福利厚生とは、企業が給与や賞与以外に従業員やその家族に提供する制度やサービスのことです。生活の安定や健康維持、仕事への意欲向上を目的とし、企業にとっては優秀な人材の確保や定着、イメージアップに欠かせない施策といえます。
近年は働き方の多様化や人材不足の影響で、福利厚生の充実がますます重視されています。従業員の満足度向上だけでなく、企業の生産性や競争力の強化にもつながるため、適切に制度設計と運用を行うことが欠かせません。
本記事では、福利厚生の種類や人気の制度、導入のメリット・デメリット、導入時のポイントまで、企業・従業員双方に役立つ情報をわかりやすく解説します。
目次
- 福利厚生とは
- 福利厚生が重要視される理由
- 福利厚生の種類
- 法定福利厚生
- 法定外福利厚生
- 従業員に人気の福利厚生ランキング
- 1位:人間ドック受診補助
- 2位:慶弔休暇制度
- 3位:家賃補助・住宅手当
- 4位:病気休暇制度
- 5位:リフレッシュ休暇制度
- 福利厚生を充実させるメリット
- 企業側のメリット1:採用競争力の向上
- 企業側のメリット2:イメージアップにつながる
- 従業員側のメリット1:モチベーションが上がる
- 従業員側のメリット2:ワークライフバランスと安心感の向上
- 福利厚生導入のデメリット
- 企業側のデメリット1:管理・運用の負担がある
- 企業側のデメリット2:定期的な制度の見直しが必要
- 従業員側のデメリット1:利用率に差が出る
- 従業員側のデメリット2:複雑な手続きだと利用率が下がる
- 福利厚生を導入する際のポイント・注意点
- 導入の目的を明確にする
- 導入コストを検証する
- 従業員のニーズを把握する
- 公平な制度設計に配慮する
- 制度設計後は定期的に周知する
- まとめ
- よくある質問
福利厚生とは
福利厚生とは、企業(雇用主)が給与や賞与とは別に、従業員やその家族に提供するサービス・制度の総称です。従業員の生活の安定を支え、仕事への意欲向上や健康維持を目的として設けられており、職場での働きやすさや満足度を高める役割を持っています。
福利厚生の対象となるのは、正社員だけでなくパートやアルバイト、契約社員も含まれます。非正規雇用社員も対象となった背景には、2020年4月1日に施行された「改正パートタイム・有期雇用労働法」があります。
この法律は、正社員とパートタイム労働者・有期雇用労働者との不条理な待遇差を禁止し、非正規雇用社員の働く環境を向上させることを目的としています。同じ会社で同じ仕事をしているのであれば、パートやアルバイト、契約社員も正社員と同様に福利厚生を利用することができます。
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福利厚生が重要視される理由
近年、福利厚生が企業経営の重要な要素として注目される背景には、働き方の多様化や労働人口の減少、人材獲得競争の激化などがあります。
とくに、少子高齢化により優秀な人材の確保が難しくなっている現代社会では、企業の競争力向上のためにも、給与だけでなく従業員が安心して働ける環境や制度を提供することが求められているのです。
また、充実した福利厚生は従業員の満足度やモチベーションを高める効果があります。たとえば、健康管理や育児支援、教育制度など、日々の生活やキャリア形成をサポートする制度は、従業員が安心して長く働く意欲を促すため、離職率の低下や生産性向上の効果も期待できます。
福利厚生の種類
福利厚生は大きく分けて、法律によって導入が義務付けられている「法定福利厚生」と、企業が独自の判断で設ける「法定外福利厚生」の2種類があります。
ここでは、それぞれの特徴と代表的な制度について詳しく解説します。
法定福利厚生
法定福利厚生とは、法律で企業に導入・実施することが義務付けられている制度です。法定福利厚生を導入していない場合は法律違反となるため、企業は必ず導入しなければなりません。
主な法定福利厚生には、以下の6つがあります。
法定福利厚生の項目
- 厚生年金保険
- 健康保険
- 介護保険
- 子ども・子育て拠出金
- 労災保険
- 雇用保険
このうち、1~4が社会保険、5と6が労働保険に分類されます。
1.厚生年金保険
厚生年金保険とは、従業員やその家族の老後を支えるための公的年金の一種です。老齢や障害、死亡などを対象として支給され、国民保険に上乗せして65歳以降に受け取ることができます。なお、厚生年金保険料は企業と従業員が折半して負担します。
2.健康保険
健康保険とは、従業員やその家族が病気やケガをした際、かかった医療費の一部を保険から支払う制度です。従業員の医療費負担を軽減することで、安心して働ける環境を守る役割を果たします。また、健康保険の保険料も厚生年金保険と同様に、企業と従業員が折半して負担します。
3.子ども・子育て拠出金
子ども・子育て拠出金とは、児童手当など子育て支援に充てられる税金です。企業には納付義務があり、費用も全額企業側が負担します。厚生年金保険と併せて徴収され、次世代育成を支える重要な制度です。
厚生年金保険、健康保険、子ども・子育て拠出金の加入条件は以下のとおり定められています。
厚生年金保険/健康保険/子ども・子育て拠出金の加入条件
- 企業または従業員5名以上の個人事業所、もしくは上記以外で従業員の過半数の同意がある事業所で常時雇用されている
- 短時間労働者で、正社員の4分の3以上の労働時間・日数がある
- 短時間労働者で、正社員の4分の3未満の労働時間・日数勤務しており、以下の条件をすべて満たしている
1.週の所定労働時間が20時間以上あること
2.雇用期間が1年以上見込まれること
3.賃金の月額が8.8万円以上であること
4.学生でないこと
5.特定適用事業所または任意特定適用事業所に勤めていること(国、地方公共団体に属するすべての適用事業所を含む)
なお、2024年10月には厚生年金保険と健康保険が適用拡大されました。これにより、厚生年金保険の被保険者数が51人以上の企業などで働く短時間労働者は、健康保険・厚生年金保険の加入対象となっています。
出典:日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」
4.介護保険
介護保険は、介護が必要になった際に介護サービス費用の一部を負担してもらえる制度です。40歳以上の従業員は加入が義務付けられています。
65歳以上であれば、すべての疾病で介護状態になった場合が対象となり、40~64歳の従業員は、特定の疾病で介護状態になった場合でなければ支給されません。
また、支給を受けるには、各市区町村に申請して要介護認定を受ける必要があります。
介護保険の加入条件
- 40~65歳未満の健保加入者
5.雇用保険
雇用保険は、失業した場合に失業保険の給付を受けられるほか、子育てのために休業した際の育児休業給付を受けることができる制度です。給付の条件を満たしていれば、教育訓練の受講費用を補助してくれたり、高年齢者の給与が一定額以下になったりした場合にも支払われます。
雇用保険の加入条件
- 31日以上の雇用見込みがある
- 所定労働時間が週20時間以上
6.労災保険
労災保険は、業務上もしくは通勤中の怪我や病気、死亡に対して支払われます。また、怪我や病気の治療で働けない場合の生活費も補償対象となります。1人でも従業員がいる事業所は、正社員、パート・アルバイトにかかわらず、必ず加入しなければなりません。
労災保険の加入条件
- すべての従業員
法定外福利厚生
法定外福利厚生とは、企業が独自に設ける福利厚生制度です。法的な義務はないため、内容や適用範囲も企業ごとに異なります。パートやアルバイトなどの非正規社員でも、仕事内容や異動の可能性が正社員と同じであれば、法定外福利厚生を利用可能です。
導入は企業の自由ですが、法定外福利厚生を充実させることで、従業員の働く環境を改善し、企業イメージの向上や定着率アップにつなげることができます。ただし、特定の社員だけが利用できる制度は不公平感を生みやすいため、公平性を意識した設計が重要です。
ここでは、主な法定外福利厚生の例を紹介します。
1.特別休暇・慶弔休暇
特別休暇・慶弔休暇は、法定の年次有給休暇とは別に企業が独自に設ける休暇制度です。結婚・出産・服喪といった人生の節目をサポートする慶弔休暇のほか、リフレッシュ休暇や誕生日休暇、記念日休暇など、従業員の私生活に寄り添った休暇が含まれます。
こうした休暇を設けることで、従業員のワークライフバランスを保ち、長期的なモチベーション維持にもつながります。
2.住宅手当・家賃補助
住宅手当・家賃補助は、従業員の住居費負担を軽減し、安心して働ける生活基盤を支援するための制度です。家賃の一部補助や、独身寮・社宅制度などが該当します。
とくに、都市部は家賃が高いため、求職者にとっては住宅支援制度の有無が企業選びのポイントになることも少なくありません。
3.健康・ヘルスケア
健康・ヘルスケアに関する法定外福利厚生には、定期健康診断や人間ドックの費用補助、スポーツジムやフィットネスクラブの優待利用、メンタルヘルス相談窓口の設置などが挙げられます。
これらは従業員の心身の健康維持と疾病予防を目的としており、健康的に働ける環境を整えることで、生産性の向上や離職防止にも効果が期待できます。
4.働き方・ワークライフバランス
働き方やワークライフバランスに関する福利厚生は、従業員が自分のライフステージに合わせて柔軟に働けるよう支援する制度です。
具体的には、法定を超えた育児・介護休業の拡充、時短勤務制度、フレックスタイム制、在宅勤務(テレワーク)手当などが挙げられます。
多様な働き方を後押しすることで、従業員の定着率向上や企業の魅力度アップにもつながります。
5.食事補助
食事補助は、従業員の食費負担を減らし、健康的な食生活を支援するための制度です。社員食堂の運営や、仕出し弁当による昼食補助、惣菜の宅配補助、提携飲食店での割引など、さまざまな形態があります。
6.自己啓発・スキルアップ制度
自己啓発・スキルアップ制度は、従業員の能力開発を支援し、企業全体の成長力を高めるための制度です。企業が学ぶ機会を積極的に提供することで、従業員の主体的な成長意欲を促し、エンゲージメントの向上も期待できます。
資格取得費用の補助や、外部セミナー・研修の受講支援、図書購入費の補助などが一般的です。
7.退職金制度
退職金制度は、従業員が退職する際に一時金や年金として支給される制度です。法律上の義務はありませんが、多くの企業で導入されています。
代表的な制度には、企業型確定拠出年金(DC)や確定給付企業年金(DB)などがあり、従業員の老後資金形成を支える役割を果たします。
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8.通勤手当
通勤手当は、従業員が通勤にかかる交通費を補助するための手当です。支給額や上限は企業によって異なり、全額支給の義務はありません。
通勤費の負担を軽減することで、働く場所を選ばずに長期的に勤務できる環境を整えることができます。
9.その他の福利厚生
上記以外にも、企業独自の工夫を凝らした福利厚生があります。たとえば、財形貯蓄制度や社員旅行、レクリエーション費用の補助、保険・金融商品の団体割引、カフェテリアプランなどです。こうした制度は従業員の満足度を高め、企業文化の醸成やチームワーク向上にもつながります。
従業員に人気の福利厚生ランキング
現代社会では、少子高齢化や働き方改革の進展により、従業員のライフステージに合わせた柔軟な制度設計が求められています。厚生労働省が12,000社を対象に行った調査によると、企業の従業員が「とくに必要性が高いと思う」と回答した制度・施策は下表のとおりです。
| 順位 | 福利厚生施策 | 割合(%) |
|---|---|---|
| 1位 | 人間ドック受診補助 | 21.8% |
| 2位 | 慶弔休暇制度 | 20.0% |
| 3位 | 家賃補助・住宅手当 | 18.7% |
| 4位 | 病気休暇制度(有給休暇以外) | 18.5% |
| 5位 | リフレッシュ休暇制度 | 16.1% |
とくに、コロナ禍の影響により、企業の福利厚生制度は従業員の健康維持や生活支援、働き方の変化への対応を目的にますます多様化しているのが現状です。
ここでは、1位~5位までの福利厚生制度の例や制度設計のポイントなどを詳しく解説します。
1位:人間ドック受診補助
近年、企業の健康経営が重視される流れのなかで、一般健康診断を超えて「人間ドック」を福利厚生として導入する例が増えています。たとえば、「○○歳以上を目安に年1回、会社が実費の一部を負担して人間ドックを受けられる」制度を導入することで、従業員の生活習慣病の早期発見や医療費の抑制につなげることが可能です。
また、人間ドックの費用補助が福利厚生として認められるためには、以下の点を押さえておく必要があります。
- すべての従業員に平等に受診の機会があること
- 会社が実費を医療機関に直接支払うこと
- 検査内容・金額が常識的範囲内であること
2位:慶弔休暇制度
ライフイベント(結婚・出産・親族の死去など)に対して企業が任意で設ける慶弔休暇制度も、従業員から人気の制度として支持されています。厚生労働省が公表している慶弔休暇制度の例は、以下のとおりです。
- 本人が結婚したとき:3~5日
- 妻が出産したとき:1~3日
- 子が結婚したとき:1~2日
- 配偶者、子又は父母が死亡したとき:7~10日
- 兄弟姉妹、祖父母、配偶者の父母又は兄弟姉妹が死亡したとき:3~5日
出典:厚生労働省「モデル就業規則」
この制度は法定の休暇ではないため、適用範囲や具体的な日数・給与扱いを就業規則に明記しておくことが重要です。
3位:家賃補助・住宅手当
物価や家賃の上昇が続く2025年、従業員の生活支援策として「家賃補助・住宅手当」は依然として高い人気を誇ります。とくに、地方出身者や若手社員の採用・定着を目的として、住宅関連の支援制度を拡充する企業が増えています。
制度設計の一例としては、以下のような形が挙げられます。
- 毎月○○円を支給(上限○○円)
- 家賃の○○%を会社が負担
- 会社から○○km圏内に居住する場合は○○円支給
- 入社から○○年は家賃○○円を支給
なかには、社員のニーズに合わせて借上げ社宅や家具付き社員寮を提供するケースもあり、リモートワーク導入に合わせて郊外勤務者向けの住宅補助を新設する動きも見られます。
4位:病気休暇制度
近年、メンタルヘルスへの意識の高まりや感染症対策の重要性から、「病気休暇制度」を整備する企業が増えています。一般的な有給休暇とは別に、私傷病時に安心して療養できる日数を付与する仕組みで、従業員の健康維持と組織の安定運営の両立を図る制度です。
制度の具体例としては以下のものが挙げられます。
- 年間○○日まで病気休暇を取得可能
- インフルエンザや新型感染症の罹患時は特別休暇として給与を全額補償
- 長期療養者向けに最大○○日まで休職可能
こうした制度を整えることで、安心して働ける職場づくりや離職防止にもつながるでしょう。
5位:リフレッシュ休暇制度
リフレッシュ休暇制度は、慶弔休暇制度や年次有給休暇とは異なり、長期勤続者への感謝や、心身のリセットを目的とした休暇制度です。
導入事例としては、「勤続10年で○○日間の特別休暇」「有給休暇とは別に、年度内で最大連続7日取得可能」などがあります。
福利厚生の一環として、単なる休暇制度ではなく「働きやすさ」と「モチベーション維持」を両立する施策として注目されています。こうした取り組みは、従業員のエンゲージメント向上や定着率改善にも効果的です。
福利厚生を充実させるメリット
福利厚生を充実させることは、単に従業員の満足度を高めるだけでなく、企業の採用力やブランド価値の向上にも直結します。
ここでは、企業側・従業員側それぞれの視点から、福利厚生を導入することで得られる主なメリットを紹介します。
企業側のメリット1:採用競争力の向上
近年、求職者は「長く安心して働ける環境」を重視しており、福利厚生の充実度は企業選びの重要な判断基準のひとつです。そのため、福利厚生の導入により、求職者に「働きやすさを重視する企業」という印象を与えることができ、採用競争力が高まります。
とくに、他社にはないユニークな制度を導入すれば差別化が図れ、優秀な人材を確保しやすくなります。また、働きやすい環境が整うことで、離職率の低下や従業員エンゲージメントの向上といった効果も期待できるでしょう。
企業側のメリット2:イメージアップにつながる
従業員を大切にしているかは、企業の社会的イメージに直結します。離職率が高ければ、業務に支障が出るだけでなく、社内体制やマネジメントへの不安を与えかねません。
社員やその家族の生活を支える福利厚生が充実している企業は、社会的にも「社員を大切にする会社」という印象を与え、採用活動や顧客との関係構築にも良い影響をもたらします。
従業員側のメリット1:モチベーションが上がる
福利厚生の充実は、従業員の働く意欲を高める効果があります。たとえば、育児や介護をしながら働ける環境や、柔軟な休暇制度を整えることで、従業員はライフイベントに左右されずに働き続けることができます。
また、資格取得支援や研修費補助といったスキルアップ支援は、従業員の成長を後押しし、自己実現への意欲を高めます。その結果、従業員のモチベーションが向上し、業務効率や生産性アップにもつながるでしょう。
従業員側のメリット2:ワークライフバランスと安心感の向上
育児・介護支援やリフレッシュ休暇などの制度は、従業員が仕事と私生活のバランスを取りながら働くことを支援します。
さらに、健康保険や医療費補助、企業年金など、生活の安定を支える福利厚生があることで、従業員は将来に対して安心感を持てます。
こうした制度導入によって、従業員のワークライフバランスや企業へのロイヤリティ、エンゲージメントなどの向上につながるのです。
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福利厚生導入のデメリット
福利厚生は従業員の満足度向上や企業の魅力アップにつながる一方で、導入には注意すべきデメリットも存在します。
ここでは、企業側・従業員側それぞれの視点で考えられる主なデメリットを紹介します。
企業側のデメリット1:管理・運用の負担がある
福利厚生制度を設計・運用するにはコストと手間がかかります。制度の設計や、対象範囲の明確化、運用ルールの整備、申請の実務対応、費用管理など、日常的な管理業務が発生するため、導入時には「運用可能かどうか」を十分に検討する必要があります。
企業側のデメリット2:定期的な制度の見直しが必要
従業員のニーズや社会環境の変化に応じて、福利厚生制度は定期的に見直し、改善していく必要があります。制度導入後に放置してしまうと、制度が利用されず形骸化したり、従業員の不満や離職につながる可能性があります。
従業員側のデメリット1:利用率に差が出る
福利厚生制度があっても、従業員のライフスタイルやニーズによって利用状況は異なります。十分なニーズ調査のうえで制度設計を行わないと、よく利用する人とあまり利用しない人の間で差が生まれ、不公平感につながることがあります。
また、利用率の低い制度はコストに対する効果が薄くなる場合もあるため、制度設計前に従業員のニーズを把握することが重要です。
従業員側のデメリット2:複雑な手続きだと利用率が下がる
制度を利用したい従業員でも、申請方法が分かりづらかったり、利用対象が限定されていたりすると、実際の利用が進まないケースがあります。さらに、制度自体の周知が不十分だと、制度が形骸化し満足度の低下につながることもあるため、利用しやすい環境を構築することが重要です。
福利厚生を導入する際のポイント・注意点
福利厚生を導入する際は、単に制度を作るだけではなく、目的やコスト、従業員ニーズを踏まえた計画的な設計が重要です。適切な制度設計と運用を行うことで、従業員の満足度向上や企業の生産性向上につなげることができます。
ここでは、導入時に押さえておくべきポイントを解説します。
導入の目的を明確にする
まずは「なぜ福利厚生を導入するのか」「どの課題を解決したいのか」を明確にしましょう。たとえば、若手の採用強化や、離職率の低下、働き方改革への対応、健康経営の推進など、制度導入の目的を具体的にすることで、どのような福利厚生を整備すべきかが見えやすくなります。
目的が曖昧なまま制度を導入すると、従業員のニーズに合わず形骸化する可能性があるため注意が必要です。
導入コストを検証する
福利厚生を導入する際は、コストパフォーマンスが良く、従業員のニーズが高いものから優先的に導入することが重要です。初期費用が高い制度は負担が大きいため、まずは低コストではじめ、必要に応じて制度の拡張を検討しましょう。
さらに、管理コストも忘れてはいけません。福利厚生の管理には、人員や時間、施設整備などのコストがかかります。効率的に運用するには、自社で管理するよりも外部サービスの活用がおすすめです。
とくに中小企業の場合は、導入前に費用対効果を計算し、維持・管理コストや利用見込み人数を把握することが重要です。全社員を満足させようとすると、予算を大幅に超える可能性があるため注意しましょう。
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従業員のニーズを把握する
福利厚生制度は、従業員が実際に利用して初めて効果を発揮します。そのため、定期的な従業員アンケートや利用者の声を収集し、満足度や利用率を調査するようにしましょう。必要に応じて制度の廃止やルール変更を行い、効率の良い運営を目指すことが大切です。
また、制度の導入前に決めたルールや適用範囲も、社会情勢や企業規模の変化に合わせて柔軟に調整していく必要があります。福利厚生に関する管理体制を社内で構築しておくと、従業員にとってより利用しやすい制度になります。
公平な制度設計に配慮する
従業員の雇用形態やライフスタイル、地域、職種によって働き方や条件が異なります。そのため、福利厚生が特定の社員だけに偏ると、不公平感やモラル低下、離職の原因となる恐れがあります。制度を設計する際は「誰もが利用しやすい」公平性の観点を重視することが重要です。
制度設計後は定期的に周知する
制度を設計しただけでは、従業員に十分活用されないことがあります。制度の導入後は、内容や対象者、申請方法、問い合わせ先などを定期的に周知し、理解と利用を促すことが必要です。運用が停滞したり、制度が形骸化したりするのを防ぐためにも、フォロー施策や利用促進を組み合わせて運用しましょう。
まとめ
企業は人材確保や従業員の定着、企業イメージ向上など、さまざまな課題の解決につなげることができます。導入にあたっては、コストや従業員のニーズを考慮し、自社に最適な制度を選ぶことが重要です。
適切に設計・運用された福利厚生は、従業員の働きやすさや満足度を高め、企業の持続的な成長を支える大きな力となります。ぜひ福利厚生を有効に活用し、今後の企業運営に役立ててください。
よくある質問
福利厚生とは何ですか?
福利厚生とは、給与や賞与以外に企業が従業員や家族に提供する制度です。生活の安定や意欲向上、健康維持を目的としており、法定福利厚生と法定外福利厚生の2種類があります。
詳しくは、記事内「福利厚生の種類」をご覧ください。
福利厚生が重要な理由は?
福利厚生は従業員満足度の向上や優秀な人材の確保、企業イメージの向上に直結します。働き方の多様化や人材不足の背景から、現代の企業にとって欠かせない制度です。
詳しくは、記事内「福利厚生が重要視される理由」をご覧ください。
人気の福利厚生は何ですか?
従業員に人気の福利厚生には、以下のようなカテゴリーがあります。
- 特別休暇・慶弔休暇
- 住宅手当・家賃補助
- 健康・ヘルスケア
- 働き方・ワークライフバランス
- 食事補助
- 自己啓発・スキルアップ制度
- 退職金制度
- 通勤手当
企業が独自に設ける法定外福利厚生の内容も幅広く、ニーズに応じて柔軟に導入できます。
詳しくは、記事内「法定外福利厚生」をご覧ください。
