【セミナーレポート】営業利益率1%から15%へ!ベイジが実践した「クリエイターの工数管理」とデータドリブン経営の全貌

組織が成長し社員数が増えるにつれて、「なぜか利益率が落ちてきた」「クリエイティブな業務ほど工数超過が常態化している」といった課題に直面していませんか? 特にウェブ制作やシステム開発といった労働集約型のビジネスにおいて、経験や勘に頼ったマネジメントは、組織規模が30名を超えたあたりで限界を迎えることが少なくありません。
本記事は、2024年に開催されたセミナー「営業利益率1%から15%へ!組織状態の定量把握『クリエイターの工数管理をしたら利益体質になった話の全容』」のセミナーレポートです。
BtoBのウェブ制作で高い実績を持つ株式会社ベイジが、組織拡大に伴う利益率1%という危機的状況から、いかにしてV字回復を遂げたのかが語られました。ゲストに同社COOの 今西 毅寿 氏を迎え、freee工数管理と自社ツール「コウミル」を活用したデータドリブン経営への変革プロセスが明かされました。
本記事では以下のテーマに絞り、ダイジェスト版としてお届けします。
- 組織拡大でベイジが直面した「利益率1%の危機」
- クリエイターの抵抗を軽減「レコーディングダイエット」式工数管理の実践
- データドリブンな意思決定:利益率15%への改善
目次
- 「営業利益率1%の危機」組織拡大が招いた「経験と勘」マネジメントの限界
- 「監視ではない」レコーディングダイエットに学ぶ習慣化ノウハウ
- 「利益率1%から15%へ」データドリブン経営がもたらしたV字回復
- 「まずは1〜2ヶ月、実態を可視化する」データドリブン経営への第一歩
「営業利益率1%の危機」組織拡大が招いた「経験と勘」マネジメントの限界
今西: ウェブ制作業界は、構造的に収益構造の不安定さや工数管理不足といった課題を抱えています。ベイジも例外ではなく、組織が30名を超えた2022年頃から生産性が悪化し、営業利益率が急激に低下し1%という赤字転落寸前の危機に瀕しました。

ウェブ制作業界は、労働型ビジネスのため、稼働が多くなければ売上を上げるのが難しいです。また、見積もりに対する実際の工数超過が把握できず、進捗管理が属人化し、トラブル対応が増加していました。ノーコードツールや生成AIの活用など、技術トレンドの急速な変化に対応するためのキャッチアップコストも増大していました。
また当時、私たちのマネジメントは「経験や勘」に頼っていたため、組織が拡大する中で以下の問題が複合的に利益を圧迫していました。
- 実績工数の不正確さ: 厳密な工数管理ができず、正確な実態を把握できていませんでした。
- ボトルネックの不明確さ: スケジュール遅延の原因が、具体的にどの工程で止まっているのか分かりませんでした。
- 社内業務工数の無定量化: 勉強会や採用活動などの社内業務にどれだけ工数を使っているかが分からず、結果的に顧客対応に割くべき時間が圧迫されていました。

定量的データがないため、赤字案件が出ても正確な把握と具体的な改善策が打てず、経営判断の精度とスピードが大幅に低下していました。
「監視ではない」レコーディングダイエットに学ぶ習慣化ノウハウ
工数管理導入にあたり、クリエイター中心の組織特有の「創造性を奪う」「マイクロマネジメントにつながる」といった心理的な抵抗を乗り越えることが最大の課題でした。

今西: 工数管理が成功するための鍵は、社員からの信頼獲得と目的の共有にあると考え、導入目的を非常に丁寧に、かつ明確に伝えました。
評価への活用原則とキャリア的意義の提示
社員に正確な入力をしてもらうために、私たちは以下の原則を徹底しました。
目的は業務改善の原因究明
工数管理は監視のためではなく、「どこに無駄があるか」「どうすれば業務を効率化できるか」という業務改善の原因を突き止めるために正確な工数を入力してほしいと説明しました。
評価への活用原則
「数字だけで評価するのではなく、数字を元に評価する」という原則を明示し、時間のかけすぎを理由に評価を下げることはしない、という姿勢を徹底しました。
キャリア的意義
クリエイティブワークは、時間という制約の中で高いアウトプットを出す工夫が求められます。この時間管理の経験は、将来のマネジメントやキャリアアップに必ず活きると伝えました。
freee工数管理による入力負荷軽減と習慣化のノウハウ
導入にあたっては、従業員側の入力の手間を大幅に軽減できるfreee工数管理を採用しました。
今西: freee工数管理は、Googleカレンダーとの自動連携により従業員の入力の手間を大幅に軽減し、勤怠管理との一元管理により工数と勤怠時間の差異による確認・修正作業といった管理者の大きな負担を圧倒的に軽減できます。また、自動でグラフ化されるため、リアルタイムで直感的に状況を把握できるのも大きな利点でした。

工数管理の定着化に際しては、「レコーディングダイエット」になぞらえた手法を採用し、習慣化に成功しました。毎日工数を記録し、予定との差分を確認するというサイクルを作り、特に、毎日退勤前に日報を提出する際、工数管理の画面キャプチャーを添えて登録するルールを設けた結果、1ヶ月未満でほぼ全員が毎日工数を記録する習慣が定着しました。
また、分析の精度を高めるため、工数タグを「PC版のデザイン」や「資料作成」のように細分化し、合計で約120の工数タグを整備しました。これらのタグは現場リーダーを中心に検討され、利用状況に応じて定期的に見直し・追加されています。
「利益率1%から15%へ」データドリブン経営がもたらしたV字回復
工数管理の導入は、ベイジの経営に劇的な変化をもたらし、営業利益率は1%から15%まで拡大しました。
社内業務の適正化と組織の意識変化
今西: 工数可視化の成果として、肥大化していた社内業務比率を計測・見直し、36%から28%へ8%圧縮しました。これにより、顧客に向き合う時間が増え、利益率改善に直結しました。また、社員アンケートでは8割が工数に対する意識が「変わった」と回答しています。

実績工数分析ツール「コウミル」に見る戦略的活用
私たちは、freeeで蓄積された正確な工数データ(API連携)をさらに戦略的に活用するため、独自に実績工数分析ツール「コウミル」を開発しました。

今西: コウミルでは、プロジェクトごとの利益率の確認とオフハブ (想定超過)のアラートが表示されます。これにより、炎上気味のプロジェクトを早期に察知できます。また、利益率の高い案件を特定できるため、どの顧客層に注力すべきかという、営業・マーケティング戦略への応用が可能になりました。
さらに、コウミルで可視化されたデータは、組織の評価制度やサービス戦略にも組み込まれています。短い工数で質の高いアウトプットを出せるメンバーに対しては、ポジティブに評価すべきという考えに基づき、実績工数を評価制度に組み込んでいます。また、利益が出にくいタスクがあれば、そもそも見積もり単価を上げるなど、戦略的な価格設定やサービス内容の見直しに繋げています。
「まずは1〜2ヶ月、実態を可視化する」データドリブン経営への第一歩
今西: ベイジが成し遂げたV字回復の鍵は、工数の可視化と継続的な計測、そしてデータドリブンな文化醸成にありました。『レコーディングダイエット』のように計測を継続することで、社員の意識が変わり、組織全体の体質改善に繋がりました。反発を乗り越えるための目的共有と、『数字だけで判断しない』という信頼の姿勢が不可欠でした。
磯崎: 組織の体質改善は「まず始めること」が重要です。最初から完璧を目指すとハードルが高く感じるため、まずは1〜2ヶ月だけでも日々工数を登録し、自社の工数の実態を可視化してみることから、データドリブンな経営への第一歩を踏み出してみませんか。
freee工数管理は、freee自身もエンジニアが毎 日利用し、ユーザー目線で改善を重ねてきたため、「使いやすい」と言えるプロダクトに成長しています。 freeeは、従業員の手間をかけず、勤怠管理など他のバックオフィス業務とも一元管理できる統合型プラットフォームとして、貴社の全体最適を実現するためのご支援をいたします。


