PicoCELA株式会社は、2008年8月8日に設立された九州大学発のITベンチャー企業です。唯一無二の無線多段中継技術を活用し、デジタルツインを実現するプラットフォーマーとして、国内外の市場で事業を展開しています。代表取締役の古川浩氏は九州大学の元教授で、無線通信に関する複数の発明と特許取得実績を持つ技術者でもあります。
同社は独自の特許技術を活用したネットワーク機器の開発・販売を行っており、 その革新的な技術で急成長を遂げてきました。一方、事業拡大に伴い人事労務管理の効率化が課題に。今回、freee人事労務アウトソースを導入いただいた経緯やその効果について、執行役員の中西広祐様、人事担当の友田美沙様にお話を伺いました。
残業代は、手作業で計算していました
――まずは、御社の事業内容について教えていただけますでしょうか。
中西広祐様(以下、中西): 当社は、置くだけで電波のリレーが起こり、どんな場所でもネットワークができる特許技術を持っています。この技術はグランピング場やキャンプ場、建設現場など、国内外累計1000ヶ所以上で活用されています。
当社の創業者である社長(古川浩さま)は、元々3Gの開発メンバーの1人で、NEC退職後に九州大学の教授になりました。その後、研究成果を実用化するために2008年に当社を設立し、2018年からは大学を辞めて当社の経営に専念しています。
簡単に言えば、当社の技術はLANケーブルをほとんど使わずにWi-Fiエリアを広げることが得意です。例えばスキー場全体のWi-Fi化や、大規模建設現場でのネットワーク構築などを行っています。DXが叫ばれる中、ネットワークがないとDXはできないという現実があり、特に広域で配線が難しいエリアでは、当社の技術が重要な役割を果たしています。
――御社は、近年急成長を遂げていると伺いました。人事面での変化についてお聞かせください。
友田美沙様(以下、友田): 当社は、特に直近1年で大きく成長しました。現在の従業員数は50名弱ですが、この1年間で約20名増えています。ITベンチャー企業特有の急成長期にあり、人事労務管理の面でも様々な課題が生じていました。
――具体的には、どのような課題が浮上していたのでしょうか?
友田: まず、バックオフィスのシステムが業務ごとにバラバラで、連携が全くできていませんでした。システム間でデータを連携させるためにCSVでデータを出力し、それを加工して手動で入力する作業が毎月発生していました。
また、給与計算に関しても課題がありましたね。当時使用していた給与システムと当社の給与規程にミスマッチがあり、例えば固定残業代を自動計算することができませんでした。残業代の計算をExcelで行い、その結果を再度システムに取り込む必要があり、人的ミスのリスクが高まっていました。
さらに、入社手続きや各種申請のオンライン化が進んでおらず、急増する従業員の管理に追われる日々でした。このような状況下で、私一人で全ての業務をこなすのが難しくなり、会社としても属人化のリスクを感じていました。これらの課題を解決するため、ちょうど1年前にfreee人事労務アウトソースの導入を決めた経緯があります。
初期設定から運用まで、専門家のサポートを受けられる
――freee人事労務アウトソースを選択された理由をお聞かせください。
友田: まず、当社では以前から会計システムにfreeeを使用していたことが大きな理由の一つです。最終的に全ての情報は会計に流れていくので、人事労務システムも同じfreeeを使用することで連携がスムーズになると考えました。
freee人事労務アウトソースに関しては、初期設定から運用まで専門家のサポートを受けられる点も魅力でした。新しいシステムへの移行は大変な作業ですが、特に給与計算のような重要な業務は社内だけで対応するのは不安があったので。
中西: 実は、以前の職場でも給与業務をアウトソースしたのですが、かえって工数を増やしてしまった経験があります。社労士事務所とのやり取りが全て紙ベースで、デジタル要素が全くなく、ミスも多くて大変でした。そのため、クラウドでのアウトソースができるfreeeのサービスは非常に魅力的でした。
――導入プロセスはスムーズに進みましたか?
友田: 予想以上にスムーズでしたね。freeeさんの方で専任のインプリメンテーション担当の方がついてくださり、しっかりとサポートしていただきました。大事なデータを旧システムから抽出してfreee用に加工する作業などボリュームのある作業もありましたが、他社システムについての知識も 豊富にお持ちであり、大きな問題もなく進めることができました。
給与計算の検算も実施してくださり、他システムとの比較で数字に乖離が生じたことがありました。「これは駄目かもしれない」と思ったのですが、freeeの担当者の方が一つ一つ丁寧に解決してくださいました。どの計算が間違っているのか、どういう設定になっているのかを全て確認し、時にはこちら側のミスが発覚してゾッとすることもありましたが、非常に寄り添って対応してくださったのが印象的でした。
給与計算関連の作業時間は、半分以下に縮小1/2に!
――freee人事労務アウトソース導入後、具体的にどのような業務改善効果がありましたか?
友田: まず、給与計算の効率が大幅に向上しました。以前は、勤怠データの取り込みから給与計算、そして確認作業までかなりの時間を要していました。しかしfreee人事労務アウトソースを導入してからは自動で計算が行われるようになり、確認作業も大幅に短縮されました。
中西: 具体的な工数の変化で言うと、給与計算関連の作業時間は友田が半分ぐらいになったとしたら、私は10分の1ぐらいまで軽減されましたね。以前は給与計算の時期になると2〜3日ほど他の業務に手をつけられない状況でしたが、今ではその時間を他の重要な業務にあてられるようになりました。
友田: またfreeeさんからのアドバイスで、給与支払日を15日払いに変更しました。規程の改定と併せて行ったことで給与計算の余裕が生まれ、心理的なプレッシャーも軽減されましたね。freeeさんからは多くの提案やサポートをいただき、スムーズに実施できました。
――属人化リスクやミス発生リスクの軽減について、具体的な変化を感じられましたか?
友田: 以前はExcelでの作業が多かったため、そのファイルの構造や計算ロジックを理解している人が限られていました。私と経理担当の方しか触れないような状況で、どちらかが不在になると業務が滞るリスクがありました。freee人事労務アウトソースの導入後は属人化のリスクが大幅に軽減されましたね。また、手作業が減ったことで、人為的なミスも明らかに減少しましたね。
中西: 以前は、計算ミスが2ヶ月後くらいに発覚することもありましたが、最近はそういったケースがほとんどなくなりました。システムによる自動計算と、freeeのサポートチームによるダブルチェックにより、ミスの発生リスクが大きく低減されたと感じています。
――従業員の方々の反応はいかがでしたか?何か良い変化はありましたか?
友田: 従業員からの直接的な反応はあまりありませんでしたが、これは逆に言えば、スムーズに移行できたということだと思います。システムが変わったことで何か不便になったという声もなかったので、従業員の視点からも問題なく導入できたのではないかと 考えています。
中西: ただ、小さな変化として、私の妻が「給与明細が見やすくなった」と言っていました。以前の給与明細と比べて、より詳細な情報が載るようになり、わかりやすくなったようです。
友田: また、入社・退社の手続きがオンライン化されたことで、従業員の負担も軽減されました。特に退職時の手続きは、以前は複数の書類を記入する必要がありましたが、今では最終日に会社の備品を返却するだけでほぼ完了します。
最新の労働法令や規定にもサポートいただけるのは、心強い
――今後、freee人事労務アウトソースをどのように活用していく予定でしょうか?
友田: 今後も、人員が増加していくことが見込まれています。freee人事労務アウトソースの活用は、より一層重要になると考えています。特に最新の労働法令や規定の対応について、freeeのオフィスサポートチームの方々が詳しく対応してくださるので大変心強いですね。
例えば、年末調整業務は以前まで大変な負担でした。部屋で資料を広げて、全てをダブルチェックする作業に膨大な時間と労力を費やしていました。freee人事労務アウトソースを導入する前の年は本当に大変でしたね。導入後は「おまかせ」の状態になり、業務負荷が劇的に軽減されました。
月次の業務についても大きな改善がありました。入社手続きや給与計算、各種申請の処理など、以前はダブルチェックを含めて大きな工数をかけていたものが、今では3分の1程度まで軽減されています。
中西: そうですね。年末調整や法改正への対応など、以前は社内でどのように対応すべきか1から考えなければならなかった業務も、今では「ここだけやってください」という形で全て指示してくださるので非常に助かっています。その分の時間は、より重要な業務にあてられるようになりました。
われわれ経営陣としては、業務効率化により固定費を抑えながら事業を拡大したいと考えています。特に管理部門のコストは抑えたいのですが、freee人事労務アウトソースを活用することで人事労務担当者を増やさずに業務をこなせているのは大きなメリットです。
当社はフルリモートで事業を展開しており、今後もその方針を続けていく予定です。freee人事労務アウトソースは、場所を問わずに利用できるクラウドサービスなので、我々の働き方にマッチしています。
――最後に、今後のfreee人事労務アウトソースへの期待や要望があればお聞かせください。
友田: 現在、当社では勤怠システムに別のツールを使用していますが、freee人事労務との連携をより強化していただけると嬉しいですね。
中西: できれば勤怠システムもfreeeに統合できれば理想的です。また、フリーボードの使いやすさについても、さらなる改善を期待しています。例えば、アイコンを増やしたり、未処理 タスクの視認性を高めたりすることで、より直感的に操作できるようになるとありがたいです。
――本日は貴重なお話をありがとうございました。freee人事労務アウトソースの導入により、特に年末調整などの負荷の高い業務が大幅に軽減され、月次の人事労務業務も効率化されたことがよく分かりました。その結果、人事部門がより戦略的な業務に注力できるようになり、経営陣の目指す効率的な組織運営にも貢献していることが伺えます。今後のさらなる発展を期待しております。