導入時の課題
導入後の効果
・会社規模1.5倍に拡大する中で、6名から5名体制になり、決算期間も2日間短縮
今後の展望
2016年設立のオイシーズ株式会社は、つけ麺「つじ田」、江戸前天丼「金子半之助」、中華そば「田中そば店」など、人気飲食ブランドを展開する企業です。 アメリカやアジアにも進出し、日本の食文化を世界に届けることを目指して成長を続けています。
今回は、創業初期から経営基盤を支えてきた管理本部
副本部長の関様とfreee会計の現場運用を担う山田様に、導入の背景や効果、そして今後の展望についてお話を伺いました。
会計士の視点で挑む、飲食業界のバックオフィス改革
――関様が入社された背景を教えてください。
関 氏(以下、関): 私が入社したのは7年前です。
当時、ホールディングスカンパニーを設立し、各ブランドと一緒にグループになる大きなプロジェクトが進行している最中、M&A直後のPMI(統合プロセス)フェーズで参画しました。
監査法人で会計士としてキャリアを積む中で「成長企業に会計士として貢献したい」という想いから転職を決意しました。
――飲食業界への関心は以前からお持ちだったのでしょうか?
関: 特に強いこだわりがあったわけではありません。
ただ、食べることは好きでしたし、さまざまな企業を比較する中でオイシーズとのご縁をいただきました。
当時はまだまだこれからという企業でしたが、組織を構築できる環境に魅力を感じました。
freee製品の導入をはじめとした基盤整備に取り組めたことは、今でも大きな成果だと感じています。
――当時の事業規模を教えてください。
関:
「つじ田」と「金子半之助」の2ブランドで、店舗数も各事業それぞれ10店舗に満たない規模でした。
その後、M&Aにより「田中そば店」が加わり、現在は国内外合わせて約130店舗を展開しています。
――現在の従業員数はどれくらいになりますか?
関: 現在の従業員数は1,500名以上です。
――山田様のご入社の経緯を教えてください。
山田 氏(以下、山田):
私は2年前に入社し、それまではシステム関連の業務に携わっておりました。
経理は未経験だったものの、管理会計への関心を抱き専門性を高めたいと思って転職を決意しました。
もともと飲食業界には思い入れがあり、妻と共にイベントを開催した経験もあります。
オイシーズの「店舗体験によるブランド価値の向上」という理念に共感したことが入社の決め手でした。
国内5社130店舗を展開するグループ会社の経営基盤を支える管理体制とfreee会計の活用
――現在の管理本部の体制を教えてください。
関:
オイシーズは、国内5社の経理業務を含む管理業務全般を担っております。
管理本部は管理部と人事部の2つの部署で構成されています。
管理部には9名所属しており経理業務を担当するのは5名です。
5社130店舗を展開するグループとしてはコンパクトな体制だと思います。
――少人数で対応する上で、どのような課題がありましたか?
関:
国内子会社を合わせると、グループ全体の売上高は100億円を超える規模になります。
もし1社で100億円を扱うのであれば5名体制でも回せますが、当社のようにグループ企業を抱えていると日々の業務負担も大きなものになります。
例えば、複数法人で同様の処理が発生する場合、CSVファイルの加工やインポート作業に1社当たり1時間かかれば、5社で5時間かかることになります。
こうした積み重ねが日々の業務の負担になっていました。
――従業員数についても教えてください。
関:従業員数は1,500名以上です。
――freee会計導入後、具体的にどのような変化がありましたか?
関:
フリーが提供している連結会計ソフト「結」とfreee会計のデータ連携によって、グループ各社の会計データをスムーズに集計できるようになりました。
子会社間の取引や債権債務残高の照合・相殺処理も自動化され、以前は1〜2日かかっていた連結決算が、今ではボタン一つで完了するようになっています。
山田:
個別の会計処理においては、自動仕訳・経費精算・ワークフローの3機能が特に役立っています。
特に「自動で経理」機能によって、入金確認や仕訳作業が大幅に効率化されました。
会社規模は1.5倍に拡大しましたが、作業は以前より1名少な い体制で対応し、期間も2日短縮しています。
関:
当社には銀行口座が約200もあり、店舗ごとの売上入金用や地域銀行との取引など、用途はさまざまです。
従来の手作業では管理が困難でしたが、freee会計によって一元管理できるようになったことは非常に大きなメリットだと感じています。
freee×データ活用で実現する戦略的経営
――データ活用において、どのような工夫をされていますか?
関: Google
Workspaceとfreee会計のAPI連携により、会計データをGoogleスプレッドシートやBigQueryに自動的に反映させています。
さらにBIツールと連携させることで、会計データだけでなく顧客数や勤怠データなど複数のデータを横断的に分析できる仕組みを構築しています。
――そのデータは現場ではどのように活かされているのでしょうか?
関:
「人時売上高(1人当たりの1時間の売上)」などのKPIを可視化することで、各店舗の生産性向上に役立てています。
以前はExcelで集計するのに多くの時間を費やしていましたが、今では多角的な視点から迅速な分析が可能になりました。
例えば、「1時間当たりの接客人数」など、別の切り口での分析もすぐに対応できます。
経営層が特定の店舗の数値を即座に把握し、的確な指示ができるようになったのも大 きな変化です。
店長やマネージャーもBIツールを閲覧できるので、KPIに基づいた具体的な改善がスピーディに実行できるようになりました。
――デリバリーサービスとのデータ連携はいかがでしょうか?
関:
UberEatsや出前館などの入金データは既に自動で取得できています。
今後は取引データまで自動連携できるようになれば、さらなる業務効率向上に繋がると期待しています。
――今後の展望と弊社への期待についてお聞かせください。
関:
管理部門が企業成長の原動力となるような仕組みを作っていきたいです。
例えば、クラウド上に蓄積されたfreee会計のデータに限らず、他のさまざまな情報を組み合わせてビッグデータとして活用し、より高度な経営判断ができる体制を構築していきたいと考えています。
――最後に、弊社への期待についてお聞かせください。
freeeには当社を支える重要なパートナーとしてこれからも期待しています。
新たなブランドのM&Aも視野に入れているため、今後はより柔軟なシステム連携を期待したいです。
本記事の内容は2025年4月21日実施のインタビューをもとに作成しております。