導入前の課題
・工数や稼働状況を正確に把握できず、人的リソースの最適配置や生産性向上が困難だった
・原価計算や受託報酬の算定も難しく、経営判断に必要な情報の把握に時間がかかっていた
・ツール間の連携不足により、データ活用が十分にできていなかった
導入の決め手
・直感的なUIやカレンダーとの連携機能により、現場の負担が少なかった
・データの一元化、リアルタイムでの把握により経営判断のスピードアップが期待できた
・グループ全体ですでにfreee製品を活用していたため、シェアードサービスの運営効率化に最適と判断
導入後の効果
・正確な工数データに基づく業務量の見える化で、公平な人事評価や業務プロセス改善を実現
・工数実績に基づいた正確な原価管理やプロジェクト別の収益分析が可能になった
・現場でも直感的な操作性が好評で、定着がスムーズ
・経営判断やDX投資が、事実に基づくフェアなものになり、組織の健全な運営・モチベーション向上に寄与
野村ホールディングス株式会社傘下の各グループ子会社にあった財務・経理機能の集約化事業を分社し2019年に設立された株式会社コーポレート・デザイン・パートナーズ。限られたリソースでいかに効率的に業務運営や更なる集約化を進めるかが課題となっていました。
中でも、工数管理や勤怠管理といった日常的な業務では、手作業の煩雑さやツール間の連携不足が業務効率を阻害していたといいます。
今回はfreee会計やfreee人事労務を導入済みだった同社が、freee工数管理を新たに導入した背景や導入による効果について、株式会社コーポレート・デザイン・パートナーズのご担当の皆様に詳しく伺いました。
Excel依存の属人管理から脱却、工数管理で実現する戦略的経営
――freee工数管理を導入される前は、どのように工数を管理されていましたか?
以前は各部が独自に作成したExcelフォーマットで工数入力・工数管理をし、月末締め作業ではそれらのデータを一つひとつ手作業で集計していました。
各グループ会社からの受託工数やプロジェクトごとの稼働状況を把握するにも時間がかかり、不整合な点があれば担当者に何度も確認を取る必要がありました。見落としや記入漏れが原因で再集計が発生することも少なくなかったです。正確な数値を出すだけで丸一日かかることもありました。
――freee工数管理を導入した背景を教えてください。
もともと我々コーポレート・デザイン・パートナーズだけではなく、グループ子会社のうち80%以上の子会社もfreee会計を導入し、グループ全体での効率化を狙ってシェアード・サービスの運営を開始しておりました。
シェアード・サービス運営の効率化の効果測定を行うにあたって、課題として浮かび上がったのが労務負荷の状況把握、工数管理です。当初は、集約化プロジェクト自体にまい進し、採用も難しい中で、既存人材の稼働状況を正確に把握できておらず、生産性向上を測ることや人的リソースの最適配置が非常に困難でした。さらに適切な受託報酬の計算、いわゆる原価計算が出来ていませんでした。
そこでfreee工数管理を導入することにしました。もともと導入していたfreee製品、例えばfreee人事労務やfreee会計と連携できる点が魅力で、他システムよりも親和性、副次的効果も大きいと考えました。最終的には 、データの一元化によって経営判断のスピードを上げたいという経営陣の意向も大きかったです。
工数集計時間が75%削減。できた時間を人事評価のアップデートへ
――freee工数管理に移行して、最も改善されたと感じる点を教えてください。
何よりも「正確なデータを活かせるようになった」ことです。従来は、業務実績を入れても分析に使えないケースが多かったのですが、freee工数管理では部門別やプロジェクト別に即座に実績確認ができました。
これにより、たとえば『この部門のこの業務が想定以上に工数がかかっていた』といった気づきが得られ、人的リソース配分の見直しや業務プロセスの改善、合理的なDXツール導入に繋がるようになりました。
――定量的には、どのような効果がありましたか?
時間創出面でも大きな効果がありました。以前は2日ほどかかっていた工数集計が、freee工数管理の導入後は4時間程度に短縮できたんです。これにより約75%の作業時間削減を実現しました。
加えて、メンバーとの確認や修正のやり取りもほとんど不要になり、作業ミスのリスクも大幅に減っています。これまで人の手に頼っていた集計業務が、効率化されたことで別の業務に時間を振り分けられるようになった点は大きなメリットです。
――工数管理ができるようになったことで、他にどんな変化がありましたか?
業務量の見える化が進んだことで、人事評価にも新しい視点が加わりました。特定のプロジェクトに多く関わっていた社員や、裏方で貢献していたメンバーの稼働も明確になり、定量的な指標をもとに公平な評価が可能になりました。
以前は見過ごされがちだった役割にも光が当たるようになり、組織全体のモチベーション向上につながっています。
――導入にあたって、現場の反応はいかがでしたか?
はじめは新しいツールへの抵抗感もありましたが、freee工数管理は操作が直感的で非常に簡単であり、かつ、見やすい点が好評でした。導入後は「これ以外使えない」という声も上がるようになり、定着は予想以上にスムーズだったといえます。
「入力して終わり」ではない。工数データが活きる仕組み
――経営判断にも工数データは役立っていますか?
もちろんです。工数実績をもとに売上・原価を配賦することで、正確な案件別の粗利が見られるようになりました。また、工数データの集計や分析にかかっていた時間が6時間から1時間未満に短縮され、以前は会議直前にあわてて集計していたのですが、今では余裕を持って資料を作れます。
これは今後のプロジェクト計画や見積り精度にも活かせるほか、人材の適切な配置を考えたり、業務プロセスの改善ポイントを考えたりする際の材料にもなっています。部署をまたいだ連携強化にも役立っており、“点”ではなく“線”で情報がつながるようになった実感があります。
――最後に今後の展望と、この先freeeに期待することを教えてください。
いま私たちは、よう やく工数を定量的に見られるようになった段階です。今後は、工数に基づいた原価管理やプロジェクト別の収益分析、部署ごとの予算管理まで広げていきたいと考えています。freee工数管理には、そういった次のフェーズにも耐えうる柔軟性を期待しています。また、新たなDX投資、システム投資予算は、声が大きい人、権限のある方の意見に引っ張られる傾向がありましたが、工数の掛かっている業務にフォーカスされ、フェアに投資ができるようになっていくと健全な組織運営ができると思っています。
また、freee製品の連携性を非常に高く評価しており、今後はより高度なデータ連携や自動レポート生成など、定量分析を強化できるようなアップデートにも期待しています。単なる業務効率化ツールとしてだけでなく、意思決定を支える経営基盤として、さらに進化していくことを願っています。