有無や勤続年数、家族構成など、支給対象の範囲やルールを事前に決めておく必要があります。

導入費用

費用は1人あたり月10,000円〜20,000円が一般的です。また、従業員に社宅や寮などを貸している場合、従業員から賃料相当額の50%以上を徴収することで法人負担分を経費計上できます。

賃貸料相当額の計算方法については、別記事の「借り上げ社宅の家賃は経費にできる?借り上げ住宅で家賃を設定するべき理由と賃貸料相当額の計算方法について解説」をあわせてご確認ください。

余暇施設・宿泊施設・レジャー施設などの割引制度

割引制度は、従業員やその家族が対象となるレジャー施設や宿泊施設を格安で利用できる制度です。従業員の休暇の充実度を上げることが目的の福利厚生で、働き方改革が進む現代に沿った制度といえます。

導入方法

施設の割引制度導入には、福利厚生サービスと契約する必要があります。さまざまな種類の福利厚生サービスがあるので、地域や予算、従業員のニーズなどをもとに検討しましょう。

自社で施設を保有している場合には、利用規定を取り決めます。

導入費用

福利厚生サービスを活用する場合の費用の目安は、1人あたり月数百円から2,000円程度です。自社保有の施設を提供する場合は、一定の割合で利用料金を設定すれば維持費などの費用削減につながります。ただし、利用者が多ければ法人の費用負担も増加する可能性があります。

福利厚生代行サービスを利用するメリット

福利厚生を従業員に提供する際には、福利厚生代行サービスの利用がおすすめです。福利厚生代行サービスを利用すれば、企業側は利用料を支払うだけですでに用意されているさまざまな福利厚生を従業員に提供できます。

より幅広いサービスを従業員に提供できる

企業向け福利厚生サービスを利用すれば豊富なサービスを提供できるため、従業員の満足度向上につながります。福利厚生は「従業員が公平に利用でき、満足できること」が求められますが、従業員の年齢層やライフスタイルには幅があり、全員が満足する福利厚生を自社のみで整備するのは容易ではありません。

福利厚生代行サービスには、旅行・フィットネス・学習・レジャー・健康など、豊富な選択肢が用意されています。従業員は自分が利用したいものを選べるため自由度が高く、広範なニーズを満たしてくれるでしょう。多様な福利厚生の整備はワークライフバランスの改善にもつながり、従業員からの「会社は自分のライフスタイルを尊重してくれる」という信頼感を育むことも期待できます。

近年では、給与や賞与だけでなく福利厚生の充実度を判断基準とする求職者が増えています。福利厚生の充実は企業のイメージの向上につながり、優秀な人材を引きつける強力な武器になり得ます。

福利厚生導入にかかる費用・工数を抑えられる

福利厚生の導入にあたっては、運用のルールやプランを決めるための時間や提携先を見つける手間、実際に支払う費用など、多くのマンパワーやコストがかかります。自社で福利厚生を一から整備するには、飲食店やスポーツジム、宿泊施設など多くの施設と個別に契約を結ぶ必要があり、担当者には大きな負担となってしまうでしょう。

福利厚生代行サービスを利用すれば、月額費用のみで幅広いサービスを利用できます。多くの施設と提携済みのため個別契約の手間がないほか、運用まで任せることができ、導入にかかる工数を最小限に抑えられるのは大きなメリットです。

人手不足を解消し、社内の生産性を向上できる

福利厚生の運用には、サービスの選定から契約、日々の管理、問い合わせ対応まで、膨大な人的リソースがかかります。福利厚生代行サービスを活用すれば、本来注力すべきコア業務に集中できるため、生産性の向上や人手不足の解消も期待できるでしょう。

また、福利厚生代行サービスのなかには、社内ニーズの分析や調査を行い、自社の従業員構成や要望に合わせたサービス提案をしてくれるものもあります。最新情報やトレンドを提供してくれるため自社でサービスや情報を更新する必要がなく、時代に合った福利厚生の提供が容易です。

従業員のニーズに合った福利厚生制度の導入は、仕事へのモチベーションや会社への帰属意識を高め、離職率を低くすることにもつながります。

福利厚生代行サービスの主な料金体系

福利厚生代行サービスには、主に「パッケージプラン」と「カフェテリアプラン」の2種類があります。導入目的を明確化し、自社のニーズに合致した福利厚生を整備することが重要です。サポートの充実度なども考慮し、費用対効果で検討するのも手でしょう。

パッケージプラン

パッケージプランとは、福利厚生代行サービスを提供する企業があらかじめサービスをパッケージ化しているものです。企業は従業員のニーズや予算に合うプランを選ぶだけで、複数の福利厚生サービスを利用できます。

パッケージプランでは自社で内容を精査したり個別契約したりする手間がなく、従業員にとって満足度の高い福利厚生を提供できる点がメリットです。他企業も同じサービスを利用している場合が多いため、内容の質で劣る心配もありません。運用の手間が一切ないうえに比較的安価で、導入しやすい点も利点といえるでしょう。

従業員数が多く、ニーズを的確に把握しにくい大企業に適したサービスです。

カフェテリアプラン

カフェテリアプランは、企業が独自に福利厚生をパッケージ化して従業員に提供するもので、限られた予算の中で求職者にアピールしたい中小企業向けのプランです。自社のニーズや従業員の属性などに応じて、独自のプラン作成や運営を依頼できます。

カフェテリアプランでは従業員にポイントを配布し、従業員はそのポイントを使って好みの福利厚生サービスを利用します。好みや生活スタイルに合わせて自由にサービス内容を選べるため、柔軟性や公平性が高い点が魅力です。

いずれも初期費用として入会金が必要で、従業員の人数に応じて月額を支払う料金体系になっています。1人あたりの料金は提供するサービス内容や充実度によって大きく異なり、月額数百円から数千円程度が目安となります。

福利厚生を導入する際の注意点

企業の福利厚生は、求職者が新しい仕事先を探す際に注目するポイントでもあります。働きやすい環境を整えるためには、以下のような点に注意しましょう。

全従業員が偏りなく利用できるか

福利厚生はすべての従業員がメリットを感じられるものでなければなりません。特定の従業員のみが利用できるサービスになってしまうと不公平が生じ、それに不満を感じる従業員が出てきかねないからです。不公平感のある制度になっていないか、多角的に見直しを検討しましょう。

自社に需要があるか

福利厚生にはさまざまな種類がありますが、従業員に利用してもらえなければ意味がありません。長く利用されていない制度や、誰も使った形跡がないサービスは定期的に見直しましょう。自社の従業員に需要のあるかどうかを念頭に、導入するサービスを検討してください。

管理コストが見合うか

法定外福利厚生は、導入するか否かを企業側が自由に決められます。導入を検討する際は、判断基準のひとつとして管理コストを意識しましょう。

たとえ従業員に人気の制度であっても、管理コストがあまりに高ければ維持が難しくなります。定期的に安価なサービスへの変更を検討したり、支給額を見直したりする必要があります。

代行サービスで扱われる主な福利厚生の種類

福利厚生代行では、アウトソーシングによって主に以下のようなサービスを利用できます。企業独自で整備するのが難しい項目も代行サービスを活用すれば広くカバーできるため、従業員にとって魅力的な福利厚生を提供できます。


主な項目概要
宿泊施設の割引宿泊施設や旅行サービスの料金を割引価格で提供
飲食店の優待オフィス内食堂や飲食店を優待価格で利用可能
フィットネスジムの優待フィットネスの利用料金や月会費を割引価格で提供
お祝い制度結婚や出産の祝い金を支払い
・従業員の子どもの入学祝金を支払い
健康管理サービス健康診断や人間ドックを割引価格で提供
自己啓発支援外部教育研修を割引価格で提供
・資格取得にかかる費用を一部補助
・受験料を一部補助
・図書購入にかかる費用を一部補助
レジャー施設の割引レジャー施設を優待価格で利用可能
オンライン学習
プラットフォームの提供
eラーニングコンテンツを提供

代表的な福利厚生代行サービス10選

福利厚生代行を行っている代表的なサービスを10社紹介します。それぞれサービス内容や費用設定が異なるので、自社の従業員規模や求めるサービスを考慮しながら検討しましょう。


サービス名称提供会社
freee福利厚生|ベネフィットサービスフリー株式会社
福利厚生倶楽部株式会社リロクラブ
ベネフィット・ステーション株式会社ベネフィット・ワン
WELBOX株式会社イーウェル
ジンジャー福利厚生jinjer株式会社
giftee Benefit株式会社ギフティ
OFFICE DE YASAI
(オフィスで野菜)
株式会社KOMPEITO
カンリー福利厚生株式会社カンリー
Perkウォンテッドリー株式会社
chocoZAPステーションRIZAP株式会社

まとめ

福利厚生代行サービスを活用することで、企業はコストや人的リソースを節約しながら従業員が望む福利厚生を提供できます。魅力的な福利厚生サービスを多数提供することで、従業員のモチベーションアップやエンゲージメントの向上、さらには優秀な人材の採用強化なども期待できるでしょう。

自社内のニーズや従業員の属性に合わせて、適した内容や料金プランを選択し、コストパフォーマンスの高い福利厚生制度を検討しましょう。

よくある質問

福利厚生代行とは?

福利厚生代行とは、福利厚生サービスの提供を外部の専門業者にアウトソーシングすること、もしくはそのサービスを指す言葉です。制度の導入や設計サポート、従業員への周知、問い合わせ対応などをまとめて依頼できるため、自社のコスト削減や人的リソース確保が期待できます。

詳しくは記事内の「福利厚生代行とは」をご覧ください。

福利厚生代行サービスの主な料金体系は?

福利厚生代行サービスの主な料金体系は、既存のサービスから選択する「パッケージプラン」と、従業員が配布されたポイントをもとにサービスを選べる「カフェテリアプラン」の2種類です。いずれも初期費用として入会金が必要で、月額料金は従業員1人あたり350円~1,000円程度が目安となっています。

詳しくは記事内の「福利厚生代行サービスの主な料金体系」で解説しています。

福利厚生代行サービスで扱われる主な種類は?

福利厚生代行サービスで扱われる主な種類には、宿泊施設や旅行の割引、飲食店の優待、フィットネスジムの優待、結婚・出産などのお祝い制度、健康管理サービスなどがあります。従業員のさまざまなニーズに対応できるため、企業イメージの向上やワークライフバランスの改善も目指せます。

詳しくは記事内の「代行サービスで扱われる主な福利厚生の種類」にて一覧にまとめています。

中小企業にも大企業並みの福利厚生を!

日常の出費削減と手取りアップを実現する、2つの福利厚生サービス。



低コストで始めやすく、従業員も本当に「嬉しい」サービスです。従業員の生活を豊かにすることで、会社への満足度も向上します。