静岡県静岡市に本社を置く株式会社千代田建設は、不動産の賃貸仲介・管理や売買仲介、リフォームなどを手がける企業です。
同社では、総務・経理・人事などのバックオフィス業務を、1人で担う体制が続いていました。アナログな作業も多く、毎月の給与計算の時期になると、残業も発生していたといいます。
代表取締役社長の石川雄一郎さんは、同社を働きがいがあり、仕事を通して社員が成長できる組織にするべく、5カ年計画を立てることにしました。その一環として、バックオフィス業務における属人的な体制からの脱却と業務効率化を目指し、2025年1月からfreee人事労務アウトソースを活用しています。
導入のきっかけや導入プロセス、その後の効果などについて、石川さんに話を伺いました。
1人の担当者が全社員分の給与計算を行う属人化が大きなリスクに
はじめに、貴社の事業概要についてお聞かせください。
株式会社千代田建設 代表取締役社長 石川雄一郎さん(以下、石川): 当社は静岡県を拠点に賃貸や売買、リフォームを含む不動産事業を幅広く展開しています。私の祖父が創業し、今年で64期目に入りました。
株式会社千代田建設 代表取締役社長 石川雄一郎さん
freee人事労務アウトソース導入前のバックオフィスの状況はいかがでしたでしょうか?
石川: 従業員数20人に対し、総務・経理・人事などのバックオフィス業務を、ほぼ1名で担っている状況でした。
例えば、給与計算業務は、担当者がExcelで全社員分の給与を計算し、顧問の社労士が使っているソフトに入力した後、私がチェックするという極めて属人的な体制でした。詳しい業務プロセスは、その社員しか把握してなかったのです。
また、給与計算のサイクルが20日締め28日支払いとタイトで、その約1週間に発生する膨大な作業量に対応するのが大変でした。 社員数が少ないうちは対応できていたものの、組織が大きくなるにつれ、限界を感じるようになっていたんです。当時のバックオフィス業務は手作業が多く、非効率かつ量の多いタスクを、個人のがんばりで乗り切る状態でした。
業務効率と、属人化している体制に課題を感じていたのですね。
石川: はい、各業務のノウハウが特定の人材に留まっていることには、かねてから課題に感じていました。以前も賃貸管理の経理担当者が家庭の事情で急に退職することになり、慌てて引き継ぎを行ったんです。当時も「属人化していると、何かあった時に業務が回らなくなってしまう」と感じたものの、改善への着手はできていませんでした。
業界全体として属人化の傾向があり、お客様ごとに一人の営業担当が付くように、特定の個人に依存する体質がバックオフィス業務にもあったと思います。また、世の中の流れとして、さまざまな業務がデジタル化していくなか、我々も業務を根本から見直し、効率化させなければならないという想いがありました。
そこで、5カ年計画を立て、人材採用に注力し、社風を改革する方針を掲げることにしました。社員との1on1ミーティングや従業員サーベイなどを行ったうえで、評価制度の刷新やオフィスのフリーアドレス制の採用、チャットツールの導入によるコミュニケーションのあり方の改善などを行いました。こうして社員がやりがいを感じながら仕事を通じて成長し、未来に希望を持てる会社にしていきたいと考えているところです。
そのためにも、属人化のリスクを解消し、業務を効率化して生産性の高い働き方ができなければなりません。我々の目指す姿を実現するためには、バックオフィス業務の一部を委託するアウトソーシングの導入が必要だと判断しました。
担当者が休職するトラブルの発生も、 UIの良さ、サポートのおかげで乗り越えられた
課題の解決に向けて、freee人事労務アウトソースを導入した経緯を教えてください。
石川: freeeを知ったきっかけは、名古屋で開催されていた人事労務関連のフェアで話を聞いたことでした。他社のサービスと比較検討した結果、freeeは当社の業務システムと相性がよく、勤怠管理や会計システムなどの周辺領域も同時に導入できることを魅力に感じ、導入を決めました。
導入決定後、本格稼働するまでの状況をお聞かせください。
石川: 導入支援は、バックオフィス担当者中心に進めていました。ところが、、その社員が急遽入院することになり、長期の休職に入る事態になってしまったんです。
後任を採用する時間もなく、急遽、私が業務を引き受けざるを得なくなりました。 労務の経験がまったくない状況でしたが、UIがわかりやすく、freeeさんのサポートにも助けていただいたおかげで乗り越えることができたんです。freee人事労務アウトソースを導入していなかったら、給与の支払いが滞っていたかもしれません。
また、結果論ではありますが、これまで特定の人材に任せていたタスクを私が代わりに行ったことで、業務フローの詳細を把握できるようになりました。思わぬ形で、属人化脱却の第一歩を踏み出すことができたのです。
業務効率化の実現で残業時間が大幅に減少 顧問税理士との連携もスムーズに
freee人事労務アウトソースの導入後の効果はいかがですか?
石川:手作業で行っていた給与計算作業がなくなり、勤怠を締めたら即座に給与額がわかるようになったことが大きな変化です。時間の余裕ができましたし、残業もかなり減少しています。
給与振込も、これまでは1人分ずつ入金作業を行っていましたが、freee人事労務から全銀フォーマットの振込ファイルをダウンロードを行い、登録することで完了し、かなりの効率化ができました。
クラウド型であるメリットも大きく、顧問税理士にもリアルタイムで確認してもらえるようになり、必要に応じて迅速的なサポートを受けられるようになりました。月次で財務状況をしっかり把握できており、決算間近に数字が合わず慌てるといったこともなくなりそうです。
freee人事労務アウトソースは、タスクの進捗がリアルタイムで確認できる画面があり、各手続きの進捗状況が見える化できたことも良かったです。専門の担当者がいなくても、業務を滞りなく進められる体制を築けました。
年末調整の業務も効率化できたと伺いました。
石川: 煩雑だった業務が大きく簡略化でき、大変助かりました。以前は社員から提出された書類を担当者がすべて確認し、専用システムに手入力、記載ミスがあれば1件ずつ修正していました。そのため、年末調整の時期になると、残業が増えがちになっていたんです。
現在は、freee上でQ&A形式で入力していけば作業が完結できるので、記載ミスが減り、作業量も激減しました。各社員の進捗状況もひと目でわかるので、ありがたいですね。
そのほか、業務効率が改善したと感じていることはありますか?
石川: 経費精算も改善が進んでいます。以前は、社員から領収書を提出してもらい都度精算していましたが、現在はfreee上で申請してもらい、給与から立替金を天引きにする方法に切り替えました。
今後はfreeeカードで経費を決済する形に移行し、社員や経理担当者が立替金処理に煩わされず、本来の業務に注力できるようにしていきたいと考えています。
社員の人生を充実させるためにも、freeeを積極活用したい
freee人事労務アウトソースの活用含め、バックオフィス業務今後の展望をお聞かせください。
石川: 担当者が休職中のため、私が代理で業務を進めている状況ですが、復職後は紙ベースで管理している他の書類もfreee人事労務に集約を行い、さらなるペーパレス化と効率化を進めていきたいです。あらゆるバックオフィス業務において「脱・属人化」を徹底し、特定の個人に依存しない仕組みを確立したいですね。
freee人事労務アウトソースの導入で捻出できたリソースを使い、より良い働き方を模索、人材育成を行いながら社員満足度も上げていくことを目指したいですね。DXが一歩進んだからこそ、AIやシステムには代替できない、人間同士のコミュニケーションを充実させたいと考えています。
今後、バックオフィスの担当者には、オペレーショナルな業務だけでなく、働きがいのある組織づくりに時間を割いてもらうことを期待しています。
最後に、これからDXに取り組む企業へメッセージをお願いいたします。
石川: 業務の属人化から脱却したいと考えているのであれば、その課題に向き合うことがDXのヒントになるのではないでしょうか。組織は常に入れ替わるものですし、当社のように担当者が突然休職するようなリスクにも備える必要があると、今回のfreee人事労務アウトソースの導入をきっかけに痛感しました。
また、業務効率を上げることで、社員の人生を充実させることができると思います。私自身、経営者として、社員が明るい未来を描けるようなワークライフバランスの整った会社にしていくことを目指しています。freee人事労務アウトソースは、当社の発展のために欠かせない存在です。
(執筆:御代貴子 撮影:浅沼春香 編集:ノオト)
