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退職時にもらう書類一覧|受け取る時期・方法や届かない場合の対処法も解説

監修 涌井 好文 社会保険労務士


退職時には、転職先での手続きや失業給付の申請、年金・健康保険の切り替えなど、さまざまな場面で必要な書類を会社から受け取る必要があります。書類の名称や役割、受け取る時期を正しく理解し、各種手続きを適切なタイミングで進められるよう備えておきましょう。

本記事では、退職時にもらう書類を一覧で整理し、それぞれの用途や受け取り方法、届かない場合の具体的な対処法をわかりやすく解説します。

目次

【一覧】退職時にもらう書類

退職時には、転職先での各種手続きや公的制度の加入に必要な書類を勤務先から受け取ります。従業員が退職時にもらう書類は、主に以下の5つです。


書類使用する場面
離職票・退職後に失業給付を申請する場合
・転職後1年以内に育児休業給付を申請する場合
源泉徴収票・転職先で年末調整を受ける場合
・自分で確定申告を行う場合
年金手帳・基礎年金番号通知書・転職先で厚生年金に加入する場合
・国民年金の第1号または第3号被保険者へ切り替える場合
健康保険資格喪失証明書・退職後に国民健康保険へ加入する場合
退職証明書・転職先で退職事実や退職理由の確認を求められた場合
・公的手続きで退職証明が必要な場合

これらの書類は、退職後すぐに使用しなくとも、後から必要になることがあります。退職時には会社から書類一式を受け取り、内容を確認したうえで保管しておきましょう。

1.離職票

離職票は、雇用保険に加入していた人が退職した事実を証明する書類で、失業給付や育児休業給付の申請時に使用します。

離職票は、転職先を短期間で再離職し失業給付を受けるのであれば、前職の被保険者期間を合算するために必要になることがあります。また、転職後1年以内に育児休業を取得する可能性がある場合も、前職の加入期間が給付判定に含まれるため、受け取っておくと安心です。

転職しないのであれば、離職票は退職後に失業給付を受ける際に使用します。給付額や受給期間の算定に関わるため、退職理由や賃金の支払状況などの記載内容に誤りがないか必ず確認しましょう。

離職票は会社がハローワークに申請して発行されるものですが、本人が希望しないと交付されないことがあります。交付を希望する場合は、退職前に勤務先へ伝えておきましょう。

離職票について詳しく知りたい方は、別記事「離職票・退職証明書・離職証明書の違いまとめ!いつ届く?どこで発行?わかりやすく解説」をご覧ください。


出典:厚生労働省「離職されたみなさまへ」
出典:厚生労働省「育児休業給付申請にかかる提出書類」

2.源泉徴収票

源泉徴収票は、退職した年の1月1日から退職日までに受け取った給与や賞与の総額、支払った所得税額などが記載された書類です。

転職する場合、原則として新しい勤務先で年末調整を行います。その際、前職の収入を合算して税額を精算する必要があるため、源泉徴収票の提出が求められます。源泉徴収票の提出が転職先の年末調整に間に合わなければ、自ら確定申告を行わなければなりません。

退職後に転職せず、その年の年末調整を受けられない場合や副収入がある場合も、自身で確定申告を行う必要があります。そのとき、源泉徴収票をもとに確定申告書を作成します。

2019年以降の確定申告では源泉徴収票の添付が不要となりましたが、申告書を作成するうえで必要な情報が記載されているため、大切に手元に保管しておきましょう。

源泉徴収票について詳しく知りたい方は、別記事「源泉徴収票とは?見方やいつ発行されるのかなどについてわかりやすく解説【2025年(令和7年)最新】」をご覧ください。


出典:国税庁「No.2674 中途就職者の年末調整」 出典:国税庁「No.1910 中途退職で年末調整を受けていないとき」 出典:国税庁「源泉徴収票等の添付が不要となりました」

3.年金手帳・基礎年金番号通知書

年金手帳または基礎年金番号通知書は、公的年金制度に登録されている基礎年金番号を確認するための書類です。

転職する場合、次の勤務先で厚生年金保険への加入手続きを行う際に、基礎年金番号の提示を求められます。手続きは会社側が行うものの、番号を確認できないと手続きが滞る可能性があります。基礎年金番号ではなく、マイナンバーでも加入手続きを行えますが、年金手帳または基礎年金番号通知書を手元に用意しておくと安心です。

自営業や無職になる場合は国民年金の第1号被保険者へ、配偶者の扶養に入る場合は第3号被保険者への切り替えを行います。この手続きの際に、基礎年金番号が確認できる書類として年金手帳または基礎年金番号通知書を提出します。手続きには期限があるため、退職後すぐに進められるよう準備しておくことが重要です。

冊子形式の年金手帳は2022年4月に廃止されており、それ以降に初めて公的年金制度へ加入した人には、基礎年金番号通知書が交付されています。入社時に勤務先へ提出し、そのまま保管している場合があるため、退職時に返却されているか必ず確認しましょう。


出典:日本年金機構「国民年金に加入するための手続き」
出典:日本年金機構「基礎年金番号・基礎年金番号通知書・年金手帳について」

4.健康保険資格喪失証明書

健康保険資格喪失証明書は、退職により加入していた健康保険の資格を失ったことを証明する書類で、退職後、国民健康保険に加入する際に必要です。

国民健康保険に切り替えるのであれば、原則として退職日の翌日から14日以内に市区町村役場で手続きを行わなければなりません。提出が遅れると、医療費が全額自己負担になる可能性があります。

退職前の健康保険を最長2年間継続できる「任意継続被保険者制度」を利用する場合、健康保険資格喪失証明書の提出は不要です。

健康保険資格喪失証明書は会社や健康保険組合が発行する書類ですが、発行は義務ではないため、必要な場合は事前に申請しておく必要があります。

健康保険資格喪失証明書の発行手続きや提出が必要なケースについては、以下の記事で詳しく解説しています。



出典:日本年金機構「7-6:国民健康保険等に加入するため、健康保険の資格喪失証明等が必要になったとき」
出典:厚生労働省「国民健康保険の加入・脱退について」
出典:全国健康保険協会「健康保険任意継続制度(退職後の健康保険)について」

5.退職証明書

退職証明書は、以下のような内容を証明する際に使用します。

退職証明書に記載される項目例

  • 使用期間
  • 業務の種類
  • その事業における地位
  • 賃金
  • 退職の事由(解雇の場合は解雇理由含む) など

退職証明書に記載される内容は、原則として退職者本人が希望した項目のみです。退職証明書は自動で会社から交付されるものではなく、必要に応じて退職者自らが会社に請求します。

転職する場合、転職先から前職の在籍実績や退職理由の確認を求められることがあるため、退職時には退職証明書を受け取り、適切に保管しておきましょう。

転職しない場合は、退職後、国民健康保険や国民年金へ加入する際に退職証明書類として利用することが可能です。自治体によっては、離職票の代わりとして退職証明書が受理されます。

通常、離職票の到着には時間がかかります。早めに国民健康保険や国民年金へ加入手続きを済ませたい場合は、あらかじめ退職証明書で代用可能かを確認し、交付を依頼しておくと安心です。

退職証明書について詳しく知りたい方は、別記事「退職証明書とは?必要なタイミングや取得方法を解説」をご覧ください。


出典:e-Gov法令検索「労働基準法|第22条」

退職時にもらう書類はいつ届く?受け取る時期と方法

退職時にもらう書類は、「退職日に勤務先から直接返却されるもの」と「退職後に郵送で届くもの」に大別できます。

会社によって異なる場合がありますが、一般的な受け取り時期・方法の目安は以下のとおりです。


書類受け取る時期受け取り方法
離職票退職後10日〜2週間自宅へ郵送
※希望者のみ交付
源泉徴獲票退職後1ヶ月以内手渡しまたは郵送
年金手帳・基礎年金番号通知書原則として退職日当日手渡しまたは郵送
※会社保管の場合
健康保険資格喪失証明書退職後数日〜2週間郵送が一般的
退職証明書請求後すぐ〜数日手渡しまたは郵送
※請求した場合のみ発行

あらかじめ「いつ」「どの方法」で届くのかを把握しておきましょう。後日郵送される書類は、住所の届出漏れ・記載ミスがないかを確認しておくと安心です。

上記の表のとおり、すべての書類を最終出社日にもらえるわけではありません。書類の受け取りが遅れると、転職先での手続きや失業給付の申請に影響する可能性があります。

退職時にもらう書類が届かないときの対処法

退職時にもらう書類のほとんどは、会社が手続きを完了すれば発行されます。しかし、担当者の対応遅れや事務処理のタイミングによって到着が遅れるケースもあるため、焦らず適切に対応しましょう。

共通の対処法

退職時に必要な書類が届かないとき、最初にすべきことは勤務先への確認です。

人事や総務の担当者に連絡し、書類の発行状況や手続きの進行状況を聞いてみましょう。メールではなく電話で直接問い合わせることで、確実に状況を把握できます。

もし勤務先と連絡がつかない、または対応してもらえないのであれば、公的機関に相談するのが効果的です。

それぞれの書類の主な相談先は、以下のとおりです。


書類主な相談先(公的機関)
離職票ハローワーク、労働基準監督署
源泉徴収票税務署
年金手帳・基礎年金番号通知書年金事務所、総合労働相談コーナー
健康保険資格喪失証明書健康保険組合、協会けんぽ、市区町村の窓口
退職証明書労働基準監督署

これらの機関には、書類発行の義務を会社に確認・指導する権限があるため、相談することで適切に対処してもらえる可能性が高まります。

書類別の注意点

退職時にもらう書類に遅れや不備があると、失業手当の受給や税金の申告、年金手続きなどに支障が生じ、手続きが円滑に進まないことがあります。

以下の表で、書類ごとの注意点や対応方法を確認し、退職後の手続きをスムーズに進めましょう。


書類注意点
離職票・会社による申請手続きの期限は「退職日の翌々日から10日以内」
源泉徴収票・「源泉徴収票不交付の届出手続き」により対応可能
・勤務先が倒産して連絡できない場合も税務署に相談可能
年金手帳・基礎年金番号通知書・基礎年金番号通知書は再発行が可能
健康保険資格喪失証明書・退職証明書で代用可能(発行が遅れる場合や急ぎの手続き)
退職証明書・請求した場合の交付は会社の法的義務
・在籍証明書や離職票で代用可能
出典:国税庁「F5-4 源泉徴収票不交付の届出手続」

まとめ

退職時にもらう書類は、転職先での手続きや失業給付の申請、年金・健康保険の切り替えなどに必要です。

書類によって受け取り時期や方法が異なるため、退職前にその特徴を把握しておくことが欠かせません。事前に確認しておけば、手続きの遅れや書類不足によるトラブルを防ぎ、退職後の手続きをスムーズに進められます。

万が一書類が届かない場合は、早めに勤務先や公的機関へ確認し、手続きが滞らないよう対処しましょう。

よくある質問

退職時に会社からもらうべき書類は?

退職時に会社からもらう主な書類は、以下のとおりです。

  • 離職票
  • 源泉徴収票
  • 年金手帳または基礎年金番号通知書
  • 健康保険資格喪失証明書
  • 退職証明書

これらの書類は、転職先での手続きや失業給付の申請、国民年金・国民健康保険への加入など、退職後のさまざまな手続きで必要です。すべてが自動的に会社から交付されるのではなく、退職者本人が申請しないと受け取れない書類もあります。

退職時に会社へ返却するものは?

退職する場合、会社から借りていたものや会社の所有物を返却しなければなりません。主な返却物は以下のとおりです。

  • 健康保険証(物理カード)
  • 社員証・IDカード・社章
  • カードキーや入館証
  • オフィスやロッカーの鍵
  • 名刺
  • 備品や書籍
  • 業務関連の資料やデータ
  • 貸与されているパソコンや携帯電話

返却漏れがあると、会社から請求や注意を受ける場合があるため注意しましょう。

退職手続きの流れは?

退職手続きの主な流れは、以下のとおりです。

  1. 退職の意思を上司に伝える(1~3ヶ月前)
  2. 退職届を提出する(2週間~1ヶ月前)
  3. 業務の引き継ぎを行う
  4. 取引先へ退職の挨拶をする
  5. 貸与物や健康保険証(資格確認書)を会社に返却する
  6. 退職日または後日、退職後の手続きに必要となる書類を受け取る

退職手続きは、スケジュールに余裕をもって進めることが大切です。

監修 涌井好文(わくい よしふみ) 社会保険労務士

平成26年より神奈川県で社会保険労務士として開業登録を行い、以後地域における企業の人事労務や給与計算のアドバイザーとして活動を行う。退職時におけるトラブル相談や、転職時のアドバイスなど、労働者側からの相談にも対応し、労使双方が円滑に働ける環境作りに努めている。また、近時は活動の場をWeb上にも広げ、記事執筆や監修などを通し、精力的に情報発信を行っている。

監修者 涌井好文
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